米空軍は昨年発行した長距離攻撃兵器=ERAMの提案依頼書の中で「射程距離400kmのウクライナ向け弾薬」「2年以内に1,000発の生産が可能な設計」を要求していたが、WSJは23日「トランプ政権がERAM×3,350発の海外販売を承認し、6週間後にウクライナへ到着する」と報じた。
参考:Pentagon Has Quietly Blocked Ukraine’s Long-Range Missile Strikes on Russia
ロシアにとってフラミンゴミサイルやERAMの存在は「和平交渉を意図的に長引かせてもウクライナ軍の長距離攻撃能力も強化される」と強く暗示している
ウクライナ戦争は「安価で生産効率の良い兵器」の重要性を思い出させ、バイデン政権時代の国防総省は低コスト巡航ミサイルの開発を開始し、空軍は低コスト巡航ミサイルを約3,000発調達する費用として6.5億ドルを2026会計年度予算案に計上し、AviationWeekも「今後の空中発射兵器の主流は手頃な価格の巡航ミサイルになるだろう」と予想した。

出典:Defense Innovation Unit
“2026会計年度予算案が原案通り承認されれば、米空軍は生産初年度となる2026年度だけで3,010発ものFAMM(低コスト巡航ミサイルに関連した項目名もしくは計画名の略称)を取得する。類似した能力をもつJASSMは数十年に渡る運用期間中に5,569発の取得が見込まれているが、FAMMは2026会計年度だけでJASSM取得量の半分以上に到達する。この契約の受注を争っているAndurilのミラノ氏は「昨年2月時点でFAMMは存在していない計画だった」「それが2026会計年度に3,010発の調達を見込んでいる」「伝統的な調達方法からすればFAMMの調達は馬鹿げているように見えるだろう」と言う”
“これだけのFAMMを調達するため空軍は伝統的な防衛産業以外に目を向けており、AndurilのBarracuda500とZone5 TechnologiesのRusty DaggerはFAMM初年度生産契約の最終候補となっている。これらの新規参入者は伝統的な防衛産業に欠けている能力を提供しようとしている。ミラノ氏は「たった1年で存在しなかった設計から3,000発以上も製造できるようになった事自体、私の経験からすれば信じられないが、これは私が過ごしてきた18ヶ月間の体験と完全に一致している」と述べ、Andurilはオハイオ州に建設中の巨大な弾薬工場でBarracuda500の生産を開始する予定だ”

出典:Anduril Barracuda-250
“FAMMは運搬するプラットフォームについても新たなアプローチを提供する予定で、空中投下に対応したパレット化によってFAMMは爆撃機以外のプラットフォーム=C-17やC-130からも運用され、このアプローチはプラットフォームに対する兵器統合も簡略するだろう。さらにパレット化の利点にはシンプルさコストの追求にも有利だ。従来の巡航ミサイルはプラットフォームの外部パイロンに搭載されるため激しい振動や高温にさらされるが、FAMMは空中投下される瞬間まで輸送機の貨物室にあるため設計や素材に余裕が生まれ、空軍はFAMMのコストを平均約22万ドルと見込んでいる”
まだ2026会計年度予算は確定していないため「空軍が要求する低コスト巡航ミサイルの調達が承認された」とは断言できないものの、Wall Street Journalは23日「トランプ政権が先週、長距離攻撃兵器=Extended Range Attack Munition×3,350発の海外販売を承認した」「このERAMは6週間後にウクライナへ到着する予定だ」「ウクライナにERAMを届けるための資金=8.5億ドルは欧州諸国が負担する」と報じ、この聞き慣れない長距離攻撃兵器は低コスト巡航ミサイルの追求と同時期に登場していた。

出典:CoAspire
米空軍が2024年7月に発行したERAMの提案依頼書の中で「ウクライナのニーズと戦闘能力を効率的で効果的に満たすもの」「大規模生産が可能で手頃な価格を実現すること」「最低でも250マイル=約400kmの射程距離とM0.6以上の最高速度を併せ持つ500ポンドクラスの弾薬」「GPS信号が劣化する環境下で作動可能なナビゲーションシステムを備えること」「2年以内に1,000発(月平均42発)の生産が可能な設計であること」を要求。
要するに「2024年後半に開発が始まったERAMは量産可能な段階に達している」「トランプ政権がウクライナ向け輸出を承認したため契約締結から『6週間後』に初納品ができる」「1発あたりの価格は約25万ドルでストームシャドウと比べると調達コストは約1/4」「最低でも月42発(年504発)以上の供給が可能」という意味で、ロシアにとってフラミンゴミサイルやERAMの存在は「和平交渉を意図的に長引かせてもウクライナ軍の長距離攻撃能力も強化される」と強く暗示している。

出典:Photo by John Hamilton
因みにWSJは国防当局者の話を引用して「トランプ政権はERAM輸出承認をアラスカ会談やワシントン会談が終了するまで先延ばししていた」「ERAMの射程は240km~450km」「ATACMSやストームシャドウの運用には米国の標的データが必要で、ERAMの使用もウクライナが国防総省から承認を得る必要がある」と報じているため、本当の意味で「武器主権」を確立できているのは国内で組み立てられているフラミンゴミサイルのみなのかもしれない。
追記:ERAMに要求されている射程距離と速度から「滑空爆弾」ではなく「主翼を備えた動力付きの攻撃システム」で、War Zoneは「調達中止になったJSOW-ER(JSOWにTJ-150を追加したバージョン)の要件に似ている」と言及しているものの、低コスト巡航ミサイルとERAMの開発タイミングはほぼ同時期、量産時期も恐らく重複するため、管理人は「低コスト巡航ミサイルの技術を流用してERAMを開発したのではないか」と予想している。
追記:もう不満が多いので「ウクライナ戦況に分類した記事」のコメントは閉鎖します。これで「あのコメントが表示されない」「自分のコメントが反映されない」「気に食わないからコメントが消された」という不満を解消できるでしょう。
関連記事:米国防長官、ウクライナと共同でS-300とR-27の代替品を開発中と言及
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※アイキャッチ画像の出典:Ukrainian Air Force





















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>3,350発の海外販売を承認した
全部ウクライナ向けじゃないでしょうし、誰が購入するんだろ?
日本も試しに購入してみて良いんじゃないかな
元々ウクライナ向けが出発点なら全てウクライナ向けでしょう。最終的にウクライナに到着するだけで欧州各国が購入したと考えても良いかもしれないが。
ルール上、ウクライナ支援に費やした分もGDP比5%支出にカウントすることになってるので
その点においては障壁が低い
コレは言うべきか迷っていたので、管理人さんが削除して構わないつもりで書きます。
ウクライナには黒鉛炉とソレに対する知見が有るわけですから、潜在的な核保有国なんですよ。ロシアがウクライナの反露政権を放置出来ない最大の理由だと思います。
特にフラミンゴの搭載量は核実験無しで実現出来る核爆発装置に対応しますし極めて危険です。誰かが監視しなければ成らない状態に到達しました。
ロシアは現実的には不可能です。西側が管理するしか無いでしょう。自作自演です。阿呆か。
監視はIAEAがやってるし濃縮施設・再処理施設もないですけど、ダーティボムの話でもしてるんですかね?
開戰理由の話をしてます。NATOに加盟できず、放置されれば査察を拒否してそうなるだろうとしか考えようがない。
運搬手段を手に入れた訳ですから、「安全保障」が無ければその方向に行くでしょう。NATO加盟に準ずる待遇、言い換えれば西側諸国による監視が妥当な状況になりました。
後はロシア側が受け入れるかどうかです。ロシア側が勝ったと言える領土譲渡が重要と考えます。
潜在的な核保有国というのは我が国も同じです。中距離弾道弾を持つという事はそういう「含み」を持ちます。有効に活用したいものです。
①IAEAから脱退して査察を拒否
②濃縮施設を始めとした関連施設を建設
③兵器級核物質を用意して核兵器を製造
④小型化してミサイルに搭載
これ開戦前にファーストステップすら踏んでいなかった国に核兵器開発意思疑惑をかけて何の意味があるんでしょうか
しかもIAEAはロシアも加盟してますし、ロシア人スタッフも多数働いています
なぜわざわざ西側の監視〜という話になるのかよくわかりません
そして現在に至るまでウクライナがIAEA脱退の意思表明や動きを見せたことはありませんが、そんな状態でたらればの話をしても意味はないでしょう
まず内容以前の問題を指摘します。
言うべきか迷ってる内容ならコメントすることじゃないと思いますがね…
自身で判断出来ない事を他者に任せるならするべきではありません。
また、IAEAの査察の厳しさを知らないようなのでまずはそこから学ぶことをオススメします。
アメリカがイスラエルに核をそのままポンとあげちゃった事件みたいなのものあるので
開発の困難さと核武装の難しさはそのままイコールで語れなかったりはする
トータル・フィアーズですか?映画の見過ぎですよ
アメリカで60年代に発生した兵器級ウランの盗難事件のことですよ
CIAはイスラエルに渡ったと結論し後に議会でそのように述べています
最近はロシア側が積極的に空戦仕掛けてくるらしいが、そんな環境下でもミサイル撃ち込めるかな?まぁ射程400kmならどうにかなるか?しかし射程が伸びれば逆に電子戦攻撃が怖い。
空戦仕掛けたらAMRAAM積んだF-16が飛んでる可能性があるだろうよ
新型精密誘導空中発射スタンドオフ弾なら空中発射前提で発射プラットフォームは何になるのか、1機あたり1度に何発搭載出来る物なのかで成果は変ってくるとは思う。ここに至って地上発射型で400kmあるならロシアにとってかなり厄介だが発射に制限が出てくる空中発射をさせる辺りまだロシアへの配慮があるように思えてしまう。
ウクライナが欲しい兵器とアメリカが売りたい兵器のミスマッチがおきてると思う。
使い勝手が悪く制限が課せられるミサイルよりパトリオットミサイルの方が必要だろう。
長距離兵器はドローンとフラミンゴがあるし。
盾がなきゃいずれドローンもミサイルも生産できなくなってしまう。
アメリカはパトリオットの備蓄を削りたくないのと新しいミサイルを実戦でテストしたいのだろう。
問題はこれを発射するだけの航空戦力を安定運用できるかだと思うんだけど
400kmといっても(高高度)空中発射なので。ロシア領内を狙うとなると結構なリスクがあるのでは?
だから空軍の拡充をしておく必要があったんですね
5年前から航空戦力の増強を試みてたくらいだぞ?
配慮とは?
今回はミスマッチと言う程ミスマッチでもない(未だに携帯型対空ミサイルや装甲車両渡してる方が余程…)かと。ウクライナにも機動的な航空攻撃はロシアの火力を抑える上でも必要だろうし。後続距離がある方が宇空軍の安全も図れるし、ある程度とは言え電子戦攻撃対策も出来てるなら御の字では?
欧州の資金で、アメリカ製兵器を買って、ウクライナに送るという流れなんでしょうかね?
ロシア世論を見ていても、アメリカを脅威とするのが70%→40%に激減、ドイツを脅威とするのが50%超になって首位になりました。
いつの間にか、欧州が前面にでて、アメリカは後ろに下がってきたかなと。
アメリカが、最前線(ロシア支配地域)標的情報など、情報共有を続けていくのか注目しています。
>そして現在に至るまでウクライナがIAEA脱退の意思表明や動きを見せたことはありませんが、
そんなもん、やる気が無くてもやる気があっても言う筈がないてすが、相手がどう思うかが重要です。
簡単に言うと「ウクライナの核武装の容認」って選択が西側には有るわけです。
途中で送ってしまいました。実際にはソレよりマシだろって話です。エスカレーション戦術としては考えられる選択です。
コレで本気てフラミンゴでモスクワを叩けば戦術核の報復がまっていると思います。
途中で送ってしまいました。実際にはソレよりマシだろって提示です。エスカレーション戦術としてはアリだと思います。
自作自演でさけど。
上でもそうだけど「自作自演」が何のこと言ってるのかよく分からないんですよね。
当然、ソレを対価にした交渉ですよ。当たり前ですけど。ウクライナに対する長距離武器供与にはそういう意味合いがあるわけです。
脱退してない時点でこっそり核開発を行うことは不可能に近いんだから、そんな疑惑を主張するのはおかしなことだと思いますよ。
ツリーに返信がないんで終わったのかと思ったら続きは別の枝になってたんですね
しかもやたら連騰してますし、少し落ち着かれてはいかがですか?
それはさておき、上でも書きましたけどIAEAは西側の機関ではありません
IAEAはロシアだけではなく中国も参画していますし、「核兵器の不拡散維持」を望む各国が派遣した職員たちが査察の手を抜くことはありません
IAEAの査察を拒否しない以上ウクライナの核兵器保有は物理的に無理です
つまるところ西側が容認しようにもウクライナにはその意思も能力もありません
何度でも言いますが前提条件から成り立っていない仮説を幾ら論じても意味はありません
IAEAに勤めていた人の本によると、査察さえできれば必ず核兵器開発の証拠を掴めるようです。
査察で一番の鍵になるのが、濃縮ウランであるウラン235です。高濃度なウラン235は自然界および平和的核利用では絶対に生成されないため、これだ決め手になります。
昔、ある西側の保有国に査察に行った際、管理者室の棚の裏の微量なホコリから高濃度のウラン235が検出されました。そこで査察団が徹底して関係者に聞き取りをしたところ、それより三十年前に一度だけ極微量のウランを試験的に(秘密に)高濃度濃縮してしまったことを認めたそうです。
また査察の際はIAEA内部者といえども、対象国の関係者に査察のことを話すことは全くないそうです。しかも対象国には査察24時間前に初めて知らせるので、隠すヒマもないとのことでした
戦争なんてのは人間の持つ不寛容そのものなんだから、
それについての議論もまた荒れるのは必然なんだろうけど、
管理人に対しての誹謗中傷や非生産的な嘲笑はいけないよなぁ