米国関連

米国がウクライナにシースパローを提供、旧ソ連製のBukを改造して運用か

米POLITICO紙は5日「金曜日に発表されるウクライナ支援パッケージにはブラッドレー歩兵戦闘車の他にシースパローが含まれる」と報じており、旧ソ連製の防空システム「Buk」に手を加えることでシースパローの運用が可能になったらしい。

参考:Biden will send Bradley Fighting Vehicles to Ukraine. And tanks could be next.

何をどう改造したらBuk-M1でシースパローの制御を行えるのか非常に謎だが、これが事実なら旧ソ連機へのAGM-88HARM統合に次ぐ驚きだ

まもなく発表される米国のウクライナ支援パッケージは「ウクライナ向けの支援22.5億ドル」「ウクライナの軍事資金に充当される2.25億ドル」「ウクライナを支援する東欧諸国が米国製装備品を購入するための資金6.82億ドル」の3つで構成され、22.5億ドルの部分には50輌のブラッドレー歩兵戦闘車や155mm砲弾の他に「シースパローが含まれる」と報じている。

出典:VoidWanderer/CC BY-SA 4.0 Buk-M1

米国の同盟国で広く採用された艦対空ミサイルの「RIM-7シースパロー」は空対空ミサイル「AIM-7スパロー」を艦載化したものだが、この件に詳しい関係者は「ウクライナ軍が戦場でちょっとした技術革新を起こし、旧ソ連製のBukに手を加えることでシースパローの運用を可能にした」と述べており、これが事実なら旧ソ連機へのAGM-88HARM統合に次ぐ驚きだ。

何をどう改造したらBuk-M1(侵攻前に72輌を保有)でシースパローの制御を行えるのか非常に謎だが、そもそもシースパローの陸上運用はSkyguard SHORADに統合した台湾でしか運用例がなく「本当に奇抜なアイデアだ」と言うしない。

関連記事:対レーダーミサイルAGM-88の残骸がウクライナで見つかる、HIMARSから運用か
関連記事:米国が19番目のウクライナ支援パッケージを発表、AGM-88HARMを追加提供

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain

台湾、中国の手先と化した現役軍人、退役軍人、元海軍少将、元国会議員を拘束前のページ

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コメント

    • うし
    • 2023年 1月 06日

    へぇ~
    そんなことができるんだねぇ~

    31
      • ため息
      • 2023年 1月 06日

      いくらなんでも無茶苦茶すぎると思うが、、、。

      2
      • HY
      • 2023年 1月 06日

       恐らく間に合わせの突貫工事だと思う。うまく動くかどうかは運次第。ちゃんとしっかり動く兵器に拘る現代の日本人には到底真似できないだろうね。

      3
        • G
        • 2023年 1月 07日

        実際に自分たちや背後の非戦闘員の命をかけて戦場で戦っているウクライナ軍がしっかり動く兵器に拘っていないと考える根拠はないと思いますが

        兵器が足りないなら相応の対応をとって被害を多少なりとも抑えられますが、あるものとして行動して動作不良を起こせばはるかに大きな被害をこうむりかねないですよ

        25
          • 2023年 1月 07日

          まぁ検証も無く思い付きでやってる訳じゃないだろうし。
          シースパローなら米国内に腐る程在庫あるようなので
          実現すればウクライナの勝利に相当な貢献ですよ

          8
          • HY
          • 2023年 1月 07日

           戦争という有事においては「品質保証」付きのピカピカ兵器だけを選り好みしている場合じゃないってことだよ。動作確認くらいはするだろうさ。しかし正規の品ではない。でも使えるものは何でも使う。

           私が皮肉ったのはカタログスペックばかりを根拠に「これが強い」「あれが最強」「これはダメ」などと批評家気取りで兵器を論じる現代日本の柔軟性の無さだ。はっきり言ってピカピカ兵器でさえ動作不良は起こすし役に立たないかもしれない。イージス艦で迎撃できるものとして住民の避難を怠ると大きな被害を被る。

          4
            • G
            • 2023年 1月 07日

            軍に限らず病院でもインフラ関係でも何にでもいえることですが、平時での体制と必要な物が足りない戦時での体制を同一視している時点で的外れでは

            緊急時に足りない分をやむを得ず非正規品で補うのでしたらプラスになりうるものの、正規品をそろえられる環境であえて揃えずに非正規品を多種運用すればその分全体的な能力が低下し、運用負担も増え、総合的な戦力低下を招きかねないマイナスかと

            カタログスペックについては考慮しないほうがおかしいですし、その上で試験導入したり他国での運用実績も考慮していますよ
            少なくともカタログスペックが良いちゃんとした兵器はあっても、カタログスペックが悪いちゃんとした兵器や良い不正規兵器は聞いたことがありませんし
            もちろん採用したものの中にはカタログスペックより悪かったものはありましたが、そういったものは順次別のものに更新されています(例えば62式は30年ほど前からMINIMIに更新、既存分は使いつぶす予定?)

            それに私が知っている日本はミサイルを確実に迎撃できるなんて思っておらずJアラートを整備するなど、一般人の日常生活を壊さない範囲でミサイル接近時の避難態勢を整えていっている最中なのですが

            21
              • HY
              • 2023年 1月 09日

               的外れも何も今ウクライナは絶賛有事の真っ最中だよ?方やこちらは戦後78年一度も有事を経験したことのない平和ボケ国家さ。別に非正規の兵器を買えだなんて一言も言ってないし、カタログスペックを見て兵器を買うなとも言ってない。

                • バーナーキング
                • 2023年 1月 09日

                じゃあ有事が迫っているとは言えまだ平時の日本と日本人に対する

                >ちゃんとしっかり動く兵器に拘る現代の日本人には到底真似できないだろうね。

                この「皮肉」とやらは一体何を言いたかったんですかね…

                8
    • 58式素人
    • 2023年 1月 06日

    やはり、ウクライナはそこそこの技術がありますね。
    素人は、HAWKがそうなると思っていました。
    誘導方式が似ていたので。
    でも、西側現役のSAMが使えるならば、なお良いですね。
    あとは、S300に使えるミサイルを探してもらわねば、ですね。

    33
      • 月虹
      • 2023年 1月 06日

      旧ソ連時代からロケットおよび弾道ミサイル(ユージュノエ設計局およびユージュマシュ)、航空機(アントーノウ)、航空機用エンジン(モトール・シーチ)など航空・宇宙産業はウクライナが独占していましたからね。その影響もあってウクライナの大学進学率は80%を少し超える程度と日本より高くなっています(ただしウクライナはヨーロッパやアメリカの様にジョブ型雇用<その職種に必要な経験や資格を持っている人を雇用する>なので職業経験の少ない大学新卒者は就職に苦労するらしい)

      ウクライナはIT産業が発展していて、同様にIT産業が発達しているインドは西側規格の戦闘システムにロシア製の兵装を組み合わせるということをしているので、やはりIT産業が強い国は「インターフェースの違いは些細な問題」といった認識なのでしょう。

      32
    • 干物
    • 2023年 1月 06日

    これも長年旧ソ連製兵器を世界中からかき集め研究運用していた成果の一つなのでしょうか。

    8
      • 無無
      • 2023年 1月 06日

      ロシアが対空ミサイルを対地攻撃に転用するように、ウクライナにも非常時に柔軟な発想を実現できる人材があるという、
      同じスラブ系の優れた面ですね
      惜しむらんかはその知恵を共に戦争に用いてる現状

      32
        • .
        • 2023年 1月 07日

        >惜しむらんかはその知恵を共に戦争に用いてる現状

        ウクライナの兵器産業は今後産業の柱の一つとなる可能性高いし
        今後の国家としての生存がかかった技術力だからねぇ。綺麗事じゃやれない

        西側兵器を東側兵器に転用可能なノウハとか、これ欲しい国は滅茶苦茶多いだろうし
        東と西、両方に通じるウクライナの技術力をアピールして
        ロシアに代わる世界の兵器庫の地位を獲得する野心は絶対あるだろね

        6
          • 無無
          • 2023年 1月 08日

          今そこまで画策する余裕があればウクライナの勝利は疑いないんだけど
          敗けたら何もかもロシアに奪われてしまうもんね

          1
    • トーリスガーリン
    • 2023年 1月 06日

    S300とかと違ってランチャーに乗っけるタイプだったからこそって感じだな
    それでもIFとかデータ入力とかシステムインテグレーションどないしとんねんって感じだけど

    3
    •  
    • 2023年 1月 06日

    リソースもだけど必要性に迫られてこそというものでは。

    12
    • 名無し
    • 2023年 1月 06日

    シースパローって、自分では目標が追えないセミアクティブレーダー誘導なんだが、イルミネーターもブークのものが使えるのかよ?
    「ミサイルシーカーに目標掴ませて、とにかく母機として発射すればOK」のHARMとはインテグレートのレベルが違うンゴねえ〜。
    フェニックスを撃ち尽くしたペルシャ猫に、無理矢理ホーク地対空ミサイル積む的な魔改造感を感じる。。。

    26
    • あお
    • 2023年 1月 06日

    思うに、実は数年係りで検討&研究していたのではないだろうか?
    発射にしろ、誘導にしろ、I/F仕様が解れば何とかなるってもんでもないように思えますし。

    1
    • もり
    • 2023年 1月 06日

    面白いねぇ
    シースパローはまだまだ現役だろうしね
    海自ですらまだ暫く現役だし

    5
    • 名無し
    • 2023年 1月 06日

    シースパローって、自分では目標が追えないセミアクティブレーダー誘導なんだが、イルミネーターもブークのものが使えるのかよ?
    「ミサイルシーカーに目標掴ませて、とにかく母機として発射すればOK」のHARMとはインテグレートのレベルが違うンゴねえ〜。
    フェニックスを撃ち尽くしたペルシャ猫に、無理矢理ホーク地対空ミサイル積む的な魔改造感を感じる。。。

    1
    • 名無し
    • 2023年 1月 06日

    これが可能ならパトリオットのミサイルランチャーをs-300のレーダーシステムを利用して発射してももう驚かんぞ

    7
    • りんりん
    • 2023年 1月 06日

    ARH方式のミサイルならまだわかるのだけど、SARH方式のシースパローを使用可能というのが謎ですね。
    これができるなら、スパロー・シースパローを発射後に乗っ取ることが可能と言うことになります。
    もしかしたらそういう研究をしていて、そり成果の流用とかでしょうか。
    シースパロー自体は古いミサイルですから、いろいろと諸元が漏洩していた可能性はあります。
    しかしだからと言って発射母機側を改造程度で使えるようになるものなのか、なんとも言いかねます。
    余程研究していないと不可能だと思うんだよなあ。
    これについては続報を待ちたいです。

    2
      • バーナーキング
      • 2023年 1月 07日

      いやそこは何かしら識別処理入ってるでしょ。そこらの赤外線リモコンだって機器の識別はある程度できる訳で。
      「正式に供与されて自分が発射する物を誘導できる」のと、
      「他者が発射した物を乗っ取れる」のは全然別の話かと。

      7
      • VRTG
      • 2023年 1月 07日

      基本的なSARHって、周波数***Hzの電波源(正確には反射波)に突っ込めってだけの代物なんで乗っ取る云々は無理です。
      かわりに、曳航式デコイ等で別の電波源を作れば、そっちに突っ込む可能性がありますが。

      応用的なSARHのスタンダード等は指令誘導が入ってるので、乗っ取りは理論上可能です。
      というか、共同交戦は意図的にそれやってますね。

      4
    • 霞ヶ浦
    • 2023年 1月 06日

    シースパローか~
    ウクライナ側から現物手に入れたとは思えないしアメリカとの調整の結果かな

    7
    • shkk
    • 2023年 1月 06日

    まさかBukで西側兵器搭載するとはなー
    さすがに誘導装置はもってくるにしても索敵レーダーと統合して動かせるようにするのって簡単じゃないよね?

    どんな状態なのか気になる…

    1
    • ミリオタの猫
    • 2023年 1月 06日

    私も気になって、他のまとめを彷徨っていたらトンデモ無い物を見付けました
    ルーマニア語のHPなのですが、既に2K12(SA-6ゲインフルSAM)のアップグレード案として、迎撃弾をRIM-7シースパロー(原文の機械翻訳ではスパロー)やESSMに置き換える案が有り、デモンストレーターも制作されていたとの事
    更に、イタリア製のアスピーデ2000に置き換える案も有ったそうです
    となると、技術力のあるウクライナがブークのシステムにシースパローを統合したとしても不思議では無さそうですね

    リンク

    31
    • VRTG
    • 2023年 1月 06日

    RIM-7なら反射波目掛けて飛ぶだけだから、イルミネータの周波数やパルスパターンを合わせれば誘導可能でしょう。
    初期のMk.115イルミネータを見ればわかるように電波を出すだけでいいので、Bukの既存イルミネータに並列でアンテナポン付けでもいけるんじゃないかな。
    これがパトリオットみたいなTVMなら発射機とミサイル間で通信するんでまず不可能になりますが。

    16
      • ネコ歩き
      • 2023年 1月 07日

      同意ですね。
      Bukのイルミネータ発信波を調整ないし改修でRIM-7のシーカ仕様に合わせれば誘導できる理屈です。捜索レーダとの連動制御等は一切いじる必要はない。
      専用イルミネータを別途提供するという情報は今のところ無いし、ウクライナ側がRIM-7を撃てるようBukを改修できるので弾体のみ提供するということなのではと思います。

      13
    • nachteule
    • 2023年 1月 07日

     これが事実なら

    ①ウクライナがブークを解析して近代化させたUkroboronservisを使い既に提供されているAIM-7スパローがベースになったSkyguardAspid解析して対応させたって話が一番しっくりくるのかね。同意の元かは分からないが良いのか。

    ②トルコが力を貸した。対空ミサイル製造ノウハウを持つAselsan(Aselsan Ukraine)単独もしくはRoketsanが協力、AIM-7運用実績はあるがライセンス生産の実績は無いので可能性は低い。もしくはBaykarを通じてトルコの防衛産業が協力。

    ③先に挙げた①②の部分的な合わせ技。

     ブークミサイル大隊自体はコマンドポスト、ランチャー、探索/射撃統制レーダーステーション等複数のユニットで防空システムを形成しているから全てを一つでこなす必要があるスタンドアロン防空システムよりは対応はし易いだろうな。

      • ネコ歩き
      • 2023年 1月 07日

      提供を前提にして米側があらかじめAIM-7の誘導発信波を教えていたのでは。
      レーダ技術者ぐらいウクライナにも居るでしょう。

      3
      • バーナーキング
      • 2023年 1月 07日

      「よう、お前んとこの兵器解析して使える様になったんで供与してくんね?」
      こんな事言われて供与する奴おらんでしょ。
      供与するからには供与元から事前に仕様が提供されてるに決まってると思うんだけど…。

      11
    • ブルーピーコック
    • 2023年 1月 07日

    フェニックスやハープーンのパクリとか言われていたミサイルがあったが、実際にパクるかスパイ活動で入手した技術で開発してたから技術的素養というか下地みたいのはあったのかも。

    1
    • すえすえ
    • 2023年 1月 07日

    シースパローが使えるなら結構役立つかも

    西側の対空ミサイルとしては在庫が多そうだし潤沢に提供できるかも

    7
      • 名無し
      • 2023年 1月 07日

      機能制限したESSMをシースパローの代替ミサイルとして販売していますよね?
      であれば意外に在庫、無いのでは?

        • すえすえ
        • 2023年 1月 07日

        新規生産分はないかもだが十年二十年生産されて調達してきた在庫は西側の各国にあるだろ
        それこそESSMに置き換えて不要になった在庫もあるだろ

        8
    • 市民団体職員
    • 2023年 1月 07日

    アメリカな言いなりである岸田政権ではできない発想ですね。軍事費をアメリカに貢ぐ岸田にはNOです。

    1
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