米軍は空対空ミサイルの長射程化で人民解放軍に遅れを取っており、米空軍はPL-15に対抗できるAIM-260の実用化に取り組んでいる最中だが、米海軍もRIMPACに参加しているカール・ヴィンソンでSM-6を搭載したF/A-18Eを公開した。
参考:U.S. Navy Confirms SM-6 Air Launched Configuration Is ‘Operationally Deployed’
AIM-174Bの方が射程距離でAIM-260を上回る可能性が高く、中国のPL-17に匹敵する長射程ミサイルになるかもしれない
中国は接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略に基づいて人民解放軍の戦力を整備しており、空軍はAIM-120D(推定160km+)の射程を上回るPL-15(推定200km+)を運用中で、2022年11月にはPL-17(推定300km~400km)を搭載したJ-16が確認され、ラムジェットエンジンを採用するPL-21(推定射程400km+)も開発中だと噂されている。
ここまで空対空ミサイルの長射程化に拘るのは「西側の航空作戦を支える早期警戒管制機や空中給油機を後方に下げさせるため」で、早期警戒管制機が後方に下がれば戦場空域の認識力が低下し、空中給油機が後方に下がれば戦術機の作戦範囲が縮小するしかなく、台湾海峡を想定したA2/AD戦略に合致したものと言え、米空軍は大急ぎでPL-15に対抗できるAIM-260の実用化に取り組んでいる最中だが、機密指定プログラムなので詳細は明かされていない。
さらにAviation Weekは2021年4月「米海軍のF/A-18FがSM-6を搭載して飛行している」と報じていたが、RIMPACに参加しているF/A-18EがSM-6を搭載した状態で公開され、SM-6の空対空バージョンがAIM-174Bだと判明し、Naval Newsも5日「米海軍報道官がSM-6の空対空バージョンを公式に認め、既にAIM-174Bが実戦配備されていると述べた」「恐らくカール・ヴィンソンの第2空母航空団で初期作戦能力を獲得した状態だろう」と報じている。
Standard Missile 6 (SM-6) based DATM-174B, ground training variant of the AIM-174B, on a VFA-113 Stingers F/A-18 Super Hornet. Originally posed on NCD by Offsetski of all places. pic.twitter.com/N3ulRAi751
— FirstDagger (@FirstDagger) July 7, 2024
空中発射されるSM-6の空対空バージョンが何処まで届くのかは不明だが、The Drive(現在のWAR ZONE)はAIM-260について「F-22やF-35のミサイル携行量を落としたくないため、PL-15と同じデュアル・パルス・ロケットモーターを採用している。さらに誘導装置や弾頭など推進部以外を小型することで推進剤自体の容量を増やし、AIM-120を上回る射程を確保している」と述べている。
つまりAIM-260はAIM-120と同サイズになるという意味で、大型のAIM-174Bの方が射程距離でAIM-260を上回る可能性が高く、中国のPL-17に匹敵する長射程ミサイルになるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy Petty Officer 2nd Class Leon Vonguyen
SM-6って空対空ミサイルや、地対地ミサイルにもなったり、器用なミサイルだったんですね
ただ、めっちゃ高そう
でも、殆ど作り替えてますね。
シーカーがAMRAAMのやつ流用してるのが懸念点
あとデカすぎてパイロン吊り下げでしか使えないしステルス性は捨てるようなもんだ
まあでも今や低性能ミサイルになったAMRAAMを使うよりはいいかもしれない
米軍ですら高価すぎて使えなかったフェニックスミサイルの価格なんて今から思うと安かったよなあ。
(旧イラン軍はバカスカ使ってたけど)
元々のsm-6がブースター含むと全長6.55m、重量1.5t、弾頭重量は64kgの結構デカイミサイルですからねー。AMRAAMが3.65m、重量153kg、7.31kgと比較するとかなり大きいです。円安の前価格ですが確かsm-6が3.3億円、AMRAAMが1.5億円位でしたね。
開発済みの新兵器がいきなり配備されるってリアルにあるんですね。
台湾有事の抑止力になってくれると良いですね
GBU-28 バンカーバスターは8インチ榴弾砲の砲身に爆薬詰め込んで1ヶ月程度で開発・設計したシロモノなので、過去に事例がないわけではないのですが、今のご時世では珍しいですね。
クウェート侵攻の1990年8月から1991年1月の多国籍軍展開開始までの期間も必要装備の検討は行われていたものと推測されますが、それでも半年ほどなのでここまで短期間な例は少ないと思います。
もうAWACSに対空ミサイルを積んで自衛させた方が良くないかな。
絶対索敵距離は戦闘機より長く広いから、長射程対空ミサイルを持っていれば、敵機も近寄れない。
鈍足なAWACSにAAMをたんまり積むと機動性が死ぬ。
回避行動もとれないので、撃たれると死ぬ
普通にAWACSの支援を受けた高速戦闘機相手には分が悪い
ロマンがあって好きなんですけどね
AAM搭載機は無人機にしてAWACSの周辺を周回させておけばいい気がする。
どのみちAWACSにAAM撃ち込まれるような範囲に入られるのは困る
回避できないし
今はどうなっているか知らないけど既存の輸送機とか脆弱な機体に関しては防御用の装置付けて対応みたいな流れがあるから、そっちの可能性の方が高いと思う。
元々無いミサイル運用能力を付与するのが正解かはなんとも言えないが、似たような話はPー1でもちらっとあった気がするな。
台湾海峡の有事に、相手と同程度の射程の空対空ミサイルを配備して、じゃあこっちは何を狙うの?
こちらの槍が敵戦闘機に届けば追い払える。
追い払えれば早期警戒機や空中給油機が運用できる。
やはり透明化が進む現代の戦場に戦場において、長射程化は極めて重要ですね。ステルス機でさえ防空網を掻い潜るのは難しいという意見も聞きました。次は消耗戦に耐えるための大量生産でしょうね。
また、このような矛に加え盾、すなわちSAMも重要でしょう。実戦では先制攻撃によってある程度撃破される可能性が高いですし、パトリオットに加え低コストのSAMを開発すればいいと思っています。それを大量に配備すれば簡単に無力化されないでしょう。
あれ?長距離AAMと密度の高いSAMってもはやソ連/ロシアの防空ドクトリンでは?
正解がすでにあるならそれをまねるのは別に恥じることでもないですし
というか大体の戦略、戦術ゲームでも最終的にはそこに行きつくわけで
相手よりも長射程の兵器を相手よりも多く用意するってお金かかる以外は大正義ですから仕方ない
ソ連の先見性と合理性が際立ちますね。
しかし、なぜソ連や、後継国家ロシアではあれほど優れた理論が生まれるのでしょうかね。絶えず脅威にさらされているのが大きいのではと思っていますが。
惜しむらくは、その優れた理論とやらを戦略的に実装できない国家的足腰の弱さと政治体制の欠陥ということになりますなあ。結局大雑把な力業に頼ることになる。
ペトリのPAC2形態とPAC3形態があって、中SAMがあって中SAM改があって中SAM改能力向上型を開発中で、短SAM改と短SAM改IIがあって、近SAMと基地防空用SAMがあって、新近SAMと基地防空用SAM改を開発中で、携SAMがあって、、、
さらに島国なので88式があって、12式があって、12式改と12式改能力向上型を開発中で、、、
用は日本版A2ADやれば良いんですよ。
そしてそれの防御に陸自の歩兵やその他を使う。
ウクライナ戦争で、早期警戒管制機が撃墜されており、大型の空中給油機も厳しくなるかもしれません。
F18のような戦闘機を、空中給油に使う時代に戻るかもしれませんね(ミサイル回避・複数分散)。
>「西側の航空作戦を支える早期警戒管制機や空中給油機を後方に下げさせるため」
>>大型の空中給油機も厳しく
日本が買い込んだ大量のKC-46、本当に大丈夫なんでしょうか。欠陥機らしいですし。
>>戦闘機を、空中給油に使う
アメリカや中国なら数に物を言わせて可能でしょうが、日本などそこまで予算のない国はそうなると苦しいですね…
管理人様の過去記事ですが、KC-46の仰るような欠陥、F-35運用の制約になりそうですが大丈夫なんでしょうかね…
空母打撃軍で、F18を空中給油機として運用していたのですが、日本を含めて余力のない国は仰る通り難しいかもしれません。
(2021.11.3 日本に引き渡されたKC-46A、欠陥修正や費用負担について口をつぐむ米空軍とボーイング 航空万能論)
F35もトラブル続きですし、いやはや、本当にボーイングは…
民間機ですが、最近JALがエアバス社製のA350を導入しています。私もたびたび利用しましたが、設備は新しくデザインもなかなか精悍で気に入っています。一回事故機に乗り合わせかけましたがね…
このように我が国一の航空会社でもボーイングから乗り換えているわけで、自衛隊ももっとよく考えて導入機材を決めた方が良いと思っています。武器の購入は純軍事的な意味だけではなく、国家間関係にも寄与しますからね。この分野でもアメリカ依存は脱した方が良いと思っています。
まさに仰る通りで、ボーイングには困ってしまいますね…
あれ?F35はロッキードマーチン社製でしょ。
そうでしたね、失礼しました。詳しくない分野ではしっかり事実確認をしないと…
三文書では「KC-46A“等”」と書かれている
米海軍の艦載給油機は複座F-18なのですでにそうなってますね
仰る通りです。
失礼ながら、たむごんさんの「仰る通りです。」は定型文化しすぎて、本当にそう思っているんですか?とツッコみたくなる。
F18のタンカー運用はそんな理由じゃない
満タンで上がれない&専用機がない故の苦肉の策
そもそも空軍のように長距離展開を念頭に置いていない
普段から3割弱のF18がタンカー任務につかざるを得ない状況
ようやくという感じですが、これからテストを重ねるのでしょうし実運用・大量配備にはまだ数年掛かるでしょう
どうにも手遅れとまでは言わなくとも後手後手感がひどい
どうしてこうなった
率直に言って冷戦後の軍需産業が迷走を重ねたからかと。
つい最近まで正規戦を想定しないといけないのに砲弾の製造ラインもお粗末なものでしたし。
安い賃金求めて工場を海外に移して、工業力を手放したからですね…
国外に流せない軍需産業だけ無理に残しても、寡占市場では競争原理が十全には働かないので結局は貧弱なものになってしまいます
Xで燃焼時間などから射程をシミュレート人がいましたね
最高高度を過大に見積もってるので実際の射程は短くなる可能性があると注釈していましたが計算上330km飛ぶとか
とんでも無いな
随伴機に対空レーザー積んだ無人機作るしかないな
幾らカウンターかましても受けた被害が変わらんのなら意味ないし
対空ミサイルを物理的に無効化する手段を模索しないと、長射程ミサイルに戦略的に対抗は出来無いんやろな
空飛ぶ「イージス艦」はロマンですね。
しかし、航空機にどれだけ大電力を供給できる発電源を用意できるのか。
爆薬発電機なんかで、排莢しながらレーザー連射するなんて絵図は映えますな。
>>空飛ぶ「イージス艦」
いっそ戦闘飛行船?ラピュタに出てきたゴリアテ(飛行戦艦)目指すとか
デカい羽根つけて揚力稼ぎつつ上面に太陽光パネル張り付けて電源確保
気嚢部分も最近はいい素材いっぱいありますし
成層圏ギリギリまで高度上げれば敵の戦闘機は手出しできない
レーザーを防御に使うにしても高高度なら大気による減衰問題もクリアできるし
現在の技術でソーラーを利用して、100kw級のレーザーを使用しようとしたら、1m×1.5mのソーラーを最大発電しても70〜250wの発電量しか無いので、1200枚以上要るので場所取りすぎて、無理ですね。現行技術だとレーザーへの電力の変換率が30%くらいなので数キロしか届かない100kw級レーザーでも300kw以上の電力がいるので。
コンパクトな大容量キャパシタができたら、開発が中止になった原子力発電機付きハイブリッド航空機なんてのもあり得るかなあと夢見ますが、現実的には難しく、爆薬発電機の方がよほど現実的かなと思います。
空中巡洋艦構想再びですよ!
当時はP-3Cにフェニックス積む話でしたっけ。
今ならば、機動性に優れステルス性にも考慮されているB-1をベースに電波兵装と長距離AAMを山盛り!おまけにAAM迎撃用の短中距離AAMとCIWSも積んでどうだ!個人的に尾部銃座は欠かせない。
レーザーなんかも、大型機なら余裕を持って電源供給出来ますからね。専用に発電用ガスタービンを1基積んでも良い。小型コンテナサイズで500kWは余裕ですよ。太陽光はエネルギー密度が低くて話になりませんが、在来型電源なら案外余裕な物です。
大きめ(中型?)のドローンにレーダーとリンクだけを積んで、
AWACSの管理下で使用できないかな、と妄想します。AWACS単体より管制範囲が広がります。
相手のAAMの射程を超えるのもさほどに難しくはないのでは。100kmくらい前に出せば良いのですから。
ドローンのレーダーは、軽量化したもので。(戦闘機のフェイズドアレーレーダーを流用する?)
AWACSの持つ指揮管制能力はそのまま使えますし。
後は制空戦闘機をドローンと一緒に前進配備で、などと思います。