米国関連

米陸軍、M777更新用の自走砲試作契約に韓国製のK9MHを選定

米陸軍のM777を置き換える機動戦術砲=Mobile Tactical Cannonプログラムの試作契約を巡ってK9MH、SIGMA、シーザー、RCH155、アーチャーが争っていたが、米陸軍は18日「試作契約をハンファ・ディフェンスUSAと締結した」と発表、韓国のハンファは念願だった米陸軍採用に王手をかけた。

参考:Army selects Mobile Tactical Cannon prototype system to advance Fires modernization
参考:Hanwha Wins U.S. Army Mobile Tactical Cannon Contract
参考:Army picks Hanwha’s wheeled K9 for self-propelled howitzer prototypes

正式な調達契約を獲得した勝者はM109A7更新においても有利な立場を獲得する可能性が高い

米陸軍は大砲の射程拡張を目的にしたExtended Range Cannon Artillery=ERCAプログラムを立ち上げ、M109A7の車体、58口径155mm榴弾砲搭載の新型砲塔、射程延長弾の組み合わせで70km超の射程確保を狙っていたが、2025年度予算案の中で「ERCAの取り組みを停止した」と明かし、調達や兵站を担当するブッシュ陸軍次官補も「ERCAの試みは量産に移行できるほどの成果が得られなかったが、戦術火力の徹底的な研究において射程を拡張したプラットホームの必要性が再確認されている」「そのため開発済みのプラットホームや弾薬に関する情報提供依頼書(RFI)をまもなく発行する」と言及。

出典:Photo by Lance Cpl. Katherine Cottingham

米陸軍は2025年12月「新型自走砲の取得はM777を置き換えるためのもの」「まずはストライカー旅団戦闘団(SBCT)のM777を置き換え、歩兵旅団戦闘団(IBCT)などに展開される」と説明し、メディアは「市場で入手できるものベースにする」「機動性はHIMARS並み」「防御力はM109A7並み」「制圧射撃の最大射程は58km」「精密射撃の最大射程は70km」「最小射程は4km」「最低でも3発以上のエクスカリバー砲弾を格納できること」「射撃速度は最低でも無誘導弾は分6発/誘導弾は分3発」といった条件を報じ、国内生産、米軍規格への対応、持続的な戦闘能力の保証、物流への負担とコストを削減する対策なども求められる。

Breaking Defenseは2026年2月「陸軍は待望の自走砲調達契約を7月までに締結することを目指している」「提案依頼書の発行から僅か10ヶ月後に契約を締結するというのは調達改革のスピード重視が反映された動きだ」「陸軍は2月下旬までにプロトタイプ提案のためのドラフトを、3月に最終案を公開する計画だ」「この競争入札に参加する企業は発表されていないものの入札参加を表明している企業は韓国のハンファ、ドイツのラインメタル、米国に拠点を置くエルビット・アメリカ、同じくレオナルドDRSとKNDS Franceのコンソーシアムだ」「ジェネラル・ダイナミクスやBAEシステムズも潜在的な競争者と見られている」と報じた。

出典:UK Ministry of Defence

そして米陸軍は機動戦術砲=Mobile Tactical Cannon(MTC)プログラムの試作提案要求(RPP)を公開し、この入札に参加する企業はM777を置き換えるため装輪式自走砲のプロトタイプ(6基~12基)納入契約を争うことなり、米陸軍の野戦砲兵将校だったビル・コジアー元中佐はDefense Newsへの寄稿で「走行中でも正確な射撃が可能なRCH155を採用すべきだ」「RCH155は異なる装薬量と仰角で最大5発の砲弾を2秒以内に目標へ叩き込むことができる」「この能力はHIMARSの制圧射撃にかかる作戦コストを大幅に削減できる」と述べ、RCH155を採用すれば砲兵部隊はHIMARSのように戦えると主張。

ハンファの米国法人=ハンファ・ディフェンスUSAも3月31日「米陸軍の機動戦術火砲(Mobile Tactical Cannon)に関する試作提案要求に対し、成熟した技術で構成されたK9MHを提案する」と発表していたが、米陸軍は8月18日「MTCプログラムのプロトタイプ開発に関する契約をハンファ・ディフェンスUSAと締結した」「この契約は迅速な試作、試験、兵士によるテストを行うため最大18基(確定6基+12基の追加購入オプション)の装輪式自走榴弾砲システムを提供するもので金額は最大2億6290万ドルになる可能性がある」と発表。

出典:Hanwha Defense USA

Breaking Defenseも「MTCプログラムはハンファ・ディフェンスUSAが提案したK9MH、エルビット・アメリカ、アンドゥリル、オシュコシュ・ディフェンスのコンソーシアムが提案したSIGMA、レオナルドDRSとKNDS Franceのコンソーシアムが提案したシーザー、ラインメタルが提案したRCH155、BAEシステムズが提案したアーチャーで争われた」と報じている。

この契約を獲得した勝者はM109A7更新においても有利な立場を獲得する可能性が高く、Breaking Defenseも「新型自走砲はM777とM109A7を置き換える」と指摘し、プロトタイプのテストを経て正式な調達契約に至れば米陸軍が韓国設計の自走砲を、K9の砲塔を搭載する装輪式自走砲を採用することになり、ハンファは念願だった米陸軍採用に王手をかけた格好だ。

関連記事:米陸軍のM777更新は装輪式自走砲に限定、HanwhaはK9MH提案を発表
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※アイキャッチ画像の出典:Hanwha Defense USA

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コメント

  • コメント (20)

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    • 無印
    • 2026年 8月 19日

    牽引砲はもうニッチな場所でしか残らないのでしょうね
    今年の総火演の配信を見てたんですが、19式や99式の撤収はすぐだったのに、FH70はなかなか撤収出来ないのを見て、牽引砲はもう終わったと思いましたよ

    しかし、この欲張りな要求に応えられる榴弾砲があったとは
    後は砲弾を安定して生産するだけだですかね、それが一番難しそうなのが何とも…

    13
      • のー
      • 2026年 8月 19日

      [ウクライナ 軍司令官、最も効果的で戦場に適している砲兵システムはM777]
      こんな話があったと思いますが。
      2024/11ですが、状況はそんなに変わってないのでは?

      2
        • 名無し三等兵
        • 2026年 8月 20日

        ことウクライナの戦場では2024年からは現在では偵察・攻撃ドローンや徘徊型弾薬
        (自爆ドローン)の戦術が劇的に進化していて牽引式野砲の生存性は激変してますよ
        だからと言って他国の環境でも牽引式野砲が無価値になったとはまだ言えませんが
        無人機やドローンを活用した戦場支配の戦術進化は止らないでしょうし、いずれ
        同じ道を辿ると思います

        7
    • 電話猫
    • 2026年 8月 19日

    RCH155なんかは性能すごそうでも絶対高いもんなぁ

    10
    • 他人事では無い
    • 2026年 8月 19日

    M109A7の車体にK9の砲塔を載せるのかな?

    1
      • まめ
      • 2026年 8月 19日

      今回のは装輪仕様。榴弾砲システムは砲塔に集約されてるけど、車体はどれに乗っけるなんだろう?

      2
        • zzzzzz
        • 2026年 8月 19日

        >K9MH、SIGMA、シーザー、RCH155、アーチャー

        全部、買っちゃえ!

    • 幽霊
    • 2026年 8月 19日

    Yahooニュースで記事になったらコメント欄が発狂しそうですね。

    18
      • 負け惜しみは誰だ
      • 2026年 8月 20日

      ついに、韓国製兵器が世界最強のアメリカ軍へ進出するわけかぁ。

      さすがにこの記事に発狂するような連中も、アメリカ軍が認めたのだから黙らざるを得ないでしょう。w

      また、これを見ちゃうと、陸自の19式装輪自走榴弾砲が世界で相手にされていないということがよくわかる。

      10
        • 通りすがり
        • 2026年 8月 21日

        その連中とあなたの根っこの部分はよく似ていますよ

        9
    • nimo
    • 2026年 8月 19日

    車体も韓国製?

      • Miriota
      • 2026年 8月 19日

      チェコのTatra製みたいですね。
      システム全体の開発はHanhwaなので、Hanhwa製であることには変わりありません。車体の費用の割合はそう高くないとは思います。
      車体は柔軟に変えれそうではありますね。個人的にはなぜKIAや独自開発の車体を使わなかったか疑問です。ヨーロッパ市場狙いだったからかな?

      10
    • ユーロビート大好き
    • 2026年 8月 19日

    米陸軍だし、無茶苦茶な要求を繰り返して計画を破綻させそう。

    8
      • まめ
      • 2026年 8月 19日

      車体がチェコ製だったのはオフセット契約見越してなんですかね?本採用されたらアメリカ製の車体に変わるのかな?

      2
    • 神田明(仮名)
    • 2026年 8月 19日

    韓国製の陸戦兵器は弾薬等がNATO規格ですし、一定の性能があるようですから採用の可能性はあるでしょうね。

    11
    • あばばばば
    • 2026年 8月 19日

    もう155mm砲弾も韓国のメーカーに世話になった方がいいのでは

    13
      • 名無し三等兵
      • 2026年 8月 20日

      もはや一大供給国ですからね、韓国側は米国内へ弾薬製造工場作るのセットで
      売り込んだ方が有利になるかもですね

      4
    • エマノン
    • 2026年 8月 19日

    そもそも米軍は自走砲の更新を本気で考えているんだろうか。
    ウクライナでもドローンの展開速度についていけずに、戦場で役立たずになっているような。

    1
    • 58式素人
    • 2026年 8月 19日

    先日、ここの記事になっていたMDACの類型になるのでは?、と思っていました。
    アーチャーを前後に縮めたような形の物ですね。
    C-130に載るらしいので、これで決まりか、と思っていました。
    これから、ガチャガチャ(笑)するのかな?。

    • 2026年 8月 19日

    アーチャーとかよりもいいって判断なんだな
    今回の試作って装輪式は始めて作る分
    K9は装軌式でこれを改修するにしても
    試作間に合わすんだろうな
    開発現場大変だろうな

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