米国関連

米空軍、F-16CとF-15EがXQ-58Aを制御してリアルタイム統合に成功

米軍の有人機と協調可能な無人戦闘機開発はCCAに1本化されたわけでなく、現在もACP、OBSS、LongShot Programの研究開発が続けられており、空軍研究所は2日「F-16CとF-15Eを操縦するパイロットが2機のXQ-58Aを制御し、半自律システムのリアルタイム統合を実証した」と発表した。

参考:Air Force advances human-machine teaming with autonomous collaborative platforms

どのアプローチも有人機自体ではなく「随伴する無人機によって有人機の能力を拡張」という点は共通

米空軍は有人戦闘機に随伴可能な協調戦闘機=Collaborative Combat Aircraft(CCA)を1,000機調達する予定で、第1弾調達=Increment1にGeneral Atomic案とAnduril案を選定、前者をYFQ-42A、後者をYFQ-44Aと正式に命名し、カリフォルニア州ビール基地にCCA即応部隊=ARUを創設、2025年夏にYFQ-42AとYFQ-44Aの初飛行、2026年に両機の生産決定とIncrement2の開始が予定されており、2026会計年度予算案ではF-22AでCCA制御を可能にするための改修資金も計上、これを受けてWar Zoneも「F-22AはCCAと協調する最初の戦闘機になる」と指摘した。

出典:U.S. Air Force

これはCCAとして開発されているYFQ-42AとYFQ-44Aとの話で、国防総省が進めている自律型無人機の開発は大まかに空軍研究所主導、空軍主導、国防高等研究計画局主導の3つに別れ、様々な研究プログラムを経てCCAに到達したものの、3つのアプローチはCCAに1本化された訳ではなく、空軍研究所、空軍、海軍、海兵隊はLCAATとLCAAPSの過程で開発されたXQ-58Aの改良やテストを継続し、XQ-58AはBlock1 → Block2 → Block2Bへと発展を続けて降着装置を搭載したタイプも登場。

空軍、海軍、海兵隊がXQ-58Aに可能性を見出しているは「分散戦術に適した滑走路に依存しない運用能力」「敵に傍受されやすい戦術データリンク=Link16ではなく秘匿性の高い通信プロトコル=F-35が採用しているのと同じMADLを通じたデータ共有能力」で、空軍研究所は2日「F-16CとF-15Eを操縦するパイロットが2機の自律型協調プラットフォーム=ACPを制御し、有人機と無人機の間で半自律システムのリアルタイム統合を実証した」と発表。

出典:EGLIN AIR FORCE BASE

ACPとはXQ-58Aのことで、空軍研究所も「ACPは将来の重要な航空戦力基盤においてコスト効率に優れ、滑走路の制約にも柔軟性をもたらし、高リスク環境下で半自律的に運用可能だ」「ACPは競争の激しい環境下において戦力倍増効果を発揮し、運用者が戦略的かつ論理的な制御を維持できるようになる」「今回の実証も航空任務へのACP統合における重要なステップで、パイロットの作業負荷を軽減しつつ状況認識力と任務効果を向上させるものだ」と説明している。

因みにLCAAPSはOBSSに発展してXQ-67Aを開発、国防高等研究計画局も複数の空対空ミサイルを運搬可能な空中発射型無人機=LongShot Programを開発中で、どのアプローチも有人機自体ではなく「随伴する無人機によって有人機の能力を拡張」という点で一致しており、アプローチの名称が異なっても目指す方向は一緒だ。

出典:GA-ASI

そして有人機と無人機の協調能力は第6世代機や第5世代機の特権ではなく、第4世代機にも適用される可能性が高く、この開発競争と実用化で有利なのは「統合できるプラットフォームを持っているかどうか」「統合できるプラットフォームをもつ企業と提携できるかどうか」で、第4世代機と無人機の協調能力を追求するフランス、英国、ドイツ、韓国、インドなどは前者に属し、いち早くMQ-28Aの開発に着手したオーストラリアは後者に属する。

トルコもKızılelmaやANKA-3の開発を進めているものの、今のところ「有人機との協調能力」ではなく「単独で運用するUACVの発展版=有人機からではなく地上管制から制御するという意味」といった感じだが、F-16のライセンス生産時に米国からソースコードを取得しているため独自の能力追加が可能で、Block30を独自のAESAレーダー、ソフトウェア、電子機器でアップグレード、独自の空対空ミサイル、巡航ミサイル、精密誘導爆弾、電子戦ポッドも統合しており、KAAN実用化前にKızılelmaやANKA-3をF-16に統合することも可能だろう。

本当にトルコは極めて特殊な立場を持っており、噂されるF-35プログラムへの復帰が実現すればF-35にKızılelmaやANKA-3の統合を要求できるようになる。

追記:XQ-58の自律能力はShield AIのAI技術が組み込まれており、前回のテストの使用されたXQ-58は海兵隊所属機なので、今回のテストに使用された機体構成もBlock2以降のXQ-58だろう。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Master Sgt. Tristan McIntire

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コメント

  • コメント (23)

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    • ドゥ素人
    • 2025年 7月 07日

    前線に展開する機体は有人機より安価でステルス性も高められる無人機になるのは必然かと思います。

    現状は第四〜第五世代機に連動させようとしてますけど、管制だけなら早期警戒機や給油機のような大型機に制御要員たくさん乗り込ませる方が良いと思いますが、まだ生存性の低さから無理なんでしょうね。
    落とされると戦力ダウンの度合いが甚だしいですし。
    護衛にF-35とか付けてもリスク高いという判断なんでしょうか

    6
      • のー
      • 2025年 7月 07日

      無人機とはいえ、完全自立では無いですから、濃密な通信が必要でAWACSほど完全に後ろに下がれる訳でもないのでしょう。
      ということは、無人機に追随できるぐらいの機動性は必要なのでは?
      あと確実に狙われますから、飛来するミサイルを回避する必要があります。

      12
        • ドゥ素人
        • 2025年 7月 08日

        やっぱり連射できる防御用レーザーみたいなトンデモ兵器とかが出来ないと前に出せませんね…

        濃密な通信を戦闘機の機動中にやらないといけない複座の人は大変だなぁ…

        1
    • p-tra
    • 2025年 7月 07日

    ランド研究所も似たようなことを言ってたがRATOで滑走路に依存しないでも
    飛べるのは本当にいいね。
    でもその能力って有人機には無い能力だよな…?
    「滑走路が破壊されててXQ-58は飛べるけどF-35は飛べない」って状況ならどうするんだろう。
    あくまで有人機とのセットって言ってるけど有人機の能力を
    一部凌駕してるせいで、かえって協働できなさそうな状況は簡単に思いついてしまう。
    地上施設が破壊されて有人機が少ししか飛べない、みたいな状況でも有人機にXQ-58を
    くっつければ有効な戦力にできますよ、みたいな感じなら意味があると思うが。

    7
    • 素人
    • 2025年 7月 07日

    素朴すぎる疑問なんですが、無人機の制御をパイロットやらせるって、パイロットがオーバーワークなんではないのでしょうか?

    4
      • 神田明(仮名)
      • 2025年 7月 07日

      操縦そのものは無人機が自立している事が前提です。
      だから単座の戦闘機で制御出来るのです。

      8
    • MK
    • 2025年 7月 07日

    半自立型でうっすら指示する位で良いのなら指示する側の機体は最新機である必要無いというか何でも良いですね、リモコン的なのあれば良い訳ですし、他の記事でもタブレット積むとかありましたし。無理に高い有人機買わなくてもこっちの方が・・とか思いますが有人機並みのスペックを求め出して値段も有人機超える未来が見えます。

    3
    • 神田明(仮名)
    • 2025年 7月 07日

    「ロイヤルウイングマン」と呼ばれる無人機に何をやらせようとしているかは「バルキリー」という無人機が分かり易いと思います。
    「バルキリー」にはウェポンベイがあり、そこに搭載予定の兵器は「ベイブウェイ」や「JDAM」といった対地攻撃用の誘導爆弾なんですね。
    目標に近づいたら弾頭だけを目標に突入させて、残りは帰還する巡航ミサイルという発想と推定出来ます。
    有人戦闘機の役割は攻撃目標の指示ではないかと…

    1
      • 神田明(仮名)
      • 2025年 7月 07日

      こういうドローンは、いうなれば「アーセナルシップ」ならぬ「アーセナルエアプレーン」では?

      1
    • ブルーピーコック
    • 2025年 7月 07日

    第四世代機とステルス無人機が一緒に行動したら「バカめ!本体は囮だ!」にならんか。デジタルステルスとか色々と考えてはいるんだろうけど。

    6
      • 2025年 7月 07日

      実証試験的なものであって実運用での組み合わせではない気がしますね

      3
    • DEEPBLUE
    • 2025年 7月 07日

    日本はF-3以前に無人随伴機作らないのかなあ。F-16ですら出来るんだからF-2とかでも可能な気がする。

    1
      • 戦車
      • 2025年 7月 07日

      調べたらわかりますけど、三菱重工、川崎重工で二機ずつ随伴機は開発中です。更に三菱重工の方は今年中に試作機を飛行予定なんですよね。
      GCAPの開発国の中でイギリスのモスキートの開発中止しちゃったんで開発国の中で随伴機開発し続けてるの日本だけですし(他2国はドイツやトルコの開発計画に載っかった。

      17
        • 貧乏人
        • 2025年 7月 07日

        ムリムリ、結局、外国製を購入すると思うよ。

        100歩譲って国産品を採用しても、P-1や F-2や F-15のように補修部品が買えずに共食いして稼働率が悲惨なことになり、使い物にならないと思う。

        4
          • 戦車
          • 2025年 7月 07日

          最初は外国産を買うのですが、F-35みたいに自国産の兵器を何かと理由を付けて搭載出来ないと言う事態になり、結局自国内で開発するしかなくなるのでは?

          12
      •  
      • 2025年 7月 07日

      日本にそんな能力も資金もあると思わない方が良いんじゃないか。

      日本は、絶望的なほどに無人機では存在感がないよね。

      6
        • 戦車
        • 2025年 7月 07日

        無人機研究システムが2008年から飛んでるんですけど、視界に入らないと気付かないですからね、

        17
    • 青空と小麦畑
    • 2025年 7月 07日

    自衛隊もF-15MJにこれ統合出来んかな。JSIの機能のひとつとして
    それだと時間かかりすぎるか

    3
    • 黒丸
    • 2025年 7月 07日

    グリペンとハリアーで国土防空 国土のすべてが不沈空母に ではなく
    F-35BとACPで国土防空 という主張ができるようになるかな

    1
    • たむごん
    • 2025年 7月 07日

    より高性能な半導体を、積んでしまえば何とかなるのでしょう。

    高性能なものは開発費が凄くなりますし、ファウンドリーが極小ロットにどこまで対応してくれるのか、製造面で少し気になりますね。

    • あうあうあー
    • 2025年 7月 07日

    我が国もF-15JとF-2への統合で同様の実証研究はできると信じていいのでしょうか。
    それともコンピューターを最新のに入れ替えないといろいろと限界あったりしますかね~。

      • 名無し
      • 2025年 7月 08日

      F-2のMCは、AAM-4統合の時点でリソース限界に達したらしく、スマートボムラックの様に統合済みでも部隊への展開出来ていない装備もあった程。
      AMC換装などの能力向上は前提になるだろうね。
      AMCでも足りない可能性はあるかもしれないけど。

      1
    • hoge
    • 2025年 7月 08日

    コクピット内の操作が滅茶苦茶煩雑になりそうですね…

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