米国のBloombergも英国のFinancial Timesも「春攻勢に必要な物資を集積するため消耗の激しいバフムートを放棄する必要がある」と指摘しているが、ウクライナ軍はバフムートを維持できると考えている可能性が高い。
参考:Russia to Press Assault in Ukraine’s East as Kyiv Waits for More Weapons
参考:Battle of Bakhmut nears tipping point as Russia intensifies offensive
2月24日に予定されているプーチン大統領の演説に「バフムート制圧」という政治的成果を与えたくないのかもしれない
ロシア軍が制圧を狙うバフムートでは「僅かな土地」を奪い合うためウクライナ軍も数千発の砲弾と兵士を日々消耗しており、このような消耗戦は弾薬量と人的リソースの多い方が有利で「ウクライナにとって持続可能な戦い方ではない」と考えられている。
そのためバイデン大統領は「持続不可能な消耗を止めるためバフムートを放棄して南部での反撃を優先すべき」と、米政府高官も「兵器の供給と訓練が終わるまでロシア軍に対する大規模な攻撃を控えろ」とゼレンスキー大統領に助言しているのだが、Bloombergは2日「西側諸国が提供した武器はロシア軍を抑えるのに役立っているものの占領地域を解放するには不十分で、春攻勢に必要な武器や物資を集積するためにも消耗の激しいバフムートを放棄する必要がある」と指摘。
Financial Timesも「ロシア軍は効果的にバフムートを包囲するのに成功した。都市に接続する殆どのルートは閉鎖(物理的な遮断ではなく火による管制下で移動が妨害されているという意味)されているため、ウクライナ軍が撤退を開始する可能性がある」と報じているが、ウクライナ軍東部司令部の報道官は「バフムートへのアクセスは遮断されておらず、必要とされる装備、弾薬、食料などあらゆる物資が街に届けられている」と主張した。

出典:Сухопутні війська ЗС України
ウクライナ人軍事アナリストのロマン・スヴィタン氏も「ロシア軍によるバフムート周辺の攻勢は1週間以上続いているため攻勢限界を迎えている=攻撃のピークは過ぎたので今後の戦いは楽になる」と予想、コンスタンチノフカとバフムートを繋ぐ幹線道路「T0504」を守るためイワニフスキー周辺で戦うウクライナ人兵士も「敵との戦いは激しいが戦線を維持できると信じている」と述べており、今のところウクライナ側にバフムートを放棄する兆候は見られない。
しかしロシア側の情報源は「1週間後にバフムート周辺では天候が悪化して野外の移動が困難になるため、ウクライナ軍参謀本部はロシア軍の包囲を避けるため予備役部隊と装備の撤退を開始した。バフムート市内には予備役のいない部隊のみが残っている」と主張し始めている。

出典:Telegram経由 サッコ・イ・ヴァンテッティを制圧した露ワグナー
ロシア軍がバフムートに繋がるT0504とM03を榴弾砲や重迫撃砲の射程圏に収めているのは事実なので「現在の状況が長引けば長引くほど街を守るウクライナ軍の抵抗力はゆっくりと弱体化する」と考えるのが妥当で、この不利な状況でロシア軍との消耗戦に付き合うより「有利な位置に撤退してロシア軍の前進を抑え時間を稼ぐ方が良い」と欧米諸国は考えているのだが、、、、
もしかするとゼレンスキー大統領は2月24日に予定されているプーチン大統領の演説に「バフムート制圧」という政治的成果を与えたくないため、そこまではバフムートを維持したいと考えているのかもしれない。
因みにロシア軍が反撃に出たクレミンナ方面の状況はまだ何とも言えないが「ウクライナ軍はトルスキー、テルニー、ネフスキー辺りまで押し戻され、クレミンナ郊外に広がる森林地帯からも押し出された」という見方が存在し、3方から包囲されたビロホリウカからもウクライナ軍が撤退したという噂がある。
全て視覚的な確認が取れていない上、元々グレーゾーンに近い荒野だったたので特に心配することはないと思われるが、まだクレミンナ解放が現実的ではないということだけは理解出来る。
関連記事:バフムートに関する噂レベルの情報
関連記事:米政府、武器の準備が整うまで攻勢を控えるようウクライナに助言
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
ウクライナ政府も大概兵士の扱いが悪いね、マリウポリのときもそうだったけど、ソ連の文化なのか度々軍事的合理性より政治的イデオロギーを優先する悪い癖があるみたいだ。
イデオロギーより、合理性を優先する国なんてあるの?
比較はマリウポリではなくセヴェロドネツクとすべきではないかな?
少数の兵が重包囲にあっているわけではなく大軍同士のせめぎあいなわけですから。
セヴェロドネツクのときは結果的にうまく撤退できて、その後の大反攻につながったのだから、おなじ事を期待しても不自然ではないと思います。
機甲戦力については、だいぶあの時と比べても揃って来ているはずですし
何故かあまり触れられないが歩兵の動員力についても国家総動員をかけているウクライナがロシアに劣る合理的理由はあまりないと思います。
政治的イデオロギーとやらが何を指すかイマイチ不明だが、まともな国なら軍事的合理性より政治的合理性を優先するわな。
まあ総動員下で歩兵の数でロシアを圧倒し人海戦術を取っているわけですから、もちろん兵士の扱いなんて悪いですよ。
未だに当局発のプロパガンダを信じて「人海戦術で押し寄せるロシア軍を少数精鋭で押し返す勇猛なウクライナ軍」なんて幻想を信じている方も多いようですが。
マリウポリの攻城戦はロシア軍を引き留める重要な意味があった。今回もプーチンが演説で高らかに戦果を謳い上げるか否かで春の攻勢へ向けたロシア兵の士気が変わる可能性はあり得る。外野があーだこーだ言ってもしょーもない。
ロシア軍の主張でも、現役の精鋭部隊は市街に残っていると言われ、一部は退却していても、残りは最後まで死守を図るのかもしれず、あるいは死守する、というの自体が撤退作戦のための偽騙かもしれず、そのへんは現時点ではよくわかりません。
いずれにしても、天候が悪化、猛吹雪、大雪になれば、退却も補給も困難になるであろうということは、今の日本の天気や道路を見ても容易に想像できます。
スターリングラードの戦いでも、マンシュタインが第6軍に退却を呼びかけても、司令官のパウルス元帥が死守に固執し、結局多数のドイツ兵が捕虜になるということがありました。プーチン大統領もやはりスターリングラードを今のバフムトの戦況に重ね合わせているのかもしれません。
クレミンナや、ビロホリフカの詳しい戦況もそのうち明らかになるでしょうが、仮にビロホリフカからウクライナ軍が退却したのが事実だと、シベルスクもすでに危うい状況です。
トップの写真がネコミミ付けた兵士にしか見えない
おヒゲも立派だにゃ
戦場でもこんな感じなのかな?
リンク
ウクライナの戦略が何も見えないので、これではどうあれ戦線はズルズル
後退するだけですね。ロシアの戦略目標は少なくとも昨年9月以降は一貫
していますが、ウクライナは何がしたいのか、目標は何なのか政権内でも
統一しておらず迷走しているようにしか私には思えません。
ゼレンスキーは、メディア向けの見映えが一番大事なのではないでしょうか。
実を取るロシアと、メディア向けの派手なパフォーマンスをひたすら重視する
ゼレンスキー。戦場では彼我の戦力差が確実に広がり始めていますね。
クレミンナはロシアのテルミナートルが、森林地帯からジャベリンでゲリラ
攻撃を狙うウクライナ歩兵を駆逐したのだと思います。今後シヴェルスク包囲
の為ビロホリウカの制圧は必須ですので、この方面のロシアの攻勢は激化する
でしょう。
ロシアの作戦はシヴェルスク→コンスタンチノフカ→ジェルジーンシク・
アルテーモヴェ→アウディーイウカと攻略は続きます。アルテーモヴェを
制圧した時点で、ポパスナ・ゴロフルカ・バハムト・シヴェルスクの
鉄道ラインをロシアは確保できるので、これが復旧でき次第兵站が飛躍的に
向上し全ドンバスの制圧が視野に入ってきます。
私にはたとえウクライナ全土を掌握できたとしても、ロシアのその先の国際的戦略が全く見えませんけどね。
国際戦略としては、欧米の制裁に対応して他地域での経済活動を
活発化させており、今年度のロシアはIMF の試算でもプラス成長の
予測になっています。政治的には、欧米日とはほとんど断絶状態に
なっていますね。
反発が大きいことを承知で書かせてもらいますが、今の中露を同時に
敵にまわすような対応は日本にとって非常に危うい。中露と国境を
接している国で、日本ほど両国との関係が同時に悪化している国は
ありません。
両国とも日本から見て価値観の相容れない専制大陸国家ですからどうしようもないですね。直接陸続きでなく海洋という緩衝地帯を挟んでいてよかったです。
ただ、ウクライナの戦争の帰趨がどう転ぼうがロシアは欧州という巨大市場を半永久的に失うわけで、じり貧国同士で結託するのが国際戦略というならそれ自体はたいしたことはないですな。
中露と国境を接し、西側のイデオロギーで規模の大きい国って
日本以外にあります?韓国くらい?
そんなんで比較して「日本だけ!」って言われてもねぇ…
他は全部どちらかの国に飲み込まれているだけでしょ
ロシア軍に国力劣るウクライナは素人に戦略読まれたら駄目でしょ。ロシア軍の場合は戦略読みやすいので、国力劣るウクライナ軍が何とか対抗できていますけどね。
バフムートを捨てて作ったゆとりで何処に対して春攻勢をやるつもりなのだろうか?
それにバフムート制圧後もそこを基点に露が砲撃などをして手を緩めてくれるとは思わないし。
ゼレンスキー:No one will surrender Bakhmut. We will fight as long as we can.
バフムートを枕に討ち死にしそう。ここまで言ったら引けないでしょ。
アメリカやイギリスにとってはバフムトはどうでもいい町であっても、ゼレンスキ―にとっては日露戦争の
「旅順要塞」
のような要塞であり、あるいはサイパン島のような
「絶対国防圏」
というこ都で、またロシア軍もそれをわかっているからこそバフムトの制圧を最優先したのかもしれず、プーチンにとってはまさに
「スターリングラード」
なのかもしれません。
内務大臣はすでに墜死し、レズ二コフ国防相は辞任しましたが、バフムトが陥落、ウクライナ軍が降伏した場合は、ゼレンスキ―大統領の政治的権威も相当に危うくなるでしょう。
ゼレンスキー大統領は「バフムートを明け渡すつもりはない」と公式表明した様です。
しかし内容としては、現状打破は支援国からの早急な兵器提供、取り分け長射程兵器頼みであり、結局のところそれまで戦線維持の為に消耗戦を継続すると表明した様なものです。
非常に残念ですが、やはり今年は昨年よりも血生臭く凄惨な総力戦になるのかもしれません。
政治的には撤退は厳しいだろうが、軍事的には引くべきは引いておかないと後に戦略的敗北を招く
ゼレンスキーはバフムート死守を唱えるならば精神論でなく全域へ武器を、兵士を、補給を送れ
バフムトは、ウクライナ戦争一年目にあたる2月24日まで持たせれば、ロシアのウクライナ侵略は、去年より直ぐに補充できない航空戦力が少なくなっている分ウクライナの泥土の影響で、やりにくいでしょうからそのあたりまではウクライナは持たせそう。
バフムト攻防戦でロシアの航空戦力を少しずつ削れていますしね。
ロシアに間接的に戦略情報伝えるウクライナの春攻勢の話はこれまでのウクライナの攻勢話は時季や場所ずらしていますから時季や場所はずらすでしょうしね。
バフムト早期に失陥するとソルダーの失陥時のように、他の膠着状態の戦線にロシアの兵力移動してウクライナ側は不利になりそうですしね。
ウクライナ側はバフムトから兵力撤退しても、ロシアの人命軽視戦略はとれないので補給や休養を1ヶ月は与えないといけないから、ウクライナが泥土まみれになる侵略しづらい時期までバフムトからは撤退しづらい。
ロシアも熟練パイロットを喪失して、これから大丈夫なのかね?
ただでさえ弱体化してる最中で周りに敵が多そうだけど。
親露派はロシアに無尽蔵の国力があると思ってそう。