米国関連

実戦配備が遅れていた米空母フォード、遂に兵器運搬用エレベーター問題が解決

米海軍は22日、空母フォードに最後まで残されていた欠陥=兵器運搬用エレベーターの問題が全て解消したと発表して注目を集めている。

参考:US Navy completes final weapons elevator on aircraft carrier Gerald R. Ford

ついに設計通りの能力を獲得した空母フォード、2022年後半の実戦配備は本当に実現する可能性が高い

ジェラルド・R・フォード級空母はニミッツ級空母と比較してフライトデッキや発電能力を拡張、アナログだった航空機発着艦支援システムを刷新、格納庫や弾薬庫から航空機や武器をフライトデッキに移動させる経路の合理化、本格的な省力化技術導入など斬新な技術やアイデアが幾つも詰め込まれ2018年に米海軍の次世代を担う空母として華々しくデビュー(本格配備)するはずだったのだが、1番艦フォードは米海軍へ2017年に引き渡されて以来数々の不具合=未完成の技術と格闘することになる。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Zack Guth

一つづつ問題を挙げていくと切りがないので割愛するが予定通り計画が進まなかったフォード級空母の失敗についてマイク・ギルディ作戦部長は「23もの新しい技術を詰め込んだことは海軍にとって繰り返すことの出来ない過ちだった=禄に検証も行わず複数の新技術を空母に統合してしまったという意味」と語っていたが、2022年(以前は2023年)に空母フォードが実戦配備に就くと米海軍が正式に発表。

第12空母打撃群(通称フォードCSG)で司令官を務めるハフマン少将も最後まで残された欠陥=11基全ての兵器運搬用エレベーター(AWE)が稼働していない問題について「メンテナンスフェーズが終了するまでに残り4基のAWEも稼働状態に入る」と主張していたが、米海軍は「最後のAWEが引き渡され11基全てが稼働中だ」と今月22日に発表して注目を集めている。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Ryan Seelbach AWEの操作パネル

11基全てのAWEが稼働するということは「時間あたりの航空機出撃回数がニミッツ級空母より25%向上する」というフォード級空母本来の性能が発揮できるようになった状態=設計通りの能力を獲得したと言っても差し支えないだろう。

来年の4月頃にメンテナンスフェーズを終える空母フォードは海外展開に向けて本格的な訓練を実施する予定で、このまま順調に進めば2022年後半の実戦配備は本当に実現する可能性が高い。

関連記事:米空母フォードが2022年に実戦配備、兵器運搬用エレベーターも11基全てが稼働予定

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Ryan Seelbach

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コメント

    • 無無
    • 2021年 12月 24日

    良かった良かった、あとはカタパルトがすんなりいけば戦力化
    これで後続艦も話がはやくなる
    まだ空母を無くせるほど軍世界は変わってないし

    16
    • もり
    • 2021年 12月 24日

    随分遅れたね
    中華の03型と10年違いくらいになったのでは?

      • 匿名
      • 2021年 12月 24日

      技術発達の話か兵器として運用させてかなのか良く分からん

      11
    • ブルーピーコック
    • 2021年 12月 24日

    コメント欄了承しました

    10
    • すこと
    • 2021年 12月 24日

    ところでフォード級とニミッツ級って、作戦効率以外になんか差があるの?

    1
      • 7C
      • 2021年 12月 26日

      全体的に省人化が進んでるのと、新しい鋼板等が使われてて耐久性の向上と軽量化を両立してるのでダメコン回りと将来発展性の余地を残せてる
      細かい部分だとステルス性の向上とか、原子炉が新型になってるからコンパクトでその分冷却設備や保守整備人員が少なくて済むようになってたり
      後、省人化と軽量化によって出来たスペースのおかげで居住性はよくなってるらしい

      5
    • 名無し
    • 2021年 12月 24日

    これでニミッツもやっと休めるのか。
    今後はどの位のテンポで入れ替わるか分からんが、F-35Cを運用するフォード級は壮観だろうな。

    8
      • きっど
      • 2021年 12月 25日

      フォードは既に退役して久しいエンタープライズの代艦では?
      ニミッツの代艦はJFKだったかと

      1
    • シーキャトワン
    • 2021年 12月 24日

    ブログ管理お疲れ様です。
    このような措置を執らざる得なかったのは残念ですが、逆に捉えればコールサインみたいでカッコイイんじゃないかと思ってます。

    時にようやくフォードも稼動できるのですね。
    あとは、後続に2番艦ジョン・F・ケネディやエンタープライズが上手く稼動できるのかどうかにも注目が集まるところ。

    17
    • 新・にわかミリオタ
    • 2021年 12月 24日

    >「23もの新しい技術を詰め込んだことは海軍にとって繰り返すことの出来ない過ちだった=禄に検証も行わず複数の新技術を空母に統合してしまったという意味」

    でも詰め込みたい気持ちもわかるんだよなぁ。
    検証ってやっぱり大事ですね。

    16
      • A
      • 2021年 12月 25日

      アメリカには珍しくてんこ盛りでしたからね。
      早期の戦力化を期待します。

      2
    • たけやぶやけた
    • 2021年 12月 24日

    管理人さんお手数をおかけします

    新技術の導入に失敗がつきものなのはよくわかるのですが、こうも相次いではねぇ
    テロ戦という足かせから解き放たれた米軍がどれだけ回復するのか、同盟国として期待して見ていましょうか

    5
    • tarota
    • 2021年 12月 24日

    金と時間さえあればたいていの問題は解決できる
    これでノウハウも溜まったし今後の電磁カタパルトはスムーズに導入できるでしょう

    3
    • かえる
    • 2021年 12月 24日

    サンタ「なんとか間に合ったか…(過労」

    9
    • lag
    • 2021年 12月 25日

    新技術というわりには立体駐車場にありそうな見た目の機械であまりのしょぼさにビックりしたなw

    結局ものにならず、アメリカ自体が崩壊してヴァリャーグみたいに外国に売られてネタになるんじゃないの??w

    1
      • y2
      • 2021年 12月 27日

      ナニイッテンダ!フジャケルナ!

    • hiroさん
    • 2021年 12月 25日

    本来は新技術のいくつかはニミッツ級10番艦で試す予定だったのを、フォードでぶっつけ本番に方針転換したからね。
    産·軍·政の中でどういう圧力が働いたか知らないけど、海軍が貧乏くじを引かされたのは間違い無い。

    4
    • hiroさん
    • 2021年 12月 25日

    ニミッツ級って何だかんだ言って優秀な空母ですからね。
    フォード級で大幅な性能向上は無いけど、甲板装甲や隔壁の防御力向上や省力化(原子炉当直人数の50%削減とか)等々、積上げていけば使い勝手が良くなるかも。
    あとは2番艦からレーダーシステムも向上する様です。

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