米軍は軍用犬をゲージに入れたままカーブル空港に置き去りにしたのではないかと疑惑に「していない」と反論して大きな注目を集めている。

参考：Here’s What Is Really Going On With Those Dogs The U.S. Supposedly Abandoned At Kabul’s Airport

動物の国外退避に成功した英国の動物愛護団体、空港の安全を守るため究極の犠牲を支払った米軍や兵士の遺族からすれば複雑

アフガニスタンから米軍が撤退後、カーブル空港に置き去りにした装備品と一緒に犬を入れる大量のゲージが写った写真がネット上にアップされ「米軍が持ち込んだ軍用犬をゲージに入れたまま置き去りにした」というニュースが海外メディアを中心に取り上げられ非難が集中していたが、米中央軍のカレン･ロクスベリー陸軍中佐は「ネット上にアップされた写真は米軍ではなくアフガニスタンから犬や猫を国外に退避させる活動を行っていた非営利の動物愛護団体KSARが管理していたゲージだ」と公式声明を発表した。

State Dept spox also confirms that all of its working dogs were evacuated from Afghanistan. “None were left behind.” https://t.co/xrgVmc7SHA

— Jacqueline Feldscher (@jacqklimas) August 31, 2021

さらにロクスベリー中佐は「我々は複雑な輸送任務を遂行しながら優先任務（米国国民、特別移民ビザを発給された米国と協力関係にあったアフガニスタン人やその家族の国外退避）に含まれていなかったKSARの活動を最大限支援した」と主張したが、カーブル空港に置き去りにされた約130頭の犬がどうなったのかについては触れていない。

これに対してKSAR側は「約130頭の犬の中には元政府軍が使役していた軍用犬も含まれており、これらの犬を国外に退避させるためにチャーターしたプライベート機はカーブル空港へのアクセスを拒否され最終的に保護した大半の犬はゲージから解放され野良犬になってしまった」と明かし、現在でもKSARの代表者はタリバンに護送され保護した猫とカーブル市郊外の場所にいると報じられている。

Yes I managed to get the animals of @Nowzad on a flight to safety. I couldn’t take my staff as the Taliban put an AK47 in my face & told me they were staying. Not much I could do. BUT that does not mean we have given up. It was always and will BE ‘people & animals’ #OperationArk pic.twitter.com/ARA7Th44dG

— Pen Farthing (@PenFarthing) August 31, 2021

英国でも元海兵隊のファージング氏が運営する動物愛護団体「Nowzad」が26日夜に発生したテロ攻撃後にアフガニスタンから150匹の動物をロンドンに連れ出すことに成功（団体スタッフはタリバンの妨害を受けてアフガニスタンから国外退避するのに失敗）、政府関係者や世論から「国外退避を希望する人々の貴重なチャンスを奪った」と非難されているが、ファージング氏は「我々は動物を国外退避させるために英国政府の助けを借りておらず、犬や猫を空港に移送するのもタリバンの協力を得て自分たちが運転するトラックで行いチャーター便で連れ出した」と反論しているのが興味深い。

まずKSARが保護した犬が米軍機に乗れなかったのは輸送力に余裕がなかった訳ではなく米疾病対策センター（CDC）が許可を出さなかったためで、チャーターしたプライベート機がカーブル空港へのアクセスを拒否されたのも空港が混雑してせいではなく同様の理由による可能性が高いらしい。

逆に英国のNowzadが150匹の動物をロンドンに連れ出すことに成功したのは「CDCが関与していなかったためチャーター便で連れ出すことが出来た」という意味で、英国政府や世論が「国外退避を希望する人々の貴重なチャンスを奪った」と非難しているのは航空機による輸送リソースを無駄にしたという点ではなく、混乱したカーブル市内から安全に空港へ移送する手段を人間ではなく動物輸送のために無駄したという意味なのだが「ファージング氏はタリバンと独自に交渉して空港まで自力でトラック輸送を行った」と主張しているため政府や軍が提供しているリソースを使用していないことになる。

表面的に見れば「国外退避を希望する人々が取り残された状況で動物の国外退避を行うとは何事か」と思うかもしれないが、国外退避を希望する人々を全員国外に連れ出せなかったのは「飛行機による輸送力が足りていなかった」のではなく、混乱したカーブル市内から安全に空港へ移送する手段（国外退避の資格をもつ人々だけを空港内に入れる作業のこと）が押し寄せる需要を捌ききれなかった点にあるのでココをテロ攻撃後に自力で突破してきたファージング氏の行動力は「凄まじい」の一言だ。

勿論、運の要素もあるとは思うが、、、空港の安全を守るため究極の犠牲（海兵隊兵士12人と海軍兵士1人がテロ攻撃で死亡）を支払った米軍や兵士の遺族からすれば複雑な気分になるのは間違いない。

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