米海兵隊は3日に発表した2025年海兵隊航空計画の中で「F-35Bの調達数を353機から280機、F-35Cの調達数を67機から140機に変更する」と明かし、今回の変更は分散型航空作戦における「滑走路に依存しないウイングマンの活用」が視野に入っているのかもしれない。
参考:AI, advanced tech central to new Marine Corps aviation plan
F-35Cの調達数が67機から140機に増えると海軍と合わせたF-35Cの調達総数は413機になる
米海兵隊はF-35B×353機とF-35C×67機の調達を予定していたものの、2020年に発表した今後10年間の部隊編成計画=Force Design 2030の中でF-35の調達数を130機分(内訳不明)をキャンセルすると表明していたが、3日に発表した2025年海兵隊航空計画の中で「AI等の先進技術や分散型航空作戦等の概念を組み合わせて競争の激しい環境での戦闘機運用を可能する」「迅速な意思決定や分散した戦力、指揮、兵站、支援の運用・調整にAIを活用し、海兵隊をデータ中心でデータ対応の組織に生まれ変わらせるため航空部門のインフラ、人員、訓練に投資する」と言及。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist Seaman Sam McNeely
さらに航空計画は「ドローンを活用した物流支援、航空機の生存性向上、有人・無人チーミング=有人戦闘機とウイングマンの協調能力など高度な能力開発にも投資することが必要」と述べており、この計画の一環として「F-35Bの調達数を減らしてF-35Cの調達数を増やす」とも述べている。
Force Design 2030で言及したF-35の調達数削減は航空計画に反映されておらず調達総数は420機のままだが、F-35Bの調達数は353機から280機、F-35Cの調達数は67機は140機に変更されており、海兵隊も独自のウイングマン構想(恐らく滑走路に依存しないタイプ)を持っているため、F-35Bの削減はウイングマンでカバーできる、インフラが十分整っていない拠点での戦力運用はF-35Bよりも「滑走路に依存しないウイングマンの方が望ましい」と考えているのだろう。
F-35の調達総数には変更がないので、今回発表された海兵隊航空計画はLockheed Martinの将来に大きな影響を及ばさないものの、F-35Bは元々調達規模が大きくないため73機の削減がの調達・運用コスト(特にシャフト駆動リフトファンに対応したF135-PW-60)を押し上げる可能性があり、日本にとってはF-35Bを導入する上で懸念材料になるかもしれない。
因みにF-35Cの調達数が67機から140機に増えると海軍と合わせたF-35Cの調達総数は413機になる。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Petty Officer 2nd Class Nicholas
型番・運用スタイルが違うという事は、違う部品を用いてるということになります。
アップグレード・整備を考えた時に、部品の調達コスト増加・部品の調達に融通が効かなくなることは、長い目で見れば十分にあり得ることですね。
>分散型航空作戦における「滑走路に依存しないウイングマンの活用」
無人機採用でF35Bを純減なら論理は分かるけど、F35Cに変更する論理がイマイチ分からないな
分散型というなら強襲揚陸艦でなく正規空母に戦力比重を増やす理由なんだろうという
個人的には強襲揚陸艦の艦艇自体に不満があるからって気がする
アメリカ級フライト0が2隻で終了しちゃったり、稼働率もヤバかったり、喪失レベルの火災起こったり・・・
本サイトでも以前取り上げられてましたがF-35の包括テストに関する報告書が、機密指定解除されてそれをBloombergが報じていました
その中でB型に関しては強襲揚陸艦での運用がシンプルに難しいという事、サポート機材や補給品等、運用に必要な物資が膨大である事などが書かれていたと記憶しています
それでも、F-35Cなんか艦載機にしか使えないしF-35Bよりも高価だし、八方塞がりな感じだな。
日本としては、前線配備出来ないF-35Cは価値無しだなあ。
空母で運用できるステルス機がF-35Cしかないから他に選択肢はないのでは
F/A-XX「みんな、もうボクのこと忘れてる・・・?」
冷戦時代に行われていた使い捨てロケットを戦闘機に付けて超短距離離陸を行う方法でF35BをF35AorCに代替するのはどうでしょうか。超短距離離陸がいつも必要ではないし、必要な時だけ使い捨てロケットを用いる方が複雑なVTOL機構を備えた戦闘機を維持運用するより楽なのでは。着陸は正規空母みたいにワイヤーで引っ掛ければ良い。
無人機ウイングマンの超短距離離陸方法として本記事写真のようなロケットカタパルトを使うのが一般的ですが、最もシンプルな方法としてテイルシッター方式も使えるかもしれません。テイルシッター方式の優れている点はVTOL専用の機構がほぼ不要なところで、無人機であれば着陸の難しさも緩和されるだろう。
楽しそうだけどその発艦方法を認めさせる政治力でaam5の運用能力を持たせた方が建設的そう
その方式だと強襲揚陸艦に着艦できないのでは?
発進後ブースターを投棄してステルス性を回復できますかね?
少なくともドロタンよりは難易度高そうですが。
>使い捨てロケットを戦闘機に付けて超短距離離陸を行う方法でF35BをF35AorCに代替するのはどうでしょうか。
固体燃料ブースターを使う事で、発艦は出来ても着艦はどうするの?
垂直着艦ができないと、強襲揚陸艦では運用できないのでは?
>使い捨てロケットを戦闘機に付けて超短距離離陸を行う方法でF35BをF35AorCに代替するのはどうでしょうか。
固体燃料ブースターを使う事で、発艦は出来ても着艦はどうするの?
垂直着艦ができないと、強襲揚陸艦では運用できないのでは?
>着陸は正規空母みたいにワイヤーで引っ掛ければ良い。
F-35Cは着艦に200m位必要だそうです。
強襲揚陸艦サイズでは難しいと思いますよ。
そんな…
限りある予算でF-35B買った海自がバカみたいじゃん
オスプレイの二の舞にならない事を祈る🙏
何の使い道もないアレと一緒にするのは流石にどうかと・・・
少しコスパや運用効率が悪い、と言ってるだけでしょう?
それでも同数のF-35Cと正規空母揃えるのに比べたら桁違いに安いのでは。
そもそも米国海兵隊が自前の飛行部隊を正規空母に置くロジックがよくわからんですよねえ。
戦車部隊を廃止するくらいなら、正規空母でしか運用できない任務用の航空戦力は海軍にアウトソーシングするべきでしょうに。
陸軍が空軍はあてにならんということで、攻撃機や攻撃ヘリを保有している。
また、空軍パイロット全員に空母着艦訓練をするのは無駄だけど、海軍としてはそのプログラムを経てないやつは不要でしょ。
海兵隊としては地上軍との連携がしっかりできる戦闘機パイロットを求めているし、地上軍とかたまって移動して欲しい。
海軍からしてみればそんな特殊訓練を全員にさせる訳にはいかないし、実際海兵隊の方が訓練期間は長いので若干キャリアに差が出てしまう。
また、海軍の仕事があるから航空部隊をちょっと割いてくれと言われても困る場面もある。
話が変わるけど、F-18はバディ給油ができる便利な飛行機だけど、給油に回したら前線回す戦闘機が減るから今度、無人給油機を導入するでしょ。
専用機ばっかりで柔軟性が無いのは困るけど、マルチロール機は器用貧乏と表裏一体なんで増えすぎると逆に効率が悪くなる。
海軍に委託しても海兵隊お付き部隊の編成が必要になって実態が変わらないから、海兵隊所属の空母航空隊が存在する。
前にアレな人と論争になった時に調べて書き損ねたのですが、F-18が燃料空状態で離陸してすぐにbuddy refuelingするのは、兵器と燃料満載状態でカタパルトで発射するのは性能的には可能でも相当機体にダメージを与えるらしいです。
給油役のF-18が増槽込みで5つ燃料タンクに燃料満載状態で射出するだけでゴリゴリ機体寿命が削られるそうで、無人給油機が必要とされるのだとか。
陸軍が空軍はあてにならんということで、攻撃機や攻撃ヘリを保有している。
また、空軍パイロット全員に空母着艦訓練をするのは無駄だけど、海軍としてはそのプログラムを経てないやつは不要でしょ。
海兵隊としては地上軍との連携がしっかりできるパイロットを求めているし、地上軍とかたまって活動して欲しい。
海軍からしてみればそんな特殊訓練を全員にさせる訳にはいかないし、実際、士官養成プログラムは海兵隊の方が長いので若干キャリアに差が出てしまう。
また、海軍の仕事があるから航空隊をちょっと割いてくれと言われても困る場面もある。
話が変わるけど、F-18はバディ給油ができる便利な飛行機だけど、給油にあてると前線に回す戦闘機が減ってもったいないから、無人給油機を導入するでしょ。
専用機ばっかりで柔軟性が無いのは困るけど、マルチロール機は器用貧乏と表裏一体なんで、専用機と組み合わせないと逆に効率が悪くなる。
空母航空隊も同様で、海軍に委託しても海兵隊お付き部隊の編成が必要になって実態は変わらないから移管してない。
海兵隊は陸軍と協同する内陸作戦型からインド太平洋地域で海軍との共同を前提にする沿岸作戦型に改編中なわけですが、海兵隊総司令官署名で2020年に発表した文書”Force Design 2030”に概ね沿う形で進められています。
その戦力設計の前提になるのが、海軍の作戦構想であるる「分散型海洋作戦(DMO)」、海兵隊・海軍共同作戦構想で
ある「競争環境下における沿岸作戦(LOCE)」と「前方展開前線基地作戦(EABO)」です。
F-35B/Cの前線基地展開は作戦構想から外れたわけで、F-35Bの取得所要数は強襲揚陸艦での運用を満足するまでに削減されるのだと思います。”Force Design 2030”ではF-35Cも同様に削減するとしていましたが、海軍と協議し海兵隊取得数を再検討したのでしょう。
現在の海軍/海兵隊装備として「殺傷能力と耐久能力が高い長距離無人機システム」が不足しているとされ、調達を計画中の「ウイングマン」は進出した地上戦闘部隊が発進/可能ならば回収作業を行う構想なのかと思います。
(訂正)
EABOには航空機の前線基地設営も含まれていました。
F-35B調達数はその作戦所要分も含むものと思われます。
B型は重しのせいで戦闘能力が低い航続距離も短い(受油の優先はスパホとC型)、着艦重量も制限がキツイ
前任者ハリアーも実戦では前線基地で活動していた、ならば戦闘地域迄は海軍に運んでもらい、自部隊で空港確保し戦闘活動を実施する流れなのかもしれない。戦車全廃は愚かだと思うけど(小中大ヘリが高価すぎるから…)
我が方の場合は艦隊の哨戒能力がヘリだけなんで高高度飛べる艦載固定翼機は必要でしょう。無人機がこいつより安価になるとは限らんからね
そんでもって最も開発難易度が高いB型に合わせてF35計画が進んだものだから、開発は遅延するわ他の型式の性能まで落ちるわで最終形態Block4が完成するのは2030年以降に。清谷氏曰く米軍は死傷者が大量に出るような戦いはできないので上陸作戦自体を諦め、守りの軍隊に変貌しているとのこと。戦車全廃だけでなく、新型の装軌式水陸両用車の調達を中止、AAV7の後継は装輪式(水上巡航速度は10km/h程度)で総数は半減となる。代わりに今まで装備していなかった地対艦ミサイルを保有するので「軍事研究」誌では米国海兵隊は陸自の真似をしていると書かれていた。
航空機は本来、向かい風を受ける(つまり主翼が前進する)ことで揚力を発生させる機械であり、垂直離着陸とは相性が悪いのかもしれない。そして垂直離着陸に優れた機械はヘリコプターかロケットである。テイルシッター方式以外の垂直離着陸機構は飛行機にこれらの要素を組み合わせたものだが、水平飛行時は垂直離着陸機構は役に立たず、寧ろ飛行性能を妨げるものとなる。
>垂直離着陸とは相性が悪いのかもしれない。
強襲揚陸艦でのF-35Bの運用は、短距離発艦&垂直着艦のはずでは?
(原則として、垂直離陸は行わないという事)
「航空機」という言葉にはヘリや気球まで含まれますのでその言説はおかしいです。
多分仰りたいのは「固定翼機」だと思います。
それでもF-35Bを280機も作るのかと思ってしまう。
米海軍の正規空母に海兵隊向けの艦載機枠が残っているのでしょうか?
そもそもガチガチの航空作戦やる空軍と違って、あくまで地上支援や艦隊防衛が主の海軍や海兵隊にはF-35いらない説
JSF計画の初期からF-35CはF/A-18の補助だったわけだし(F/A-18がF-35の補助ではなく)
いっそ海兵隊も軽空母持つか、強襲揚陸艦にカタパルトつけてF/A-18運用したほうがええんでない?流石に着艦スペースが足らないか
今からスパホ新規調達は・・・ボーイング救済で2割くらいあるか?
イギリス軍のF-35B調達が48機から138機に増えたらようやく穴埋めできる規模ですね。
「これからはF-35Bに軽空母」となりそうなところにアメリカ海軍の強襲揚陸艦規模の軽空母でもF-35Bの運用に不足する可能性がある、という現実を見せられた感じです。
ワスプ級も火災で1隻喪失、ワスプ級の他のフネもマキン・アイランド以外は蒸気ボイラータービンでメンテナンスコストが高いですし、ガスタービン式の強襲揚陸艦が簡単に揃わない状況でF-35Bの運用艦が足りないという事情と無人機に対する需要、F-35B不足分は正規空母に配備するF-35Cで穴埋めとアドホックな対応が目立ちますね。