米国関連

B-21のプロトタイプは計7機? 米空軍長官が新たに5機のB-21を製造中だと発表

ケンドール空軍長官は空軍協会主催のカンファレンスで「B-21のプロトタイプが5機製造されている」と明かし、2022年に予定されている初飛行に向けてB-21の開発が予定通り進んでいることをアピールした。

参考:Northrop Grumman now has five B-21 stealth bombers in production

米空軍はB-21のプロトタイプを計7機製造?2022年半ばに予定されている初飛行に向けてB-21の開発は順調か

米空軍が開発を進めているステルス爆撃機B-21はB-1BやB-2Aの後継機として2020年代後半に運用が開始される予定なのだが、機密性の高いプロジェクトなので機体や性能に関する情報は完全にブロックされている。

しかし調達・兵站部門を管轄するダーリーン・コステロ次官補は今年の6月に下院軍事委員会の公聴会で「組み立て中だった2機のB-21が完成した」と証言して開発が順調に進んでいることを報告、これについては辛口な評価で有名な下院軍事委員会のアダム・スミス委員長も「F-35プログラムで学んだ教訓を生かしたB-21プログラムは開発予算の超過もなく予定通りにインテリジェントな方法で開発が進んでいる」と手放しで称賛しているほどだ。

出典:U.S. Air Force Courtesy graphic by Northrop Grumman

ただし完成した2機のB-21(量産機ではなくプロトタイプ)が何処で何をしてるのかは一切不明(恐らく地上試験を行っている可能性が高い)で、今年7月にB-21の新しいイメージイラストを公表して以降は全く音沙汰がなかったのだが、今月20日に開催された空軍協会主催のカンファレンスに登場したケンドール空軍長官は「カリフォルニア州パームデールにあるプラント42(エドワーズ空軍基地に隣接した機密性の高い工場施設)の生産ラインでB-21のプロトタイプが5機製造されている」と明かして注目を集めている。

ケンドール空軍長官は「どんなプログラムにもリスクが存在するためB-21プログラムを楽観視していないが、少なくともB-21は今のところ実戦配備に向けて順調に進んでいる」と語り、2022年半ばに予定されている初飛行に向けてB-21は予定通りスケジュールを消化しているのだろう。

余談だがコステロ次官補は下院軍事委員会の公聴会で「B-21の開発や調達計画を加速させることが可能か?」という質問に対して「まずはB-21を完全に完成させることが重要で開発と調達を同時並行では行なわない」と語ったことがあり、完成するまでは量産しないという基本に忠実な辺りがF-35で学んだ最大の教訓なのかもしれない。

関連記事:米空軍がB-21のプロトタイプ完成を議会に報告、2022年初頭にロールアウト予定
関連記事:開発予算の超過もなく予定通りに進捗、F-35を批判する軍事委員長も称賛するB-21の開発状況
関連記事:2機目の製造も開始、初飛行に向けて順調な開発が続く米空軍のB-21
関連記事:開発が順調なステルス爆撃機B-21、米空軍が新しいイメージイラストを公開

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force graphic

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 9月 22日

    技術レベル的に無理なくまとめてるんだろう
    にしても早いが

    19
      • 匿名
      • 2021年 9月 22日

      B-2のアビオ更新に近いんでしょうかね

    • 匿名
    • 2021年 9月 22日

    「完成するまで量産しない」というのはF-102で学んだと思うが、それ以降のコンピュータシミュレーションの発達、後からいくらでもアップデートで対応できる、でやっちゃったのがF-35だったのかな。

    13
      • 匿名
      • 2021年 9月 22日

      新型車を予約する人たちってこういうリスクを考えないのだろうかといつも思う。
      クルマの場合はモデルチェンジも早いし陳腐化も早いので早く手に入れて優越感に浸りたいというのは
      わからなくはないけれど、、、

      1
        • 匿名
        • 2021年 9月 22日

        飛行機の業界は青田買い的に契約するのが恒常化してますからね
        手間をかけた巨大プロジェクトだから失敗しにくい、生産数見込みが早く立つほうが開発に好影響をもたらす論理
        リスクは常に存在します、問題はそのリスクに対してどう対処を続けるか、です。今の飛行機には完全な完成形という概念は存在しないのかも
        石橋を叩いて渡るイシバさんはとうとう総理にもなれなかったw

        10
          • 匿名
          • 2021年 9月 22日

          石橋を叩いて破壊する、の間違いやろ。

          18
        • 匿名
        • 2021年 9月 22日

        車に関しちゃ新型車で致命的な欠陥は珍しいからなぁ。
        マイナーで乗り心地向上や装備・デザインの見直しはあるが。

        2
        • 匿名
        • 2021年 9月 22日

        それ言っちゃうと昔ながらの車しか乗れないよねって話なんだが。

        大なり小なり不具合はあるけど初期の方がマシのケースもあるし、始まりがなければ改良も糞もないよねと。

        1
          • 匿名
          • 2021年 9月 22日

          「新車を予約」だから一般で走り出す前に試乗もせずに買う様な人に限った話でしょ?

        • 匿名
        • 2021年 9月 22日

        一方で新しいというのは単純にメリットがありますからね。
        性能が良い可能性もありますが、新型発売から販売終了までの分だけ修理可能な期間が延びるとも言えます。
        これが販売終了間際のセール品とかになると、壊れた時には部品が無い、という状態になる確率が上がりますから。
        一方で新製品が箸にも棒にも掛からないことも珍しく無くて、その場合敗北は確定、あとはどれくらいその程度を減らせるのか、という撤退戦になりますから、やっぱり難しいですわ。

        2
        • 匿名
        • 2021年 9月 22日

        人気市販車が大き目のマイナーチェンジをした場合はコストダウン目的が多く、初期型よりガッカリすることになる.

        • 匿名
        • 2021年 9月 22日

        新型車をすぐに乗り回してくれる人のおかげで欠点が修正され、メーカーが力を入れてくれるのもお忘れなく。
        完璧な車になるには土台になってくれる人が必要だよ。

    • 匿名
    • 2021年 9月 22日

    これ配置されたらBー2は退役するんだろうか

      • 匿名
      • 2021年 9月 22日

      お下がりがオーストラリアへ?まさかな

        • 匿名
        • 2021年 9月 22日

        寧ろB-2は売らないけど、B-21の常宿を作るんじゃないかな?

        今B-2の基地って本土とハワイとインド洋上の英領だけだよね。
        中国包囲網としてはオーストラリアに基地が有っても良いでしょ。

        14
      • 匿名
      • 2021年 9月 22日

      CAS任務に当てて使い潰します

      • 匿名
      • 2021年 9月 22日

      F-117みたいにこっそり使い続ける可能性も

      • 匿名
      • 2021年 9月 22日

      ランニングコストも相当高いみたいだから、早く退役させたいんじゃないかな。B-21に直結する技術も多いだろうし、展示とかで一般にお披露目されるのはかなり後になりそう。

      2
    • 匿名
    • 2021年 9月 22日

    この内の何機かは量産機化改修はされんのかね

      • 匿名
      • 2021年 9月 22日

      試験機にして新装備のテストに使い続ける気がする
      やる事たくさんあるんだよね
      B52じゃ高度低いしさ

      5
    • 匿名
    • 2021年 9月 22日

    プラント42はパームデールリージョナル空港に隣接してて距離は近いけどエドワーズ空軍基地ではないよ。
    それにしてもこの辺に住む人が羨ましいなぁ。どちらも近いし、展示機も現役機もラインナップが凄い。

    • 匿名
    • 2021年 9月 22日

    いいから早く見せろ!!

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