米国関連

米アンドゥリル、英陸軍のNYX計画を意識した無人攻撃ヘリを発表

英国は6月末に発表した国防投資計画の中で「攻撃ヘリと協調可能な自律型武装ドローンを2030年までに開発するNYX(ニクス)計画への資金供給」を承認し、アンドゥリル(Anduril)は20日に開幕したファーンボロー国際航空ショーで無人攻撃ヘリ=サンダーを発表した。

参考:Introducing Thunder: Autonomous Attack Rotorcraft for the Near-Surface Fight
参考:Anduril unveils armed drone gunship to fly with Apaches

ファーンボロー国際航空ショーでサンダーを発表したのは英国のニクス計画を意識したためだと予想され、ボーイングも参戦してくる可能性が高い

英陸軍はAH-64Dベースで開発した独自使用のアパッチ AH Mk.1(WAH-64)を導入し、2017年頃からAH Mk.1をAH Mk.2(無人機の制御能力が強化されたAH-64E V6相当)にアップグレードする作業が始まり、2025年3月までに予定された50機全てのアップグレードが完了した。そして6月末に発表した国防投資計画の中で「アップグレードされたアパッチに随伴して偵察、精密打撃、電子戦を実行する最大24機の自律型武装ドローンを2030年までに開発するニクス計画=Project NYXへの資金供給」を承認していたが、アンドゥリル(Anduril)は20日に開幕したファーンボロー国際航空ショーで無人攻撃ヘリ=サンダーを発表した。

出典:British Army

この無人攻撃ヘリは有人戦闘機の能力やペイロードを拡張する無人戦闘機と同じ概念で、サンダーのプラットホームはeVTOL開発を手掛ける米国のスタートアップ=アーチャー・アヴィエーション(Archer Aviation)と共同開発になり、ハイブリッド推進、ティルトローター機構、防衛用ソフトウェア=自律型ミッションシステムのラティス(Lattice)で構成されている。

“地上戦におけるドローンの普及は機動戦を膠着状態に陥らせ、人命と兵器の両面に甚大な犠牲を強いている。機動戦の生命線であった攻撃ヘリとその搭乗員は徘徊型兵器、安価な防空システム、そして至る所に普及した常時監視型ISR=情報、監視、偵察プラットフォームとの組み合わせによってますます危険に晒されている。これらの要因により、地表付近の空域は戦場において最も危険の高い領域の一つとなった”

出典:Anduril

“このロボット化されたキルゾーンにおいて機動戦の成否は速度、敏捷性、到達範囲、そして決定的な戦力集中といった基本的原則を通じて敵の弱点を突く能力にかかっており、これらの特性のいずれか1つだけは不十分である。味方部隊を優位な位置へ機動させるための決定的な打撃を可能にするためには、これらの要素の組み合わせと統合が必要だ。こうした力学のすべてが機動戦における新たな現実、すなわち航空作戦の攻撃における自律型テクノロジーによって推進されなければならない現実を示している”

“アンドゥリルはこうした状況の変化に対する回答としてThunder(サンダー)を発表する。これは現在や次世代の有人攻撃・強襲機の戦闘力を強化し、生存性を高めるため特別に設計されたグループ5の自律型攻撃ヘリコプターだ。サンダーはあらゆる任務において圧倒的な効果をもたらすのに必要なペイロードとオープンアーキテクチャを備え、長距離戦闘に不可欠な生存性、速度、航続距離を実現するよう設計されている。さらに実証済みの自律システムを基盤に構築されているため有人機との高性能な連携を可能にする”

“アンドゥリルはサンダーを戦場の最も奥深く、最も厳重に防御された地域に手頃なコストで大量のペイロードを運搬できるように設計した。ミサイルキャリア、空中発射効果(空中発射型の無人機のこと)の母機、洋上哨戒機、あるいは競合環境下での兵站プラットフォームとして使用する場合でも高度な防衛網を突破し、任務の完遂に必要なペイロードと柔軟性を提供する。モジュール式の機内ペイロードと機首ペイロードにより、精密誘導兵器、空中発射型エフェクト、ロケット弾、電子戦用ペイロード、対無人機システム、貨物などを組み合わせて運搬でき、ミッションシステムへの迅速な統合にも対応している”

“例えばサンダーの機内ペイロードモジュールには10発の空対地ミサイル(ヘルファイア、JAGM、バラクーダ100Mなど)、16発の空中発射効果(アルティウス600など)、または76発の70mmロケットを搭載でき、さらに機首ペイロードモジュールには12発の対無人機システムを追加することも可能で、1回の出撃でさまざまな脅威に対処するための組み合わせ効果を提供できる”

出典:Anduril

サンダーは防衛分野向けと商用向け(海洋エネルギー、貨物輸送、遠隔操作、人道支援・医療貨物、海上保安など)が提案されており、実物大の実証機を用いた複数の試験飛行も既に完了済みで、2027年にサンダーのプロトタイプが初飛行する予定だ。

ファーンボロー国際航空ショーでサンダーを発表したのは英国のニクス計画を意識したためだと予想され、ボーイングも昨年のAUSAで「AH-64やCH-47などの有人ヘリコプターと協調可能なティルトローター無人機を開発中だ」「CxRと名付けられた無人機はAH-64の攻撃任務に追加のペイロードを提供し、ClRと名付けられた派生機はCH-47の輸送任務に追加のペイロードを提供する」「このティルトローター無人機の推定サイズは5,000ポンドから7,000ポンドで、1,000ポンドから2,000ポンドのペイロードを運搬できる可能性がある」と明かし、2026年に暫定的な検証機の飛行が予定されている。

出典:Boeing

米陸軍はAH-64Eと協調可能な無人攻撃ヘリを導入するとは公言していないものの、ボーイングも英国のニクス計画に参戦してくる可能性が高く、有人戦闘機の能力やペイロードを拡張する無人戦闘機が技術的にも戦術的にも成立するなら、有人攻撃ヘリと無人攻撃ヘリの組み合わせも成立し、西側諸国における有人攻撃ヘリへの需要も引き続き旺盛なので無人攻撃ヘリの需要も爆発するかもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:Anduril

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コメント

  • コメント (15)

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    • 無印
    • 2026年 7月 20日

    これは…
    攻撃ヘリの無人化を目指す、陸自の為にあるような無人機だ…

    27
      • ブルーピーコック
      • 2026年 7月 21日

      説明を読む限りだと海自でも行けそうですね。シーコブラ的な役割で。
      にほんばれ型のの護衛にも有用そうではありますが。

      11
      • ななしのシロウト
      • 2026年 7月 21日

      2025年12月 Anduril Industries Japan 設立
      2026年6月  ロイターの報道によると、Anduril社は2027年度末で生産を終了す日産自動車追浜工場の取得にむけた協議を開始した
      今後、日本にも積極的にかかわってくると思います

      11
    • 774
    • 2026年 7月 21日

    ティルトローター機の翼端のLEDが円形になってるの見ると夏祭り思い出して興奮しちゃう

    3
      • 2026年 7月 21日

      日本独自開発ならUH-2ベースの無人コブラが堅実かなと思っていたのですが、もしこれが国内生産出来るならかなり魅力的ですね。空中給油機型など派生も期待出来るでしょうし

      5
      • kitty
      • 2026年 7月 21日

      あれは夜中の着陸時に、「ここまではローターの範囲だから近づくな」って警告灯なんですかね。
      それ以上にカッコいいんですけどwww。

      2
    • YF
    • 2026年 7月 21日

    見た目がSFチックでカッコイイですね。名前がサンダーはなんか味気ないんで頭にブルーとかつけてくれたら良かったのに。

    8
    • せい
    • 2026年 7月 21日

    何とも浪漫を刺激する機体だな
    V-280がこれを率いて飛ぶ大編隊を見てみたい
    しかしAndurilは戦闘機に随伴するCCAからローコストな迎撃ドローンにUUVも開発してるのに、ティルトローター型の無人機も作るとは

    5
      • シーキャットワン
      • 2026年 7月 21日

      管理人さんは記事にしませんでしたが、V-280は正式採用されましたね。
      いまは「MV-75シャイアンⅡ」という名称がついてます。

      リンク

      3
    • 中村
    • 2026年 7月 21日

     有人機が前線に出ないと言うなら、管制機が攻撃ヘリで有る必然性が無いような。機内容積に余裕のある汎用ヘリの方が使い勝手が良いのでは?

     CH-47のペイロードを補完する計画の方も今一つ理解出来ない。ドローンで物資輸送が出来るのは実戦で証明されてるんだから、輸送ヘリ自体を無人化しては何故いけないんでしょう。

    8
      • ブルーピーコック
      • 2026年 7月 21日

      仮の話ですが砲やミサイル発射機、車両など重くて嵩張るのはチヌークで、弾薬は輸送型サンダーに任せるみたいな運用じゃないでしょうか。別に同じ基地から発着しなくてもいいので、速度と航続距離に優れるティルトローター型なら離れた基地からでも合流できるでしょうし。
      輸送ヘリの無人化に関しては無人化ブラックホークこと『S-70UAS U-Hawk』と、無人化チヌーク『Approach-to-X(A2X)』が試験中です。

      2
    • 58式素人
    • 2026年 7月 21日

    思うのですが。
    ティルトローターより、タンデムローターの方が
    正面投影面積が少ないのでは?。
    装備を懸架する小翼は、仕方なしとして。
    現場で正面からAAに狙われると苦しいのでは?、
    と思ったり。

    3
      • SB
      • 2026年 7月 21日

      エンジンを置く場所が無いのと、速度が出ないためでしょう

      3
    • SB
    • 2026年 7月 21日

    顔にもペイロード付いてるのまさに無人機って感じでとても良い

    8
    • balv
    • 2026年 7月 22日

    SEAD/DEADにも有効そうね。レーダーサイトや防空システムに超低高度で強襲することができるから。

    2

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