米当局者はWSJの取材に「ロシア軍は航空機の約90%をATACMSの射程圏外に移動させている」と述べていたが、ホワイトハウスのカービー報道官も4日の会見中「ATACMSを使用すればロシア軍機を地上で破壊できるという見方は間違っている」と指摘した。
参考:Press Briefing by Press Secretary Karine Jean-Pierre
参考:Кірбі: ATACMS не зможуть вразити 90% літаків РФ, якими та атакує Україну
参考:US close to agreeing on long-range missiles for Ukraine; delivery to take months
参考:Above All Else JASSM Would Give Ukraine A Steady Supply Of Cruise Missiles
座標が判明したロシア軍機を移動される前に破壊するは戦術弾道ミサイルの方が適している
ゼレンスキー大統領はF-16の実戦投入について「素晴らしい成果をもたらしミサイルや無人機を数機撃墜した」「我々はF-16を提供してくれたパートナーに感謝しているものの十分ではない」「ロシアは2年半に及ぶ全面戦争中、約1万発の様々な種類のミサイルと3.3万発以上の滑空爆弾をウクライナに発射した」「この攻撃を阻止するには兵器を運搬するプラットフォーム、つまり基地に駐機されている航空機を狙えばいい」と述べ、国産長距離兵器の開発・配備と共に「ロシア領内へのATACMSやストームシャドウの使用を認めて欲しい」と要請している。
米当局者はWSJの取材にホワイトハウスは方針を変更する予定はない」「ロシア軍はATACMSのウクライナ供給に対応するため航空機の約90%を射程圏外=国境から300km以上離れた基地に移動させている」「つまりATACMSをロシア領内に向けて発射しても効果は最小限に留まるだろう」「ロシア領内の標的=航空機を叩くには国産ドローンの方が効果的だ」と回答していたが、ホワイトハウスのカービー報道官も4日の会見中「ATACMSを使用すればロシア軍機を地上で破壊できるという見方は間違っている」と指摘した。
カービー報道官は「滑空爆弾や巡航ミサイルでウクライナを攻撃しているロシア軍機の90%は国境から300km以上離れた基地に配備されている」「そのためロシア領内に対するATACMS使用を認めれば『ウクライナを攻撃する航空機の大半を破壊できる』という考えは間違っている」「したがって現在の方針を変更する予定はないし今日話せる方針の変更もない」と述べ、ロシア領内の標的=航空機を叩くにはATACMSやストームシャドウよりも射程の長い国産ドローンの方が効果的なのだろう。
因みにReutersは3日「米国とウクライナはJASSM提供で合意に近づいている」「まだ最終決定は下されていないものの秋に発表される可能性がある」「仮に提供が決定されても技術的な問題を解決するのに数ヶ月はかかる」と報じたが、F-16で使用できるJASSMには初期型のAGM-158A=JASSMと、射程が拡張されたAGM-158B=JASSM-ERが存在し、WARZONEは「JASSM提供で問題になるのは技術的機密性だ」「20年前に開発された電子機器やセンサー技術ですら機密性が高いと考えられており、特にステルス性能に関する設計と機体に使用された材料特性の漏洩が最も懸念される」と述べ、以下のように指摘している。
“中国との戦いにおいてJASSMは不可欠な要素であり、長距離攻撃の主力兵器として大量使用が見込まれている。その能力をリスクにさらすこと大きな問題だ。どのような技術的変更や進化がJASSMの発展過程で取り入れられたのか、初期生産モデルを提供しても後期生産モデルや派生型の技術的特性が危険に晒されるのかは一切分からない。既に中国やロシアといった敵対国がJASSMについて何かを知っているかもしれない。もし多くの情報が漏洩済みならJASSMをウクライナに提供するリスクは小さくなるだろう”
“JASSMは過去の戦闘で使用され、残骸の一部が敵対国の手に渡った可能性があるものの非常に限定的な話だ。ロシアはウクライナでストームシャドウの様々な状態の残骸を回収し続けている。米国はJASSM提供によって生じるリスクを受け入れることが出来るだろうか?”
ATACMSのロシア領内使用を認めない状況でJASSMを提供するということは「ストームシャドウの代わり」である可能性が高く、そうなると推定射程900kmのJASSM-ERではなく推定射程370kmのJASSMが、しかもストームシャドウと同じようにクリミアを含むウクライナ領内での使用に制限されるだろう。
JASSM-ERが提供されてロシア領内への攻撃に使用しても良いとなれば「戦いのルール」が変更されるものの、亜音速の巡航ミサイルは目標到達まで時間がかかるため「移動可能な目標を攻撃するのに適している」とは言えず、座標が判明したロシア軍機を移動される前に破壊するは戦術弾道ミサイル=PrSMの方が適している。
関連記事:米国はATACMSの制限を変更しない、ロシア領内への攻撃は国産兵器で
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関連記事:イスラエル、ベルリン航空宇宙ショーで空中発射式の戦術弾道ミサイルを公開
※アイキャッチ画像の出典:Photo by John Hamilton
ATACMSと同じでウクライナ領内だけの使用になったりして。
それでもHIMARSは30両くらいしかないから、F-16が増えたら役に立つのは間違いないけど。
ロシアからキンジャールを買おう。
このキンジャール全然当たらないのだけど。
ハングル書いてあるし。
兵器はロシア以前にウクライナが中国に横流しするでしょうからねー今までも散々だったし。現行の切り札になり得る奴は渡したくないですねー
無駄に手を抜くから、犠牲者ばかり増える。
米国人にしてみれば「Who cares?」ってなもんで。
気になるのは支援金額だけでしょう。
極東と違って同盟国でもなし深入りしても米国の国益にはそこまで影響が無いってのは分かるけど、去年の議会の牛歩戦術といい正直同盟国がどういう目で見てるのかは理解してほしいわ
そもそもスラヴ人同士を争わせて数を減らすことが目的ですからね。
こんなのに頼ったウクライナ人たちがただただ哀れです。
「必殺技」をホイホイとウクライナに渡して、破片なり残骸なりのかたちで、中国の手に渡り、
自分にとっての「本番」であるアメリカ〜中国戦の際に、性能を見切られて裏を掻かれるとか、
間抜け者の鑑じゃないですか?
それとも、あなたが中国の回し者でござったか。
あれだけさまざまな兵器を大量に渡して訓練して無駄に手を抜いているとか流石におかしいでしょ。
支援はウクライナに気持ちよく戦ってもらえるようにしている訳でもないし、軍内部での汚職の問題や兵役拒否とか政府方針とかのウクライナ内部の問題を全く無視して全てを外部にぶつけるとか流石にね。
まあロシア領内への無制限攻撃を許可したら確実に兵站拠点を叩くとして国境付近の都市部への空爆が行われるでしょうし支援側としてはばつが悪いわな
自衛の為の敵国攻撃はG6の無制限に近い庇護を受けているイスラエルですら渋い顔されてるわけでウクライナをそのステージに上げるとは思えません
自国で生産してて都市部に無駄打ちできるロシアと違って、供給を外部に頼ってるウクライナには余剰ってものがないから都市部への攻撃には使いたくても使わないと思われ
ウクライナ人にそんな合理的な思考ができるならクルスクで戦力の浪費なんかしてない。
手っ取り早く派手目の政治的「戦果」を得るため都市部のソフトターゲットを真っ先に狙う
>ロシア軍は航空機の約90%をATACMSの射程圏外に移動させている
これだけでも相当に効果ありますね
往復600㌔余計に飛ばなきゃいけませんし
「これだけでも相当に効果ありますね」ってのは過大評価やな。600km追加でも片道15分、太平洋戦争じゃあるまいし、ロシア軍にとっては大した時間ロスにはならん。むしろ安全確保のために効果的に対応できてるだけや。
まあ、ヘリコプター相手ならそれなりの効果があるんじゃないんですか。といっても攻撃ヘリは防衛時に役立つ兵器で、今のロシア軍押せ押せムードではカモフもハインドもさして使われてないですから、効果は薄いのでしょうけど。
敵地攻撃使用を認めるならあの反転攻勢時がタイミングでしたね。今更遅すぎです。駐機している対戦車ヘリをクラスター弾でまとめて吹き飛ばせていれば、前進する西側装備の戦車隊が幾分楽になったんでしょうが、ここまで戦況が悪化してしまってはうーん…
時速2400kmって、まさか戦闘機が常にマッハ出してると思っているのですか?
たとえスーパークルーズできる機体でも経済速度ってワケでもないでしょうに。
あと公称されている航続距離はフェリーのことが多く、爆装してたらどんどん燃費は悪くなります。
失礼、往復ですから1200km/hでしたか。それでも相当出してますが。
滑空爆弾放り込んで帰るだけで空戦するわけでなし燃費は大して気にしていないでしょう
むしろ回転率のために速度は稼ぐと思います
アフターバーナー焚きっぱなしにしたら5-8分程度で燃料切れ
アフターバーナー焚かなかったら、時速900kmそこそこ
しかも低空飛行
ぶっちゃけまだ許可してないのにロシアが大事を取って勝手に航空機下げててくれるんだから、もうこのままでいいと思うの
戦わずして相手にプレッシャー与えられてるんだからもう十分でしょ。
M0.9くらいが経済速度なのは悠々と高度10000mとか飛べる場合ですね。
ウクライナ戦争の空はそういうのどかな環境ではないでしょう。
速度をあげると燃費だけでなくエンジンの寿命も減る
ロシア製エンジンは耐久性が低いのでそんなにエンジンを酷使したら頻繁な整備と交換が必要になって、稼働率の低下と整備コストの上昇をまねくと思う
>むしろ回転率のために速度は稼ぐと思います
その「回転率」に片道300kmがハードルになる、って話ですよ?
時速1200km/hで低空飛行できるかな。
ATACMSが供与されればロシアの占領地域全域が射程に入るからゲームチェンジャーとなると言ってたのに、結局そんなことにはならなかったんだから同じこと。
そもそも数が足りませんからね
ロシアの偵察火力複合体は時に戦車相手にすら弾道ミサイルを使いますが、ATACMSはより高価な目標を狙わなければなりません
ATACMSを解禁しても実際の効果が薄いと見込まれるなら、あたかも伝家の宝刀の如く「解禁するぞするぞ」とカードとして取っておいた方がいい。一応ブラフに使える程度の能力はあるのだから。
もし敵地攻撃を解禁して、戦局がさして変わらないのが実地証明されてしまったら、もうアメリカがロシアに圧力をかけられるカードが無くなってしまう。
500ポンド級の単一弾頭を積んでるんだ。航空機破壊は無理でも、戦線後方の目につく橋梁を壊して兵站を混乱させるくらいは出来るし、クラスター弾頭でS-300/400防空ミサイルを攻撃してSAMを沈黙させること可能だ。まあ、今の戦況悪化は歩兵と砲弾不足によるものなので、あんまり効果はあるまいが。
ウクライナのために軍事機密が漏れるリスクは極力避けたい
機密性が高い兵器は色々取扱いも大変だな
電子戦システムのアップデートが、ATACMSを捕獲したことで行われているという報道もあるため、ゲームチェンジャー論は期待しないほうが無難かなと。
クルスク攻勢により、支援国との外交面にどのような影響がでたのかは少し気になっています、クレバ外相も戦時中なのに交代になっていますし…
(2024年7月2日 ロシア、米「ATACMS」の誘導技術を研究 装置回収=報道 ロイター)
なんとなくですが、言い訳にしか聞こえないです。
十分な数を供給できないのかな。
射程300km未満であっても、航空機以外の目標は山のようにあるのでは。
供与検討中と伝えられるJASSMでも同じことをするのかな。
単なる、余剰兵器の廃棄先、と思っているのかな、とも思えます。
話変わりますが、
数日前の他所の記事で、クリミア大橋を渡ってロシアに向かって全速力?で走る熊の動画がありました。
側から見るとユーモラスでしたが、クリミアでさらに大規模爆撃が行われる?のかな?。
動画の熊は避難だったりして?(笑)。