DEEP STATEはクルスク方面について6日夜「グレーゾーンがベルダン方向に伸びた」と、RYBARは「ロシア軍支配地域がノボソト二ツキー方向に後退した」と報告したが、今のところウクライナ軍の攻撃は「攻勢」と呼ぶには規模が小さく、スジャ北東のポジション改善が目的かもしれない。
参考:На фронті від початку доби майже дві сотні боїв, ворог активно атакує на Курщині – Генштаб
参考:Зеленський: Через 5 місяців після початку операції зберігаємо буферну зону на Курщині
参考:Мапу оновлено
参考:Курское направление: продвижение ВС РФ к Малой Локне и захлебнувшиеся атаки ВСУ Обстановка к исходу 6 января 2025 года
DEEP STATEとRYBARの評価が一致しているのは「ウクライナ軍がベルダン方向に前進した」という点のみ
ロシア人ミルブロガーのАРХАНГЕЛ СПЕЦНАЗАは5日午前10時頃「クルスク方面でウクライナ軍の攻撃が始まった。敵は戦闘工兵車を使用して道路を整地し、歩兵と共に歩兵戦闘車や装甲戦闘車両を走らせている。BARS部隊(ロシア軍の予備役部隊)はマルティノフカからプシュカルノエに前進してきた敵を迎え撃っており、スジャからボリショエ・ソルダツコエ方向にも攻勢をかけている」と報告、これ受けて多くのロシア人が「新たな攻勢が始まった」とパニックになり、イェルマク大統領府長官も「クルスクから朗報がある」「ロシアは自業自得だ」とTelegramに投稿。
RYBARもクルスク方面について何度も言及したが、最終的に「ウクライナ軍はベルダン近郊の防衛ラインを突破してボリショエ・ソルダツコエに通じる道路や土地を制圧しようとした。大きな前進は見られないもののベルダン近郊では現在も戦闘が続いている。ウクライナ軍はスームィ州に移送した新しい戦力に手を付けておらず、ベルダン近郊やボリショエ・ソルダツコエ方向への攻撃は陽動の可能性もあり、まだ脅威が去ったと考えるのは時期尚早だ」と報告。
ウクライナ軍参謀本部は6日「199回の戦闘のうち44回がクルスク方面で発生した」「敵はクルスクで積極的な攻撃を仕掛けている」と報告、ゼレンスキー大統領も「クルスク侵攻は今日で5ヶ月目を迎えた」「我々はロシア領に確保した干渉地帯を維持してロシア軍を破壊し続けている」「敵は既に3.8万人以上の兵士を失った(死傷者)」「このうち約1.5万人は回復不可能な損失(戦死)だ」と述べたが、クルスク方面で開始した新たな攻勢については何も言及しなかった。
DEEP STATEはクルスク方面について「ウクライナ軍の作戦が進行中なので当面はコメントしない」と述べていたものの、6日夜「ベルダン付近の状況が明らかになりつつある」「グレーゾーンがベルダン方向に伸びた」と、RYBARは「状況に大きな変化はない」「ウクライナ軍は6日も小規模な戦力で攻撃を続けたが昨日と同じように失敗に終わった」と前置きした上で「ロシア軍支配地域がノボソト二ツキー方向に後退した」「ウクライナ軍がベルダン近郊に到達して集落がグレーゾーンに移行した」と報告。
さらにクルスク方面全体についても「ウクライナ軍によるプシュカルノエ方向の攻撃は失敗に終わった」「ウクライナ軍によるレオ二ドヴォ方向の攻撃は失敗に終わった」「ロシア軍がマラヤ・ロクニャ方向への攻撃を続けている」と述べ、視覚的にもロシア軍がベルダン近郊=Ⓐでウクライナ軍戦車3輌を破壊する様子、ウクライナ軍のストライカーがルスコエ・ポレチノエ北西=Ⓑでロシア軍兵士を追いかけ回す様子が登場。
最初に「ウクライナ軍がクルスク方面で新たな攻撃を開始した」と報告したАРХАНГЕЛ СПЕЦНАЗАは「ロシア軍の先遣部隊がマラヤ・ロクニャに入った」「ここはスジャよりも標高が高く戦術的にも重要性が高い」「火力支援があれば線路に沿って南へ移動するのが容易になる」と報告したものの、RYBARは「ロシア軍のマラヤ・ロクニャ侵入は確認が取れてない」と否定しており、クルスク方面の状況は情報が錯綜している。
今のところDEEP STATEとRYBARの評価が一致しているのは「ウクライナ軍がベルダン方向に前進した」「まだウクライナ軍はベルダン方向に安定的な足場(支配地域)を築けていない」と点のみで、この攻撃に関与している戦力はウクライナ軍にとって破格(視覚的に確認されている戦車や装甲車の数は20輌以上)でも、ロシア人が「スームィに移送している」と主張する戦力の投入がなければ大きな突破は期待出来ず、攻勢と呼ぶには余りにも規模が小さいためチェルカスコエ・ポレチノエ北東の前線位置改善が狙いかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
これから戦力を本格投入するための足場を築こうとして、グダグダに終わった感ある
いや、ここは終わった方が兵士達に取っては逆に幸運だ
ただのポジション改善にしては大統領府がアナウンスしたりしてるので、ある程度前線部隊がポジション改善したら本命の予備部隊で攻勢をかける気ではないだろうか。
もう少ししたらポジション改善か攻勢かが判明するのだろう。
待つしかない。
気になるのが、ロイターやBBC、CNNが一斉に「ウクライナ攻勢開始!」と書き始めたこと。
ゼレンスキーが西側のメディアからどう見られているかばかりを気にして、ポジション改善くらいの想定だったものを、攻勢にしろと言い出したりしないかどうか。そもそも、クルスクは数週間のピンポンダッシュ作戦を想定していたが、ゼレンスキーが要らぬ欲をかいて今に至るから、悪癖がまた出る可能性がある。
「クルスクは数週間のピンポンダッシュ作戦を想定していた」について出典あります?
本来は9日間のピンポンダッシュっていうシルスキー総司令のコメントを、AP通信が年末に報じてませんでしたっけ?28日だか29日。ブルームバーグだったかもしれない
思いのほか成功したのでゼレンスキーが「勢いでコレネヴォを占領しろ!」と命じて、そのまま惰性で保持する羽目になり、gdgd砂場遊びになったはず。
ご教示ありがとうございます。そんな記事があったんですね。
ポジション改善に過ぎないとしたら何故スジャ南方から迫る反撃の方に投じなかったのか謎なので二段作戦の可能性には同意します
ただベルダンに足場を築きた後に何を狙ってどう攻勢を展開させたいのが分からないのでやっぱり意図は不明のままなのですよね
Rybarがベルダン攻撃自体が陽動の可能性に言及していますがこれが陽動だとしても本命が何処かは読めないのでやはり時間が経つのを待つしか無さそうですです
ぶっちゃけ今攻勢掛けたとして停戦に向けて何かプラスになる程の事が出来るのかって疑問はあるけどね。ウクライナが散々色々な事しても最終的に大きな成果には繋がらなくてでロシア側に行動に対する免疫付けてる感がある。
日露戦争みたいにバルチック艦隊壊滅みたいなインパクトの大きい出来事と諸外国からの強力な圧と、ロシア第一革命のトリプルコンボでも無い限りウクライナに有利な講和とか無理なんじゃないかと思う。
敵の弱いところを突く ロシアの一八番返しとか
最近の失態続きのウクライナにしてはよくやった方じゃないか?
多くのロシア人が「新たな攻勢が始まった」とパニックになりとかは誇大広告気味だがw
上の方の大して価値の無い方を攻めるよりもスジャの南東部とかをもっと厚くするべきだと思うが
さらにベストはクルスクから撤退して東部に戦力を再配置すべきだと思う やらんだろうがw
文中のBARS-Kruskを調べたら、ヒドイ編成の予備役部隊ですね。
ISWの分析でも「プーチンのこの方面での舐めプ」とか言われてるし。
>敵の弱いところを突く
ロシアの十八番云うよりは、戦の基本中の基本じゃない?
クルスクに再攻勢して一体何を得るのでしょうか?
ポクロウシクやチャシブヤールは物流拠点、地理的要衝と苦戦覚悟でも攻略する目標がありますが、田舎に貴重な旅団をすりつぶすのはあまりにもったいない…
「敵は既に3.8万人以上の兵士を失った(死傷者)」
ロシア軍は5万人程度だったので半数以上はやられた事になるな。
北朝鮮兵も死傷者4000人位で3割強だしキルレートは何倍になるのだろうか?
戦果マシマシにしないと色々不味いんだろうが、また斧先生に厳しい記事かかれているな。
EObrowserから2024年7/14撮影のsentinel-2の衛星画像で確認(7月が晴れも多く植物の緑が多いので塹壕のラインが分かりやすいです)
クラホヴェ方面
ダクネのすぐ南に陣地と思われるラインを確認。また、ダクネ-ウクラリーの間に対戦車壕らしき太い線が見られます。
シェフチェンコ-ペトロパヴリフカ間に複数の陣地を確認(管理人殿が1/6に掲載された地図をベースに書きます)
1.ポケットの最奥、ギリグレーゾーンの外
2.ペトロパヴリフカのすぐ南(グレー)
3.シェフチェンコ西のグレーゾーンから北の道路が直角に曲がる辺り
アンドリイフカのすぐ北、T-0515を挟むように2か所
クルスクの精鋭がこの陣地群に入ってたらなぁ…
情報ありがとうございます。
自分も、それだとどれだけ結果が違うかったかなと考えてしまいます…。
「チェルカスコエ・ポレチノエ北東の前線位置改善が狙いかも知れない。」というより、あまりにも意味不明すぎてそれくらいしか推察出来ないんじゃないですかね、これ。
明後日1月9日にブリンケン国務長官が参加する最後のラムシュタイン会議が行われるそうです。
過去24回実施され、本来なら1、2か月に一度開催されてきたこのウクライナ支援会議ですが、昨年10月にバイデンがキャンセルして以降は長らく途絶えていました。
ウクライナ支援国の外務相が一堂に会する会議であり、今後の支援方針が決まる、ゼレンスキーの生命線ともいえる会議であるため、その前に景気の良い話を作りたかったのではないか、という説が出ています。
そういえば、あのスイス主催にウクライナが口出してたなんちゃら平和会議どうなったんですかね
そろそろ2回目やりたいですね
意味あるかわからないけど
Insta乗せれるしゼレンスキーそういうの大好きだし
毎年の風物詩で、ロシア軍がみんなクリスマスに行ってしまったのでその隙を突いて攻め込んだんでしょう。
クリスマス週間は、予備部隊もクリスマス休暇なので前線には最低限の戦力しかいません。
去年もこんな調子で、ロシア軍は12月に苦労して確保した拠点をあっさりクリスマス週間にウクライナに取られたりしてるんですよ。
どうもこればかりは合理性を超えていて、ロシア軍の文化としか呼びようのない風習のようですね。
そこで登場してくる戦力が、モンゴル系イスラム教徒であるブリヤート人の部隊だったりして。
西側がさかんに北朝鮮兵だと騒いでいるのは、実際にはブリヤート人なのかもしれません。
ブリヤート人は主にチベット仏教ですよ?
あー、あの辺はウイグル自治区みたいなイスラム圏だと思ってましたが違うんですね。
失礼しました。
塹壕線がkm単位で、38K-004など南北幹線道路沿いに南北に掘られていたり、重要な結節点ごとに東西に掘られていたりするんですよね。
クルスク原発・クルスク市への突破は、何れにしても不可能だなと。
クラホヴェ陥落の負の報道を上書きしようとしているように見える
そっちの方向に支配地域を拡大しても結局スジャに圧力をかけられたら兵站にかなりの問題を抱えることになりそうだが…
多分これが全てなんだよな…
それでクルスク原発だかモスクワには到達できそうですか?(棒)
クラホヴェもトレツクも陥ちたタイミングで実にベタ
ロシア軍の不意をうった訳でもなく、早い段階から察知されてるからな…
同じ3個旅団による奇襲ならロシアのヴェリカノヴォシルカ攻勢のが見事だった
Military SummaryやAMK Mappingあたりのミルブロガーにここ数が月で結構な武器供与あったからまたクルスク攻めるだろって見通されて案の定ですからね
彼らは防衛は二の次でもらった武器をすぐ使い切るというウクライナ軍の行動原理をしっかり読めていて感心しましたよ
これは「北朝鮮兵の捕虜が欲しかった」と推定する
今のところ北朝鮮人は参戦はしているようだが、生きた捕虜は0人であり怪しい映像証拠しか得られていない
ウクライナ内でも確認しているなどと言っているが、実際はクルスクにしかいないのではないか
自軍が後退中や防衛中は基本的に生きた捕虜を捕まえるのは困難で、前進し敵の塹壕を乗っ取った時などに捕虜を獲得できる
よってクルスクで捕虜を捕まえるためだけに前進したというのが一番納得できる
一時的な前進であり、維持できるとは考えていない
正直、北朝鮮兵の捕虜にそんな価値ありますかね…?
今まで散々、北朝鮮が!北朝鮮が!とアピールしまくったせいでもう捕虜にしたところでインパクトに欠けるような…
これが北朝鮮参戦の情報がなくて捕虜にしたら北朝鮮兵だったならインパクトも価値もあると思うんですが。
北朝鮮の捕虜の価値は無くなっていますがウクライナとしては藁にもすがる思いで北朝鮮の参戦をネタにしてNATO参戦につながらなければ敗北確定なので。
北朝鮮兵沢山捌けましたと色々矛盾しているが崩壊待ったナシ政権(と言うか戦犯)には悪あがきしか出来ないんでしょうね。
スラヴァウクライナ!!
私が現場の指揮官なら、捕虜を獲るために装甲車両を使って、部下の命の危険をさらす作戦などお断りする。
あの先は渓谷地域だったはずあまり意味のない地域に突っ込んでるな
一勝が欲しかったのではなかろうか