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米防衛スタートアップがMQ-9A後継機を発表、ステルスに頼るのは持続不可能

Swarm Aero(スウォーム・エアロ)は14日に開幕したAir Space & Cyber Conference 2026でMQ-9A後継機候補=Gamera(ガメラ)を発表し「高価な航空機に頼り続けることはもはや持続不可能だ」「ステルス性能を追求し、あらゆる種類の防御手段で保護するという常識の逆をやった」と説明した。

参考:Swarm Aero debuts Gamera drone in bid to succeed Reaper
参考:Skunk Works® Expands Production of Lockheed Martin Vectis™
参考:Lockheed to build 4 more Vectis drones, 2027 first flight remains on target

個人的にSwarm AeroのガメラはP-38の逆レイアウトに見えワクワクする設計だ

米防衛産業界は14日に開幕するAir Space & Cyber Conference 2026(空軍、宇宙軍、サイバー防衛分野における米国最大の軍事・防衛カンファレンス)に向けて様々な告知を行い、GA-ASIも開幕前のタイミングでMQ-9A後継機候補=大規模モジュール式航空機(MMA)向けにWildfire(ワイルドファイア)を正式発表し、カリフォルニアに拠点を置く防衛スタートアップのSwarm Aero(スウォーム・エアロ)も「Air Space & Cyber Conferenceで新型機を発表する」と予告していた。

同社のピーター・カロギアニス最高経営責任者はTectonic Defenseの取材に応じた際「現在開発している航空機はMQ-9とほぼ同じ種類の任務を遂行できるよう設計されているが、価格はMQ-9よりも魅力的で最初から量産性も考慮している」「この航空機は国防総省の国防イノベーションユニット(DIU)が進めている大規模モジュール式航空機(MMA)=MQ-9A後継機によく合致している」と述べていたため、ワイルドファイアと競合する新型機を発表する可能性が高いと見られていたが、Swarm Aeroは予想通りMMA向けに新型無人機=Gamera(ガメラ)を発表した。

この新型無人機は二重胴体の間にエンジンを配置するという奇抜な設計を採用しており、Swarm Aeroは「米国の敵対国は多層的で低コストの防空システムを導入しており、これまで数十年にもわたって行ってきたような高価な航空機に頼り続けることはもはや持続不可能になっている。私たちは2022年に制空権の未来について常識にとらわれない大胆な賭けに出た。従来の常識を覆す全く新しいカテゴリーの航空機を開発したのだ。当社のガメラは重量級長距離攻撃ペイロード専用に設計された初の無人機だ。ガメラは重要任務における効果あたりのコストを10分の1に削減し、最大9000海里以上の到達距離で非対称な持続性を実現する」と説明。

同社のオリバー・パーマー最高収益責任者もBreaking Defenseの取材に「我々がやったことは重要目標に対して遠距離からペイロードを投射する際『プラットフォームのステルス性能を追求し、あらゆる種類の防御手段で保護する必要がある』という従来の常識に反するもので、長距離飛行に極めて最適化された非常にシンプルで非ステルス機を開発したことだ」と述べ、米空軍がMQ-9Aの後継機に要求した「目標価格1,000万ドル」について「その目標を達成できる」と断言した上で「コスト削減に特効薬はない」「あらゆる設計段階でコスト削減に関する協調的な努力が必要だ」と付け加えた。

米空軍関係者は「MMAの設計に最先端技術はほとんど必要ない」と述べていたが、ガメラも「二重胴体の間にエンジンを配置する」という設計以外は非常に保守的で、エンジンも成熟したハネウェル製TPE331を採用しているものの、構成要素の中で唯一の最先端技術は独自開発した指揮統制および自律制御ソフトウェア=Legion(レギオンもしくはリージョン)だ。

出典:Swarm Aero

Swarm AeroはDIUが主導するドローンスウォーム制御用の指揮統制ソリューション開発にL3ハリスやアンドゥリルと共に選定された実績をもち、2026年6月の演習でレギオンは7つの異なるプラットフォームと数十のセンサーを制御して監視し、1人のオペレーターが状態認識、センサーフィード、トラック管理を維持しながらUxS(無人航空機、無人地上車両、無人水上・水中機の全てを総称する略語)を指揮し、海上阻止から実弾射撃による交戦までの全ミッションをサポートすることに成功している。

Swarm Aeroのガメラは構造的にシールドAIのX-BATと似たアプローチで、X-BATは複雑なシステムなしで垂直離着陸が可能という野心的な無人戦闘機だが、これもアプローチが革新的なだけで採用技術はどれも成熟したもので構成されており、特にX-BATの垂直離着陸を実現する軸対称ベクトル排気ノズル(AVEN)は1990年代のF-16MATV計画で使用されたものがベースなので新規開発ではなく、X-BATの優位性を左右するのは自律ソフトウェア=Hivemind(ハイブマインド)による制御レベルだ。

出典:GA-ASI

GA-ASIのワイルドファイアはLRASMを2発携行できるため「ペイロード容量が最低でも5,600ポンドある」と示唆しているが、ガメラも機体中央のエンジン下部にLRASMを1発携行でき、カロギアニス最高経営責任者も「MMAのペイロード要件(最低2,800ポンド)を要求された航続距離で満たしている」「任務に応じて航続距離と引き換えにペイロードを増やしたり、ペイロードを犠牲にして航続距離を増やすことも可能だ」と述べており、明確な対抗馬が出てきたことでMQ-9A後継機を巡る戦いは面白くなってきた。

ちなみにロッキード・マーティンは今月12日「Next level unlocked」というフレーズと共に意味深な写真を投稿し、タイミング的にAir Space & Cyber Conference 2026での発表を予告しており、何らかの新型機を発表するのではないかと予想していたが、ロッキード・マーティンが14日に発表したのは新型機ではなく「独自の輸出向けCCA=Vectis(ベクティス)の開発を加速させている」「2027年末までに実施する初飛行に向けてプロトタイプを追加で4機製造(計5機)する」というものだった。

ロッキード・マーティンは米空軍のCCA第一弾調達でGA-ASI案やアンドゥリル案に敗れた際「我々の設計は空軍が提示していた要件よりもレベルの高いステルス性を備えていたが、空軍はサバイバビリティを重視していなかったため無駄に終わった」「空軍は1機あたりのCCA調達に1,500万ドル~2,000万ドルを費やす予定だが、運用分析の結果『80%以上が未帰還になる』というシナリオに直面すれば現行のCCAを清算する時が来るだろう」と述べ、米空軍のCCA戦略とは異なる方向性のベクティスを発表し「輸出向けだ」と主張している。

米空軍のCCA第二弾調達は既に動き出しているが、これにロッキード・マーティンは参加しているのかという質問には「ベクティス開発は社内資金による国内及び国際市場向けの取り組みで、CCA第二弾調達に関する具体的な質問には米空軍が回答するのが適している」と述べており、やはりロッキード・マーティンは米空軍のCCA戦略に歩み寄ったCCA開発に抵抗(やりたくない使い捨ての大量生産)があるのだろう。

MQ-9A後継機とCCAではクラスも用途も異なるが、Swarm Aeroは「多層的で低コスト防空システムが普及した戦場ではステルスや自己防御にリソースを割いて対抗するのではなく、長距離飛行とスタンドオフ兵器の運搬にリソースを全振りするのが正解だ」と考え、ロッキード・マーティンは「戦場での生存性を軽視して未帰還機が増えればコスト負担で破綻するため、高価でもステルスによる生存性を確保したほうが正確だ」と考えており、米空軍はどちらかというと前者の考えに近い気がする。

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※アイキャッチ画像の出典:Swarm Aero

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コメント

  • コメント (17)

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    • SB
    • 2026年 9月 15日

    LRASM1発積んで戦闘行動半径2300nmは中々使い道がありそうだが、果たしてセンサー抜きの機体価格16億円は本当に持続可能なのか?
    後方からLRASM運んでPLANにぶっ放すだけの機体ならいい感じだけど、これ前線や前線手前に飛んでいくMQ-9の後継機じゃないのか

    1
      • 元ねじ屋
      • 2026年 9月 15日

      堕ちてしまえばライフサイクルコストはそこで打ち止め、とか考えてそうで怖い。

    • pil
    • 2026年 9月 15日

    ガ、ガメラとレギオンっ!?

    25
    • たむごん
    • 2026年 9月 15日

    ステルス機の複雑な形状・製造の難しさ・ランニングコストなど、なかなか厳しい面あるなあと。

    数を揃えにくく(高価)、整備が難しい(低稼働率)となれば、長期戦・消耗戦には不向きな面もあるので使いどころなのでしょうね。

    5
    • 無印
    • 2026年 9月 15日

    この名前付けた人、特オタだろ!

    レギオンはともかく、「ガメラ」って名前使って大丈夫なの?
    日本も「ガメラレーダー」なんて勝手に使っているけど

    2
      • SB
      • 2026年 9月 15日

      元ネタがガメラなのは明らかだけど、Gamera自体は普遍的な単語なのでそもそも権利を主張出来ないからokですね

      6
        • daishi
        • 2026年 9月 16日

        少し調べてみたら「Gamera」はスペイン語のファミリーネームで「ダマジカ(gamo)を狩る人」が語源だそうです。
        エストレマドゥーラ州やアンダルシア州でよく見られる名前だとか。

        KADOKAWAは「GAMERA」を国際商標としてアメリカを含むいくつかの国で商標登録していますが、乗り物関連となる商標区分第12類については日本でも登録していないようです。
        一方でソフトウェアとしての商標登録はあるので「Gamera OS」的な使い方は商標に抵触するようですね。

        2
    • YF
    • 2026年 9月 15日

    V-1そっくりのフラミンゴミサイルとかP-38っぽいMQ-9後継機だったりと価格抑えようとすると、あの時代に行く付くんですかね。
    そのうち震電そっくりのCCAも出てきたりして…

    9
    • 南極1号
    • 2026年 9月 15日

    二次大戦期のドイツ機を髣髴とさせる機体ですね。マークも鍵十字に似てますね。個性的な無人機がたくさん出てきて楽しくなってきましたね。

    1
    • ウルズ774
    • 2026年 9月 15日

    ステルス付与ののF-15SE(サイレントイーグル)から搭載量重視のF-15EXへの流れもそんな感じでしたね。
    ステルス万能ではなく、得意分野を伸ばす方向に。

    3
    • ブルーピーコック
    • 2026年 9月 15日

    ステルスが正解かどうかはケースバイケースしかないからなあ。レーザーやマイクロウェーブ、迎撃ドローンで大量生産&大量消費のドローンへの対策が進んだら、またステルスだ新技術だとトレンドが変わるだろうし。

    7
    • AKI
    • 2026年 9月 15日

    よし、木製ステルス機を作ろう。
    デ・ハビランド モスキートの再来だ。

    4
      • 他人事では無い
      • 2026年 9月 15日

      プラで良くないかな。

    • ザコ
    • 2026年 9月 15日

    Gameraは(おそらく)乗り物・兵器部門で商標権を取ってないから命名しても問題ないという事でしょうかね
    しかしガメラと名乗るならもっと円盤状の機体とかにして欲しかったところ

    7
      • daishi
      • 2026年 9月 17日

      MQ-9 も使い捨てにしたシン・ゴジラのヤシオリ作戦を今やったら「ガメラ vs ゴジラ」になるんでしょうね。
      「安価で消耗を許容できる」ガメラの大群が爆散していくので怪獣ガメラの権利者であるKADOKAWAが許可を出さない可能性もありますが。

    • daishi
    • 2026年 9月 15日

    ロッキード・マーティンの主張は、ロッキードが軽量戦闘機計画(F-16選定)にコンペで負けた時の言い分のようで興味深いです。
    「軍事的な持続可能」は「コスト」「納期」「生産量」に依存しており、ロッキード・マーティンは「多少高価・生産量少なめでも生存性が高い方が持続可能」と主張していることになりますが、「今までの思想で既に開発した高コストなCCAに振り向かせる」だけかもしれません

    • せい
    • 2026年 9月 15日

    双胴部にたんまり燃料積んでるんかな?
    コンセプトから違う豊かな選択肢があるのはいいことや

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