2022年中に初期作戦能力を獲得すると言われている米国の新型空対空ミサイル「AIM-260 JATM」は順調にテストを消化中で、もうすぐ実物を拝める日がやって来るのかもしれない。
参考:Testing Of The Secretive New AIM-260 Long-Range Air-To-Air Missile Is Well Underway
米国のAIM-260はPL-15が採用したデュアルパルスロケットモーターと同じ手法でAIM-120を上回る射程を確保か
ロシアや中国は戦闘機に搭載する空対空ミサイルの長射程化に取り組んでおり、ロシアはMiG-31用に開発していた射程200km以上(ロケットブースター追加で射程を400kmまで延長可能)の空対空ミサイルR-37MをSu-35から発射するシーンを昨年初めて公開、さらにシーカーにAESAレーダーを採用してAIM-120と同等の性能をもつと言われているR-77Mのラムジェット推進バージョン「K-77ME/Izdeliye180-PD(R-77Mの射程距離拡張版で最大射程は推定200km以上)」をSu-57に統合する作業を進めている。

Attribution: emperornie / CC BY-SA 2.0 PL-15を搭載する中国のJ-20
中国もAIM-120の射程を大きく上回る空対空ミサイル「PL-15(推定射程200km以上)」を実用化、PL-15よりも大型でラムジェット推進を採用したPL-21(推定射程400km+/今のところ実用化までには至っていない)の存在も確認されており、空対空ミサイルの交戦範囲ギャップを埋めるため米空軍は2019年に「ロッキード・マーティンがAIM-120の射程を上回るAIM-260を開発中だ」と明かした。
この新型の空対空ミサイルは「AIM-260 JATM」と呼ばれており、今のところ判明しているの情報はAIM-120と同寸法、AIM-120を上回る射程を備えている、海軍との共同プログラム、2022年中に初期作戦能力を獲得(2026年までにAIM-120とAIM-260の供給量が逆転するという予想もある)するということだけで、AIM-260のスペックや開発状況などについて情報が全く無かったのだが米メディアのTheDriveは「AIM-260のテストが順調に進行している」と興味深い記事を公開している。
The US Air Force flew a few QF-16 FSAT missions in support of the AIM-260 #JATM program in October and November 2020 based on publicly released information. There’s a lot of flight test activity planned or executed by the FSAT team in support of this new A2A Missile program. 👇 https://t.co/eH2du9G2Mz pic.twitter.com/VxGsDQT1G4
— Air Power (@MIL_STD) November 20, 2021
TheDriveは「米空軍はF-16を改造した無人標的機QF-16を使用したAIM-260のテストを2020年に30回以上実施しており、これだけのテストを行っているにも関わらず『AIM-260を搭載した機体』の目撃談や写真が一切出回らないのはAIM-260の外観がAIM-120と似ていて区別がつかないからだろう」と言及、さらにAIM-260は寸法的にミーティアが採用しているようなラムジェット推進を取り入れるのが不可能なため「PL-15が採用したデュアルパルスロケットモーターと同じ手法でAIM-120を上回る射程を確保しているはずだ」と予測している。
米空軍はF-22やF-35のミサイル携行量を落としたくないためPL-15と同じデュアルパルスロケットモーターの採用以外に「誘導装置や弾頭など推進部以外の部分を小型することで推進剤自体の容量アップを組みわせることでAIM-120を上回る射程を確保している」とTheDriveは説明しているが、AIM-260の弾頭には複数のオプションが用意されていて弾頭自体を搭載しない直撃方式(Hit-to-Kill)もあると噂されている。

出典:BernhardHuber / MBDA ラムジェット推進を採用したミーティア
どちらにしても公式な発表内容ではないので上記の話は全て推測の域だが、本当に初期作戦能力の2022年獲得に向けてAIM-260の開発が順調に進行しているのであれば実物を拝める日がもうすぐ来るのだろう。
関連記事:ボーイングが長射程空対空ミサイル「LRAAM」を披露、加速ブースター付きの2段構成
関連記事:英国、F-35Bがミーティアの初期運用能力を獲得するのは2020年台半ば
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Perry Aston
射程を伸ばすのは良いが中間誘導等はどうしてるんだろうか
ミサイルは単純に長距離飛べば良いのではなく機体側での精度の良い
方位、高度、的速、進路の観測と未来位置予測をして情報をミサイルに送る必要があるはず
更に航空機のステルス化によってレーダー探知だけじゃなく追尾も困難になっているはずで
この全てが進化していないといけないがその辺聞こえて来ない
データリンク
はい!そこで索敵ドローンの登場となるわけです!!
自衛隊はどっちも持ってませんが
いや普通ならF-35とかでしょ
人民解放軍を基準に考えてると
「索敵ドローンの登場」
ってなるんじゃないの?
彼我の違いが、こういう所にも現れてる。
いや、F-35のみに限定する必要ないでしょ
F-35、無人機、水上艦、地上の中継、レーダー施設全部が誘導指令を中継する
防衛省が研究中の無人機は索敵中継用全振りだけどね
練習機に積んで試験してたのも索敵用無人機向けのセンサーだし
索敵ドローンを持ってる国なんて、まだ世界に一つも存在しませんよ。
あと日本は、索敵などの機能も併せ持つ無人機(ドローン)の開発をしています。
>自衛隊はどっちも持ってませんが
索敵ドローンと長射程のAAMのことを言っているのでしょうか?
索敵ドローンなら前述したとおり開発していますし、長射程のAAMもすでにAIM-120Dを導入し、さらには日本はJNAAMも研究試作と所内試験をしています。
そしてさらに、下のコメントでも書かれていますが、日本は「将来の空対空誘導弾に関する技術的方策の検討のための情報提供企業の募集」だったり、「航空自衛隊の戦闘機等に搭載可能な通常爆弾及び機関砲弾を除く将来の航空機搭載弾薬に関する技術的検討の情報提供企業の募集」なども行っています。
ちなみに、日本が研究していた「低RCS目標対処ミサイル誘導制御技術」などもJNAAMに組み込まれているようですので、ステルス性の高い目標に対して使用することも十分に考慮されています。
AAM射程=対ステルス機射程ではないのはその通りなんだが・・・
AAMの長射程化によって後方に位置する在来型AWACSや空中給油機の運用を阻害できるようになるのは周知だが、一般にはミーティアAAMの優位点として挙げられる回避不能ゾーンの拡大という効果がある。
話題になっているネットワーク統合された分散型センサーは、長射程AAMに対し脆弱な在来型AWACSを代替するだけではない。バイ/マルチスタティック統合処理によりステルス機に対する探知・追尾距離を大幅に延伸し得る。
分散型センサー等のカウンターステルス技術は将来的対抗策だが、AAMの長射程化は先に述べた通り現時点でも有効。
イージス艦が最初に撃墜したのは民間機だったと記憶してるんだけど(間違ってたらごめん)、国境線が入り乱れているあたりで空戦になったら無関係の軍用機・民間機がバタバタ墜ちそうな予感が・・・・
分かっちゃいますがF-16が標的機として消費されてるのは勿体無く感じちゃいますね…
今更古いバージョンのf-16はただの金食い虫だからね。
多分v型以外いなくなるんじゃないかと思う。
AAMの長射程化は一種トレンドだけど、本当にそんな長射程からAAM撃ち合って当たるのだろうか?
かつての大艦巨砲主義時代の戦艦の主砲みたいに、ひたすら長射程化して結局は中距離砲撃でしか
当たらなかったみたいな、絵に描いた餅にならんのだろうか
長射程化=回避不能ゾーンの増加でもあるから射程伸ばさんかったらこっちだけ一方的に相手のミサイルの回避不能ゾーンん内に捕らえられることになりかねない
こっちの給油機狩りを念頭に置いた戦法だけど裏を返せば長射程化出来たらこっちも同じ事が出来るしやらない手はないかと
当たるかどうかはあまり関係ないのでは?
AWACSや空中給油機が危険に晒されるだけでミサイルの射程内での活動は抑制されるわけですし。
今でもキルゾーンの前に旋回されたら当たらないでしょ。
ただ、先に旋回させれば向こうも攻撃のチャンスを逃すし、速度というエネルギーを失う
それが非常に大切だよね。
例えば日本の艦隊を狙う爆撃機編隊に先にミサイルを撃ち込めば、飽和ミサイル攻撃を防げる。
日本も空対空ミサイルでは結構活発に動いていると思う。JNAAMの開発はもちろんだけど、今年に入ってから「将来の空対空誘導弾に関する技術的方策の検討のための情報提供企業の募集」だったり、「航空自衛隊の戦闘機等に搭載可能な通常爆弾及び機関砲弾を除く将来の航空機搭載弾薬に関する技術的検討の情報提供企業の募集」など行っている。あくまで検討だけど、将来への期待が高まる。
機関砲を除くという意味は・・?発展の余地がないだけなのか、下すのか・・・
機関砲レスにすると、機体設計がかなり楽になるからね、ステルスの面でも有利になるし
機関砲を内蔵するなら、命中精度を考えたら機体の中心線寄りに配置したいけど、砲口煙が
エアインテークに入っちゃいけないし、機体表面は汚すし、弾薬スーペースの確保やら
あれの搭載位置を決めるのって結構難しい
どうせお守り程度で滅多に使う機会が無いなら、思い切って廃止しちゃうのも手だ。
一応警告射撃に使うのでしょうか…?
怪しいですけど
スクランブル用途でも、夜間の警告用ならストロボライトでもいいし
警告射撃用に機関砲がどうしても欲しいなら外装(ポッド装備)って手もある
スクランブル対応の時は相手を目視する距離まで接近するんだからポッド装備
でステルス性能が下がっても問題ではない
そのあたりは割り切れると思うけど
PL-15をP-15はさすがに酷い
注意力がなさすぎる
新しい機体でも出たかと思った
たしかに文中の誤字はまだいいけど表題で誤字をやられると将来検索するときに困る
URLがまだ修正されてないけど影響の少ないうちに修正したほうがいいんじゃないか
AAMの長射程化が進んできたが、こうなるとJNAAMに否が応でも期待が集まる。
長射程AMtとして先輩格のミーティアがどこまで進歩するか楽しみである、ボロン系燃料に変更すればさらに長射程化出来るだろうがさすがにそこまでは期待しない。F-3(あるいは僚機)のレーダーで回避不能距離まで誘導するだろうから絶対に当たる恐怖のミサイルになるだろう。
F-3はそれに加えAESAレーダーを超高出力で使い母機やミサイル搭載のレーダーを使用不能にする光速兵器を積むようだ、つまり長い鉾と強い盾を持ち、当分の間はエアドミネーターとしてアジアの空に君臨することになるだろう。
次はF-3から撃てる中低層のBMDミサイルの開発をしてほしい、これが完成すればSM3の撃ち漏らした弾道ミサイルを撃破可能になって安全度が大幅に増す。
JNAAMはよ!
SM-6も来年度に初弾分納品、まや型で試射だしね
日本でも、対空ミサイルによるキルチェーンっ確立しつつある
キルチェーンとは交戦手順の事で空対空戦闘の場合は
発見、探知、確認、追尾、捕捉、射撃、戦果確認、の諸段階を指します
それぞれ
発見)何かがいることを探知し
確認)それが敵か味方か中立かを調べ
追尾)敵の場合現在の高度と位置、どのくらいの速度でどの方角に向かっているかを調べ続けて
捕捉)レーダーで対象を捕捉し射撃位置につきミサイルに各種情報を提供してやり
射撃)そのままの意味、で標的の未来位置予想情報を継続的に更新してミサイルを適切な位置に誘導し続け(中間誘導)
戦果確認)撃ち落としたか損傷させたか外したか、損傷と外した場合再度攻撃する必要があるか確認し
再度攻撃の必要がある場合は再度射撃し標的を破壊する
という意味になり平時は追尾と捕捉の間に(意思決定、攻撃するか無視するか嫌がらせや威嚇でもしてやるか)が入ります
艦対空戦闘の場合もほぼ同じです
ミサイルの長射程化はこれらのいくつかの段階成立を困難にします
東スポかな?
???