米国関連

ライトニングキャリアが日本に到着! 米海軍、最新鋭強襲揚陸艦「アメリカ」の佐世保配備が完了

米海軍の最新鋭強襲揚陸艦「アメリカ(4万5,600トン)」は12月6日、ノーフォーク海軍基地に母港が変更になった強襲揚陸艦「ワスプ(4万1,300トン)」の代わりとして、長崎県にある佐世保基地に到着した。

参考:USS America Arrives in Japan as Latest Amphib Force Addition

F-35B運用に適した強襲揚陸艦「アメリカ」=ライトニングキャリアを日本へ配備

米海兵隊の極東前進配備の一貫として、2018年1月に日本の佐世保基地へ配備された強襲揚陸艦「ワスプ(4万1,300トン)」は、ワスプ級強襲揚陸艦のネームシップとしてイラク戦争やイスラム国との戦いで活躍し、垂直離着陸機の「V-22 オスプレイ」や海兵隊向けのステルス戦闘機「F-35B」を初めて搭載し運用を行った船としても有名だ。

出典:public domain ワスプ級強襲揚陸艦

しかし、ノーフォーク海軍基地へ母港が変更になった強襲揚陸艦「ワスプ」は佐世保配備から21ヶ月後の2019年9月、佐世保を離れ米国本土へと帰国の途についたが、米海軍は中国や北朝鮮を抱える極東に、最新のアメリカ級強襲揚陸艦のネームシップ、強襲揚陸艦「アメリカ(4万5,600トン)」の配備を発表済みで、12月6日に佐世保基地へ到着した。

タラワ級強襲揚陸艦の後継艦として建造されているアメリカ級強襲揚陸艦は当初、これまでの強襲揚陸艦が備えていたウェルドックを廃止し、LCAC(エア・クッション型揚陸艇)による兵力や装備の揚陸機能を削除し、回転翼機やV-22による兵力や装備の揚陸・輸送に特化した設計が特徴で、F-35Bを通常編成(6機)よりも多く搭載した通称「ライトニングキャリア」=軽空母運用に最適化されている。

補足:米海軍と米海兵隊は2019年4月、フィリピン軍との共同訓練に派遣した強襲揚陸艦「ワスプ」にF-35Bを10機搭載(飛行甲板上に駐機されたF-35Bを数えただけで格納庫にもF-35Bが搭載されていた可能性がある)し、これまで空想の産物でしかなかった「ライトニングキャリア」という概念を実際にテストしたと言われている。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Juan Anaya/Released

実際、強襲揚陸艦「アメリカ」は日本へ向かう前の10月、東太平洋上で「ライトニングキャリア」編成による洋上訓練を実施中しており、その様子は米海軍のホームページ上で公開され、飛行甲板上に13機のF-35Bを並べた姿が確認できる。

但し、アメリカ級強襲揚陸艦の3番艦以降は米海兵隊の強い要望で「ウェルドック」が復活し、航空機関連のスペースが減少するため、ライトニングキャリアを最も体現するのに適した1番艦「アメリカ」と2番艦「トリポリ」は米海軍の中でも特別な存在になってしまうだろう。

今回、佐世保に配備される強襲揚陸艦「アメリカ」はウェルドックを持たないため、サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦「ニューオーリンズ」も追加配備されており、これで日本にはサン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦が2隻配備されていることになる。

出典:public domain サン・アントニオ級ドック型輸送揚陸艦

強襲揚陸艦「ワスプ」に比べ、F-35Bの運用能力が向上している強襲揚陸艦「アメリカ」の日本配備は、横須賀を母港に活動する空母「ロナルド・レーガン」と共に中国の南シナ海や東シナ海での動きを牽制し、北朝鮮への軍事的圧力を引き上げる効果があると予想される。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Chad Swysgood 強襲揚陸艦「アメリカ」

やっぱり無理だった? 韓国、名品武器と喧伝した複合型小銃「K-11」開発・量産を正式に中断前のページ

中国の偵察能力を飽和させる方法? 新マンハッタン計画は米海空軍協力の象徴次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米海軍、耐用年数を迎えるアーレイ・バーク級駆逐艦を維持するには奇跡が必要か

    米海軍は耐用年数を迎えるアーレイ・バーク級駆逐艦に対して大規模なオーバ…

  2. 米国関連

    世界初となる衛星打ち上げ用の無人航空機「Ravn X」を米企業が発表

    米企業「Aevum」は3日、小型ペイロードを地球低軌道上に低コストで打…

  3. 米国関連

    戦闘スキルがいい加減? 誤射を招く米陸軍精鋭師団の訓練に批判が殺到

    米陸軍第10山岳師団の兵士が室内の制圧訓練を行っている様子を映した動画…

  4. 米国関連

    ロッキード・マーティン、2023年までに同盟国分を含むF-35の運用コスト10%削減を約束

    ロッキード・マーティンは2023年度までにF-35の運用コストを3万ド…

  5. 米国関連

    米海軍が第6世代戦闘機「F/A-XX」を単独開発する理由!第5世代戦闘機が犯した過ちとは?

    米海軍は、次世代戦闘機を米空軍とは共同で開発する予定はなく、米空軍とは…

  6. 米国関連

    米紙、ウクライナ軍が南部戦線でロシア軍の第2防衛ラインに近づいている

    CNNは25日「ザポリージャ州でウクライナ軍がロシア軍の第1防衛ライン…

コメント

    • 匿名
    • 2019年 12月 07日

    F-35Cの配備が進んでいない現状、航空戦のみならライトニングキャリア状態のアメリカ級が最強の空母かも?

      • 全てF-35B
      • 2019年 12月 08日

      早期警戒機の機能を代替出来るなら、という条件が付く。

    • 匿名
    • 2019年 12月 07日

    正面から見ると、よりきっちきちに見えますね……
    こんな空間で整然と航空機を並べられる手腕に驚きます
    自動運転車の縦列駐車機能みたいなのが欲しくなるな

    • 匿名
    • 2019年 12月 10日

    ウェルドックが無い強襲揚陸艦て
    とどのつまりヘリ空母だよね?
    って思うの自分だけ?

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  2. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  3. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  4. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  5. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
PAGE TOP