米国関連

本当にツイてない? 不幸続きの米海軍、今度は強襲揚陸艦「イオー・ジマ」が火災で損傷

米海軍は昨年、アーレイ・バーク級駆逐艦「オスカー・オースチン」がオーバーホール中に火災を起こし損傷したが、今度はワスプ級強襲揚陸艦「イオー・ジマ」で火災が発生し損傷したと報じられている。

参考:11 sailors hurt in fire on USS Iwo Jima in Mayport

不幸が続く米海軍、今度は強襲揚陸艦「イオー・ジマ」が火災で予定外の損傷か?

11月14日午前4時頃、フロリダ州にあるメイポート海軍基地でオーバーホールを受けていたワスプ級強襲揚陸艦の7番艦「イオー・ジマ(4万530トン)」で火災が発生、同艦の乗組員はもちろん、同基地に停泊していたアーレイ・バーク級駆逐艦「ザ・サリヴァンズ」の乗組員、地元のジャクソンビル消防署からの応援によって火災は消火されたという。

去年の11月には、ノーフォーク海軍基地でオーバーホールを受けていたアーレイ・バーク級駆逐艦「オスカー・オースチン」で火災が発生、船の電気系統が壊滅的なダメージを受け2022年初頭までドックから離れる事が出来なくなった。

強襲揚陸艦「イオー・ジマ」が火災で受けた損傷の程度は今の所不明だが、少なくとも追加の作業が発生したのは間違いなく、損傷具合が大きければ駆逐艦「オスカー・オースチン」のように予定が大幅に遅れる可能性があり、このような追加のメンテナンスは、現在の米海軍にとっては致命的な影響を及ぼす可能性がある。

米海軍は現在、艦艇のメンテナンスについて膨大な量のバックオーダーを抱えており、予定通りに艦艇を修理し再び海へ戻すことが困難になっていると言う。

出典:public domain アーレイ・バーク級駆逐艦「オスカー・オースチン」

これは海軍が持つ艦船修理廠や、民間の造船業界が提供できるメンテナンス能力が限られている(追いついていない)ためで、昨年、メンテナンスを受けた約7割の米海軍駆逐艦は、スケジュール通り港を離れる事が出来なかった。

米海軍の艦艇の平均年齢は上昇し、定期的なメンテナンスに要求される作業量が増え、老朽化した艦艇はトラブルを起こしやすく、想定以上のメンテナンス要求がドックを圧迫しているという意味だ。

今年の8月末には、深刻な艦内電力システムのトラブルで急遽、空母「ハリー・S・トルーマン(10万3,800トン)」に対するメンテナンス要求が発生し、3ヶ月後、ようやく問題を解決することができたが、米国で空母のメンテナンスが行えるのはニューポートニューズ造船所しかなく、この予定外のメンテナンスは他の空母のメンテナンスに影響を及ぼす可能性がある。

もし今回の火災で強襲揚陸艦「イオー・ジマ」のメンテナンス期間が大幅に伸びれば、米海軍や海兵隊にとっては非常に困ったことになるだろう。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain ワスプ級強襲揚陸艦「イオー・ジマ」

全滅に近い米海軍の空母戦力に光明、空母「ハリー・S・トルーマン」がトラブルから復帰前のページ

大型の早期警戒管制機は時代遅れ? NATO、2035年までに「E-3 セントリー」廃止次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    岩国基地の米海兵隊「F-35B」が事故!F/A-18Dに続き1週間で2件目の「クラスA」事故

    米海兵隊、第1海兵航空団の広報担当者のエリック・フラナガン少佐によれば…

  2. 米国関連

    米国、中国海軍との差を埋めるのに高級なスーパーカーは必要ない

    米海軍大学校で軍事戦略の講師を務めるジェームズ・ホームズ教授(元海軍将…

  3. 米国関連

    米陸軍、歩兵戦闘車「M2ブラッドレー」の後継に無人戦闘車を要求か

    米陸軍は過去3度、歩兵戦闘車「M2ブラッドレー」の後継車輌開発に失敗し…

  4. 米国関連

    米大統領補佐官、米日豪印4ヶ国によるクアッドの軍事同盟化がバイデン政権の目標

    バイデン政権で安全保障問題を担当しているサリバン補佐官は29日、クアッ…

  5. 米国関連

    米国のブリンケン国務長官、ウクライナが数週間以内に反攻作戦を開始する

    米国のブリンケン国務長官は「ウクライナが数週間以内に反攻作戦を計画して…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 11月 17日

    要は、冷戦終結後の軍縮で艦艇のメンテナンス能力を削減したツケに加えてオバマ政権頃の政策で海軍艦艇の行動日数を延長した影響が加わり、それにトランプ政権下での軍拡が止めとなった結果、トラブルが顕在化した訳ね。
    こうしてみると「平和になったから軍縮」と言う政策は、長い目で見れば安全保障政策上、むしろ悪手であると証明する形になった気がするね。

    • Al
    • 2019年 11月 17日

    米海軍の滞ってるドック作業を日本の企業が受注したりできないんだろうか?
    クロスドックってのかな?

      • 匿名
      • 2019年 11月 18日

      海自の艦船のほぼ全てがガスタービン駆動になったので、蒸気ボイラー駆動のイオージマをメンテできるドックは限られるでしょうね。

      同じワスプ級でも、ガスタービン駆動のマキン・アイランドなら同サイズのいずも型を建造したジャパンマリンユナイテッドのドックは使えるかもしれませんが、設計・改装情報の共有ができないと無理でしょうし、人員派遣するにしてもアメリカ側の人が足りない、という状況になるでしょう

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  2. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP