米国関連

戦闘機を撃ち落とす爆撃機?ステルス爆撃機「B-21」は空対空戦闘が可能

米空軍が開発中のステルス爆撃機B-21「レイダー」は、空対空戦闘が行える能力を備えているらしい。

参考:U.S. Air Force’s new B-21 bomber will likely have air-to-air defense capabilities

将来、B-21にキルマークが描かれる日が来るのかもしれない

米空軍が爆撃機B-1B、B-2Aの後継機として現在、開発中のステルス爆撃機B-21「レイダー」は、現代の戦闘機が備えているのと同等の空対空戦闘能力を備えていると空軍のプレウス少将が明かした。

B-21は、接近阻止・領域拒否(A2/AD)の空域を貫通し、重要な施設を攻撃できるだけの高い生存性を持った航空機で、このような性能を成立させるためB-21は優れたステルス性能を持つよう設計されているが、これに加えB-21が装備するレーダーは、戦闘機が装備するような高度な空対空モードを備えているらしく、恐らくこれは、空対空ミサイル「AIM-120(または開発中のAIM-260)」の運用能力を持っているという意味だ。

出典:FFA P-16 / CC BY-SA 4.0 AIM-120 AMRAAM

これは敵戦闘機とB-21が積極的に交戦するということではなく、任務遂行中に最悪、敵機に発見され捕捉された際、反撃手段を持っているということになる。

そもそもB-21は、凹凸のない完璧な曲線で構成された全翼機だと言われており、中国やロシアがステルス機の探知のため開発を進めている長波を利用したレーダーに対し、非常に有効なステルス性能を発揮すると見られており、高度に防衛体制が構築された接近阻止・領域拒否(A2/AD)空域内でも、敵に気づかれず、ターゲットを破壊することが可能だ。

B-2と同じようにエンジン全体を胴体へ埋め込むことで、ジェットエンジンの排熱を制御することができ、赤外線探知に対するステルス性も確保しやすく、レーダー吸収材料や人工メタマテリアルを使った、新しいステルスコーティングの開発が行われており、これがB-21に使用されると言われている。

出典:pixabay B-2 Spirit

敵にしてみれば、B-21をレーダーで捕捉するだけでも難しいはずだが、仮にレーダーによって捕捉できたとしても照射した電波を探知したB-21が、逆に対レーダーミサイル「AGM-88」で応戦してくれば、敵は電波を止めざるを得ないし、掴んだ位置情報を元に、戦闘機を迎撃に向かわせれば、今度は空対空ミサイル「AIM-120」が飛んでくるという、非常に厄介な相手になる。

ただし、空対空戦闘能力を備えるということに欠点が無い訳ではない。

敵機を捕捉するには搭載されたレーダーを使用しなければならなず、自ら電波を出すということはステルスを損なうことに繋がるため、あまり褒められた話ではない。

早期警戒機やF-35から受信した情報を元にAIM-120で敵機を迎撃するなら、B-21の秘匿性は守られるだろうが、やはりAIM-120を使用する事態に追い込まれるというのは、B-21のパイロット(無人運用可)にとっては避けたいはずだ。

将来、B-21にキルマークが描かれる日が来るのかもしれないが、出来るなら敵に見つかる前に任務を終えて脱出したいと言うのが本音だろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:Public Domain Northrop Grumman B-21 Raider

視界外戦闘も可能、F-35のステルス性能を損なわない新型「AIM-9X」は万能か?前のページ

10月にはモックアップ公開も?韓国型戦闘機「KFX」が登場するCG動画を公開次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米メディア、陸軍の近距離防空システム「IM-SHORAD」はUAVの的になるだけ

    米国の経済誌「フォーブス」は14日、米陸軍が無人航空機(UAV)対策と…

  2. 米国関連

    米軍、運用コスト削減に失敗するとF-35維持に年間1.7兆円もの負担が必要

    米国の政府説明責任局はF-35の運用コスト削減が達成されない場合、20…

  3. 米国関連

    米戦争研究所、キーウ再侵攻の可能性を真剣に受け止めなければならない

    米戦争研究所は23日、ロシア軍部隊がベラルーシに移動しているという話は…

  4. 米国関連

    27時間燃え続ける米海軍のワスプ級強襲揚陸艦、懸命な消火活動が続く

    米海軍のワスプ級強襲揚陸艦6番艦「ボノム・リシャール(LHD-6)」は…

  5. 米国関連

    新型コロナの影響を受けたF-35、2020年の供給量は前年度割れでフィニッシュ

    ロッキード・マーティンは28日、今年製造した123機目となるF-35を…

  6. 米国関連

    日本のF-35整備拠点を利用するアジアの国は? シンガポールへF-35B販売を米国承認

    米国防総省の国防安全保障協力局(DSCA)は9日、シンガポールに対し最…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 9月 06日

    ルーデル「爆撃機で戦闘機を撃墜かあ。懐かしいなあ。俺もやったもんだ」

    • 匿名
    • 2019年 9月 06日

    つまり…ステレス戦闘爆撃機が作りたいんだね?
    F-117戦闘機(笑)の二の舞になりそうで草

    • 匿名
    • 2019年 9月 07日

    単独で運用できるにしてもB-21はミサイルキャリアとしての位置づけで索敵とロックオンは先行する無人機に任せる方式でしょ
    ウェポンベイを開いてもステルス性能が維持されるよう設計されてるのかもしれないな

      • 匿名
      • 2019年 9月 08日

      米空軍の展望は、そういう事でしょうな。

    • 匿名
    • 2019年 9月 07日

    これあれだ
    必ず二機で行動して
    一機目がF-35やAWACSがとらえた目標めがけてばら蒔いて逃げて
    後々本命の爆装が相手を対爆施設ごと吹っ飛ばす
    これなら色々安く収まる

    • 案山子
    • 2019年 9月 08日

    それでもB-52を延命して使い続ける米空軍でした。

      • 匿名
      • 2019年 9月 08日

      たくさん積めて長く飛べるはアレで完成形だから

    • 匿名
    • 2021年 6月 08日

    いっそのこと、無人機のレーダー・センサー情報をもとに、敵側のAWACSや給油機に長射程ミサイルを打ち込む役とかもあり…?

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  3. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  4. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  5. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
PAGE TOP