米国関連

F-22稼働率引き上げは絶望的か、米空軍は正式に戦闘機稼働率80%という目標を放棄

米空軍は7日、ジェームズ・マティス前国防長官が命じた「F-22、F-35、F-16の稼働率80%まで引き上げよ」という命令を公式に放棄することを明らかにした。

参考:US Air Force bails on Mattis-era fighter jet readiness goal

空軍は各司令官が独自に準備体制の目標を設定する2018年以前の状態に戻す

これは2018年、ジェームズ・マティス前国防長官が空軍と海軍に対し戦闘機(空軍F-22、F-35A、F-16、海軍F/A-18E/Fが対象)の稼働率を80%以上に引き上げろと命じたことが発端だ。その後、彼はシリアからの米軍撤退問題でトランプ大統領と衝突し辞任してしまったが、この命令は国防長官としての命令なので彼が辞めたあとも生き続けることになった。

補足:ここで言う稼働率とは対空任務や対地任務など複数の任務をこなす航空機が一つでも任務をこなせる状態にあることを指したミッション達成率(Mission Capable)で、複数の任務にすべて対応可能な状態にあることを指したフルミッション達成率(Full Mission Capable)ではない。空軍のF-15Cと海軍のF-35Cが対象に入っていないのはF-15Cは老朽化の関係、F-35Cは初期運用能力未達だったため。

出典:public domain F/A-18E

海軍は昨年、F/A-18E/Fの稼働率を80%以上に引き上げること成功したと明らかにして今後も高い稼働率を維持していくと表明したが、空軍は整備に手間がかかるF-22(ハリケーンによって17機が損傷したことも影響)や部品供給体制に問題のあるF-35Aの稼働率を引き上げるのは絶望的で稼働率を80%以上に引き上げるのは無理だと早々に白旗を挙げていた。

関連記事:ステルス処理されたキャノピー不足が原因? 米軍、F-35の稼働率「80%達成」ならず

空軍が7日に明かした2019年の稼働率(カッコは2018年の数値)はF-22:51%(52%)、F-35A:62%(50%)、F-16:73%(70%)で3機種とも目標の80%には程遠く、現在の空軍は各司令官が独自に準備体制の目標を設定する2018年以前の状態に戻っており、今後は一律に稼働率を80%まで引き上げるという目標は追及しないらしい。

因みに各司令官が独自に準備体制の目標を設定していた2018年のミッション達成率(Mission Capable)は以下の通りで、恐らくこの程度の水準に戻るのだろう。

機種 保有数 ミッション達成率
B-1B 62機 51.75%
B-2A 20機 60.70%
B-52H 75機 69.30%
CV-22B 50機 59.41%
F-15C 212機 71.47%
F-15E 218機 71.16%
F-16C 725機 70.03%
F-22A 186機 51.74%
F-35A 147機 49.55%
C-5M 50機 62.77%
C-17A 222機 82.57%
C-130H 177機 68.30%
C-130J 123機 76.68%
MQ-1B 93機 92.20%
MQ-9A 247機 90.24%
RQ-4B 34機 73.65%
U-2 27機 76.90%
T-1A 178機 58.90%
T-6A 444機 66.00%

本当にこれで良かったのだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:US Air Force / Airman 1st Class Isaiah Soliz

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 5月 08日

    第6世代以前に、F-22の任務を安定して達成できる機体の開発をした方がいいのではないか?

      • 匿名
      • 2020年 5月 08日

      そうなると絵に描いた餅でしかないデジタルセンチュリー構想か、日本のNGFの開発に参画するしかなくなってきそうですね。
      議会側としてみれば、F-22と同じ制空戦闘機であり、なおかつ開発費を日本と折衝できるNGF開発計画の方が魅力的に見えるでしょうけれども。

        • 匿名
        • 2020年 5月 08日

        いやあ・・・F-3も稼働率8割維持できるのかとても心配ですよ。
        少子高齢化で自衛官も人材不足で泣いてるみたいですし、益々現場は大変になるのでは。

          • 匿名
          • 2020年 5月 08日

          今の空自での稼働率はどの位なのだろう?
          90%程度との記述を見かける一方、稼働率が悪いとしてる某氏の記事もあるし。
          いやまぁ、某氏は自衛隊の貶し記事ばかりで、参考にするのは誤りかもしれないけど。

            • 匿名
            • 2020年 5月 11日

            こういう数値って公表を義務化出来ないのでしょうか。
            国益や機密情報などとの関連もありますが正当な議論が出来にくくなっているとも思われます。
            知る権利云々などと理屈を捏ねる気は無いのですが。

    • 匿名
    • 2020年 5月 08日

    >空軍のF-15Cと海軍のF-35Cが対象に入っていないのはF-15Cは老朽化の関係、F-35Cは初期運用能力未達だったため。

    対象外のF-15Cが、僅差とはいえ空軍戦闘機の中で一番良い値なのは、皮肉な結果ですね。

    • 匿名
    • 2020年 5月 08日

    パッと見そこまで悪い数字にも見えないがF-35だけはいただけないな
    そしてそれって日本も影響受けるってことだよなぁ……
    早いとこ何とかしてくれよアメリカさんよ

    • 匿名
    • 2020年 5月 08日

    数字だけみたら無人機バンザーイ

    • 匿名
    • 2020年 5月 08日

    経緯や顛末は別としても、中国の脅威が増大していく中でこのミッション達成率という問題提起は、慢心や傲りが無いとはとても言えない米軍に対し非常に重要なものだったと、いずれ振り返ることになる気がします。

    • 匿名
    • 2020年 5月 08日

    ミッション達成率、興味深いですね。

    Su-27、Su-35、J-11Bのミッション達成率が公開されたらもっと面白いと思いますよ。
    共産、社会主義国なので自国に都合の悪い事は公開しない国柄ですが、Su-27系列のエンジン(AL-31FP)は改良型でも寿命は2,000時間と西側のエンジンよりもかなり短寿命です。
    更に中国製エンジンは、ロシア製エンジンをコピーしたものの寿命はオリジナルの足元にも及びません。その後、短寿命の問題を解決できたというニュースもありません。

    リューリカ=サトゥールン AL-31 リンク:
    リンク

      • 匿名
      • 2020年 5月 09日

      >Su-27、Su-35、J-11Bのミッション達成率が公開されたらもっと面白いと思いますよ。

      エンジン変えずに機体寿命終わらせる予定で、予備が本当の予備である西側機体より、
      初めからエンジン交換する前提で予備がたんまりある東側の機体の方が高稼働率、ということですかね。

      • 匿名
      • 2020年 5月 09日

      >Su-27、Su-35、J-11Bのミッション達成率が公開されたらもっと面白いと思いますよ。

      エンジン変えずに機体寿命終わらせる予定で、予備が本当の予備である西側機体より、
      初めからエンジン交換する前提で予備がたんまりある東側の機体の方が、故障してもすぐ交換出来て高稼働率、ということですかね。

      • 匿名
      • 2020年 5月 09日

      その分価格も安く次々と交換するとして、一体どれほど稼働率に影響するのかよく分かっていませんからね。

    • 匿名
    • 2020年 5月 09日

    中露の機体の稼働率が5割以下、ものによっては2割という話もあるし
    やはり米軍はすごいよ

    • 匿名
    • 2020年 5月 10日

    歴代元空自補給本部長の方がここ数年で二人も空自の絶望的な整備体制補給体制を暴露してますからね…スクランブル機以外はろくに飛べないと
    どこの国も抱える問題なんでしょうね…

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