米国関連

米国、過去最大規模のウクライナ支援パッケージを月曜に発表予定

バイデン政権は今月1日に17番目のウクライナ支援パッケージ(5.5億ドル)を発表したばかりだが、ロイターは「まもなく18番目の支援パッケージに大統領が署名する予定で、今回の支援規模は過去最大の10億ドルになるだろう」と報じている。

参考:U.S. readies new $1 billion Ukraine weapons package

とりあえず無償提供のPDA経由で装備や弾薬をウクライナに送りつけるつもりなのかもしれない

米国のウクライナ支援パッケージには必ず「装備提供」と「弾薬提供」の両方が含まれていたが、国防総省のジョン・カービー報道官は17番目のウクライナ支援パッケージについて「HIMARS向け弾薬と155mm砲弾×75,000発が含まれている」と言及したため、海外メディアは「ウクライナ軍のGMLRS弾不足を改善するためものだ」と主張して注目を集めていたもののロイターは「まもなく18番目の支援パッケージに大統領が署名する」と報じている。

出典:U.S. Marine Corps photo by Pfc. Sarah Pysher

18番目の支援パッケージにはHIMARS向け弾薬、NASAMS向け弾薬(恐らくAIM-120)、医療機器を搭載したM113×50輌が含まれる予定で、支援規模も過去最大となる「10億ドル」になるらしい。

因みにバイデン政権は5/19に12番目1億ドル、6/1に13番目7億ドル、6/23に14番目4.5億ドル、7/8に15番目4億ドル、7/23に16番目2.7億ドル、8/1に17番目5.5億ドルを発表したが、18番目の推定10億ドルは8/8に発表される予定なので支援発表の間隔は早まっている。

出典:Soldatnytt/CC BY 2.0 NASAMSランチャー

恐らく議会が承認した「国の安全保障にとって緊急事態が存在すると大統領が判断すれば議会の承認手続きなしに国防総省が手に入れられるものは何でも自由に当該国に送ることが出来る大統領権限(PDA)」の上限引き上げ=残り318億ドルの枠が2022会計年度が終了(9月30日)して本来の1億ドルに戻るためだろう。

9月以降のウクライナ支援をPDA経由で行うのか、ウクライナ・レンドリース法経由で支援を行うのか今のところ不明なので、とりあえず無償提供のPDA経由で装備や弾薬をウクライナに送りつけておきたいのかもしれない。

関連記事:バイデン政権がレンドリース法でウクライナ支援を行わない理由
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関連記事:HIMARSの弾薬不足が改善か、ウクライナ軍は夜を昼に変える準備が整う
関連記事:ウクライナが待ち望む防空システム、NASAMSを扱うための訓練を開始か

 

※アイキャッチ画像の出典:Raytheon NASAMSランチャー

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コメント

    • 名無し
    • 2022年 8月 06日

    平地での戦車戦が主になるって話あったけど、実戦では大砲の雨霰のほうが効果発揮するんだなあと思うなど。

    10
    • 2022年 8月 06日

    PDAって、一瞬懐かしいタブレットかと

    3
      • 名無し
      • 2022年 8月 06日

      懐かし。Palmとか今はどうなったのやら。

    • 2022年 8月 06日

    はよATACMS送ってやれや

    13
      • 無無
      • 2022年 8月 06日

      ATACMSを別に今クリミア半島で使用しなくていいんです、すぐに奪還できる情勢でもない
      各地でウクライナがより長い投射手段を用い始めた時に、ロシアが自慢のイスカンデル等の高性能なミサイルで対応できるのか、懐具合と手の内を晒させてしまうことに意味がある

      2
    • 半分の防衛費の国から
    • 2022年 8月 06日

    日本にも空母打撃群とミサイル迎撃システム支援パッケージ、欲しいですね、あ、無い物ねだりは駄目ですね、地道に開発するしか‥あぁ、開発費が足りない(泣)

    リンク

      • くらうん
      • 2022年 8月 06日

      空母打撃群なんて整備する金があるなら、長距離SAMとSSMで接近拒否領域を拡大、そして情報機関設立をはじめインテリジェンス能力を向上した方がいい。

      10
    • NATTO
    • 2022年 8月 06日

    そろそろ、ウクライナの財政は大丈夫なんだろうかが気になる。
    人間なら点滴やアレコレ繋ながらケンカしてる状態では?
    そのまま、たれ流しなのがアフガニスタンや南ベトナムだったと思う。

      • 戦略眼
      • 2022年 8月 06日

      そのための穀物輸出。

      9
    • 戦時国債をガバガバ刷っているみたいだから、1年くらいは大丈夫…だと思う。
      2年や3年も続いたら分からん。

      4
      • Ard
      • 2022年 8月 06日

      大日本帝国だってロシアとの戦争は英米から金借りて戦ったんだ。21世紀は日本が貸してあげれば良い。アフガンベトナムと違って自らの強固な意思で戦ってるウクライナは強い。全力で支援すべきだ。

      26
      • 7743
      • 2022年 8月 06日

      この場合は戦時国債を売って資金を集めるしかありません。
      買い取った国はウクライナが滅びれば紙屑になるので、そうならないように支援します。
      戦争が終わった後は、その借金はロシアの賠償金か長期の返済計画か欧米主体の復興支援になるか、その組み合わせになると思いますが、借り手・貸し手ともに、まずは国が存続しなければならないので、戦争が終わるまでは支援が続くでしょう。

      16
        • みくす
        • 2022年 8月 06日

        戦争の行末を想像するのは楽しいと言ったら不謹慎だが、体操にはなりますよね。

        ロシア側は国土失ったわけでもなく人口損じたわけでもなく、精鋭とはいえ、人間と兵器は失った分だけ再生産すれば良いわけですからデフォルトしてもビクともしない。鉱物資源と食料生産は豊富で砂糖と言った幸福資源も中国と貿易すれば良い。
        引き換えウクライナ側は重工業地代のドンバス地方が戦争中で損害受け黒海流域を抑えられ小麦生産も輸出も損なわれて、もはや破綻国家なのでは。

        2
      • paxai
      • 2022年 8月 06日

      今は毎月90億ドルの財政赤字と悪化してるらしいですからね。
      それと9/1にある14億ドルの元利払いがあるのですがこれを乗り切る事は難しくデフォルトするのではないかと・・・

        • ミリオタの猫(やっぱり、アンツィオ…いや、ロシア軍は強い!)
        • 2022年 8月 06日

        只、ウクライナの場合は欧米側が金融機関に対して損切りの対策をする可能性が有るから、仮にデフォルトしても戦局に大した影響は出ないでしょうね。

        5
    • あばばばば
    • 2022年 8月 06日

    一方日本は追加支援として中古車と小型ドローンを送った

    2
    • 折口
    • 2022年 8月 06日

    NASAMS本当に供与するんですね。砲弾やロケットが飛び交う前線はともかく、思い出したように巡航ミサイルや弾道ミサイル攻撃に晒されている戦域後方の都市部や軍事施設に安全地帯を形成するという意味では有用なのかな…?ジャベリンどころじゃなくコスパが悪い兵器なので、ガザ防空の時みたいに盛大に使うところはちょっと想像できませんが

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