ウクライナ戦況

バフムート市内の戦い、駅周辺やMiG-17モニュメント周辺の状況に変化なし

バフムート市内の前線に大きな変化はなく両軍は駅周辺を巡って交戦中で、ロシア側情報源が主張していた「MiG-17モニュメント周辺の突破」は確認されておらず、市内で戦うウクライナ軍の背後を脅かす試みは成功していない。

市内の前線に変化はなくウクライナ軍は市内と郊外のアクセスを維持し続けている

ロシア側情報源が「MiG-17モニュメント周辺の防衛ラインを突破してT0504に到達した」「市内西部の貯水湖沿い進むワグナーもRose Alleyの先に到達した」と報告してから数日が経過したものの、結局これを示す視覚的証拠は登場しなかったたため、市内で戦うウクライナ軍の背後を脅かす試みは失敗したのだろう。

出典:GoogleMap バフムート市内の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

逆にバフムート駅周辺にロシア軍が迫っている視覚的証拠は増え続けており、商業エリアにあるスタジアム=をワグナーが制圧、さらにではウクライナ軍兵士が全力疾走で通りを渡っているため当該地点が「交戦地域」であることを示唆、をバフムート方向に移動する映像には破壊された装甲車両が映っているので「ロシア軍の砲撃に晒されていた」と示唆しているが、イワニフスキーに迫っていたロシア軍は押し戻されたため「現在のT0504は通行可能」と解釈することもできる。

因みにバフムートを訪問したシルスキー陸軍司令官は「ロシア軍がシリアで見せた焦土戦術に切り替え、空爆と砲撃で建物や陣地を破壊している」と明かしていたが、SNS上に破壊されたバフムート市内の衛星写真が登場した。

左の写真はバフムート駅の北西エリア(赤い屋根の建物が何なのかは不明)を、右上の写真はバフムート駅の南東エリア(刑務所や商業エリアのスタジアムなど)を、右下の写真は行政庁舎周辺に近いスタジアム周辺を映したものだ。

バフムート駅の南東エリアを映した衛星写真とGoogle Mapの衛星写真を比較するとボロボロになった街の様子がよく分かる。

出典:IanMatveev 破壊された駅周辺の様子

追記:ロシア軍が駅周辺を制圧したという報告がある。

関連記事:ウクライナ軍司令官、バフムートのロシア軍は焦土戦術に切り替えた
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関連記事:世界初の空中消耗戦に挑むウクライナ、戦闘機提供は勝利の助けにはならない

 

※アイキャッチ画像の出典:93-тя ОМБр Холодний Яр

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コメント

    • gepard
    • 2023年 4月 12日

    ロシア軍の駅確保が事実なら南北に走る線路の防衛ラインが破られたことを意味する。ウクライナとしては無理をせず西の集合住宅密集地に下がりたいところだが、その地点より西に有力な防衛拠点はない。migモニュメント方面からの攻撃も撃退する必要があり、厳しい戦いが続いている。

    10
    • TKT
    • 2023年 4月 12日

    残る拠点はバフムト駅西口の団地のアパートの地下ですが、南のコルサンスキー通りを越えて北へ上がっていくよりは、バフムト駅の西口からそのまま西へ進んで団地に突入する方が近い、早いわけで、ロシア空挺軍、あるいはワグネル社の部隊は駅の西口から団地の入り口に向かう作戦かもしれません。

    ロシア軍が団地のアパートの地下を制圧してしまえば、バフムト市街西側に残るウクライナ軍は南北に分断されることになります。

    そうさせないために、ウクライナ軍はロシア軍から捕獲したT-80戦車を使って、必死に駅の西口前広場で防戦しているのでしょう。レオパルト2A戦車やチャレンジャー2戦車はどうもバフムトには回ってこない感じだからです。

    4
    • 無無
    • 2023年 4月 12日

    情報漏洩でウクライナ軍の息切れが近いような話題になっているが、でもロシア軍の継戦能力だって怪しいもんだが。
    頭数は揃えられても弾がないとどうしようもないのは同じだろうし

    7
      •  
      • 2023年 4月 12日

      ウクライナの息切れは対空コンプレックスの話で、それで出てくるようになるロシアの航空戦力は温存されてた分だけ弾の余裕はあるだろう

      9
    • 58式素人
    • 2023年 4月 12日

    記事の通りならば。
    ”砲兵が耕して、歩兵が占領する”ですね。
    まるでWW1の西部戦線そのものですね。
    戦後の復興が大変かな、と思います。
    そこそこ大きな街のようですし。

    7
      • MAT
      • 2023年 4月 12日

      これはウクライナがどんな結果になっても辛い結末を迎えるだろうなと思いますね。
      建物もそうですが、両軍が放った砲弾の汚染、地雷や不発弾、遺骨収集、文化的物質の喪失、労働人口減少と戦後の生活がかなり厳しい状況になるだろうなと思いますね。金だけは世界中からより来やすくはなるかもしれないですが、他の分野にどこまで期待が持てるかは不明瞭ですね。建設業者の水準は高そうなのが救いですかね。

      12
      • TKT
      • 2023年 4月 12日

      ドネツク人民共和国のデニス・プシーリンの話では、すでに北朝鮮から来た朝鮮人の土木技師や土木作業員がたくさん来ているようです。おそらくロシア産の天然ガスや石油、ウクライナ産の小麦のような食料と引き換えでしょう。

      エジプトがロシア軍向けのロケット弾を生産して輸出する、という話もあり、裏では何がどう動いているのかよくわかりません。

      バフムトの復旧工事には、海産物と交換で日本から輸出されたトヨタの中古車などもたくさん使われるのでしょう。

      3
    • 鳥刺
    • 2023年 4月 12日

    まあバフムートに関しては、両肩部を保持しながら敵に損害を与えつつ逐次後退で構わないわけです。

    それにしても、交戦地点全てで、現場を無人の更地化して寸土の占有のみを追求する、ロシア戦法の非効率と自軍の損害への無頓着さには驚かされます。チェチェンは小さな地域でしたが。

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