ウクライナ戦況

クピャンスク方面の戦い、ロシア軍が新たな方向で突破口を開いた可能性

RYBARはクピャンスク方面について3日夜「ロシア軍がミロヴ集落を解放した」と報告、視覚的にロシア軍兵士が集落の中心部で国旗を掲げる様子が登場、DEEP STATEも「ロシア軍がミロヴ、トポリ、ストロイフカを占領した」と報告し、ロシア軍が新たな方向で突破口を開いた可能性がある。

参考:Мапу оновлено
参考:обстановка на Краматорском направлении к исходу дня 3 июля 2025 года
参考:Хроника специальной военной операции за 3 июля 2025 года

国旗を掲げるだけの一時的な占領で終わるか、オスキル川沿いの動きに合わせた突破か

RYBARはクピャンスク方面について3日夜「第69自動車化狙撃師団の第83自動車化狙撃連隊が解放されたミロヴ集落の行政庁舎に国旗を掲げた」と報告、視覚的にロシア軍兵士がミロヴ集落の中心部=で国旗を掲げる様子が登場、DEEP STATEも「ロシア軍がミロヴ、トポリ、ストロイフカを占領した」と報告した。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

RYBARは「ロシア軍がミロヴ集落のみを支配している」と報告したのに対し、DEEP STATEは「ロシア軍がミロヴ集落周辺の森林地帯まで支配している」「ロシア軍がアンバーン方向に前進している」と報告しており、さらにオスキル川沿いのトポリとストロイフカも失ったと認めたため、DEEP STATEとRYBARのトポリ方向に対する評価は一致した格好だ。

これまでもロシア軍は国境沿いに近いハルキウ州の集落に国旗を掲げて「占領した」と主張することがあったものの、どれも一時的なもので終わっていたが、今回はオスキル川に近い場所なので「国旗を掲げるだけの作戦」とは異なる可能性がある。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

RYBARはチャシブ・ヤールの状況について3日夜「ロシア軍がセヴェルニー鉱山一帯、中心部、ノヴォセヴェルニ地区、ツェーフ2地区を制圧した」と報告、セヴェルニー鉱山方向の評価はDEEP STATEと一致したものの、それ以外の評価は食い違っており、今のところRYBARの主張を裏付ける視覚的証拠も登場していない。

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※アイキャッチ画像の出典:Северный Ветер

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コメント

  • コメント (20)

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    • 2025年 7月 04日

    悪化するポクロウシク方面に兵力でも引き抜かれたんでしょうか。
    予備戦力なりを投入して本格的に足場を築かれる前に撃退出来るかでしょうね。

    そう言えば最近は西側重装備を多数運用する精鋭旅団の話が出て来ないですか、後方でクルスク戦の傷を癒やしてる最中なのでしょうか。

    13
      • 2025年 7月 04日

      チャシブ・ヤールはトレツク並みに戦場の霧の中なのでよく分かりませんね。シェフチェンコ地区や南西のスタポチキーでのロシア軍の映像もありましたし実際にどこに誰がいるのでしょう?

      唯一言えるのが、ウクライナ軍がここを全力で死守しているということでしょう。あちこちから部隊を引き抜いて投入していようですし、優先的に尋常じゃない量のドローンも投入されているので。

      ここが落ちれば昨年のヴフレダールの二の舞で一気にコンスタチノフカが危うくなります。逆にここが持ちこたえれば、先にポクロフスクが攻略が始まると思われます。

      16
        • 納豆兵
        • 2025年 7月 04日

        ただでさえウクライナ軍はどこも兵士が不足してるのに防衛のために引き抜いていたら今度はそっちの戦線に穴が空いてしまうからロシアにとってはどっちに転んでもお得なのかもしれない…。

        45
        • 理想はこの翼では届かない
        • 2025年 7月 05日

        都市中心部(新旧の耐火物工場がある範囲)が堅持できてる時点だったら兵力・ドローン部隊の投入をしてでも守り抜く価値はありましたけど、中心部を抑えられて高低差のある状態になってしまった時点でどうしようもないと思うのですよ
        ここが陥落すると西側の高台もいずれ突破されてコンスタチノフカが砲撃の脅威に晒されるのは理解できますが、ここにいつまでも拘るのも悪手でしかないのでは

        5
      • nachteule
      • 2025年 7月 06日

       ドニプロペトロウシク州の前線に第47機械化旅団も歴戦の第110機械化歩兵旅団も配置されてるよ。そして今月に第110機械化歩兵旅団の旅団長とスタッフがロシアのミサイルで殺害されている。
       ロシアとの戦争が終わらないか部隊に致命的な打撃が与えられない限りは数ヶ月単位の休憩なんて与えられないと思う。

      2
    • .
    • 2025年 7月 04日

    ウクライナ軍は穴ぼこだらけなので弱くなった前線は押せ押せで行きましょう

    32
      • 2025年 7月 05日

      そういうの要らんから

      18
    • hoge
    • 2025年 7月 04日

    迂遠過ぎるので昨年の時点では「無いだろうな」と思ってたトポリから南下する動き
    オスキル側を渡河して築いた橋頭堡を順番につないでいく狙いですね
    既にクピャンスク北面を抑えて兵站を圧迫しているわけですが、これが成るとパワーバランスは完全に壊れます
    ウクライナはクピャンスク市街地の要塞化を進めていますが戦略的にはあまり意味がないですな

    23
      • a.k
      • 2025年 7月 05日

      寡兵側が都市の要塞化をして立て籠もった所で、補給線を断たれて孤立してしまったら「鳥取城」や「石山本願寺」になるだけなんですがねぇ。
      制空権失っている状態ではベルリン空輸も不可能です。

      イデオロギー塗れの映え戦争やってるウクライナは、都市を失う事を自国民を失う事よりも遥かに恐れているのでしょう。映えない戦場ではスポンサーからの投げ銭がもらえなくなりますから。

      19
    • たむごん
    • 2025年 7月 04日

    トポリ西側の縦深を確保すれば、対岸の補給が改善する可能性があるでしょうね。

    ウクライナ戦争は、正面戦線の長さが異常なくらいに長いですから、全戦線を守り続ける難しさを感じます。

    16
    • あばばばば
    • 2025年 7月 04日

    このペースでロシア軍が進軍すると、目標を達成するまでにあと何年かかるだろうか?

    4
      • 納豆兵
      • 2025年 7月 05日

      あとウクライナ軍もいつになったら領土を取り戻せるんだろうな?

      34
        • あばばばば
        • 2025年 7月 05日

        結局人が居ないんだから無理だろ
        せっかくほかの国から供給を受けた兵器も、無駄に特攻させただけに終わったし

        12
        • Whiskey Dick
        • 2025年 7月 05日

        あと4年耐えればアメリカ民主党が政権を奪還し、ロシアの軍資金が尽きたところを見計らって大量の武器供与を行えばウクライナの電撃的勝利となるはず。但しウクライナ軍があと4年耐えられる、ロシア経済が後退する、アメリカ民主党が確実に政権を奪還できることが前提条件になります。
        若しくは西側諸国が何らかの手段でトランプを脅し、ウクライナ支援を継続させることができれば良いのですが。

          • ノーテイスト
          • 2025年 7月 05日

          “ウクライナ電撃的勝利”の後、この戦争を指導して来たゼレンスキー政権…そうで無くとも後継政権が選挙で勝つ必要もあります。又、米国民主党が政権を奪取しても、大日本帝国と満州国並みに一体な(そして同じく主従のイニシアチブが逆転している)イスラエルの状況と孤立が解消していなければ絶対にウクライナよりも優先順位が高い可能性大。更に合衆国の“弾切れ”がトランプの口三味線や言い訳の類で無ければ増産も必要。今度こそロシアに大型隕石が落下(?)すれば、もう少し好転するかも知れませんが…。

          12
          • a.k
          • 2025年 7月 05日

          >4年耐えればアメリカ民主党が政権を奪還

          CNNの発表ですら、民主党の支持率は過去最低にまで落ち込んだ、民主党支持者たちは今の民主党指導部は間違った方向に進んでいると考えている、と報道しています

          トランプ政権に反発を持ったとしても、それが=民主党支持に回る、と言う訳でも無いのが今のアメリカの政局なので、少なくとも中間選挙が終わるまではバラ色の夢は見ない方が賢明かと。
          つまりはまだ1年以上はこの状況が続きます。
          波打ち際の砂浜に首だけ出して埋められている男が「潮が引くまで息を止めていれば助かるんだ」と言っているようなもんですよ。

          29
      • 名無し
      • 2025年 7月 05日

      その前提となる、両軍が今現在のペースでいつまで戦争を続けられるのか?を検討する必要がありますね。

      過去に起きたこと、今年中に起こるとされること、今後数年にわたって起こり得ること、この兼ね合いですね。

      今言われているのはアメリカのウクライナへの支援が夏頃には終わるってところですね。EUが代わりの穴埋めに失敗すれば形勢はよりロシアに傾くと思いますよ。

      18
    • ノーテイスト
    • 2025年 7月 05日

    抵抗さえ続けていれば、少なくとも日本の様な国では「一進一退」とか「激しい攻防が続いている」等の表現で報道されます。只、ウクライナ現政権が開戦前の領土の完全奪回を目標としている以上、“勝敗”に敢えて目を瞑っても趨勢の方は極めて明確化しているとは言えるでしょう。

    14
    • りにあ
    • 2025年 7月 05日

    ヨーロッパ猛暑が来週ウクライナ戦線に来ますね。東部戦線地区で35度超予想。温暖化で開戦以来冬将軍だけでなく毎年夏将軍にも襲われているロシア軍ですが今年の夏はどれくらい暑くなるでしょう。
    また、死傷者100万超えするかどうか?の注目は終わったので、ウクライナ側の次の目標は敵ラスボスプーチンを倒すしかないでしょう。戦力差がある敵に勝つには桶狭間のように大将を取るしかないので。

      • うくらいだ
      • 2025年 7月 06日

      いいね、この時代で「大将打ち取ったりー」っていえば決着つくの
      でも、大将を戦場で打ち取るのって戦国時代でも数例あるだけだし、今川義元級の大将首なんてそれくらいしかないからね。。寿命まってるほうが早いよ

      9
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