ウクライナ戦況

ウクライナ侵攻359日目の戦況、バフムートでウクライナ軍が反撃

クピャンスク方面のロシア軍はオスキル川東岸に足場を築いて南下を開始しており、バフムート方面ではウクライナ軍がチャシブ・ヤール方向のロシア軍を1km以上押し戻したが、パラスコヴィーフカの状況は相当厳しくなっている。

不気味なクピャンスク方面の動き、両軍が激しく争うバフムート方面は一進一退

クピャンスク方面のロシア軍はオスキル川東岸=ドヴォリチナの対岸地域に足場を築こうとしており、ドヴォリチネとフリャニキフカを制圧してマシュティフカに向かっているらしい。

出典:GoogleMap クピャンスク周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

クピャンスク北東に位置するシンキフカは「ロシア軍が制圧した」と噂されていたが、現在もウクライナ軍が保持している可能性が高いと指摘されている。ただロシア軍のオスキル川東岸に沿った南下は明確になっており、最終的にクピャンスク市東岸地域の制圧(現在はその足場を築く前哨戦)を目指しているのだろう。

バフムート方面にも良いニュースと良くないニュースがあり、良いニュースとはコンスタンチノフカとバフムートを結ぶ幹線道路「T0504」を越えて侵入してきたロシア軍を「チャシブ・ヤール方向からウクライナ軍が1km以上も押し戻した」という報告で、これによりロシア軍は00506ルートから遠ざかったことになる。

出典:GoogleMap バフムート周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

良くないニュースはバフムート北東に位置するパラスコヴィーフカの状況が相当厳しくなっており、ドゥボヴォ・ヴァシリフカやベルヒフカに向かう動き、バフムートから見て北東(ソレダルから見て北西)に位置する高台を完全に抑えられヴァシュキフカやザリズニャンスキーに向かう動きなども確認されており、バフムートからシヴェルシク間の地域に対するロシア軍の侵食はじわじわと広がっている格好だ。

ソレダルから北や東に向けてロシア軍が前進しようとすると低地から高地に攻め上がる形になり「ウクライナ軍にとって有利な戦場だ」と言われていたが、ロシア軍は兵士の波による代償を支払うことでウクライナ軍のアドバンテージを中和してしまったのかもしれない。

出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0

もしロシア軍が2月24日までに「バフムートを制圧もしくは包囲するという戦果」をクレムリンに報告するなら、最後の力を振り絞って大規模な攻撃を仕掛けてくるだろう。

関連記事:ウクライナ侵攻353日目の戦況、ロシア軍がクピャンスク方面でも積極攻勢か
関連記事:英国防省はロシア軍の戦死者数を4万人~6万人と推定、ウクライナ軍発表の半分以下

 

※アイキャッチ画像の出典:93-тя ОМБр Холодний Яр

英国防省はロシア軍の戦死者数を4万人~6万人と推定、ウクライナ軍発表の半分以下前のページ

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コメント

    •  
    • 2023年 2月 18日

    突撃するだけなら銃は要らないですしね
    数に任せて進めばエミュー戦争の要領で占領地を拡大する事ができるのがロシアの強みですか

    2
    • 2023年 2月 18日

    > パラスコヴィーフカの状況
    ウクライナ派からの話しだげとウクライナは順調に撤退できているらしい。
    たぶん遅滞防御ができていて
    ここのコメント欄ので言われていた調子の
    総崩れとか鶴翼の陣、包囲殲滅とかとは程遠く
    ヘルソンでのロシア撤退に比べても良い感じ。
    少し前のゼレンスキーのバフムト放棄しない決断が間違いだとする話は何だったのかとも思う。
    キーウ侵攻直後のゼレンスキー国外逃亡しない決断を間違いだとする西側の判断が間違っていた前例もある。

    ヘルソンで包囲しているにも関わらず
    ロシアを無傷で撤退させたのはウクライナ2軍とロシア1軍の力量の差で
    迂闊に追撃したらウクライナ軍大惨事になりかねなかったからではないかと思う。
    パフムト北部方面のウクライナ精鋭に対して
    ロシアの3週間即席部隊の突撃攻撃では無理があったのかも ?

    あとロシアの弾切れの方が深刻で攻勢が継続的に続けられてないのも
    問題なのかも、最近ロシアの攻勢の勢いがない。
    ロシアの弾切れや装備のやり繰りの苦しさも最近言われだしてきている。

    28
      • TKT
      • 2023年 2月 18日

      ただここの記事では触れられていませんが、クレミンナの方面では、ロシア軍がすでにゼレベツ川に到達しそうな勢いで、トルスケに対する攻撃なども始まっていると言われます。

      シベルスク北東のビロホリフカなども、いよいよ三方向から包囲攻撃を受けていると言われます。

      おそらく今のところ弾薬の補給などは、クレミンナの方面に優先されているのではないでしょうか?

      2
        • nkuuxw
        • 2023年 2月 18日

        クレミンナ方面は1週間以上戦線は動いていないですね。
        ロシア軍が攻撃してウクライナ軍が撃退するの繰り返しです。

        11
        • 拝艦巨砲主義
        • 2023年 2月 18日

        はいはい…笑

        4
      • 匿名
      • 2023年 2月 18日

      バフムト撤退しないのが間違いだというの書いたのがアメリカの新聞とかだからアメリカ新聞は経済には強いがイラク戦争の頃から軍事はアメリカ軍の噂話程度しか載っていない。
      アメリカなど西側は軍事情報漏洩厳しくて、軍の分析はほとんど流れてこずに、分析する能力ないから軍の分析部門にはいない現役軍人の分析に頼っていますからね。

      3
    • nkuuxw
    • 2023年 2月 18日

    ロシアは「4月までにバフムートを陥落させる」と言い始めたのでかなりトーンダウンしていますね。
    ウクライナ軍は当初の計画通りバフムートでロシア軍の戦力をできる限り消耗させるつもりです。

    18
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