米国関連

米国、国防予算20億ドルのヨルダンにF-16V×16機を42.1億ドルで売却

米国務省は3日、ヨルダンにF-16C/Dブロック70(通称:F-16V)×16機を推定42.1億ドルで売却する可能性を承認して議会に通知したと発表した。

参考:JORDAN – F-16 C/D BLOCK 70 AIRCRAFT

ヨルダンの国防予算を超える取引でも米国のFMFがある限り成立する可能性がある

今回発表された対外有償軍事援助(FMS)の内容はブロック70仕様のF-16C×12機とF-16D×4機、同機が使用する各種兵器、相当量のスペアパーツ(実質5機分)、トレーニングサポート、メンテナンス支援などが含まれており、国務省が承認した内容を全てヨルダン政府が受け入れた場合、契約総額は42.1億ドル/約4,840億円(1機あたりの導入コストは約2.6億ドル)になる可能性があるものの通常ココから交渉が始まるので確定した金額ではない。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Dominic Tyler

ただヨルダンの国防予算額(約20億ドル/2020年実績)で国務省が示した売却案を受け入れるのは事実上不可能なため、恐らく国務省の対外軍事融資基金(FMF)を通じて購入資金が提供されるのだろう。

国務省が管理する対外軍事融資基金は(資金不足の)友好国の安全保障に寄与する装備品やサービスを提供するために活用され、米軍との相互運用強化や米防衛産業の維持に貢献するため米国の安全保障政策と産業界の両方に利益をもたらすと定義されており、対外有償軍事援助(FMS)を通じて取引される契約に必要な資金の全額もしくは一部に充当されるのだが、この資金は基本的に当該国が返済をする必要(例外あり)がなく毎年ヨルダンは国務省の対外軍事融資基金から一定額(4.25億ドル/2020年実績)の支援を受けている。

つまりヨルダンの国防予算を超える取引でも米国のFMFがある限り成立する可能性があるという意味なので非常に興味深い。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Christopher Ruano

お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。

米ミサイル防衛局、現時点で極超音速兵器迎撃の可能性があるのはSM-6だけ前のページ

ウクライナのレズニコフ国防相、我々への武器支援を妨害するなと名指しでドイツ批判次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米シンクタンク、大規模な投資がなければ老朽化した戦闘機戦力は破綻する

    米国のミッチェル航空宇宙研究所は「大規模な投資がなければ空軍の老朽化し…

  2. 米国関連

    米メディア、ウクライナ人がA-10の操縦方法を学ぶ施設を自力で構築した

    米国のTIMS誌は19日、ウクライナ人が提供が決まっていないA-10の…

  3. 米国関連

    長射程タイプのATACMS、バイデン政権がウクライナ提供に取り組んでいる

    NBC NEWSは19日「バイデン政権が長射程バージョンのATACMS…

  4. 米国関連

    米国がウクライナ支援を発表予定、短射程のATACMSや155mm砲弾を供給

    米国のPOLITICOは12日「まもなくバイデン政権が3億ドル相当の武…

  5. 米国関連

    米国が中国に勝利する条件、新技術開発のためレガシーウェポンの破棄

    超党派の連邦議会議員で構成された「Future of Defense …

  6. 米国関連

    米国が25億ドルのウクライナ支援パッケージを発表、GLSDB提供は見送り

    米国は25億ドル相当のウクライナ支援パッケージを19日に発表、このパッ…

コメント

    • くじら
    • 2022年 2月 04日

    本邦も東南アジア向けのODAと同じ感覚で同様のスキームを採用して、対中を見据えたASEANでのプレゼンス強化と国内の防衛産業生態系維持、ついでにオフセット(?)で現地事業の日系企業受注増につなげられたら理想だと思う

    ……とはいえ現実的な話、防衛省にこの手の話をODAで発言力持ってる外務省と経産省に通すだけの政治力はないのは目に見えてるわけで、実現できるとしたら政治サイドからなんかしら旗振りあったケースかね? つっても政治家先生の中に本気で国内の防衛生態系維持を考えてる方が思いつかぬ

    16
    • 2022年 2月 04日

    出た米帝のボッタクリ商法FMS

      • 無無
      • 2022年 2月 05日

      これがビジネスですよ、アメリカは戦闘機を売って代わりにレバノンそのものをコントロールできる
      中国の一帯一路の軍事版さ

      8
    • 黒丸
    • 2022年 2月 04日

    対外有償軍事援助だと、治安が悪化しても資金が不足しても最後までF-16の運用を維持してくれるのかな?

    F-16IQに見切りをつけたイラク空軍、パキスタンからJF-17BlockIIIを購入
    リンクイラク空軍が保有するF-16IQの平均稼働率は20%を切っており安全リスクの懸念なく飛ばせる機体は7機しかなく
    この状態を引き起こしている原因は資金不足とメンテナンス支援を請け負っているロッキード・マーティンが治安悪化を理由にイラクから引き上げてしまったことにある。

      • 匿名希望
      • 2022年 2月 05日

      イラクのF-16自体が対外有償軍事援助よ。
      状況がわるくなればメーカーが避難するのはかわらんかと。

      7
    • もり
    • 2022年 2月 05日

    自衛隊もアメリカに借金漬けだからな、恐ろしい事だよ

    7
      • DEEPBLUE
      • 2022年 2月 05日

      借金漬けでも陸が近代化できるなら・・・

      1
        • 匿名
        • 2022年 2月 05日

        そう言えば陸海空の内、米軍兵器の影響が一番低そうなのが、陸自なのかな?
        海自も艦艇とかは国産だけど、イメージ的に米海軍の影響が強そうな感じ。

    • 名無し
    • 2022年 2月 05日

    アイキャッチ画像の胴体下とインテーク右下のセンサー照準ポッドは何なんだろう?

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  2. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP