米空軍参謀総長は22日「2028年までにF-47を初飛行させる」「Boeingは初号機の製造を開始している」と明かし、一方のLockheed MartinはNGAD、F/A-XX、CCAといった主要航空プログラムで敗れたため、投資家にF-47向け技術でF-35を強化する第5世代+構想を必死にアピールしている。
参考:First F-47 now being built, will fly in 2028: US Air Force chief
参考:First F-47 6th Generation Fighter Now Being Built
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トランプ大統領は3月「空軍の次世代戦闘機=F-47の請負企業にBoeingが選ばれた」「F-47は誰も見たことがないものになる」「速度、機動性、ペイロードなどあらゆる特性においてF-47に匹敵するものはない」と発表し、この会見に同席したアルヴィン空軍参謀総長も「F-47のプロトタイプは5年前から飛行している」「数百時間の飛行で最先端のコンセプトをテストし、自信をもって技術的限界の拡張に挑戦できることを証明した」「F-47は前例がないほど成熟しているためトランプ大統領の任期が切れる前までに初飛行できるだろう」と言及。

出典:The White House
米空軍の次世代戦闘機に関する取り組みは2015年に開始されたXプレーンプログラムが原点で、ケンドール元空軍長官とハンター元空軍次官補らも最近「BoeingとLockheed Martinが2017年以降にXプレーンを1機づつ製造し、2019年と2022年に初飛行した」「このXプレーンは戦術的要件や量産を考慮したものではなく完全な技術実証機だった」と明かしており、ウィル・ローパー次官補が2020年9月「次世代戦闘機のプロトタイプを秘密裏に設計・製造して既に試験飛行を行っている」と言及したのはBoeingのXプレーンを示唆していた可能性が高い。
アルヴィン参謀総長が言及した「F-47のプロトタイプ」も2019年に初飛行したBoeingのXプレーンのことだと思われるが、NGADの戦術的要件が策定されたのは第1期トランプ政権時代(2017年~2021年)なので、NGADの競争入札の過程で戦術的要件を満たしたプロトタイプ(YF-22やYF-23のような存在)が製造されたのかどうか不明なものの、アルヴィン参謀総長は22日「F-47は2028年に初飛行する予定だ」と明かした。
Meet the @USAirForce‘s sixth-generation fighter, the F-47, bringing next-gen technologies to ensure air dominance for decades to come.#AFANational pic.twitter.com/eUEfW2JzD8
— Boeing Defense (@BoeingDefense) September 22, 2025
アルヴィン参謀総長は出席した空軍協会のイベントで「我々は迅速に進めなければならない。率直に言おう。もう2026年は目前だ。我々は2028年までに初号機を飛行させると誓っている。BoeingはF-47発表から僅か数ヶ月で初号機の製造を開始している。我々は迅速に行動する準備が整っているし、迅速に行動しなければならない」と述べ、F-47の初飛行について「トランプ大統領の任期が切れる前までに」を「2028年までに」と明確にした格好だ。
F-47の開発は国防総省の要求要件プロセス=JCIDSが廃止されため「煩雑な手続きや承認書類の海から解放されたB-21と同じ開発手法」を採用している可能性が高く、Boeingも約18億ドル=約2,600億円を投資して2024年からNGAD受注を見越した機密工場を建設しているため、アルヴィン参謀総長が言うように「F-47の開発や機体製造に向けた準備」は事前に整えられていたのだろう。

出典:General David Allvin
因みにアルヴィン参謀総長は「敵対勢力は膝を屈していない。彼らは立ち止まって『米国がペースを落とすなら我々もそうする』などとは決して言わない。我々が膝を屈しても彼らはそうしない」「将来を見据えて次世代の能力を開発するあたりプラットフォームに囚われていては駄目だ。武器や兵器システムだけでは駄目だ。プラットフォームよりもシステムを理解する必要があり、それらを結びつける要素こそがシステムを機能させる」と述べ、F-47さえあれば空中の優位性を獲得できるのではなく「F-47は優位性を獲得する上での一要素に過ぎない」と強調した。
追記:Lockheed MartinはNGAD、F/A-XX、CCAといった空海軍の主要プログラムから脱落し、F-35の商業的成功もトランプ政権の影響を受けて怪しくなったためウォール街は警戒感を強めており、投資家にF-47向け技術でF-35を強化する第5世代+構想をアピールし続けている。

出典:出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Jana Somero
9月上旬に行われたモルガン・スタンレーのラグナ・カンファレンスでも「F-35の第5世代+構想について国防総省とハイレベルな議論を行っている」「上手く行けば第5世代+構想は近いうちにホワイトハウスに持ち込まれるかもしれない」「この構想が政権内で検討されることを期待している」「我々の第5世代+構想には政府レベルからホワイトハウスレベルまで大きな関心が寄せられている」「仮に第5世代+構想の契約を獲得しても機密情報が多いため一般レベルには公開できないかもしれない」と述べた。
一般メディアはLockheed Martinがアピールする第5世代+構想をポジテイブに伝えているのの、F-35の現状をよく知るBreaking Defenseはラグナ・カンファレンスを取り上げた記事の中で「Block4の開発は依然として遅延に悩まされ、国防総省は予定されてた機能追加の範囲を縮小してBlock4で実現する能力のダウングレードを決定したが、開発規模が縮小したにも関わらずBlock4の完成時期は当初予定より5年遅れの2031年から変わっていない」と指摘しており、Lockheed Martinにとって第5世代+構想は航空部門の将来性を明るく見せるための演技なのかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force





















これまではボーイングの体質のせいだったのか国防省のせいだったのか
どちらにせよ無事に飛んで欲しいね
軍が関係していないb787で開発遅延。その後、開発遅延の慢性化。
順調と言って火だるま。 飛んだ後でも安心出来ないのが今のボーイング。
民間機は民間機で安全管理の為にもっとあるでしょ
出来てないわけだけども
第六世代戦闘機って結局何が革新的なんすかね。
航空支配とかネットワークとかお決まりの言葉が
並んでるけど第五世代戦闘機がでっかくなったよう
にしか見えんのだが…
要するに弩級戦艦→超弩級戦艦みたいな兵器の恐竜的進化
のパターンを繰り返してるだけじゃない?
こういうレースの結果、異常に複雑で高価な兵器が出来上がる
けど実戦じゃ役に立たないというのが歴史の教える所。
F-2後継機の一号機初飛行予定が2030年なんで、そんなものかと言う感じですかねー?
そんなに早く飛ぶんだっけ?
まあ競ってもしょうがない事だが、別にF-3が出来たからと言ってゲームチェンジャーになる訳でも、米国に対し交渉等で優位に立てる訳でも無い、願わくば両国の次世代機が無事量産されることですね
アメリカの新型戦闘機だというのに、日本のいまいち盛り上がりに欠ける雰囲気を感じる。
やっぱり信用がないのか?
国内の関心はF-3がかっさらった
「速度、機動性、ペイロードなどあらゆる特性においてF-47に匹敵するものはない」とF-35で実用性の低さから軽視された高速性能が真っ先に挙げられ、M2超についても言及があり、技術実証機の成果で自信満々な辺りを見るに、やはり速度に関わる分かりやすいブレイクスルーがあったんじゃないかな。
個人的には圧縮揚力による超音速域での揚力向上(による巡航高度の上昇)説に一票。X-51とかでの研究成果を戦闘機として実用可能な範囲に転用したと考えればそれほど飛躍した話でもないし。
「機動性」も「高度1万での6G機動(F-22以上)」とかを意味すると考えれば↑で達成できるだろうし、遷音速域での急激で不安定な空力中心変動への対処のためだとすればカナードの必要性にも納得がいく。
ペイロードもまあ低高度亜音速域での運動性能を妥協すればどうとでもなるでしょう。
ただその場合、航続距離も長いと報じられてるF-47だけど、それが必ずしも滞空時間にはつながらず(亜音速以下だと効率が落ちるので滞空時間は航続距離の割に短くなる)、日本の要求にはマッチしないかもですが。
J-36(やJ-50)と比較してどうかは気になりますね。
F-47の要求仕様上、J-36のような重戦闘機(久方ぶりに見た表記ですが)になるんでしょうし。
NGAD見直し前はともかく、見直し後のF-47は聞こえてくる感じあんまり大きくないっぽいですが。
「飛ばすだけ」なら難しくないですが、「兵器統合」はソフトウェアの仕事なので開発プロセスを誤るとF-35と同じ苦難の道でしょうね。
CCAに機能を委譲するとはいえ、情報収集と指示するシステムは有人機本体に必要なので、適切な開発プロセスが重要です。
言及されてる性能を満たしたらコストが300億くらいになりそう
途中の見出しが「H5見出しb」となってしまってますね。