Lockheed Martinは2025年8月「我々はパトリオットシステムで使用する迎撃弾=PAC-3MSEの年2,000発生産を検討するよう求められている」と明かしていたが、6日「国防総省と画期的な枠組み協定を締結した」「PAC-3MSEの年間生産能力を約600発から2,000発に増強する」と発表した。
参考:Lockheed Martin and Department of War Advance Landmark Acquisition Transformation to Accelerate PAC-3® MSE Production
参考:Pentagon, Lockheed Martin announce plans to triple PAC-3 production
従来とは異なり「サプライヤーが増産を見込んで先行投資する環境」が考慮されているため、ヘグセス国防長官の調達改革は本物かもしれない
パトリオットシステムで使用する迎撃弾はRTXが製造を手掛けるPAC-2GEM-T(年240発)と、Lockheed Martinが製造を手掛けるPAC-3MSE(年350発)があり、後者はウクライナ侵攻前から年500発への増産に取り組んでいたが、ウクライナとロシアの戦争が勃発したことで需要が急増し、2022年11月にRTXとMBDAは「GEM-T弾をドイツで生産する」と、NATO支援調達庁も2024年1月「ドイツ、オランダ、ルーマニア、スペインを含むNATO加盟国を支援して1,000発のGEM-T弾調達契約を締結する」と発表。

出典:NATO Support and Procurement Agency (NSPA)
RTXもドイツ生産分と合わせて「2027年までにGEM-T弾を年420発生産する」と発表、Lockheed Martinも需要増を受けて「2027年までPAC-3MSEの生産量を年650発まで引き上げる」と約束し、2025年8月にアラバマ州ハンツビルで開催されたシンポジウムで「過去3ヶ月間の生産率に基づくと年650発の生産目標を達成した」「しかしPAC-3 MSEに対する需要は年650発を越えており、我々は年2,000発の生産を検討するよう求められている」と明かした。
Lockheed Martinは政府から「年2,000発」の生産を命じられているわけではなく、PAC-3MSEの生産量をどこまで拡張するかは「政府の投資次第」と説明しているため「自社資金で調達が約束されていない需要への対応」を行うのではなく「政府が複数年契約による大規模調達を提示できるかどうかにかかっている」という意味だが、Lockheed Martinは6日「PAC-3MSEの生産と納入を加速するため国防総省と画期的な枠組み協定を締結した」「7年間の契約で年間生産能力を約600発から2,000発に増強する」と発表。

出典:Lockheed Martin
Lockheed Martinは国防総省とPAC-3MSE増産の枠組みに合意しただけで、Breaking Defenseも「最初の契約は2026会計年度予算の資金で締結される見込み」と報じたが、この契約はヘグセス国防長官が昨年11月に発表した調達改革が反映され、インフレを考慮した条項=国防総省や議会が契約条件や期間を変更したり調整する場合「増産を見込んで投資した非反復的費用を企業側に払い戻す」という規定が盛り込まれるらしい。
Lockheed Martinは「この非反復的費用は我々が支払うことになるが、キャッシュフローのタイミングを調整することで主要サプライヤーの今後数年間のキャッシュフロー計画が相殺されるようにする。つまり今年度や来年度においてPAC-3MSE増産に参加するいかなる企業にも資金面でマイナスの影響を与えないことが目標だ。国防総省も主要なPAC-3サプライヤーと協力して生産設備を拡張できるよう7年間の下請け契約を確定させる予定で、新たなサプライヤーを追加しパフォーマンスの低いベンダーを入れ替えることでサプライチェーンを多角化する」と述べた。

出典:DoW photo by U.S. Navy Petty Officer 1st Class Alexander Kubitza
まだ2,000発への増産が確定したわけではなく、仮に資金供給が始まっても年2,000発の生産能力を達成するには相当な時間がかかるが、従来とは異なり「サプライヤーが増産を見込んで先行投資する環境」が考慮されているため、ヘグセス国防長官が言及した「スピードを重視するための調達リスク受け入れ」は本物かもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin





















納品できてから言ってください
ウクライナ戦争、対ハマス・対ヒズボラ・対イラン・対フーシなどを見ていても、陸海ともに迎撃ミサイルの消費とんでもなく激しかったですからね。
日本目線で考えても、日本自身が増産・迎撃能力の余力を持っておく必要があるわけですから、三菱重工の株価が5年10倍になったのもなんだか納得してしまいました。
きたぁぁあああああ!待ってました!!!!
日本が払う80兆円の投資とやらを是非使ってくれて構わないのでバンバンやってくれ。配当金はアメリカで持って行っていいので、代わりに行列待ちの最前列に並ばせていただけないだろうか
よく分からない話で三菱重工名古屋誘導推進システム製作所でライセンス生産しているから部品供給の優先度なのかミサイル自体の話なのかどっちなのか?
仮に日本のお金使うなら日本でパトリオット構成品全てを作らせてくれって話をするのが先じゃないの?結果は分からないけど前に構成部品の優先度や内製化交渉だってしてるんだし。
工業のベースになる部分。
エネルギー生産、送電などに、日本製鉄の1兆円以上の投資もあるわけですから、非常に重要な貢献だなあと。
…ということで最前列に優遇してもらいましょう!
おととしの記事では、日本は30発/年から60発/年まで増産するとかあったんだが・・・2000発ですか。どんどん変わっていきますな。
週休二日制 年240日で考えれば1日8発ほどの生産になるのですね。
今はPAC3が日産1.45発、約5.5倍の生産増なので
日本では年165発ほど生産可能ということになりますが
対北朝鮮なら十分ですが、対中国を考えるとちょっと厳しい数字ですね
NISSANがいつからPAC-3の生産を?と思ってしまった…
アメリカメーカーのセンサーが足りないから増産できないという話はどうなったんや
自らも製造し、足りない分は購入し、それらを中長期的に維持管理する。
そのコストは国民負担であるのだとちゃんと理解した上で、護られたいならば受け容れねばならぬことです。
加えて、それを口実として注ぎ込まれる資金を中抜きして私腹を肥やすような輩が跋扈しないための監視も必要ですね。某スキーラインにならぬように。
日本人よ、覚悟はおありか?
これは朗報。あとはレジの列の何番目に入れるかだな···
さすがはアメリカ世界の王、ヨーロッパとは違うんですよ。
しかし、BMDを始めた頃はミサイルをミサイルで撃ち落とすなんて不可能だみたいな論評が散々なされていたのに、今や皆が迎撃出来るのが当たり前って論調で話していて、大量の迎撃弾を必要とするようになっている。何と言うか変わったものだな。
賞味期限が切れたら、弾道ミサイルとして使えるようにしておいてー。
まあ、タマは何発あってもいいですからね。
「たまに撃つ タマが無いのが 玉にキズ」
では困りますから……
次の戦争ではSEADが決ってレーダーが破壊されまくってSAMが余ったりして