米国関連

トランプ次期政権も動員年齢引き下げを要求、ウクライナも全力を尽くせ

トランプ次期政権の安全保障問題担当補佐官に指名されているウォルツ下院議員は「ウクライナが民主主義のため全力を尽くせと我々に言うなら、ウクライナにも民主主義のため全力を尽くしてもらう必要が、人的問題を解決してもらうことが重要だ」と述べ、動員年齢の引き下げは「新たな援助の条件」になるかもしれない。

参考:Trump ready to take ‘big, bold steps’ to defend the US: Mike Waltz
参考:Майбутній радник Трампа закликав Україну “піти ва-банк” і знизити мобілізаційний вік
参考:Радник Трампа вважає, що Україні треба знизити мобілізаційний вік для стабілізації фронту
参考:Trump, Putin call expected in near future, incoming national security adviser says

動員年齢の引き下げは戦うための覚悟と犠牲をウクライナ人に問うものになりそうだ

ウクライナメディア=RBC-Ukraineは米国が要求する動員年齢の引き下げについて昨年12月「トランプ次期大統領も動員年齢の引き下げについて否定しておらず、これは新しい援助の条件になるかもしれない。さらに大統領選挙の実施やさらなる増税などとセットで要求されるかもしれない」と報じていたが、まもなく誕生するトランプ政権も動員年齢の引き下げが必要だと考えている。

出典:24 ОМБр імені короля Данила

トランプ氏から安全保障問題担当補佐官に指名されているウォルツ下院議員は13日「重要なのは戦場の安定化だ。我々がウクライナに求めるものの一つが兵力で、彼らは18歳からではなく26歳(実際は25歳でウォルツ議員の誤認)から徴兵している。ウクライナが民主主義のため全力を尽くせと我々に言うなら、ウクライナにも民主主義のため全力を尽くしてもらう必要があり、人的問題が解決されるのを見届ける必要がある」と述べ、ロシアと交渉を始めるには前線の安定化が必要で、そのためには新たな援助や武器パッケージだけでは不十分=兵士の数が重要だと主張した。

トランプ次期大統領は「ロシアと和平交渉を開始するには前線の安定が不可欠」「そのための戦力には武器と兵士の両方が必要」「もっと支援が必要と言うならウクライナも人的供給の問題を解決しろ」と要求する可能性が、RBC-Ukraineが懸念していたように「動員年齢の引き下げ」は「新たな援助の条件」になる可能性が高く、ウクライナメディアもウォルツ下院議員の発言を一斉に報じている。

出典:President of Ukraine

これに応じるかどうかは主権に関わる問題なのでウクライナ側の判断次第だが、欧米諸国の政府高官や軍関係者、国内外の主要メディア、多くのアナリストらは「人員不足は武器が約束通り到着していないせい」「武器さえあればロシア軍を阻止できる」というゼレンスキー大統領の主張を信用しておらず、脱走が横行して動員兵の戦力化が上手くいっていないことも第155機械化旅団事件で露呈しており、動員年齢の引き下げは戦うための覚悟と犠牲をウクライナ人に問うものになりそうだ。

関連記事:ウクライナに対する動員年齢引き下げ圧力、新しい援助の条件になる可能性
関連記事:ウクライナ軍を悩ませる高齢化問題、兵士の平均年齢は43歳前後
関連記事:米紙、ウクライナ軍の人的損失レベルは持続可能なものではない
関連記事:ゼレンスキー大統領、ウクライナ人兵士の死傷者数は約41万人だと明かす
関連記事:米国務長官がウクライナに厳しい決断を促す、ロシア軍阻止には人員が必要
関連記事:ゼレンスキー大統領、ウクライナ軍兵士の戦死者数は8万人より少ない
関連記事:バイデン政権、動員年齢を18歳に引き下げるようウクライナに要請
関連記事:ウクライナ軍兵士の高齢化問題、動員年齢の上限を55歳に引き下げる動き
関連記事:ゼレンスキー大統領、支援国が動員年齢の引き下げを望んでいると認める
関連記事:ウクライナ国防相、支援国は25歳まで動員しない理由を知りたがっている
関連記事:米議員から動員年齢の引き下げ圧力、若いウクライナ人も戦いに参加すべき

 

※アイキャッチ画像の出典:Donald J. Trump

セルビアがPULS導入、クロアチアはイスラエルのセルビアと接近に驚く前のページ

ロシア軍がチャシブ・ヤール、トレツク、ポクロウシクで重要な成功を収める次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米空軍、F-22Aをアップグレードするため約1.2兆円の契約をロッキードに授与

    ロッキード・マーティンはF-22Aをアップグレードのため空軍から総額1…

  2. 米国関連

    米機密文書の流出、犯人は米軍事基地で働いていたミリタリーマニアか

    米機密文書の流出はロシア人ハッカーの仕業ではなく「米国の軍事基地で働い…

  3. 米国関連

    F-35スペアパーツ問題に米議会が激怒、5年間で3億ドルの追加コスト発生

    米下院監視・政府改革委員会の議員達はロッキード・マーティンに書簡を送り…

  4. 米国関連

    米下院、ファイブアイズへの日本、ドイツ、インド、韓国加入を示唆する法案を可決

    ファイブアイズを拡張して日本、ドイツ、インド、韓国の4ヶ国を加える可能…

  5. 米国関連

    米空軍、次世代戦闘機や無人戦闘機の開発に今後5年間で284億ドルを投資

    米空軍は2025年度予算案の中で「NGADやCCAを開発するため25年…

  6. 米国関連

    ステルス戦闘機F-22、製造ライン再開・再調達に約644億ドル(約7兆円)必要

    米議会は米空軍に対し、F-22の製造ラインの再構築及び、近代化を施した…

  1. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  2. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP