米海軍は耐用年数を迎えるアーレイ・バーク級駆逐艦に対して大規模なオーバーホールを実施する予算はないが、21隻ものイージス艦を退役させるのは困難なので「創造的なアプローチが必要だ」と意味不明なことを言い出した。
参考:Do the earliest Arleigh Burke-class destroyers still have legs? The US Navy thinks so.
もはやロジックが破綻しているとしか言いようがない米海軍の艦隊整備計画
中国海軍(360隻)の保有艦艇数で抜かれた米海軍(296隻)は現状を容認しておらず、トランプ大統領の提唱した355隻体制の実現や無人戦闘艦を量産することで2045年までに500隻体制構築を公言しているが、水上艦艇の主力とも言えるタイコンデロガ級巡洋艦(22隻)とアーレイ・バーク級駆逐艦(68隻)は現状を維持することすら困難な状況に陥っている。
タイコンデロガ級巡洋艦は2022年~2026年までに11隻を退役させることを提案中で、アーレイ・バーク級駆逐艦は2024年~2031年までにフライトI仕様の21隻が耐用年数を迎えるため何も対策を講じていない場合、耐用年数を迎えた順に退役しなければならない。

出典:public domain タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦
これだけ大量の艦艇が短期間で退役してしまうと質の面でも中国海軍に追いつかれることになるため、米海軍は老朽化したアーレイ・バーク級駆逐艦フライトIにオーバーホールを実施して耐用年数を10年程度延長することを検討してきたが、海軍作戦副長を務めるジム・キルビー少将は最近「今日の予算状況を考えるとフライトIのオーバーホールよりもフライトIIIの建造を優先したい」と語り、フライトIに対するオーバーホールは行わないことを明らかにした。
ただし2024年~2031年までに耐用年数を迎えるフライトIを退役させるつもりはなく、キルビー少将は「オーバーホールは無理だとしても継続運用が可能な状態を維持して無人航空機(UAV)を運用するプラットフォームとして運用できないか検討中で中国海軍の艦隊と対峙する際に役に立つだろう」とアピールしているが、どうやって継続運用を実現するのか具体的な方法は示さず「創造的なアプローチが必要だ」とだけ付け加えている。
要するにキルビー少将は予算がないので耐用年数を迎えるアーレイ・バーク級駆逐艦にオーバーホールを施さないが何かしら手段を用いて維持する必要があり、この矛盾した要求を実現するには創造的なアプローチが必要=つまり奇跡が必要と言っているようなもので、もはやロジックが破綻しているとしか言いようがない。

出典:public domain アーレイ・バーク級駆逐艦
そもそもフライトIIIの建造を優先したいと言ったところで1隻あたりの平均建造費用は75億ドル以上(プログラム総費用は1,000億ドル以上)もするコロンビア級原潜の調達が始まったため、2025年頃まで艦艇建造予算の大半をコロンビア級原潜の建造に吸い取られることが確定しており、米海軍はアーレイ・バーク級駆逐艦フライトIIIの調達削減(12隻→8隻)を打ち出している。
さらに米海軍は「DDX Next」と呼ばれている次期駆逐艦の調達を2028年から開始する予定なのでフライトIIIの最終発注は2027年に設定されており、フライトIIIの建造を優先したいと言うキルビー少将の主張には裏付けはないのだ。
なぜ米海軍の艦隊整備計画が曖昧で狂ったものになってしまったのか一言では言い表せないが、少なくともトランプ大統領の提唱した355隻体制の実現を妨げているのは沿海域戦闘艦、ズムウォルト駆逐艦、ジェラルド・R・フォード級空母の失敗が影響しており、マーク・エスパー元国防長官が発表した500隻体制に振り回されている間に国防予算増額を担保していたトランプ氏が大統領選挙でバイデン氏に敗れ、頼みの綱であった国防予算の増額基調が一転して削減基調に変更される可能性が高く米海軍関係者も混乱しているのだろう。
米海軍は一度立ち止まり、バイデン政権の下で将来の艦隊整備計画を練り直さないと再び大きな失敗に直面するかもしれない。
関連記事:米海軍が中国海軍に追いつかれた原因、奇妙なアイデアに時間と資金を浪費したため
関連記事:1隻約2,000億円、米海軍がSPY-6搭載のイージス艦調達を削減
※アイキャッチ画像の出典:public domain アーレイ・バーク級駆逐艦 バリー
米軍は何かひとつを棄てるときが来たんだよ、それが本当に必要なのかを考えないと、待っていても奇跡なんて来ないから。
また時が来たらやり直すことさ
でも、最悪の戦場に奇跡は無いんだけどね
今の中国の経済成長と軍事力増強を考えると、今何かを捨てればもうやり直せないよ
まあ、個人的にはこれを機にアーレイ・バーク級のフライトⅠの一部を台湾やギリシャ辺りへ売却すれば良いと思うけどね
冷戦終結後、米国はノックス級やペリー級等のフリゲイトの中古艦を多数海外輸出した実績が有るんだから、これを機にイージス艦も売って儲けるなり、周辺諸国の海軍力増強をして中国やロシアと対峙すれば良い
元々米海軍自体が隻数足りないんだから、売ったら更に足りなくなるだろうに。
デロガの退役が優先だからバークの売却はまず無いと思うけどね。
ええと、記事読んでる?
今のままだと現有の水上艦艇も維持出来なくなっている程、金の無駄遣いをやったのが米海軍の現状
それに対して米海軍の海軍作戦副長が現実無視のアホな事を言っている以上、古過ぎるタイコンデロガ級は退役させるとしても、今後が不透明なアーレイバーク級のフライトⅠの一部はいっその事友好国へ売った方がマシじゃないの?と言うのが俺の意見
君こそちゃんと読んでるか?
「大規模なオーバーホールを実施する予算はない」とは言ってるが「艦隊を維持できない」とは言ってない。
ま、これ自体議会向けの駆け引きだと思うけどね。
デロガを11隻退役させるのは当初からの計画で、だからこの11隻は改装しなかった。古いまま運用してたわけだ。デロガは元々ダメコンの余地が少ない艦で前線での運用にはあまり向いてない。なので、これらから退役させる。(ズムを待ったから遅くなった)
当然戦力的に穴が開くのでバークの新造艦で埋める。17隻が予定されてる。この辺は計画通りに進んでいる。
ここから更にバークを減らしたら予定よりも戦力が落ちるのは当然。そんなことは今できないだろうに。
で、延命工事はしなくても艦は運用できる。長いことではないが陳腐化を我慢すれば10年程度の賞味切れは問題ない。消費期限じゃあないから。
新造する方が金がかかるのに、中古で安く売って戦力に穴を空けるとは思えんなぁ。
アーレイバーク級のフライトⅠをオーバーホールする予算が無い以上、2024年から31年に掛けてDDGを21隻減らさざるを得ないのは自明の理だと思うが…FFMGはペリー級や大失敗したLCSの代替だし、アーレイバーク級のフライトⅢもタイコンデロガ級の代替である以上、代替艦も手当て出来ない
それに米海軍の海軍作戦副長が言っている話には財政の裏付けが無い以上、信用出来ない
ならば、その一部を整備した上で友好国に売った方が、まだ戦力ダウンをふせげるんじゃないのかな?
コメをちゃんと読んでるか?
君の話は前提がおかしい。「知らない」ならそれでいいじゃあないか。
「大規模オーバーホール」なんてしなくても定修で問題ないんだよ。今の予定通り建造すればいいだけ。
フライト3はフライト1の代替だよ。だから「今日の予算状況を考えるとフライトIのオーバーホールよりもフライトIIIの建造を優先したい」なんだよ。
退役デロガの代艦は建造は大方終わってる。代艦なしで退役させるわけないじゃあないか。残りは「大規模オーバーホール」も終わってるし、BMDに使うからそのまま残すだろうねぇ。
ペリーなんてもう一隻も残ってないし、しかもLCSの代替なんてw
財政的裏付けって? 軍事予算が大きく減らされれば当然戦力整備には影響が出る。当たり前のことを言うなよ。そりゃ計画がどうのこうの言うのとは別の次元の話。
軍の計画ってのは時系列で読まないと意味不明になるもの。今回のはあくまでも「議会向けの駆け引き」だと思うよ。バイデンは「減らす派」だからねぇ。牽制したというとこだろうねぇ。
地方隊に移す
どこぞで拾った2020年代後半の中国海軍の戦力(建造能力からの予想)
・航空母艦 ×4
・駆逐艦 ×80
・フリゲート ×70
・コルベット ×70
空母はともかく、水上艦戦力で追い抜かれるのはもう目の前
あと
原潜×20
通常艦×60
強襲揚陸艦×4
ドック型揚陸艦×8
大型戦車揚陸艦×30
ぐらいいるね
それは無理だね、なぜなら中国もこれから少しずつ人口が減ってくるからさ。一人っ子政策の影響で急激にとは言わないが少しずつ人口が減ってくるはずだろう。まあ中国国内の実情は分からないが、、、
一人っ子政策のせいで男ばっかになって、より急激に人口が減少するのですがそれは
その結果、勝負に出るならば2030年までって予想が出ている訳だが
中国は陸軍の近代化による数十万人規模の人員削減を謳っていましたよね。何割か海軍に転籍させるとか(自衛隊もやっていますが)。
あと奥の手として、闇の無戸籍人民に戸籍と引き換えで軍務を強制したら、当面は兵員数の心配はいらないのでは?
奇跡を望んだ時点ですでに敗北に限りなく近い
米海軍だけで中国に対抗するのはもう無理だしトランプ提唱の500隻体制なんか実現をしたらソ連が崩壊したようにアメリカも破綻する。
クラスをイージス艦からフリゲートとか単なるデストロイヤー(ミサイルを搭載してる単なる駆逐艦)に変えて、そのまま何もせずに耐用年数を延長・・・
アーレイ・バーク級は元々艦種は駆逐艦。
その話だと高価なイージスシステムを撤去して海自で言う汎用護衛艦的なのにするってことかな?
システムもアレだがそもそも船体そのものが老朽化してるんだからやらないだろう
定数増やすのにちょうどいいからDDG貰ってちょっと使ったら捨てよう
LPHやLPDも同じように
まず造船所から整備しないと。
それかbyアメリカを放棄して輸入にするか?
ただそうなると数年後には”こんごう”型も同じことになるわけで、イージスアショアを地上に置くか艦艇にするかと言ってるいる話ではないわな。
金剛型は、延命工事するはずだったような?
この人の常識を共有してないとな、何言ってるか。ただ、後日、いい案が浮かんだという話の伏線。話法かも。
アーレイバーグは今後、19隻ほど建造される予定で、新企画の新造艦も控えてるし。船齢30年をオーバーホールする意味も?できるのか。それこそ、中古タンカーに装備を移せば、UAV指揮艦とフリゲート3隻。あるいは駆逐艦2隻にはなりそうだ。
ん?
駆逐艦としての 延命補修 はしないが
ドローン母艦という他艦種への改造ついでに多少の延命も施す…
という、言葉の遊びか?
でも財布はひとつだからなあ…
全世界に介入しなくちゃいけないアメリカ軍と局所に集中すればいい中国軍じゃ技術力が追い付きそうな今不利なのはアメリカな訳で中東から手を引いて大平洋にリソース予算さかないと手遅れになる
でもちうごくも金という武器使って中等やアフリカに手を伸ばしてるからな。そのうち遠征用の基地とか作られかねん。
そんな大事な時にアジア情勢に興味ない大統領になっちまったからなぁ……。
フライト1のレーダーとか売れるもんを台湾に売ったりして建造費のたしにするとか?
米海軍「奇跡も、魔法も、あるんだよ(白目)」
米議会「造船所も予算もありませんよ。ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから。」
こんなの絶対おかしいよ(海軍)
あたしって、ほんとバカ(キルビー少将)
そんなの、あたし(予算)が許さない(米財務省)
後悔しかない(沿海域艦とズムウォルト)
「1隻あたりの平均建造費用は75億ドル以上(プログラム総費用は1,000億ドル以上)もするコロンビア級原潜」って、先日契約価格が報道されてたけど、50年間の日常メンテ含め50憶ドルになったぞ。今までの諸経費合わせ、18隻でほぼ1,000億ドルってことだな。
建造価格75億ドルって、どっから出た話なんだろう? まあ、うまく行きゃあいいね。これからの話だからなあ。
バークとデロガは。。。 この辺は軍と議会の駆け引きの世界なんじゃあないかな?
バークは延命工事しないってだけでしょう? 普通にメンテしてれば10年位は何の問題もないだろう。UPしない分陳腐化が進むし、ガタも来るけど、そこまで気にする必要もなしと。今までが騙し騙しの運用なら問題だけどそういうことでもなかったから。
タイコンデロガはなぁ。
無理やりのっけたイージスのおかげで、ダメコンの余地の少ない、戦時の運用に不安のある艦になってるのが。。。。 しかも運用費用も高いと。
サッサと退役させたいけどズム待ったおかげで退役タイミングを逃がし今に至る。で、ズムはあの通りw
でもまあ、そのために改装しなかったんだから、11隻は予定通り退役させればいい。粛々とバークを建造して穴埋めすると。
残りをどう配置運用するかで言えば本土近海以外では不安だろう。ほかの候補は日本近海での運用。
英艦隊も来るし、防空艦が足りなくなってくるのは明らかなんだよねぇ。
ここで怖いのは、海自に対して共同作戦と言いつつイージス8隻の提供と引き換えに、デロガの日本配備を言い出さないかってところ。「こっちがデロガでBMDやっから、お前ら艦隊防空やれ」と。
なので、「過敏だ」ってことは承知ながら少々危惧を持って事態を見てる。
コロンビア級原潜の調達数を削減するとかして新規建造か耐用年数延長の予算を確保するしかないのでは
052Dとバーク並べて「追いついた」って言われてもな
VLSの搭載数や船体サイズはアーレイ・バーク級のほうが上だけど、それ以外の性能は大差ないような。
052D型のレーダーは探知距離500~600kmと言われているので、一部兵器の性能は上回っている。
052D型のレーダーの性能はアーレイ・バーク級より上だけど、発電能力が少なくて同時交戦能力が劣ってると言われてるから一隻の戦力的にはそうでもないんじゃないかな。
だけど、これから055型が量産されてきた時にどうなるかだと思う。
発電能力が少なくて同時交戦能力が劣ってる、というのは初耳ですが、
052D型は発電能力が少なく、AESAレーダの常時動作は不可能なので、
八木アンテナ(517B型)を別に搭載している、という話はあります。
発電量についても、アーレイ・バーク級には劣っていますね。
手早く近代化しようとしたら、既存の船体(051B型)を使うしかなく、
中国軍もその辺りは妥協したんでしょうね。
管理人さんの言っている通り何か整合性がない、バーク減勢はFFMGで補うんじゃなかったっけ、デロガ(ズム)の代わりにバークフライトIII継続の流れだったような。
予算クレクレアドバルーン?ただ呟いただけ?
整合性は取れてる。「従来の計画通りやるから邪魔しないでね」ってのが本意だと思うよ。
政治的発言だからこうなってるだけでしょう。
バークとコンステレーションの関係はDDGとFFMの関係なので、バーク減勢をそのままコンステレーションでカバーできるわけじゃあない。使いどころと能力が違うから。空母随伴できない以上艦隊編成が変わるんじゃあないかなぁ。
デロガの退役分はもうバークの建造が終わってる。今回残ったデロガ分はどうなるかは決まってない状態。残りのデロガはAMODが終わってるのでおそらくしばらくは現役続行。多分NEXTがものになれば代替だろうと思う。
色々時の流れの中でフライト1の代替がフライト3になってるのが現状。まあ、艦のやりくりの話なので直接的な代替ってわけじゃあないけどね。多分フライト3の減数分をフライト1の退役先延ばしでカバーって目論見でしょう。
沿海域戦闘艦、ズムウォルト駆逐艦、ジェラルド・R・フォード級空母
この娘たちがいなければなぁ。
改めて見るととんでもねえラインナップで草。アメちゃんなんとかして!
アメリカ
これは無理っすね
LCSはともかくズムとフォードは計画通り行っていれば戦力になったんだよね。今はただの金食い虫で壮大に足引っ張ってるけど…。
そうですよね
計画通り進んでいれば、良かったんですが・・・
コロンビア級が抜け出ますw
こいつらが失敗したから
米海軍はてんやわんやだな
選択と集中しかないんじゃないかなぁ
低価値になった艦は脅威度の低い地域に配備してローコスト艦(LCSではなく手堅く近代化したOHP級みたいな奴)で順次更新
脅威度の高い地域に強力な艦を集中して戦力密度を向上とかそういう
全地域で圧倒的優勢を確保するにはもはや現有戦力じゃどうにもならんのでは?
バイデン新政権は国防予算の見直しをするとか、選挙中に話が出ていましたね。
日本から米国に提案して、日本の造船工廠でも一部の新造船をつくらせてもらう、
というのはどうでしょうね。まるまる米国で造るのでは、時間がかかるでしょう。
たしかに戦闘艦は無理でも
補助鑑ぐらいは建造とメンテを任せてほしいな
勘違いした書き込みが多いけど、アーレイバーグ級を89隻揃えようとしたら、最初の数隻が船齢30年を超えて退役見込みという、日本人の理解を超えた景気の良い話で、ただ、トランプの言ってる数を揃えられないだけ。
だから、残り19隻のうち5隻ぐらい日本で作るのも手だね。
戦力を揃えられなくて台湾問題での戦力バランスが中国側に大幅に偏りつつあるから焦ってるの
全然楽観的じゃない
こんごう型は、対潜ミサイル持たないだけで、ほぼアーレイバーグの装備をそのまま使ってるから、機密も何もなく戦闘艦もいけるよ。
次のまや型は、一部国産にしたけど。
は?こんごう型は対潜ミサイルあるだろ
アスロックを装備しているね
軍隊は官僚的な組織であるはずなのに、なぜ組織内で合意が得られてない論理破綻した発言が少将ともあろう階級から出るのか理解できない
公的な発言としても、私的な発言としても、やはりおかしい
おかしな人なのかも知れないし、あるいは議会に投げつけた何らかのボールでないの。
こちらほど硬直化した組織でないとすれば、やはり周囲との駆け引きはやってるだろ
アメリカだもんw