イーロン・マスク氏はトランプ大統領が推し進める税制法案について「利益誘導にまみれた歳出法案」と批判、これにトランプ大統領は「彼は狂った」「SpaceXとの契約を打ち切る」と脅したが、マスク氏も「ドラゴン宇宙船を廃止する」とやり返し、米国の衛星打ち上げ発射能力が危機に瀕している。
参考:Amid Trump, Musk blowup, canceling SpaceX contracts could cripple DoD launch program
参考:Trump, Musk and the real fiscal ‘abomination’ on the horizon
マスク氏との関係が悪化すれば「3年以内にGolden Domeを稼働させる」というトランプ大統領の約束は完全に破綻するだろう
トランプ大統領は議会に対して大規模な税制法案=Big Beautiful Bill法案を7月4日まで可決するよう要求し、議会予算局は4日「この法案が成立すれば今後10年間で3兆7,500億ドルの減税となり、2兆4,000億ドルの財政赤字増加を招く」と警告、さらにトランプ大統領は債務上限を5兆ドルに引き上げることも要求しており、連邦政府の支出削減に取り組んできたイーロン・マスク氏は「もう我慢できない」「巨額で法外な利益誘導にまみれた議会の歳出法案は本当に忌まわしいものだ」と批判。

出典:Truth Social
トランプ大統領も「彼は限界に達していたので辞任するよう要請し、誰も欲しがらない電気自動車を売るための補助金を打ち切った」「その結果、彼は完全に狂ってしまった」「政府予算を節約する最も簡単な方法はイーロン・マスクに対する政府補助金と契約を打ち切ることだ」「私はそれをしなかったバイデンにずっと驚いていた」と猛烈に批判、これに対してマスク氏は「大統領の発言を考慮してSpaceXのドラゴン宇宙船の廃止を直ちに開始する」と発表し、政治的な両者の対立に世間の関心が集まっているが、ディフェンスメディアは「SpaceXを完全に排除すれば宇宙軍の活動ペースが大幅に低下する」と懸念している。
米軍向けの衛星打ち上げ発射能力においてSpaceXの果たす役割は非常に大きく、この分野にはUnited Launch AllianceやBlue Originといった競合が存在するものの、宇宙軍が発注した2025年~2029年の衛星打ち上げ発射に占めるSpaceXのシェアは60%で、宇宙軍は低軌道への小型衛星打ち上げについてもSpaceX、United Launch Alliance、Blue Origin、Rocket Lab、Stoke Spaceの参加を承認しており、ここでもSpaceXの打ち上げ能力が宇宙軍の計画を支えていると言っても過言ではない。
さらに米軍は加速度に増加し続ける通信量に対応するため、商用通信衛星への依存を高めることを計画しており、ここでも重要な役割を果たすと目されているがSpaceX提供のStarshield=通信の高度な暗号化、妨害耐性の強化、軍用レベルのセキュリティ機能を追加したStarlinkの軍事向けバージョンで、要するに「トランプ政権が政府契約からSpaceXを排除すればGPS衛星や低軌道衛星網による宇宙追跡システムの構築ペースに大きな影響を及ぼしてGolden Dome構想にも影響がでる」「締結済みの契約を一方的に破棄すれば法的な問題に直面する」という意味だ。
因みにオープンソースのデータによれば2023年の米軍、民間、商業打ち上げの数は109件で内98件、2024年は145件で内138件をSpaceXが担当しているため、SpaceXは米国の衛星打ち上げ発射能力をほぼ支配していると言っても過言ではなく、マスク氏との関係が悪化すれば「3年以内にGolden Domeを稼働させる」というトランプ大統領の約束は完全に破綻し、米軍もStarlinkやStarshieldの通信を切断される可能性に怯えなければならないかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:The White House
暴言でも批判でもなくトランプは本当は痴呆症にかかってるんじゃないかと心配してしまうこの頃
痴呆とかでなく、両者とも良くも悪くも「俺に絶対服従、従わなきゃクビあるいは契約打ち切る。ただしそのためのアイデアと金と人材は俺がいくらでも用意してやる」スタイルでのし上がって来た人物だから、根本的に相性最悪なんですな。そして一番政治に向かない人材でもある
何せ他国が絶対服従するわけ無いし、自分の支持者のクビは切れないし、政府のリソースは限られてるしで、自分のやり方が一番うまく行かない世界だもん
平常運転だって。
痴呆には見えないですね。クレイジーだとは思うけど
他国の軍隊がStarlinkから遮断されるならともかく米軍がStarlinkから遮断されて他国の軍隊が使えてるとかいう状況が発生したら最早ギャグ(流石に米国内からの批判がヤバいのでやらないと思うが)
やっぱStarlinkを導入するにしてもあくまで福利厚生とかにおいての通信インフラを担わせるまでで、基幹通信インフラとしては小規模でもいいので自前で衛星コンステレーションを構築する方向で頑張るしかなさそうですね
我が強いこの2人がうまくいくとは到底思えなかったが案外早くこうなったなあという印象。
まるでWeb小説のような超展開
私はプロレス的予定調和だと思います。
トランプはリアリティショー「アプレンティス」で大成功した頃にWWEに参戦してますからね。
今のトランプの行動は当時のイメージを捨てきれないのでしょう
勝手に争え!
と言えないところが辛いですね
これで世界最強国家の元首と世界一の富豪なんだぜ
いずれ仲違いするだろうと思っていたけど、1年も持たなかったとは…
アメリカがSpaceXと結んだ契約を打ち切るなら、宇宙開発競争で勝利するのは中国になるでしょうね。
アルテミス計画でを進める上で重要だったゲートウェイを中止して取り敢えず火星に人を送ると発表した時から、足元を固めずに火星に注力して大丈夫か?と疑問でしたが、それ以前の問題になりそうですね。
まあぶっちゃけ月って開発する意味があんまり無いから、地球→月→火星と段階を踏むよりは、地球→火星で直接行ったほうが楽というか効率的ですね(火星が目標の場合)
火星に人を送るのが目的ならそれでも良いのかもしれませんが、火星を開発するつもりなら月を開発して中継点とした方が効率は良いのでは?と個人的には思うのですが、どうなんでしょうね?
火星までに必要なΔv(必要な加速量≒必要な燃料と思って良い)を計算すると
【直行便】
打ち上げ(9.4 km/s) + 火星遷移軌道(3.6 km/s) + 減速・軌道修正(0.5 km/s) = 13.5km/s
【月経由】
打ち上げ(9.4 km/s) + 月遷移軌道(3.2 km/s) + 火星遷移軌道(4.0km/s) + 減速・軌道修正(1.3 km/s) = 17.9km/s
なので圧倒的に直行便の方が有利なんですね。ただし月面の氷から燃料を生成する燃料基地が出来た場合は、月地表 → 火星のΔvが6.5 km/s程度と半分以下になります
となると仮に中国が月開発を行ってから火星に向かうのと、月をスキップして最初から火星に行くアメリカでは、スタートダッシュはアメリカ有利で後半は中国有利になるのかな?
なんだかうさぎとカメの童話みたいですね。
そこはまあ、月面ISRU(資源利用)がどこまで実現するかによりにますね
例えば月から火星まで3人を送り届けるために必要な燃料はだいたい20tくらいなので、これを月面で1週間で精製するとしたら必要な発電量はざっと3MW、採掘や生活に必要なエネルギーが同等あるとして6MW、つまり一般家庭1万世帯分くらいの電力が必要になるわけです
これほどの電力を供給できるのは実質原子炉くらいなので、まずそこが一番問題になるでしょうね。あと地球軌道上で問題が起きた場合はすぐに助けに行けるし最悪再突入すればいいですが、月の場合は助けに行くのも数日かかるのでその辺りも厳しい
でっかい太陽光パネル敷こうぜ
現実問題月の電力供給は太陽しかないと思ってるわ
火星はちょっと意味分かんねえけど月は軍事経済で価値大きいから21世紀を通して開発が進むと思ってる
水のあるところは永久影の場所でしょうから、太陽光発電との相性は良くなさそう。
大気がないから発電衛星浮かべてマイクロ波やレーザー送電なんてのは。
ヘリウム3採掘も視野のうちでは
SFで話題になるヘリウム3はですね、1kgのヘリウム3(核融合発電に使うと2万世帯を1年稼働できるくらい)を得るために、10万トンもレゴリス(月面の砂)を処理しないといけないのでぶっちゃけ非現実的なんですよね……
アメリカが保有している有人宇宙船はドラゴンの他にボーイングが開発したのがあったはずなのですが、あのボーイングよろしく上手く行った話を聞かない。ドラゴンを廃止するとISSへの人員輸送手段はロシアのソユーズに依存することになる。
アメリカの原子力発電所もロシア製濃縮ウランに依存しており、宇宙開発と原子力産業をロシアに依存するなんて冷戦時代では考えられないことだ。
ボーイングのスターライナーはヤバいですね
去年の有人打ち上げで打ち上げ前からヘリウム漏れ、打ち上げ後も燃料系に不具合複数、エンジン28基中5基故障(後4基復旧)などなど、死に体になりながら何とかISSに到達
あまりにもリスクが高いので有人帰還は断念して無人での帰還にミッションが変更されました
はっきり言って人を乗せて打ち上げていい代物ではありません、現時点では危険すぎます
そんな中ドラゴン中止となるとソユーズしか選択肢が無くなってしまいますね…
まあ正直売り言葉に買い言葉だと思いますね>>ドラゴン中止
ソユーズは改良してるとはいくらなんでも設計が古過ぎるし、輸送量が小さすぎて正直今の宇宙開発需要に耐えきれないです
その証拠に後継のオリョールの乗員は4~6名とドラゴン2の7名に近いですし(オリョールは経済制裁と戦争の影響で多分ポシャるだろうなぁ…)
中東での軍事的失敗(実質敗北)と経済の失策で宇宙も核燃料も、一時は原油も大幅にロシア依存→ロシア復活→このままでは不味いのでロシアを潰そう!…は無理だから弱めよう…→チェチェン・ダゲスタン・“イスラム国”・シリア内戦・ジョージア・ウクライナを使って妨害…絵に描いた様な流れ、最大容疑なのに日本では「陰謀論」レッテル貼りで終了。昔の東ドイツって平穏に生活してれば意外と近い状態だったのでは!?とさえ疑い始めています。
「米軍もStarlinkやStarshieldの通信を切断される可能性に怯えなければならないかもしれない。」
ゼレンスキー「ロシアからの大反撃が来るというのに勘弁してくれよ」
国家の宇宙戦略が個人的な交友関係に左右されるとか怖すぎません?
これトランプがクレイジーなだけじゃなくて、スペースXでのマスクの権限が強過ぎるのも原因なんですかね。
それはそう
ドラゴンに限らずスターリンク含めて、売り言葉に買い言葉で停止するかも?なんて疑惑もたれちゃスペースXの信用はガタ落ちなのに、これを許されてしまったらまともな企業として相手は出来なくなるよ
あまりに圧倒的な技術を持ってるから許されてるだけで、周りが追いついてきたら一気に凋落するだろうね
スペースXは、ロシアのソユーズ宇宙船依存・アトラスVのロシアエンジン依存などがあった中で、アメリカ宇宙開発のロシア依存を減らすことに導いた会社なんですよね。
トランプ大統領=マスク氏、お互い困って落し所を探るのか、撃ち合い続けていくのか興味深いですね。
日本でもありますが、創業経営者・カリスマ経営者みたいな人は、我が道を突き進んでいきます。
来年の中間選挙があり、その前の候補者選定あたりで両者が揉めるかなあと思ってたのですが、自分が思ってたよりも早かったですね。
小さい政府=大きい政府、理念として相容れない考え方ですから、しばらく見守りたいと思います。
> Big Beautiful Bill法案
何度見ても厨二病全開というか、カルト臭も感じる命名ですね…。
というより語彙力が子供レベル…
テスラでいずれぶつかるとは思っていましたが、インフラ持ち出されると非常にアメリカはまずいですね。
中国・ロシア・イラン・その他「争え、もっと争え」
イーロンは前から財政を気にしてたからねえ。そらトランプの歳出法案は受け入れられませんよ。
ただイーロンを支持するような意見はアメリカ国外の政界からも出にくいんじゃないかなと。
放漫財政なのはトランプに限った話じゃないからねえ。
個人的には世界中の国が放漫財政を続けてるが限界に達したらどうなるんだろ?と深刻な問題と捉えてるけども。市場に色んな国の国債が溢れ返ってる。あのドイツすら国債で軍拡をするのだから。
個人的には随分長く関係続いたな感
トランプは企業者の味方ではないので衝突は必然でしょうね
トランプは財政を立て直したいのか崩壊させたいのか
「戦争をしない」で「自分たちの権益を守り」ながら「米政権のデフォルト」を回避したい。けどFRBはトランプに協力する気がないし、関税で脅してもどの国も反発が強いので財政負担を分散させられないし、公約の減税を守らなければ選挙で投票した支持者を裏切ることになり選挙にも当然負ける。今のアメリカは資本家に食いつくされて、引くも押すもできない。やってることは真逆ですがその苦渋の内容は日本の自民党と似てて面白いですよね。
委細はともかくとして電気自動車に狂ってるはずっと思ってた。欧州と言い電気自動車推しは異常だ
あんなもん電気自動車の製造の根幹たるレアメタル掌握してる中国の陰謀だろ
あんなに一緒だったのに……