米国関連

最強の敵に打ち勝つため?米空軍がパイロットの身長制限を撤廃した理由

米空軍はより多くのパイロットを確保するため新規パイロット募集条件の身長制限を廃止した事を明らかにした。

参考:US Air Force ends height restrictions in hopes of attracting more female pilots

特に戦闘機パイロットは男性よりも女性の方が有利な時代が来るかもしれない

これまで米空軍の新規パイロット募集に応募するには身長が64インチ(約163cm)~77インチ(約195cm)の間であることが求められていた(※身長制限の免除プロセスも存在はしていたが利用率が非常に少なかった)ため、女性応募者の44%がこの条件を満たせず排除されていたと明らかにした。

補足:米国政府の統計によれば米国人男性の平均身長は69.3インチ(約176cm)で、米国人女性の平均身長は63.8インチ(約162cm)である。

このような条件が設けられたのは航空機の設計が平均的な男性の身長を基準に設計されていたせいで、今後は身長による一律的な排除は行わず個々の身体的特徴を考慮した上で安全に操縦可能な航空機に配属すると米空軍は言っており、今後多くの女性パイロットが誕生することに期待を寄せている。

なるほど、ここまで読めばこれまで排除されていた多くの女性が米空軍のパイロットにチャレンジできるようになるので歓迎すべき決定のように見えるが、恐らくこの話には裏があると管理人は思っている。

現代人の体重は肥満傾向にあり軍人も例外ではない。

出典:US Army photo

米国のシンクタンク「ランド研究所」は米軍兵士の約2/3が過体重もしくは肥満であるという内容の報告書を発表したことがあり、米軍も「体力の劣る兵士がいると任務達成率が低下する」として肥満と判定された兵士のために特別なエクササイズを行うなど肥満解消に努めているが問題は改善するどころか逆に悪化していると言っていい。

米陸軍は入隊基準(主に肥満のため)を満たせない若者が増加して必要な新兵確保が困難になっており、もはや入隊基準の緩和もやむなしと考えるようになっている。米海軍では大量の兵士が体力テストに合格できなかったため艦艇勤務から外さなければならなくなったが、あまりに大量で艦艇の維持が困難になるほどだったため規則緩和で乗り切ったらしい。

英国でも状況は同じで兵士の肥満を何とかするため少なくない予算を投じて医師によるカウンセリングやエクササイズなど対策(※1)を講じてきたが、このような対策は殆ど効果を挙げていない。そこで英国は斬新な解決方法=対処方法を講じることになった。英議会は海軍に対して肥満の兵士が潜水艦で勤務できるようハッチを大きくするよう要求、空軍には戦闘機の射出座席の耐荷重を引き上げる(射出する際のロケットブースターを強化しろという言う意味※2)よう指示した。

※1補足:英国軍の新兵は2/3が肥満で英国軍全体で3万人が肥満と判定され食事療法や投薬、脂肪吸引などの治療を受けている。※2補足:実際に英国が調達しているF-35やユーロファイターに取り付けられている射出座席は肥満のパイロットに対応した新型の射出座席が導入されているが潜水艦のハッチが大きくなったのかは不明。

要するに兵士の体重を絞るのではなく機材の方を肥満に合わせろという意味だ。

出典:U.S. Air Force photo/Staff Sgt. Marleah Robertson

英国では今後パイロットは女性の方が体重条件を満たしやすいので男性よりも有利だといわれており、米空軍が身長制限を撤廃してより多くの女性パイロットを受け入れようとしているのは、恐らく英国と同じ発想なのかもしれない。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Cpl. Isaac

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 5月 26日

    ビリーズブートキャンプを実施で良くないか

    2
    • 匿名
    • 2020年 5月 26日

    ますます日本人の体型に合わなくなってくるということですか。
    まさか、こんなことが理由で国産機を推進しなければならない、ということにはならないと思いたい。
    ならないよね?

    1
      • 匿名
      • 2020年 5月 26日

      それはちょっと切ない。

      • 匿名
      • 2020年 5月 26日

      どのみちダイセルが撤退した以上…射出シートは外国製一択だけどね!笑

      • 匿名
      • 2020年 5月 26日

      まぁ、大は小を兼ねるだろうから、座席の改良等で対応出来るとは思う。
      だが、其の逆は対応出来ない。
      『F-3に搭乗しようとした米兵の2/3がデブ過ぎて断念。』
      と云うニュースを眼にする日は近々在るかもしれないw

      1
    • 匿名
    • 2020年 5月 26日

    食事で糖質制限するとかしないのか。
    アメリカ人はそういうの大好きそうだが。
    3食決まった所で食べるなら、簡単じゃないかな。
    イギリスは食い物に保守的らしいから、諦める。

    • 匿名
    • 2020年 5月 26日

    この流れに対応できない機体は早期引退を強いられるかも知れませんね
    旧式機への風当たりも一部では強いようだし

    洗車のハッチも大型化を要求されるかな?w

    • 匿名
    • 2020年 5月 26日

    これ、実際に乗り込もうと思うから肥満や体力が問題になるのだから無人化しちゃえ!な方向に行くんじゃないかな?

    関係ないが、上の写真でウェイトやってる女の落書きみたいなタトゥ酷いね、当人はあれがかっこいいと思ってるのだろうか?

      • 匿名
      • 2020年 5月 26日

      2015年4月15日、レイ・メイバス米海軍長官が講演で、
      「米海軍としてはF-35が最後の有人戦闘機になるだろう」
      そして、米海軍は今後はドローンなど無人機の活用に移行すると発言した。
      を思い出した。\(^▽^)/

        • 匿名
        • 2020年 5月 26日

        そうなんですか?!最後の有人機とかなんか寂しいですね、無人機は確かにGなど関係無しに戦闘機の機動性を活かせれますからね!でもEMPとか使われたらヤバいかも。。。

      • 匿名
      • 2020年 5月 26日

      確かに!仮にハーバード出身だとしても…頭が悪く見えてしまう!笑

    • 匿名
    • 2020年 5月 26日

    F-15Jは、背面飛行をするとレバーに手が届かなくなる
    と言う噂は本当なのかね?

    • 匿名
    • 2020年 5月 26日

    耐G能力は体が小さい方が有利じゃなかったかな。

    1
    • 匿名
    • 2020年 5月 26日

    戦闘機のアメ車仕様推進とか、嫌な悪寒しかしない

    1
      • 匿名
      • 2020年 5月 27日

      9Gが頻繁に掛かる想定の戦闘機の場合、想定体重増や体格拡大はシートやコクピット周りの要求強度・サイズ増→重量増に繋がり、雪だるま式に全体重量増を招きますからね。

    • 匿名
    • 2020年 5月 27日

    狭い単座の戦闘機は廃止して、大型のステルス爆撃機と無人機戦闘機にすれば解決だな。

    • 匿名
    • 2020年 5月 27日

    こういうときに無人戦闘機なんて言うのが一番バカバカしいと思う。
    プログラミングをちょっとやってみれば分かると思うがソースコードを書くのって結構時間も手間もかかるんだよ。少し間違えたら重大なバグに繋がるから。
    いくらコンピューター技術が日進月歩だからってソースコードの開発や記述をするのは人間なんだから。
    それに現代の戦闘機でさえ数十万行ものソースコードを、それもかなり機密性の高い特殊な言語を使ってるんだから複雑な動きを必要とする無人戦闘機となると数億なんて行じゃおさまらん。
    そんな条件で人員を増やすなんて夢のまた夢。今後暫くは少なくとも有人戦闘機だよ。
    F-35のときも

      • 匿名
      • 2020年 5月 28日

      F-35のソースコードはC++で3000万行ですね。
      F-35のコーディング規約JSF++は自動車など組み込み系の標準規約MISRA C++に発展しています。

      F-22はAda言語で220万行なのでF-35はソースコードの複雑度も大幅に上がっていますし、テストも大幅に増えているはずです。

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