米国関連

米陸軍、次期自走砲にM109A7並な防御力とHIMARS並な機動力を要求

米陸軍の次期自走砲調達は取り組みは防衛産業界から大きな注目を集めており、Breaking Defenseは23日「米陸軍が次期自走砲に求める要件が判明した」「M109A7に匹敵する防御力を求めているため『装軌式の自走砲』を好んでいるのかもしれない」と報じた。

参考:Army reveals formal requirements for howitzer competition (EXCLUSIVE)

装軌式の自走砲を好んでいるという話はオフィシャルなものではないため、装輪車両を選択する可能性も、装輪車両と装軌車両の両方を採用してくるかもしれない

米陸軍は大砲の射程拡張を目的にしたExtended Range Cannon Artillery=ERCAプログラムを立ち上げ、M109A7の車体、58口径155mm榴弾砲搭載の新型砲塔、射程延長弾の組み合わせで70km超の射程確保を狙っていたが、2025年度予算案の中で「ERCAの取り組みを停止した」と明かし、調達や兵站を担当するブッシュ陸軍次官補も「ERCAの試みは量産に移行できるほどの成果が得られなかったが、戦術射撃の徹底的な研究において射程を拡張したプラットホームの必要性が再確認されている」「そのため開発済みのプラットホームや弾薬に関する情報提供依頼書(RFI)をまもなく発行する」と言及。

出典:Photo by Staff Sgt. Robert Barney

米陸軍は先月29日に待望の提案依頼書を発行し、この中で「提案する自走砲の生産を米国内に移転する方法」「これを引き受ける米国内の製造拠点やサプライヤーの特定」「自走砲1門の納入に要する期間」「自走砲6門の納入に要する期間」に関する情報を要求していたが、Breaking Defenseは陸軍の内部文書を入手して「次期自走砲に求める重要な要件が判明した」と報じた。

この内容を端的にまとめると「自走砲と補給車両の両方が国内で生産されること」「米軍規格の弾薬を発射できること」「持続的な戦闘能力の保証と物流への負担とコストを削減する対策」「航空、海上、鉄道、道路輸送に対するモビリティ対策」「オンロード及びオフロードにおけるモビリティパフォーマンスがHIMARSに匹敵すること」「防御力がM109A7に匹敵すること」「制圧射撃の最大射程は58km」「精密射撃の最大射程は70km」「最小射程は4km」「最低でも3発以上のエクスカリバー砲弾を格納できること」「射撃速度は最低でも無誘導弾は分6発/誘導弾は分3発」となる。

出典:Hanwha Aerospace

Breaking Defenseは「これだけの重装甲と機動力を両立させるのは容易ではない」「伝統的に装輪車両は軽量でオンロードでの走行に適した構造で、逆に装軌車両はオフロードでの機動性に優れた重量級車両というイメージが強い」「陸軍はM109A7に匹敵する防御力を求めているため『改良型M109A7』や『装軌式の自走砲』を好んでいるのかもしれない」「現在までに提案され実績がある装軌式はK9だけ」「BAEは依然としてM109A7を生産している」と述べているが興味深い。

各社が何を提案(推測を含む)しているのか整理すると、昨年のデモンストレーションに招待されたRheinmetallはRCH155、BAE SystemsはArcher、Elbit SystemsはSIGMA、HanwhaはK9、General Dynamicsは不明で、Rheinmetall、BAE Systems、General DynamicsはM109A7ベースの改良型を検討しているという噂もあり、今年のAUSAではKNDS DeutschlandはRCH155の装軌バージョン=RCH155-TRACKEDを、LeonardoもKNDS Franceと提携してCAESARを、HanwhaがK9の装輪バージョンの=K9A2MHを次期自走砲に提案。

現時点で改良型M109A7とPzH2000は正式に提案されていないため、米陸軍が装軌式の自走砲を好んでいればK9とRCH155-TRACKEDが有力な候補になるものの、運用実績がある自走砲という点で言えばK9となり、今回の要件を見て改良型M109A7とPzH2000が参戦してくると選択肢は4つに広がるが、どの選択肢も「既存の構成をそのまま提案するだけ」では要件を満たせないため「相当の追加投資」を迫られるだろう。

勿論「装軌式の自走砲を好んでいる」という話はオフィシャルなものではないため、装輪車両を選択する可能性も、装輪車両と装軌車両の両方を採用してくる可能性もあるため、結果は蓋を開けてみるまで分からない。

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※アイキャッチ画像の出典:Hanwha Aerospace

エストニアはHIMARSの長い納期に不満、韓国製のChunmoo購入を発表前のページ

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コメント

  • コメント (26)

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    • 無印
    • 2025年 10月 24日

    ハイマース並みの機動力に、M109並みの装甲

    これぐらいの要求で抑えるんだ!
    これ以上望むと、また過去の失敗を繰り返してしまう!!

    34
      • 他人事では無い
      • 2025年 10月 24日

      RCH155の砲塔をM109に載せたらいいのにね。

      6
      • 半分の軍事費の国から
      • 2025年 10月 25日

      アメリカ様がその程度で済ますはずが無いのです。魔改造は確定なので、最低でも10式の車体にRCH-155の砲塔を搭載するとか‥時速70キロでバックしながら連射する自走砲を普通に要求と‥

      2
      • 2025年 10月 26日

      ぶっちゃけ軽トラにポンづけなトヨタ戦争の延長みたいな機動ガンぶりカーでいいとは思う
      多少拡張性持たせて亀戦車パーツを着脱出来ればなおよし程度で
      どうせ狙われるような事態ならない運用なんだし

    • ドゥ素人
    • 2025年 10月 24日

    強くて、硬くて、速くて、軽い…無理では?
    戦車と同じ轍を踏みそうですが…
    結局全部詰め込んで重くなり駄目でした〜となりそうです。
    K9でとりあえず良しとした方が良さそうな気がします。

    32
    • 山田さん
    • 2025年 10月 24日

    装軌車両に装輪車両並みの速度で、公道を爆走せよとな?
    100年の時を経て、クリスティー式に光が当たるときが、ついに来てしまったか…

    19
    • あばばばば
    • 2025年 10月 24日

    トランプを支持してないが何回でも怒られて来い。
    あれも欲しいこれも欲しいで何回も失敗した結果が、今のアメリカ軍の全体だろう。

    37
    • あろは
    • 2025年 10月 24日

    またアメリカの悪い癖が…。あれもこれも詰め込んだ「ぼくの考えたさいきょうのじそうほう!」という考えからの卒業をしないと。
    本当に学ばないなあ。

    43
    • SB
    • 2025年 10月 24日

    要はこれ2030年代に再編する重装甲師団で使う自走砲でしょ?そらまあそういう要求になるよね

    8
      • 名無し
      • 2025年 10月 25日

      「できまぁす!1両500万ドル(7.5億円)です!」
      からの
      「指定性能の60パーセントが実現できまぁす!1両5000万ドル(75億円)です!」
      までが様式美。
      だって、もともと実現できないことをコミットしてる(メーカーにも自分たちが机上で決めた内容をコミット強要させている)からね。

      2
    • 匿名希望
    • 2025年 10月 24日

    >勿論「装軌式の自走砲を好んでいる」という話はオフィシャルなものではないため、装輪車両を選択する可能性も、装輪車両と装軌車両の両方を採用してくる可能性もあるため、結果は蓋を開けてみるまで分からない。

    陸自の自走砲が99式(装軌)と19式(装輪)の二本立てなのを考えると、米軍もいっそそうしてしまえば?と思ってしまう。
    RCH155やK9みたいに両方対応できるやつならトータルコストや兵站面でも有利だろうし。

    さすがに「オンロード及びオフロードにおけるモビリティパフォーマンスがHIMARSに匹敵すること」「防御力がM109A7に匹敵すること」この2つを1機種で賄うのは死亡フラグすぎるでしょ。

    22
    • hoge
    • 2025年 10月 24日

    物理的に実現困難な超性能を要求してずっこける流れを何回やるのですかね…
    M1E3も不安な要素だらけですし、XM30も怪しいし、まともに世代交代できないのでは。

    13
      • 匿名
      • 2025年 10月 24日

      「英国病」という言葉が生まれて久しいですが、「米国病」という言葉が生まれるならモチロン今でしょ!✨😤✨

      7
        • hoge
        • 2025年 10月 25日

        病気だと治る可能性があるけれども、最早そういう文化、思考の持ち主しかいない疑惑が…

        1
    • Authentic
    • 2025年 10月 24日

    いっそハーフトラックじゃ駄目なの?
    今こそ合いの子的性能が求められてる気がする

    7
    • ななし
    • 2025年 10月 24日

    「なるほど完璧な要求っスねーッ 不可能だという点に目をつぶればよぉ~ 」

    27
    • niboshi
    • 2025年 10月 24日

    空輸に関する言及が無いようだが、そのうちC-130で運べるようにしろと言いだすのですね。

    10
      • ドゥ素人
      • 2025年 10月 24日

      C-130で言われているか分かりませんが、
      >「航空、海上、鉄道、道路輸送に対するモビリティ対策」
      とありますので、言ってるかもですね

      12
      • nachteule
      • 2025年 10月 25日

       既存の主力榴弾砲に出来ない事を言う訳がないでしょう、そもそも過去にあったFCSのXM1203 NLOS-Cがその要件を満たしそうなレベルであったけど明らかに非正規戦前提の性能でしかなかった。
       時代が流れて技術が進んだとは言え軽量で防御力が高い素材なんて高価だし、「制圧射撃の最大射程は58km」、「精密射撃の最大射程は70km」、「射撃速度は最低でも無誘導弾は分6発/誘導弾は分3発」とかC-130クラスで輸送出来る軽量小型な榴弾砲にはハードルが高い要望ばかり。全体的に軽量と言う事は当然反動に関して不利になるしヘビーバレルなんてもっての他だろうから熱による継続射撃や反動抑制面で不利になる。

       155mm自走榴弾砲でC-130だとめぼしいのはフランスの6輪カエサルで、コイツの性能が今の要望にどれ位合致するか考えてみれば良い。軽量自走榴弾砲を作れと言うなら装甲や砲身の新規開発とかで迷走するのが目に見えているし米軍だけでトータル3000両を導入したM109並の生産数なんて要らないでしょう。新型カエサル8輪ですら10億円を超えて冒険していないベストセラーのK-9ならその大体半分位とかの試算があるから、奇をてらったような車両が安く済むはずがない。

      1
        • hoge
        • 2025年 10月 25日

        むしろ米軍だからこそ、今までできなかった新しいことを求めるのでは…
        C-130はなくとも、C-17やC-5での輸送は普通に求めそう。

        1
    • AKI
    • 2025年 10月 24日

    相変わらず無茶言って高くなるんじゃないですか?
    他にも要求多いでしょ。
    射程や精度も大変そう。

    10
    • ミリ飯食べたい
    • 2025年 10月 24日

    今作れるかはさておきXM2001を正式化すれば良さそうですけどね
    重量だけで見ればK9より軽かったみたいですし

    4
    • NIVEA万能論
    • 2025年 10月 24日

    防御力も機動力も何でもかんでも求めた結果物凄く重く高額になって不採用になる未来しか見えないんですが…

    7
    • dd4
    • 2025年 10月 24日

    流石アメリカ軍は贅沢だなぁ…

    2
    • nachteule
    • 2025年 10月 25日

     これ記事の中身見れてないけど無人砲塔で防御力が兵士を守る部分だけに適用されればワンチャンありそうだが?

    • ブルーピーコック
    • 2025年 10月 26日

    現地で装甲追加でいいなら8×8トラック式の自走砲になるかもしれないが、M109並みの防御力がどれほどのレベルか分からんから、どれだけ重くなるやら。

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