ウクライナ戦況

ボルチャンスクを巡る戦い、ウクライナ軍がロシア軍に反撃している可能性

ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは7日「ハルキウ方面のボルチャンスク市内でウクライナ軍が反撃(ロシア軍の後退)している」と報告したが、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏も9日「ボルチャンスク市内でウクライナ軍が前進した」と報告した。

参考:Карти станом на 9 липня 2024 року: загальна обстановка та деталізовані мапи районів наступу та оборони

RYBARとブトゥソフ氏の報告(傾向)が事実ならボルチャンスク市内のケースは非常に珍しい

RYBARはハルキウ方面ボルチャンスク方向について7日「ウクライナ軍が北市内の病院付近で領土を奪還した」「ウクライナ軍が北市内の部品工場付近で領土を奪還した」「ロシア軍がアパート地区の一角を占領した」と報告、この方向でのロシア軍後退=ウクライナ軍前進を初めて報告した格好だが、今のところDEEP STATEは何も言及していない。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏も独自に作成した戦況マップを公開(月1回程度)しており、DEEP STATEに近い前線位置(細かい違いはある)を提示しているため、特に取り上げる必要性を感じなかったが、ボルチャンスク方向の戦況マップだけは特筆するものがある。

ブトゥソフ氏は「ヴォブチャ川からT-2104沿いにウクライナ軍が前進した」「中央公園からT-2104を越えてウクライナ軍が前進した」「北市内の住宅地区でコロレンカ通り付近までウクライナ軍が前進した」「北市内の東でウクライナ軍が前進した」と主張し、ロシア軍が実際に支配している市内の範囲はT-2104の西側、それもヴォブチャ川沿い側のみで、部品工場へのアクセスルートは驚くほどか細い。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

まだDEEP STATEの評価が出てこないので何とも言えないが、RYBARとブトゥソフ氏の評価に共通するのは「ロシア軍が後退してウクライナ軍が前進している」「ウクライナ軍が部品工場へのアクセスルートを圧迫している」という傾向だ。

ロシア軍は1度取り付いた都市(イジューム、クレミンナ、ルビージュネ、セベロドネツク、リシチャンシク、リマン、ポパスナ、ソレダル、バフムート、アウディーイウカ)を必ず制圧し、逆にウクライナ軍はロシア軍に取りつかれた都市を守りきったことがなく、RYBARとブトゥソフ氏の報告(傾向)が事実ならボルチャンスク市内のケースは「非常に珍しい」と言える。

関連記事:ロシア軍のハルキウ攻勢は絶望的な状況、補給ルートが寸断され水や食料が不足
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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コメント

    • センツァノーメ
    • 2024年 7月 10日

    ただこの戦線で優位になったところでなぁ…

    18
      • 名無し
      • 2024年 7月 10日

      他の戦線押し込まれているようでは糠に釘だよ

      21
    • 七志
    • 2024年 7月 10日

    東部戦線から予備兵力一切合切抜いて、ボルチャンスク正面に全投入していることは戦局全体ではウクライナ劣勢に変化は無いってなっちゃうんだよなぁ……

    そうまでして北に集中するのは、東部戦線はゼレンスキーラインなるものがあるから今は遅滞戦闘しているだけで、北部は要塞線が無いから開口部を必死に塞ごうとしている……ってのは流石に希望的観測に過ぎるかな
    少数のロシア軍相手に圧倒的多数で仕掛けてハルキウ守りきってウクライナ最強!って言論作っても、東部バクバク喰われてちゃ西側の支援疲れも加速するのでは?

    21
      • センツァノーメ
      • 2024年 7月 10日

      先日もトレツクを守るためにスームィとチャシブ・ヤールから戦力を引き抜いたという耳を疑うような采配が行われたとか…

      4
        • 七志
        • 2024年 7月 10日

        激戦区から激戦区に移動に何の意味があるのかって気がしますね。
        いくら要塞化されているとは言っても、場所が変わったら戦場がどうなっているか知るところから始まるわけで、そんな状況なら残ったほうがいい!ってなる気がしますが、ウクライナ軍がそれを受け入れているのも、理由が分かりかねますね。
        部隊が交代もせずにその場に残っている⇛予備隊、交代部隊がいないから攻め時、となるのを嫌がっているんでしょうが、ロシア軍とて無知蒙昧ではないので、自軍の正面に来た新しい敵が後方で補充、休養を終えた元気な部隊でなく、他所の激戦区から転戦してきた損耗部隊ってのは当然に知るはずですよね。
        ということは、激戦区から転戦してきた部隊⇛その戦線を所管する軍そのものが予備を枯渇している⇛戦線として攻め時だ!となると思うんですが……

        いずれ訪れる戦後では、ウクライナやロシアがそれぞれどういう作戦思想で動いていたのか知りたいですね

        6
    • Mr.R
    • 2024年 7月 10日

    ヘルソンの森林地帯で毎日火災反応があって砲撃戦の応酬してるのかなと思ったら、酷暑で自然発火してるのね……
    特にロシア占領地帯で反応が多いように思うけど、これ陣地も結構やられてるかも?

    12
    • BAKA
    • 2024年 7月 10日

    ボルチャンスク市内では自分が行ってる戦況図で逆にロシア軍が押してるように
    書かれてました、工場の南部はロシア軍の赤に塗り替えられてましたので
    ロシア軍が今度はハイマースを破壊したと映像を流してるそうで
    真意は定かではありませんが。

    10
    • kitty
    • 2024年 7月 10日

    反撃しているだけでニュースになるのは、人が犬を噛んだらニュースになるってヤツですね。

    16
      • ポンポコ
      • 2024年 7月 10日

      ハルキウ方面はボルチャンシクを含め兵力はウクライナ軍が断然に優勢なようですね。ただ、空の方はロシア軍が優勢なようですね。

      戯画化すると、ウクライナ軍の人海戦術とロシア軍の滑空爆弾の対抗ですね。

      ロシア軍の目的はベルゴロド州のために10キロくらいの緩衝地帯を作ることらしいですね。

      ウクライナ軍のボルチャンシクでの反撃はゼレンスキーの命令だったりするかも。

      7
    • Jane
    • 2024年 7月 10日

    ロシアも必死なのでしょう、東部攻略の陽動のためにはどこまで犠牲を覚悟できるか。

    3
    • ふむ
    • 2024年 7月 10日

    ボルチャンスクでのウクライナの奮戦は凄いですね
    市内を流れる川を越えたところで戦っているので、渡河地点は常にドローンに見張られて補給苦しくなるんじゃないかと思っていたのですが
    川を挟んでの膠着など許さんと言う事でしょうか

    6
      • 事実
      • 2024年 7月 10日

      複数のソースで共通している内容が、
      ウクライナは主にドローンで
      ロシアは主に航空爆弾で攻撃していると言うこと
      また、ロシアによる部品工場へのドローンによる補給がうまくいっていないこともほぼ共通認識

      となると、お互いのドローンが飛び交ってはいるのだろうけど、どちらかというとウクライナが主導権を握っていそう?
      この理由が未だによく分からない

      9
    • 事実
    • 2024年 7月 10日

    このブログの7/6のアイキャッチ画像にもなったRomanov氏の動画を見ると、病院とT2104の間に2発着弾して白煙が上がっている
    この映像がロシア占領エリアから撮影されていることと合わせ、この白煙が航空爆弾によるものだったとした場合、ロシアによる攻撃である可能性が高い
    だとしたら、この映像が撮影された7/5時点?でウクライナ軍がここまで進出していた事になる

    のかな?

    4
    • たむごん
    • 2024年 7月 10日

    戦場(戦争の一部)として考えれば、興味深いですね。
    両軍の差、兵器の投射量・兵士数の推移が気になります。

    戦争全体として考えれば、他戦線、国内政治、外交(ロシア本土攻撃を一部認めるなど)などと考えれば、複雑な情勢ですね。

    5
    • 冬戦争
    • 2024年 7月 11日

    ロシアのニュースサイトmk.ruのウクライナのSVOプロット(表紙のページの下の方にあります)の7月10日8:25の記事ではロシア軍がヴォルチャンスク近郊でウクライナ軍の退路を遮断したとあります。ロシアのニュースサイトはsvpressa.ruもmilitary.pravda.ruもria.novostiもmk.ruも見ていますがヴォルチャンスクでウクライナ軍がロシア軍を押し戻していると言う記事は見ないですね。

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