米国関連

トランプ大統領がBoeing救済に成功、カタールが2,000億ドル以上の発注を約束

トランプ大統領は13日にサウジアラビアを訪問して総額6,000億ドル=約88兆円の対米投資を引き出すことに成功し、14日もカタールを訪問してタミーム首長と会談、Boeingの航空機160機=2,000億ドル以上の発注、MQ-9B売却、防衛協力など複数の協定に署名した。

参考:Trump announces $200 billion Boeing deal with Qatar
参考:Live updates: Trump’s meeting with Syria’s new president could mark a turning point for the Mideast
参考:US and Qatar sign raft of deals

トランプ大統領はBoeingの救済に成功、カタールから記録的な受注を獲得

トランプ大統領は13日にサウジアラビアを訪問してムハンマド皇太子と会談し、両者は約1,420億ドル=約20兆円の武器販売を含む「総額6,000億ドル=約88兆円の対米投資」で合意して世界中を驚かせたが、14日にカタールを訪問してタミーム首長と会談し、Boeingの航空機160機=2,000億ドル以上の発注、MQ-9B売却、防衛協力など複数の協定に署名した。

出典:National Transportation Safety Board

Boeingの民間部門は後部ドアの破損で737MAXの新規受注が大幅に減少(2024年は前年と比較して40%減)し、ストライキによる生産数の落ち込みやトランプ関税も追い打ちをかけ、政府による何らかの救済が必要となり、トランプ政権は8日に発表していた英国との貿易協定の中で「British Airwaysの親会社=IAGがBoeingから100億ドル相当の航空機を購入する」と発表、これを受けてBoeingの株価は1.7%上昇したが、カタールの発注額はまさに歴史的規模で、トランプ大統領も「160機の発注額は2,000億ドルを超える」「これは新記録でBoeingにおめでとうと言いたい」と述べている。

カタールが署名したMQ-9B売却は約20億ドル、防衛協力の中身はRTXのCoyoteを含む対無人機システム=FS-LIDS売却で、この取引の価値は10億ドルだと報じられてる。

出典:GA-ASI

お詫び:カタールをアラブ首長国連邦と取り違えていたため内容を大幅に変更しました。本当に申し訳ない。

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※アイキャッチ画像の出典:Dylan T/CC BY 2.0

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コメント

  • コメント (16)

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    • Authentic
    • 2025年 5月 15日

    ボーイングの社長はあの惨状でも去年の報酬が40億円以上だったらしいから今年は100億円くらいかもね

    20
      • hoge
      • 2025年 5月 15日

      まあ、アメリカの社会病理ですよね……
      リーマンショックが起きた時も金融業界の上級管理職は莫大な報酬を公然とせしめていました
      ロシアのオリガルヒばかり悪いイメージがありますが、私は社会の不平等さではアメリカのほうが上だと思ってます

      世界的に見て、アメリカにおけるCEOの報酬額は異常です
      確か一般従業員の1万倍がCEOの報酬の相場だったかな
      錦の御旗みたいに扱われているMBAも、そのブランド化に一役買ったご本尊のハーバードが「正教授は終身職なのを良いことに副業で稼ぐことに夢中。何のために教育機関が税制優遇を受けているのか何もわかってない」なんて批判されているわけでねぇ

      なおハーバードは親の年収が50万ドルを超えていないと入れない大学と言われてます(これは確か21世紀の資本に書いてあったことなので、今ならインフレで足切りラインが上がってるかも)
      今までは世界に冠たる超大国ということで、こういっためちゃくちゃな事がうやむやなままにまかり通ってきたわけですが……

      10
        • kitty
        • 2025年 5月 16日

        ハーバードは年収3000万円以下の貧困家庭は授業料免除らしいです。MITも。

        2
    • たむごん
    • 2025年 5月 15日

    UAE・サウジアラビア、お土産があまりにも凄すぎて、日本はどうするのかなと…

    ボーイングは、製品を納期通り完成させれば、再建に繋がりそうですね(納期に違約金があるのかは気になります)。

    13
      • nachteule
      • 2025年 5月 15日

       出来ない事を背伸びしてまでやれません。ボーイングにおめでとうと言いますがボーイング機体の製造には日系企業がかなりの割合で食い込んでいます。
       カタール航空が導入するのは787型機で日本が構造材の30%は確実に製造しています、今更米国単独で何とかしろは無理な話でしょう。ボーイングが順調に納入するためには日本の協力が必要です、お手伝いしますよぐらいで良いでしょうし、米国内で何か作るのも有りでしょう。

      19
        • ななしのシロウト
        • 2025年 5月 15日

        ・日本がカタールからLNGを買う
        ・カタールがボーイングから航空機を買う
        ・ボーイングが日本企業から構造材を買う
        カネは天下の回り物

        32
        • たむごん
        • 2025年 5月 15日

        米国内で何か作るのは、これまでもうそうですし、これからもかなり現実的ですね。

        1
          • たむごん
          • 2025年 5月 15日

          追記です。

          これまでもそうですし
          >これまでもうそうですし

          1
    • 寒い
    • 2025年 5月 15日

    仕方がないとは言え、結果的にボーイングの体質は改革されない。安易な延命繰り返しの結果が今のアメリカ造船業界なんですよね。

    24
    • ボリス
    • 2025年 5月 15日

    管理人様
    いつも拝見させて頂いております。
    日本では軍事情報が限られてる中で、とても貴重な海外情報ばかりでとても助かります。
    日々のアップで大変とは存じますが、どうぞご自愛の上で、今後も引き続き宜しくお願い致します。

    トランプさんは大統領としては「?」ですが…
    ビジネスマンとしては今のところ成功してるのではないでしょうかね。
    まあ、もちろん全ての案件が実際に履行されればですけど…とはいえ、好き嫌いは置いといてもトランプ王の意向は無視出来ませんしね。汗

    1
    • 追剥強盗武士の手習い
    • 2025年 5月 15日

    日本からの部品の関税分が上乗せされた高いボーイングをカタールが買って、カタール単独では、それほど航空輸送能力を拡大するのは難しくないか。その辺は良くわからないけど。イスラエルがある以上、中東上空もドンパチはまだまだ続くから、余った航空機は、中国人が安くレンタルするのではないか。アラブ商人と中国商人、どちらもえぐいからなあ。

    6
    • ドゥ素人
    • 2025年 5月 15日

    トランプ大統領って本当にビジネスマンなんだと改めて感じました。持てる力(アメリカ大統領)をフルに使って、めちゃくちゃ売りますね。

    これでアメリカ国内で生産能力が高まって造船、航空機産業などのものづくりが復活すれば良いですけど、メーカー上層部が肥え太るだけで設備投資や工員の待遇改善に繋がらずに購入遅延とかにならなければいいんですが…

    14
    • kitty
    • 2025年 5月 15日

    しかし、ボーイングのTBTF経営戦略は本当にスゴイですね。こんな綱渡りのような経営をこなすのですからCEOが年40億円もらうのもわかります。

    2
    • あさり
    • 2025年 5月 15日

    これ発表通りに履行できるのか…?
    途中で「金ないから発注キャンセルで」とかにならない?

    7
    • 2025年 5月 15日

    アメリカ軍の改革で不要になったレガシー装備を産油国に売り捌けば、当座の米国軍需産業の資金繰りはなんとかなりますのでアメリカの安全保障的には良かったと言えるでしょうね

    1
    • DEEPBLUE
    • 2025年 5月 15日

    F-47カスタマーあるかも?

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