米空軍は2026会計年度予算案の中で「KC-46Aを最も経済的な要件基準としてKC-135後継機調達に用いる」と言及していたが、米空軍は「KC-46AとNGASのギャップを埋めるBridge Tanker構想」を正式に放棄し、最大75機のKC-46追加調達を承認した。
参考:Air Force will buy more KC-46s, skip competition
参考:Air Force to forgo tanker competition, sole-source more KC-46s from Boeing
KC-46A追加調達は諸事情に関連した決定なので「問題を抱えたKC-46Aの追加調達」と表するのは妥当
米空軍の空中給油能力は計450機以上のKC-10とKC-135で構成され、これを近代化するためKC-10の退役とKC-46Aの導入が進み、現在は空中給油能力はKC-135とKC-46Aで構成されているものの「KC-135の後継機」に関しては何度も方針(KC-Y、Bridge Tanker、KC-135 Recapitalizationなど)が入れ替わり、専用設計でステルスを追求したKC-Z=NGAS計画を前倒しして「KC-135の後継機」をスキップする計画も浮上、もはや空中給油機の将来は「新しい計画が毎年登場する状況」と言っても過言ではない。

出典:U.S. Air Force photo
2026会計年度予算案でも「KC-135の後継機」について新たな計画=Tanker Production Extensionが登場し、これは「KC-46Aの調達契約が完了後、TPE計画に基づいて追加の空中給油機を調達する」「KC-46Aを最も経済的な要件基準としてTPE計画に用いる」と言うもので、Aviation WeekやBreaking Defenseは「この変更によってKC-46A追加調達の可能性が高まった」と報じていたが、Defense OneやBreaking Defenseは「米空軍が正式にKC-46AとNGASのギャップを埋めるBridge Tanker構想を放棄してKC-46A追加調達を承認した」と報じた。
Defense Oneは20日「KC-135の後継機調達について何年も不確実な状況が続いてきたが、KC-46AとNGASのギャップを埋めるため新たな競争を行うのではなくKC-46Aの追加調達を決めた」「我々の取材に応じたアルヴィン参謀総長は『KC-46プログラムの延長を承認した』『この調達戦略の下では最大75機のKC-46を追加調達することが承認されている』と述べた」「KC-46Aの欠陥解消は完全に危機を脱した訳ではないものの解消に向けて順調に進んでいる」「KC-46Aの運用状況は非常に良好だと信じている」と報じたが、この動きについて「KC-46Aに対する信頼性というより資金不足による圧力が直接的な要因」と指摘している。

出典:JetZero
“KC-46Aの調達継続は予算上の圧力によるものだ。KC-46AとNGASのギャップを埋めるBridge Tanker構想を実行に移すより、KC-46Aを継続調達したほうが研究開発コストを抑えられる。空軍は将来の空中給油機ニーズ(NGAS計画のこと)が明確になるまで問題を抱えたKC-46Aを購入し続けることになる”
Breaking Defenseの取材に応じた空軍報道官も「KC-46Aの生産を最大75機延長する調達戦略を承認した」「この延長プログラムによって現行の生産契約が終了後もKC-46Aの調達は中断されない」「追加調達に関連した契約の種類や価格は交渉が必要」と述べ、Breaking Defenseも「迷走したKC-46AとNGASのギャップを埋めるBridge Tanker構想に関する憶測に終止符が打たれた」と報じたが、空軍がいう承認とは「内部決定」のことでKC-46Aの追加調達が正式化するには議会の承認が必要だ。

出典:Lockheed Martin
議会はKC-46Aに関連する空軍とBoeingの説明を基本的に信用しておらず、2024会計年度の国防予算=国防権限法の中で「NGASよりBridge Tankerを優先する条項」「固定契約で調達できる最大値=179機を越えたKC-46Aの調達を禁止する条項」を盛り込んだため、2026会計年度予算案に含まれたTanker Production Extension(KC-46Aの調達数を179機から188機に拡張する内容)が承認されなければ、2024会計年度の条項が効力を維持してKC-46Aの追加調達戦略は破綻してしまう。
上院と下院は2026会計年度予算案を可決したものの、いつも通り「最も混乱した時期=大統領に届ける予算案を編成するため『内容が異なる上院バージョンと下院バージョンの内容』をすり合わせる段階」を迎えており、2026会計年度の国防権限法が完成するまでTanker Production Extensionが生き残るかどうかは分からないものの、Boeingとしては「LMXTとの競争回避」「最大75機のKC-46A追加調達」という流れを歓迎しているはずだ。

出典:DoD Photo by U.S. Army Sgt. James K. McCann
Defense Oneが指摘しているように「KC-46A追加調達は諸事情に関連した決定」なので「問題を抱えたKC-46Aの追加調達」と表するのは妥当だが、この評価が変わるかどうか、この決定が正しかどうか、欠陥解消が順調に進んでいるかどうかはRVS2.0の出来にかかっている。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Joshua Hastings



















毎度グダグダで面白い。
KC-46Aの不具合は遅延してるとはいえ殆どが改修できる範囲だし、そもそもKC-135ってオペレーターが機体後部で寝そべりながら小さな窓を通じて目視で見ながら給油ブーム動かすっていう職人技が必要だからね……
Bridge Tankerに至ってはKC-46Aとエアバス単独入札のA330MRTTの2機種競合で、実質KC-46A追加調達するのと何ら変わりが無いのよ
後はその改修に予算と時間をしっかり与えて、コスト削減と納期短縮の為に試験をすっ飛ばすことが無いようにして欲しいですね……
(反映されないのでもう一回。2度打ちになったらごめんなさい)
後は予算と時間をちゃんと与えて、コスト削減や納期短縮の為に試験すっ飛ばさない用にしてあげることですね。
安日本としても導入しているので、人を育てつつ改善して欲しいですね
ボーイング「やったぜ。」
ものづくりよりもロビー活動に熱心なボーイングの方針が100%正しかったことが証明されましたね
トランプになってから、ボーイング優遇が酷いな。
ロビー活動以前にそもそもKC-46A以外にBridge Tankerで買う機体がねーんだ
KC-767の後継は、A350MRTTにしてほしいなぁ>空自
A350日本の旅客メーカーが買いそろえてるだろうし。
JAL以外で買ったとこありましたっけ?
ていうか旅客メーカーは旅客機オーナーの間違い?
無い無い、航空自衛隊の航空機の調達は、国産かアメリカ産しかないから
(F-3は一応国産だし)
陸自や海自みたいな柔らかさはない
兵器調達に限れば空自は「勇猛果敢」ではない
米空軍も組織の劣化を感じます。
米空軍には悪いけど、KC46に金が付くと空自は助かるので歓迎させてもらうよ
金がついても、まともになるという保証がされたわけでは無いのでは?
今般のボーイングの復調は、トランプとボーイング経営陣の碌でもない繋がりの結果なのであって、ボーイングの企業体質が改善されたからではないと思うんです。
経験上、欧米の財界の上層部というのは企業を跨いだ個々の繋がりが意外に大きく、マフィアのファミリー的な側面を持っています。最近のMBA持ちの日本人の間でもこういった傾向が出てきており、それが最悪の形で露呈しているのが日産です。屑な経営陣ですが、多額の退職金をせしめて日産を辞めた後も、別の企業のお仲間の後押しでしれっと役員や執行役として潜り込むと思います。
空中給油機(タンカー)に関して、「給油機の安全を考慮すると、給油機もステルスにする必要があるのでは?」という意見もあるようですが、コストを考慮するとタンカーまでステルスにする事は不可能だと思います。
こないだのイラン空爆でもタンカーが沢山飛んでてなんだなんだってXの三文字さん達がやってましたね。
危険空域みたいな宣言を出してないからビーコン出さないと危ないので仕方ないけど。
窓とオペレーター席を復活させてKC46Aブロック2とかKC46Bでしれっとやれば良いんじゃないかと。
既存機は耐空検査の時にこっそり工事で。