WSJは23日「トランプ政権がウクライナに長距離攻撃兵器=ERAM×3,350発の販売を承認した」と報じたが、国務省も28日「ウクライナ政府に対してERAMの売却を承認した」と議会に通知し、請負企業がCoAspireとZone5なので低コスト巡航ミサイルに関係している可能性が高くなった。
参考:Ukraine – Air Delivered Munitions
ERAMがJSOW-ER=JSOWにTJ-150を追加したバージョンになる可能性は限りなく低い
米空軍は長距離攻撃兵器=Extended Range Attack Munitionに関する提案依頼書(RFP)を2024年7月に発行し、その中でウクライナのニーズと戦闘能力を効率的で効果的に満たすもの」「大規模生産が可能で手頃な価格を実現すること」「最低でも250マイル=約400kmの射程距離とM0.6以上の最高速度を併せ持つ500ポンドクラスの弾薬」「GPS信号が劣化する環境下で作動可能なナビゲーションシステムを備えること」「2年以内に1,000発(月平均42発)の生産が可能な設計であること」を要求。

出典:Ukrainian Air Force
Wall Street Journalは23日「トランプ政権が先週、ERAM×3,350発の海外販売を承認した」「このERAMは6週間後にウクライナへ到着する予定だ」「ウクライナにERAMを届けるための資金=8.5億ドルは欧州諸国が負担する」と報じ、War Zoneは「RFPは16社に対して回答を求め、この中にはCoAspireとZone5 Technologiesも含まれている」「Zone5はETVに、CoAspireはRAACMに関与している」「ERAMは低コスト巡航ミサイルの取り組みと何らかの関係があるかもしれない」と予想していた。
WSJの報道通り国務省は28日「ウクライナ政府に対してERAM及び関連機器の売却を承認した」「最大3,350発のERAM、スプーフィング防止モジュール、YコードとMコードに対応したGPS、INS、EGI、ミサイルコンテナ、パイロン、スペアパーツ、消耗品、ソフトウェア、作戦計画システム、機密ソフトウェア、関連技術文書、訓練、米政府及び請負業者による支援が含む売却総額は推定8.25億ドル」「これを購入するためウクライナはデンマーク、オランダ、ノルウェーからの資金と対外軍事融資(FMF)を活用する」「主な請負業者はCoAspireとZone5 Technologiesだ」と議会に通知。
ERAMはJSOW-ER=JSOWにTJ-150を追加したバージョンではないかと噂されていたが、請負企業がBoeingではなくZone5とCoAspireなのでJSOW-ER説の可能性は限りなく低くなり、Zone5がETVに、CoAspireはRAACMに提案している低コスト巡航ミサイルと何らかの関係があると見る方が自然だろう。
米空軍と防衛イノベーションユニットが主導するETVは2024年6月「既存の入手可能な部品や材料を使用し、迅速かつ高効率で生産可能なエンタープライズ試験機= Enterprise Test Vehicleを開発する」「2024年後半の飛行試験向けプロトタイプソリューションの開発契約をAnduril、IS4S、Dynetics、Zone5 Technologiesが獲得した」「この4社は100を超える応募の中から選ばれた」と発表し、Zone5が提案しているラスティ・ダガー(Rusty Dagger)は空中発射方式の長距離攻撃兵器だ。
空軍と海軍が資金を供給しているRAACM(迅速適応型低価格巡航ミサイル)の主契約者=CoAspireはSea Air Space2025で「RAACMは手頃な価格で長距離兵器を提供するのが目的だ」「Divergent Technologiesの積層造形技術を活用してコストを削減し、巡航ミサイルとしての性能を最適化した」「(高価な巡航ミサイルに比べて能力は限定的だが)最近の戦争で見られたように安価な兵器でも一部が目標に到達している」「これこそが独自の能力を生み出す」と言及し、A-4からの空中投下にも成功している。
さらにRAACMがETVのラスティ・ダガーと異なる点は地上プラットフォームからの発射にも対応(もしくは対応する予定)している点で、もしERAMが複数の異なる発射体で構成され「空中発射」と「地上発射」の両方に対応していれば運用上の柔軟性が大きく広がるため、これと対峙するロシア軍にとっては非常に厄介な存在になるだろう。

出典:CoAspire
因みに対外有償軍事援助は国務省が売却承認を議会に通知し、議会が15日以内に売却を阻止しなければ「売却を許可した」と見なされ、ここから当該政府と請負企業の契約交渉が始まり、請負企業は契約締結後に生産を開始するため「6週間後にウクライナへ到着するERAM」とは「最良のシナリオで物事が進展して生産された最初の1発」という意味だ。
そのため6週間後に3,350発のERAMが到着するわけではなく、仮にRFPで要求された生産率(月平均42発)で供給が始まったとしても3,350発の生産に6年以上かかるため、今回のERAM売却は戦争が今後も続くと想定した息の長いウクライナ支援なのかもしれない。
関連記事:米軍が開発していたウクライナ向け長距離攻撃兵器、トランプ政権が輸出を承認
関連記事:米空軍が予算案の中で低コスト巡航ミサイルを3,000発要求、1発21万ドル
関連記事:量という質を実現、空中発射兵器の主流に浮上した低コスト巡航ミサイル
関連記事:ウクライナのフラミンゴミサイルの生産ペース、10月までに月210発が目標
関連記事:ウクライナが射程3,000kmの巡航ミサイルを量産中、ドイツが資金を供給か
関連記事:ドイツがウクライナの長距離攻撃兵器調達に資金提供、早ければ数週間以内で配備
関連記事:ドイツ首相の射程制限解除発言、過去の取り組みに言及しただけで変化なし
関連記事:ドイツ外相、ウクライナに提供した武器の射程制限解除は当然の結果
※アイキャッチ画像の出典:Zone5 Technologies





















日本の報道各社の文章を見る限りだと「6週間後に3,350発のERAMが到着」のように書かれていましたが、やっぱいきなり全部出てくる訳ないですよね
毎度のことながら本邦報道は裏付け確認とかすっとばしてる感が強くて困る
WSJ全文見られる訳でもないので実際は分からないけど、ここでも
●WSJは23日「トランプ政権がERAM×3,350発の海外販売を承認し、6週間後にウクライナへ到着する」と報じた。
●「Wall Street Journalは23日「トランプ政権が先週、長距離攻撃兵器=Extended Range Attack Munition×3,350発の海外販売を承認した」「このERAMは6週間後にウクライナへ到着する予定だ」
でどうとでも取れる感じだし他の海外でも似たような内容。軽く見る限りただ一つだけ6週間後に最初のユニットが到着すると書いている所があったので本邦のマスゴミだけの問題かと言えば違うような気はする。
なぜ3350発だったんですかね?たとえば3304発ではダメだったのでしょうか?
な阪関無
ロシア軍の基地や弾薬庫を攻撃できれば、ウクライナに対する空爆が減る可能性がありそう
これでロシアは益々追い詰められますね。。
製油所の次に標的になるのは発電所あたりでしょうか?
ロシア国民が暴動を起こして内戦に突入するのは時間の問題でしょうね・・
間違いなくあなたの方が変な返信ですね。
>これでロシアは益々追い詰められますね。。
“益々”により、そもそも現状を踏まえてではなくネタであることを明示
>製油所の次に標的になるのは発電所あたりでしょうか?
製油所すらごく一部に限られている中で、次は、と書くことで移ろい易い女心のように、あるいは三日坊主であるかのように、一貫性のない攻撃への皮肉
>ロシア国民が暴動を起こして内戦に突入するのは時間の問題でしょうね・・
開戦当初からずっと言われている、お決まりのフレーズで〆
たぶんネタですな
精油所チマチマ攻撃したところでロシア国民が
暴動起こすわけない。百年後なら分かりません
問題なのはゴールポストを延々動かすNATOです
トランプは停戦交渉に動いただけましです
(米露外交で兵器の射程に注目すれば)HIMARS=ATACMSが、大体300km射程の少量だったため、武器供給のステージを量の面で1つ上げたような印象を受けました。
ATACMSが数十発と言われていたのを考えれば、総供給数かなり多く見えますが、どうなるのか注目したいと思います。
6年間戦争継続、もしくは停戦交渉に至る中で停戦後を見据えるくらいの軍事力がなければ、外交交渉に繋がらないと考えることもできるかなと。
アメリカがウクライナ和平交渉次第で、供給を停止したりするようなことがあるのかは、少し気になるところですね。
これは欧州各国のお金で買うものなので
お届け先がなくなった後はアメリカは改めて購入資金を負担した国にお届けするだけかと
やっぱりそういうことですよね。
アメリカが一歩引いた立場には変わりないし、ヨーロッパも抑止力が高まるので、それはそれでいいのかもしれませんね。
こんな程度でロシアが追い詰められるならとっくの昔に終わってるよ。そんでロシアに倍返しされるだけ。
>ロシア国民が暴動を起こして内戦に突入
それも限りなく無い。大体やるならワグネルのブリコジンが反乱が起こした時に絶好のチャンスだったのにロシアの人々は特に何もしなかったでしょ?
暴動起こすメリットだって無いし。
おそらく違う方へのレスとは思うのですが…
射程が400kmですから、自分もこれだけでは難しいなと思います。
失礼しました。↑のれんこんさんのレスです
互いにギリギリのラインで駆け引きしているなぁ
これはアメリカが切れる交渉カードの一つかもしれない
海外のサイトを見てみたらF-16Aに積めるように調節中で(他機種でも運用は可能だそうです)S-400 の射程外が使用可能となっていることからロシア軍のS-400も再配置せざる状況に追い込まれるとか。
アメリカは国務省は運用上の警告についてコメントすることを拒否との事ですが、目標次第ではアメリカ側が使用許可を出さないそうで運用が難しそうです。
射程400㎞だとモスクワ郊外にギリギリ届かない位?
ストームシャドウより性能は低そうですが、安定供給できるなら心強い
試しに、核の迎撃システムA-135とか、モスクワの周辺に有るので、レーダーユニットとかを攻撃してみませんか?(後のことは考えていない)
距離的にはウクライナ国産巡航ミサイルが3000kmにも達しようとしている今、それほどインパクトは無いですね。
生産設備やインフラへの投資の方が効いてくる段階かも。