米国関連

米空軍、 貨物100トンをあらゆる地点に1時間以内で届けるロケット開発に予算を要求

C-17が輸送可能な同じ貨物量を1時間で地球上のあらゆる地点に運搬可能なロケット開発構想は決して冗談ではなく、米空軍は4,800万ドル/約52億円もの研究・開発予算を2022会計年度予算案に計上している。

参考:Rocket Delivery Of Cargo Anywhere In An Hour In New Air Force Budget Proposal

C-17が輸送可能な同じ貨物量を地球上のあらゆる地点に1時間で輸送可能な垂直着陸ロケットを本気で開発する?

陸海空軍が保有する兵站・輸送担当部隊を指揮下に収める米輸送軍はC-17が輸送可能な同じ貨物量を地球上のあらゆる地点に1時間で輸送可能な垂直着陸ロケットをスペースXと共同で研究しており、米輸送軍の司令官を務めるスティーブン・ライオンズ陸軍大将は昨年10月に「来年中に輸送用垂直着陸ロケットのデモンストレーションが行われる可能性がある、地球を飛び回るロケットは一刻を争う有事や人道支援のために物資を運搬するのに適している」と主張して注目を集めた。

しかしスペースXが保有する再利用可能なロケット「ファルコン9(低周回軌道上への打ち上げ能力約2.3トン)」はC-17の最大貨物搭載量「77.5トン」に及ばす、英国メディアのFlight Globalは「仮に打ち上げ能力の問題を全てクリアできてもファルコン9のようなロケットは数階建てのビルに相当する高さがあるのに、どうやって搭載された物資を地上に降ろすのか?」と指摘するなど計画自体を疑問視していたが、米空軍は本当に垂直着陸ロケットを実用化するつもりだ。

出典:U.S. Air Force ヴァンガード・プログラム

この突拍子もない計画は米軍が取り組む先進的な研究・開発「ヴァンガード・プログラム」の一部に組み込まれ「ロケットカーゴ・プログラム」と呼ばれており、米空軍の提出した2022会計年度予算案に4,800万ドル/約52億円の予算が計上されている。

米空軍は提出した資料の中で「ロケットカーゴ・プログラムは商業ロケットを活用して100トンの貨物を地球上のあらゆる地点に1時間で届けることを目標した計画で、このプログラムに使用するロケット開発に直接投資するのではなく商業ベースで開発されたロケット技術を拡張して軍のニーズを満たすために必要な技術開発に資金を投資する」と説明、つまり民間企業(スペースXの可能性が高い)が開発するロケット技術を応用して100トンの貨物運搬する垂直着陸可能なロケットを実現させるという意味だ。

因みにロケットカーゴ・プログラムの運用コンセプトはスペースXの「スターシップ」のように再利用が可能なロケットを宇宙空間もしくは大気圏内の上層を経由して目的地に送り出すことを想定しており、目的地で貨物の積み下ろしが完了したロケットカーゴは再び打ち上げられて最初の射点に戻されるらしい。

果たして突拍子もないロケットカーゴ・プログラムは本当に実現するのだろうか?

要するにロケットカーゴ・プログラムは民間企業(スペースXの可能性が高い)が100トンの貨物を打ち上げられるロケットを開発して再利用と垂直着陸が可能なスターシップを完成させないと始まらないので「100トンの貨物を地球上のあらゆる地点に1時間で届ける」という目標の実現はロケット開発に対する民間投資にかかっているのだろう。

関連記事:米軍、地球上どこへでも物資を運搬する「輸送用垂直着陸ロケット」研究中

告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して記事化できないものはTwitterの方で情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force ロケットカーゴ・プログラムのイメージ

ブラジル空軍がグリペンE/Fの追加調達に言及、最終的に60~70機程度を調達か前のページ

米海軍、アーレイ・バーク級駆逐艦の後継艦「DDG-X」開発予算を正式に要求次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    四面楚歌のボーイング、米海軍がF/A-18E/F BlockⅡ調達プログラム終了を発表

    米海軍は24日、ボーイングに発注した最後のF/A-18E/F Bloc…

  2. 米国関連

    米欧州軍、今後数週間の内にロシアがウクライナに侵攻するリスクは低~中程度

    米欧州軍の最高司令官トッド・ウォルターズ空軍大将は15日、今後数週間の…

  3. 米国関連

    再掲載|米海軍のF/A-18Eが仏空母に着艦、米仏空母のクロスデッキ化

    3月3日、米海軍のニミッツ級空母2番艦「ドワイト・D・アイゼンハワー(…

  4. 米国関連

    トルコ反発は必至、米議会がトルコ発注分F-35Aの米空軍使用を承認

    トルコ発注分のF-35Aを米空軍が使用することを承認する国防権限法(N…

  5. 米国関連

    スウォーム化された無人艦による変革、米海軍が取り組む有人艦隊と無人技術の統合とは?

    米海軍の演習に登場した超小型無人水上艦「ADARO」に米メディアが注目…

  6. 米国関連

    NATOの常設海軍部隊を参考? 国防総省が太平洋地域に常設の海軍機動部隊創設を検討

    国防総省は中国の脅威に対抗するため太平洋地域に常設の海軍機動部隊を創設…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    これ、最終的には兵員も兵装と物資込み送り込めるようになるのでは・・・恐ろしい。

    7
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      乗っている時は気が気じゃないな…。

      11
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      冷戦期に似たようなプランあったよね
      あれは弾道弾を使った人員輸送計画だったけど

      8
        • 匿名
        • 2021年 6月 04日

        このコンセプト冷戦っぽくて好き

        5
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      昔、人間ロケットみたいな構想あったね

      2
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    100トンも積めるならそのまま敵にぶつけても良い気がする

    9
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      物資を弾頭に置き換えて…って普通にミサイルじゃないですかねえ…。

      12
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      いわゆる質量破壊兵器だね
      実はそっちが本命で、輸送と言うのは中ロシアを欺く名目かも知れないよ

      8
    •  
    • 2021年 6月 04日

    機体の再利用はできても、打ち上げの燃料費も相当掛かりそうだし、利益度外視の軍での利用に限られそう

    8
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      燃料費は全体の1割だってさ

      1
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      燃料ケロシンだろ?
      大した価格にはならないだろう

      2
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    AmazonがMIRVを運用する日が来るのか…

    8
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      ロケットお届け便とか胸アツ

      16
        • 匿名
        • 2021年 6月 04日

        自衛隊に迎撃されたりして。
        黒こげ

      • 匿名
      • 2021年 6月 05日

      実際の運用はデリバリープロバイダーに委託しますじゃ恐すぎる。

      3
    •   
    • 2021年 6月 04日

    ペイロード100トンは打ち上げ可能でも着陸どうすんだ?
    C17を打ち上げて着陸させるようなもん
    垂直着陸はちょっと現実的とは思えない
    現在の再利用ロケットは色々軽くなってから着陸してるし

    20
      • 匿名
      • 2021年 6月 22日

      往復の燃料+ペイロード=100トン。

      帰りの離陸重量にもよるけど、動画を見る限りあまり飛距離は出ないようだね。東京→ホノルル、とか、シンガポール→ドバイ、とかが限界なのでは?

    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    これ下手するとICBMの発射に勘違いされるんじゃ

    9
      •   
      • 2021年 6月 04日

      ロケット打ち上げと同じく事前に公にしとけば済む話だが
      100トン程度じゃしょーもないんで、まとまった量打ち上げるとなると緊張が増すな

      8
        • 匿名
        • 2021年 6月 05日

        平時ならそれで大丈夫かもしれませんが、戦時下だと到底信用してもらえないような気もしますね。

        2
    •   
    • 2021年 6月 04日

    100トン程度は大した事ないのよなあ
    主力戦車2台以下でしかない

    アメリカ戦略輸送軍の有事第一の任務は、航空部隊の展開支援で、支援物資機材と人員を運ぶ
    陸上の装備は桁違いの物資を運べる船舶の役目で、即座に展開できるよう海外駐留部隊があるし、事前集積船もある

    100トン程度の物資を運んでも焼け石に水でしかないような気がする
    だったら少し遅れてもまとまった量を運んだ方がよくね?
    いっぺんに何十基も使用する想定なら予算いくらあっても足りないような

    10
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      派遣軍の戦車大隊とかに、弾薬と燃料送るんじゃない?
      どこに進出しても、補給路維持することなく毎晩弾薬と燃料が空から降ってくるとか、胸熱。

      9
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    バカげた
    こんな下らんもんに予算使うから
    中国なんかに舐められるんだよ

    11
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    その昔郵便をミサイルに詰め込んで長距離輸送するということが行われてたんだ
    意外にもこれは成功してたけど電話だのに取って代わられて行ったのだ

    2
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    ファルコンヘビーの総開発費が5億ドルであることを勘案すりゃ、案外この程度の予算でも技術試験機ぐらいは形にしちゃうのかも

    6
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    使い道としては孤立した部隊に補給できる…とか?
    でもこれ銃弾一発で落ちそうなんだが…
    落ちなくても調査やメンテでめっちゃ金掛かりそう

    6
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    サンダーバードでも垂直離着陸可能な1号は先行して状況確認、2号が輸送のメインなのに本気で1号で輸送もやるんでしょうか。予算額見る限り具現化に必要な要素の洗い出し程度に見えますが。

    4
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    試験段階で着地に失敗して横倒しになりドカ~ンってのが目に浮かぶね・・・

    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    これ多分そんな夢や希望のある話じゃないでしょ
    今やアメリカ最大の国営企業であるテスラ救済の口実が必要なだけでしょ
    ファルコンロケットにしたって、民間公表額を遥かに上回るアメリカ政府の公金が迂回投入されてるから
    表向き、安くなってるだけなんだし

    10
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    テスラの経営状態が回復したころにはこんなネタ無かった事にされてるのは間違いないと思う

    3
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    これ実現したらイーロンマスクがガッポリ稼ぐんじゃ?と思ったら
    そもそもマスクに資金援助する目的っていう見方もできるのか…
    BIG3潰されたアメリカは今テスラに全ツッパだしなるほどなって感じ

    9
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    100トンて…えぇ😳

    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    敵地で孤立した特殊部隊員にアームスレイブを送りつければ自力で脱出してくれるからな

    6
      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      緊急展開ブースターですな

      3
      • 匿名
      • 2021年 6月 05日

      肯定。

      3
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    テスラに金突っ込むとか意味不明なことほざいてるアホなんなの?

    3
    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    100トンあれば、ツァーリボンバーを3発のせても余裕。
    やりすぎ

    まあ、普通の荷物100トン分を積めるだけの体積はどれくらい確保できるんだろう。
    20tトラック5台と考えると、クソデカフェアリングが必要。

      • 匿名
      • 2021年 6月 04日

      ここはいっそソ連の夢、ポリウスを

      • 匿名
      • 2021年 6月 05日

      スペースXのスターシップならば、機体直径は驚きの9mだ!
      C-17やC-5はおろか、An-124やAn-225の貨物室幅よりも大きい
      積み下ろしの問題は兎も角、大抵の物資を機内に収める事が可能な規格外のバケモノだよ、スターシップはな

      1
        • 匿名
        • 2021年 6月 05日

        着陸までは良いとしてどうやって荷物下すんだろw

        1
          • 匿名
          • 2021年 6月 05日

          ぶっちゃけ、スターシップで月や火星に着陸したとして、どうやって積み荷を降ろすのかは謎だよな
          人間だけならば何とかなったとしても、スターシップの能力を活かせるほどの重量容積の物資ともなると
          先に、自力で展開できるクレーンを着陸・展開させるとかするのかね?

            • 匿名
            • 2021年 6月 05日

            月は重力が軽いからまだマシ。と言っても重機はいるだろうけど
            火星は専用の発着場にクレーンが欲しいなぁ

    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    こういうやつ?
    リンク

    • 匿名
    • 2021年 6月 04日

    物資を分離してパラシュート→本体は垂直離着陸・・・さすがに宇宙でないと無理?

    • 匿名
    • 2021年 6月 05日

    もう航空貨物会社でも作ればってレベルだな
    それかFedexとかがこのロケット買って貨物機代わりに使うかだな

    • 匿名
    • 2021年 6月 05日

    C-17よりスピードが求められる空輸ってどのくらいニーズがあるのですかね

    着陸地点からそのまま再離陸するなら、着陸地点にブースターや燃料は最低限必要ですよね
    2機以上発射して余分な機に燃料とブースターを積み込む手もありますけど…

    機体がデカい上に垂直着陸時は速度0の的になるので、ニーズがありそうな前線近くへの物資緊急空輸には使えなさそうな気もします

    50機投入すれば2往復4時間で1万トンを空輸できるのは魅力的かもしれませんけど、ちょっと冒険的過ぎますよね

    5
    • 匿名
    • 2021年 6月 05日

    どこにでもつっても、結局の所は滅多なところには降りられないのでは?再び打ち上げて戻すなら尚更。

    5
    • 匿名
    • 2021年 6月 05日

    そもそも何を運びたいんでしょうね。
    NASA予算補助で100tの貨物を打上可能な再利用宇宙機開発て話なら納得できそうですが。
    運用コストがC-17同等以下になるとは思えないし、緊急対応で輸送時間を最優先するもの?
    分かりません。

    1
    • 匿名
    • 2021年 6月 05日

    他の軍、部隊が要求しているものを斜め上から解決して、話の筋が違っていたりしてな。

    • 匿名
    • 2021年 6月 05日

    SF的というより、バッグスバニー的というか、月に逃げたナチス残党の狂気の珍兵器みたいな発想、というか。
    「スター・トレックの転送装置を実現したい」とか言ってるほうが、まだ正気な感じがする。

    • 匿名
    • 2021年 6月 05日

    サンダーバード1号で2号の装備を運ぶのかw

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 軍事的報道

    国産防衛装備品の海外輸出が実現!フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-…
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 軍事的雑学

    着実にレベルアップを果たす日本の対潜哨戒機P-1、2020年度から「能力向上型」…
  4. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
  5. 軍事的雑学

    ロシア製戦闘機を買うと損をする? SU-30SMを導入したベラルーシの後悔
PAGE TOP