米空軍はKC-46Aの不具合解消について2022年「2025年10月にずれ込む」と、2024年に空軍次官補が「2026年にずれ込む」と明かしていたが、空軍参謀総長は6日「更に18ヶ月遅れる=RVS2.0のリリースが2027年夏なる」と述べ、空軍とボーイングは3回も約束を破った格好だ。
参考:New KC-46 Remote Vision System Slips Another 18 Months, to Summer 2027
ここまで開発遅延を繰り返すと「またか」ではなく「そんな気がしてた」という気分になる
KC-46Aの空中給油システムは信頼性が高いKC-10のものを使用するはずだったが、米空軍は予備設計後に空中給油システムの制御をアナログからデジタルに変更するよう要求、未検証の技術で構築されたリモートビジョンシステム=RVS1.0は新規設計と呼ぶに相応しいものだったにも関わらず、予備設計の審査を簡略化して初期設計に移行し、プロトタイプのテスト中に不具合が報告されたのに問題を軽視して調達を強行した結果、KC-46AはRVS1.0の不具合で空中給油能力が制限される事態に直面。

出典:DoD Photo by U.S. Army Sgt. James K. McCann
この不具合は小手先の修正で何とかなる問題ではなく、米空軍とBoeingはRVS2.0開発を決定して「2024年3月から交換作業に入る」と発表したものの、1から作り直すRVS2.0には未検証の新技術(自動空中給油システム導入に向けた拡張要素など)が含まれており、これを標準的な手順で検証すればリリース時期は2026年頃になると予想されていたものの、空軍とBoeingはスケジュールを守るため予備設計の審査を再び簡略化し、米政府説明責任局から「再び同じ失敗を繰り返そうとしている」と警告されていた。
交換時期を2024年3月に設定したのは「ブリッジタンカーの入札」が関係しており、空軍は「予備設計の段階で完全なプロトタイプによる入念な検証は現実的でない」「初期設計後の通常試験でRVS2.0のテストを行うため問題はない」と主張、米政府説明責任局は「未成熟なRVS2.0の問題を予備設計の段階で潰した方がコストや開発スケージュールを節約できる」と反論したが、空軍は警告を無視して「予備設計審査の完了」を宣言したものの2022年10月「KC-46Aの不具合解決が19ヶ月遅れる」と発表。

出典:U.S. Air Force photo
RVS2.0のリリース時期がずれ込む理由について「一部のハードウェアの入手性が極端に悪化しているため」「耐空証明を取得するプロセスも原因の一つ」と説明していたものの、ハンター空軍次官補は2024年3月「スケジュールに対するプレッシャー」「耐空証明を取得するプロセス」を挙げて「RVS2.0のリリースが2026年にずれ込む可能性が高い」と述べ、空軍とBoeingは再び約束を破る格好となったが、下院歳出委員会に出席したアルヴィン参謀総長は「2026年中にKC-46Aの問題は解決されない」と明かした。
アルヴィン参謀総長は6日の下院歳出委員会で「RVSの問題を修正するには(2026年から)更に18ヶ月かかる」「給油ブームや制御システムの問題はRVSよりも早く修正されるだろう」と、Air&Space Forces Magazineの取材に空軍の広報担当者も「現時点でRVS2.0の配備時期は2027年夏になると見込まれている」「空軍とBoeingはスケジュールの遅延を圧縮もしくは軽減するための機会を模索している」と述べ、RVS2.0の配備が2026年から2027年に遅れることをを認めた格好だ。
ここまで開発遅延を繰り返すと「またか」ではなく「そんな気がしてた」という気分になり、RVS2.0の開発過程で何が起きているのか、いつ完成するのか、いつ交換が始まるのかについて誰もよく分かっていないのだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Joshua Hastings
知ってた・・・
ボーイングは期待に応えてますw(´・ω・`)
新品のポンコツ兵器定期
F-35やオスプレイと異なり本物のポンコツにもかかわらず、
形状が普通の飛行機に近い為
何故か批判記事があまり出ないKC-46A
ボーイングは納期を守れなくても、国から守ってもらえたり、アメリカの威光で海外に売って…
ボーイング全般に思うのですが、特に失注することもないのであれば、なんだか楽な仕事だなと言いたくなってしまいますね。
ゴミしか作れない安心のボーイングですね
むしろ順調な方が進ちょくをねつ造していないか心配になります
>米空軍は予備設計後に空中給油システムの制御をアナログからデジタルに変更するよう要求
これに関してはボーイングも被害者じゃ・・・
だって、エアバスが。
まさに「そんな気がしてた」な話
アメリカは空港が大きいんだから、330にしたらいいのに。日本とイスラエルがどうするのか分からんが。
4度目の計画遅延に1000ペリカ
8度目の延期に1000ペリカ
延期しない方にかける人がいなさそうです
メイドインロシアのチタンを購入してメイドインアメリカと嘘をつくに801ペリカ
防衛省はこんなゴミ即座に購入中止して納入品も返品して代わりにエアバスのA330MRTT買ってくれ(暴論)
空自のインシデントはオペレーターのミスだったので、RVSを使わなければ従来通りの給油機して使えはするんじゃないでしょうか。知らんけど
日本人給油機オペレーター・戦闘機パイロット
「RVS?あんなの使えねえから、おれら目視でやってるわ」
とか言いそう。
この状況だとそれも暴論とは言えない段階にきている…
以前も書いたけど政治どうこう以前に物理的に無理
A330MRTTはKC-46Aより一回りデカいから格納庫に入らないし、燃料をフルに積んだら滑走路の長さが足りない
KC-46Aが欠陥機なのは否定しないけど、現状でも運用で十分カバーできるレベルの欠陥
こんなに欠陥だらけではカバーできないでしょう。主構造すら欠陥があるのに。
民間ではA330の発展型であるA350も普通に運用できているし、滑走路の問題も改修で十分対応可能なはずです。格納庫に入らないというのは聞いたことありませんが本当ですか?
では具体的にどの欠陥がカバーできないのか教えてもらえますかね
あとA330MRTTってC-2で何かと話題になるC-17よりも一回りデカいんだけどその辺分かってる?
改修で十分対応可能なはずなら空自もC-2なんて買わずにC-17買えばよかったじゃん、今の首相が激推してるみたいに
RVS使えないのはまだしも燃料ポンプや主構造の欠陥はどうしようもないでしょ。
C-17に関してはそこまでして導入するより国産で作るほうが良いってことになったけど、今回は他に選択肢がない以上そこまでしてA330MRTTを導入するしかない。
どうしようも無いって具体的にどうどうしようもないの?
燃料ポンプの問題は修繕中をボーイングだけでなく米軍も確認してるし、構造体(エルロンヒンジ)の亀裂に至ってはKC-46に限らずB767系ではよく起こるんだけど何か問題発生してる?
今回の問題は新品に亀裂が発生してるのが問題(どうせボーイングの杜撰な品質管理のせい)であって、直接運用に支障が出るようなものじゃないけど
そもそも時間が経てば解決する欠陥と違って、A330MRTT物理的にデカイんだから解決しようがない
それこそ何十年掛けて全国の空軍基地拡張する以外には
これだけ新たな問題が次々出てきてる状況でどうしようもなくないと思う方が信じられんのだが。
時間が経てば解決する?それ何年かかるの?解決を諦めて投げる可能性は?
米軍ですらA330MRTTベースの給油機を繋ぎで調達してその間に新しく別の給油機を開発する検討までしてるのに。
えっと…まずA330MRTTを米軍が採用ってどこ情報?LMXTはロッキードマーティン撤退してるしKC-Zに至ってはようやく去年に仕様要求の検討が始まったばかりだけど
KC-46の改善?記事に書いてあるとおりだよ、逆に聞くけど日本の美保基地拡張するのに何年掛かるわけ?
KC-Yの話。
キミは前も熱心にKC-46Aの擁護してたけどボーイング関係者なの?
A330は国際線では飛来していますし、A330MRTTとほぼ同サイズで最大離陸重量も大きい787-9を国内線で運用しているので、サイズというよりかはスカイマーク亡き今の国内線でA330を使用している航空会社が『0』なのが理由ではないでしょうか。取り扱える人も居なければ、いざとなったらロシアみたいにバラして部品を確保出来ませんし。
なんならもっとデカいA330-900をマレーシア航空が日本路線に投入するらしいですし。
美保基地にあるのとどう違うのかが、気になってます。
なんだよ、もう
またかよぉぉぉおおお
KC-46Aは主構造の亀裂とかRVS 2.0以外にも問題出てましたよね。
ボーイングは亀裂は大きな問題ではない、と主張してますが、解決やデリバリの再開の情報が流れてこないのでUSAFの「後から要求」がやはりダメなのではないかと考えます。
ここまで拗れると一体何がそんなに難しいのって疑問になります
ビデオカメラで給油ホースを制御するのが人力目視よりそんなにも難しいのでしょうか
空母のエレベーターにしてもエレベーターってそんな高度技術立ったのかとか謎は深まるばかりです
貴方のような考えの経営陣が、デジタルでちょちょいと設計すりゃ簡単でしょ?つって
熟練の設計士クビにしてコストダウンできたと喜んだ結果が今なんだと思いますよ
ものづくりってものすごいノウハウが必要で
日常で使ってるなんてことない製品にも高度な技術が詰まってるもんです
そりゃ何事にも難しい事はあるだろうけどさ
人類を初めて月に送るような難度の開発とも思えないのだが
こう何度も遅延するって具体的にどこがどう難しいのって純粋な疑問なんだが
自社株買いで株主に還元しまくって労働分配率が下がり質も量もやる気も低下した従業員には難しいんでしょうなぁ
(例えばですが)製造機械に、超硬を取り付ける事があったのですが、薄い紙を挟みながら調整してたりするんですよね。
最新の機械・高価な機械といっても、消耗品の取り付けが難しかったりします。
現場の人が、安易なリストラや待遇悪化に怒ったりして、目に見えない頑張りを放棄すればどうなるのか?
マニュアル通りにやったので、我々は悪くないと主張されれば、機械の精度が下がり・やり直しに時間ばかりかかり・納期が遅れてお手上げになってしまいます。
机上の図面・CADだけできても、現場はこういった事の繰り返しだったりしますので、現場の協力が得られないとどうしようもないんですよね…
KC-46Aは本来イタリア空軍向けのKC-767とほぼ同等の機能でアメリカ空軍にも提供予定でした。
KC-767も納期遅延は起こしてますが、今回よりは遥かにマシだったようです。
アメリカ空軍への導入では、
・リース提供絡みの汚職事件で一旦御破産
・A330ベースのKC-45を選定
・ボーイングの申し立てでKC-45選定を取り消し
となったのですが、KC-46Aが「日伊のKC-767をベースにしているので問題は少ない」とした上で、KC-767のRORO II給油オペレーターシステムを新規のRVS 1.0にしたため、起こったと見るべきですね。
最初から買取での提案にして、KC-767とほぼ同仕様にしていれば、15年は早く納入できたはずです。