War Zoneの取材に応じたKratosは「米海兵隊向けXQ-58の初期機体は降着装置を内蔵し、通常離着陸だけでなく、ロケットブースターによる打ち上げ、ロケットブースターとCTOLを組み合わせた運用も可能だ」と明かし、滑走路運用に依存しないXQ-58Aの柔軟性はほぼ完璧だ。
参考:Marine XQ-58 Valkyries Will Launch Via Rockets Or Runways
参考:Northrop Grumman To Provide Autonomy For USMC’s CCA
これが実用化されればXQ-58Aは唯一無二の個性を手に入れるだろう
米空軍研究所の依頼でKratosが開発したXQ-58Aは技術検証機の性格が強いものの、オクラホマ・シティに完成した生産拠点で低率初期生産(LOT1=XQ-58A Block1×12機)が始まり、同社のエリック・デマルコ最高経営責任者は2023年第1四半期の決算報告で「LOT2=XQ-58A Block2×12機の生産が始まった」「Block2はBlock1と比較してより高い高度を長時間飛行できるようになった」「LOT2で生産される半分以上は顧客が要求する機能が追加されたBlock2Bに変更される」と明かした。

出典:EGLIN AIR FORCE BASE
米海軍も2023年にXQ-58Aを2機購入すると発表したが、これは米海兵隊の要求によるもので「滑走路運用に依存しないF-35BとXQ-58Aの組み合わせに関心があるのではないか」と噂され、さらに空軍や海軍もMADL(F-35が採用する指向性データリンクでLink-16よりも秘匿性が高い)に対応したXQ-58Aについて「F-35に随伴して電子戦能力を強化する理想的なプラットホームだ」と考えており、これは追加の電子戦装置を戦場空域に運搬するのに適しているという意味だ。
技術検証機の性格が強いXQ-58Aは「ロケットモーターによる打ち上げとパラシュート回収に対応する」という特異な能力も有利に働き、米空軍の協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraftの第一弾調達(CCA Increment1)の選定に漏れてYFQ-42AやYFQ-44Aが登場しても生き残り、Kratosは2025年7月「エアバス製ミッションシステムを組み込んだドイツ空軍向けのXQ-58Aを開発する」と発表、8月には「我々の無人機が海兵隊の公式プログラムに指定された」「新しいバージョンのXQ-58Aが海兵隊向けに製造される」「海兵隊が初めて取得するCCAはXQ-58Aになる」と明かした。

出典:EGLIN AIR FORCE BASE
そして今月8日「米海兵隊の無人遠征戦術航空機(MUX TACAIR)計画向けCCA開発を競争入札の末に受注した。KratosのXQ-58AとNorthrop Grummanの自律ソフトウェアパッケージ=Prismを組み合わせ、有人戦闘機と連携してハイリスクの環境下における航空優勢を確保することを目的としている」と、Northrop Grummanも「KratosのXQ-58Aを活用して海兵隊向けのCCAを迅速に開発する」と発表し、米海兵隊はF-35BのウイングマンにXQ-58Aを採用した格好だが、どうやら米海兵隊向けのXQ-58Aは降着装置を内蔵した通常離着陸にも対応するらしい。
War Zoneの取材に応じたKratosは「今回の契約に投入される初期機体は降着装置を搭載したXQ-58になる。この機体は通常の滑走路を用いた離着陸(CTOL)だけでなく、ロケットブースターによる打ち上げ、ロケットブースターとCTOLを組み合わせた運用も可能だ。XQ-58 CTOLは既存の固定式ランチャーを使用できる。これ以上の情報開示に応じられないが、2026年初頭に初飛行するというスケジュールは事実だ」と述べ、XQ-58 CTOLは完璧に近い柔軟な運用能力を手に入れることになる。
XQ-58Aの運用は「ロケットモーターによる打ち上げとパラシュート回収」と「分離型降着装置による通常離着陸とパラシュート回収」だけだったが、XQ-58 CTOLは「内蔵した降着装置による通常離着陸(もしくはパラシュート回収)」「ロケットモーターによる打ち上げと通常着陸」「ロケットブースターと降着装置を組み合わせた離陸と降着装置による通常離着陸(もしくはパラシュート回収)」にも対応でき、通常離着陸での運用はロケットモーターによる打ち上げと比べて燃料とペイロードが増加するらしい。
降着装置の内蔵は機内ペイロードとのトレードオフになるものの、通常離着陸に対応するXQ-58 CTOLは戦術シナリオや平時の運用に大きな利点があり、War Zoneも「滑走路運用に依存しない能力を維持したXQ-58 CTOLの柔軟性は非常に高い」と評し、これが実用化されればXQ-58Aは唯一無二の個性を手に入れるだろう。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Blake Wiles
因みにKratosは低率初期生産機の機体単価は650万ドル、生産が年間50機になれば400万ドル、年間100機以上なら200万ドルを下回ると言及したことがあるが、この数字は2023年時点の話なので2026年に登場するXQ-58Aのコストが幾らになるのかは不明だ。
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※アイキャッチ画像の出典:EGLIN AIR FORCE BASE





















100機以上で200万ドル以下って凄いやですよね。
でも中国はもっと安く量を用意できるんだろうな
比較しても……
何度見ても、再使用可能なミサイルというかアラート任務に使えるナイキJに見える。
現状の低率生産でこの価格ならお試しに1ロット買って運用してみるくらいしてもいいのでは?と思えますね
どちらにせよ自衛隊のF-35B運用には米軍の知見が必要なわけですし、海兵隊とがっつり組んで一緒に運用研究とか出来たらなぁ…
>年間50機になれば400万ドル、年間100機以上なら200万ドル
量産効果考えてもさすがに「50機作っても100機作ってもお値段はおんなじで2億ドルございます」はおかしいので
「生産単価は今は低率小生産で650万ドル、量産が始まれば年間50機で400万ドル、将来的には年間100機を200万ドルで…」でしょうね。
正式にF-35の僚機として選ばれたら、とりあえず買うしかなくなるでしょうね。
日本製なんて統合してもらえる気がしない。
別に否定はしませんが、ここにレスつけられると「『買うしかなくなる』も何も買ったらええやん。日本が買える頃には1機200億ドルでしょ?」とゆー話にしかならんよーな…
コスト的にも用途的にも国産UAV開発や導入の障害になる様なものでもないですし。
沖縄の米軍基地祭りとかで見られるのかな、見られるなら行きたいが
XQ-58の航続距離が4,000km近いので、海兵隊としては島嶼部からロケットモーターで打ち上げる、空港があるならCTOLと自由度が高い上に完全量産体制に入ればちょっと高いAAMくらいの価格になるのは大きいですね。
海兵隊としては航空戦力の柔軟性が求められるため、さまざまな状況を試験して知見を高めていく段階だと思います。
ちなみにロケットモーター発進の写真はサンダーバード2号を彷彿とさせますね。
発進シーケンスと「3-2-1」ボイスと組み合わせた動画も出てくるかもしれません。
ただ当然ながらロケットモーターは使い捨てで(回収できたらリサイクルはするかもしらんけど)、おそらく本体価格には含んでないんですよね。
2発必要に見えますし、パラシュートも半ば消耗品で、本体への負担も小さくなくフライトごとにトータル安いAAMくらいのコストは掛かりそうです。
ひゅうが型やおおすみ型から滑走離陸して離島空港で回収したいな
ロケット補助ありで500ftならありか
日豪のトマホークミサイル調達価格が400万ドルくらいだったので、敵の防空能力如何によっては、そのまま仮の低価格巡航ミサイルにできちゃいそうだな。
訂正∶トマホークミサイル一発あたりの調達価格が400万ドルくらい
次のトップガンは核戦争の危機にXQ-58に股がったトム・クルーズがB-52から空中投下される所から始まるらしい