ウクライナ戦況

オスキル川沿いの戦い、ウクライナ軍が集落を奪還して国旗を掲げる

DEEP STATEはクピャンスク方面オスキル川沿いについて「ロシア軍が川を渡河してノヴォムリンスク付近とドヴォリチナの南に足場を築いた」と報告していたが、ウクライナ軍はノヴォムリンスク集落と周辺一帯を奪還すること成功、ウクライナ軍兵士が集落で国旗を掲げる様子も登場した。

参考:Мапу оновлено
参考:Трохи деталей зачистки Новомлинська від бійців 8 ОГШБ 10 ОГШБр
参考:Бонусне відео від бійців 8 ОГШБ 10 ОГШБр із зачистки Новомлинська

このセレモニーを見たのは1年以上も前=2023年の反攻作戦時で「久々感」が凄い

DEEP STATEはクピャンスク方面ドヴォリチナ方向のオスキル川沿いについて先月24日「ロシア軍がドヴォリチネからボートでオスキル川を渡河し西岸に上陸した」「これは写真撮影のための渡河ではなく我が軍の陣地を占領したのだ」と、26日「ロシア軍がノヴォムリンスク集落に侵入した」「ロシア軍がオスキル川西岸の足場を広げた」と、30日「ロシア軍がオスキル川を渡河してドヴォリチナの南に足場を築いた」「ロシア軍がノヴォムリンスク近郊からフィホリフカに前進を試みたが失敗した」と報告したが、2日夜に何の説明もなく西岸にあったロシア軍の足場を縮小した。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

DEEP STATEは3日「第3独立戦車旅団の第2戦車大隊が率いる装甲部隊がノヴォムリンスク方向の敵陣に突撃し、各車輌は火力で敵陣を制圧してロシア軍兵士を塹壕に釘付けし、降車したウクライナ軍兵士が塹壕内の掃討に向かった。最初の攻撃で敵陣地を部分的に突破することが出来たが、一部のロシア軍兵士が抵抗したため完全に制圧することが出来なった。装備を強化した第2次攻撃で全ての陣地を制圧したものの、ロシア軍もヴォムリンスク集落内の地下から歩兵を出して反撃してきたが、最終的にロシア軍は両翼からの圧力に耐えられなくなり集落を捨ててオスキル川東岸に逃げた」と報告。

説明なくノヴォムリンスク付近のロシア軍支配地域を削除したのは「前線位置が過大評価だった」のではなく「ロシア軍がウクライナ軍の反撃で足場を失った」という意味で、ノヴォムリンスク付近に上陸した敵戦力についても「戦車を含む装甲部隊」の1次攻撃に完全な突破を許さなかったため「写真撮影のための少数ではなかった」と裏付けている。

出典:DEEP STATE 攻撃に参加したウクライナ軍の戦車

さらに言えば「ロシア軍が取り付いた拠点をウクライナ軍が奪い返す」ということ自体が非常に稀で、この攻撃に参加した第8独立山岳強襲大隊(第10独立山岳突撃旅団)の兵士が集落内にウクライナ国旗を掲げている様子も登場し、このセレモニーを見たのは1年以上も前=2023年の反攻作戦時で「久々感」が凄い。

とにかくロシア軍はオスキル川西岸のノヴォムリンスク集落と周辺地域から追い出されており、やはり川を渡河した上陸作戦は無謀だったのだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:8 ОГШБ 10 ОГШБр “Едельвейс”

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コメント

    • ヒュー
    • 2024年 12月 04日

    クピャンスク北方のロシア軍は何度もシンキフカ制圧に失敗しておりあまり有能ではないのかもしれませんね。
    それともこのあたりのウクライナ軍が精強で最近はたまに隙を見せる程度になっているか。

    21
    • ak
    • 2024年 12月 04日

    渡河したのは多分軽歩兵のみで重装備は持ち込めてないだろうから、対岸からの火力支援が有るにしろ拠点制圧には火力不足の中途半端な戦力だなぁ、と思ってましたが。
    撤退しましたか。完全撤退ではなくまだ対岸の森林地帯に残っている可能性は有るみたいですが。

    ロシア側の行動が無謀だったのか、それとも不利とみると即座に撤退させた判断が速いというべきか。どっちでしょうね?
    もっとも、状況によっては再度の渡河作戦もあるのかもしれませんけれど。
    橋が無いと完全に不利なのは確かですけど、クピリャリンスク東岸の粘り具合を見ると実際にはどっかにまだ通行可能な橋が有るんじゃないかという気もします。

    20
      • かぼ
      • 2024年 12月 04日

      露軍は威力偵察も兼ねて、取れたらそのまま維持、反撃が来たら即撤退みたいな
      まあ、これから何度も何度も繰り返してウクライナ側が疲弊するまで続けるんでしょうね
      露軍はとにかく被害を出さないようにしてローテーションをしながら何度も挑戦みたいな姿勢なんだと思う

      36
        • 帝国
        • 2024年 12月 04日

         賛同いたします。露軍は兵力が大きく、ウ軍は兵力と装備不足でしょうからこうした戦闘を繰り返すほど損耗が増え、戦闘比は露軍側に傾きウ軍は煮詰まってしまいます。今回の戦闘もそこそこ苦労しているようですから損耗はそれなりでしょうねえ(砲爆撃も喰らって1ステップロスくらいは堅かろう)。
         ウ軍の反撃は割と「乾坤一擲」だったんじゃないかな。後がどれほど続くのか?次、その次と続く露軍の攻撃を跳ね返せるのか?他地域に悪影響がどれほど出るのか?が大問題でしょうね。

        14
    •  
    • 2024年 12月 04日

    やはり危惧した通りになりましたね
    大きな損害なく撤退できていればいいのですが

    16
    • マンゴー
    • 2024年 12月 04日

    やっぱり渡河作戦が絡むと難易度がバカ高くなるな……
    アメリカぐらい圧倒的な物量備えないと上陸からの橋頭保確保は難しいのかもしれない
    それでもかなりの損害出してるし、川や海は最高の防御施設なのかもしれない

    31
      • 名無し
      • 2024年 12月 04日

      だからドニプロ川まで下がろうって意見があるんですね(n敗

      32
      • かぼ
      • 2024年 12月 04日

      渡河作戦は本当に厳しいのが判りますね
      大陸国家の国境とか見ても、大河が国境になってる事が多いのも納得

      40
    • 名無し
    • 2024年 12月 04日

    久し振りの”戦果”らしい成果出たからここからウクライナがどれくらい宣伝するかが楽しみ
    ロシア君宣伝が淡々としてるからつまらないからね…ウクライナのハリウッドかと見まごうようなド派手な成果報告を期待してる

    36
    • トヨタ
    • 2024年 12月 04日

    ハルキウ戦線のウ軍ロジスティクスは着実ですからね
    なおクルスクは

    9
      • 名無し
      • 2024年 12月 04日

      クルスク方面の部隊長へのインタビューをCNNが記事にしてましたけど本気で支離滅裂な印象でした

      ロシア兵はほとんど誰も生き残らない、ロシア兵は無限の兵力がいる印象、我々は虐殺されている、クルスク州でのロシアの攻撃は効果がないし犠牲が大きい、(しかし)クルスク州の40%は奪還されている、クルスクで対峙しているのはよく訓練された空挺旅団

      軍と政府と実態の適合が取れていないためあちこちに綻びがでている感じです
      更にこのインタビューではゼレンスキー大統領が最近になって口にした「ブタペスト覚書」というワードがでておりおおっぴらにイギリスとアメリカを非難しているのが気になりました
      (恐らくウクライナ支持者がSNSで次に大々的にアピールするワードになると思われます)
      イギリスとアメリカの言葉は信用ならないそうです
      ロシアだけでなくイギリスとアメリカすら信用できないと軍人がメディアに対して口にだすのは非常に危険な兆候だと思います

      24
    • 赤狐
    • 2024年 12月 04日

    俺はこのウクライナでの戦いにおいてロシアが早々に戦線整理して下がった所とかを高く評価しています。
    ああいうのは軍の独断では決められず、進撃以上に最高指導者がどう考えるかで決まってしまう。
    特に状況が好転していない(ハマス襲撃からのイスラエルの大暴れ前)段階での戦線整理は気持ちの上でも面子とか国内統治や対外的な意味でも難しかったと思いますが、プーチン氏はそれを決断しました。
    あの段階で俺は(ロシア軍は肉壁戦術など使っていない)と判断していました。勿論、危険な威力偵察などはやらせていたと思いますが、それはあくまでも威力偵察で「相手の状況を把握したら帰れ」だったと思うのです。
    例え傭兵を多用していても雑な使い方をしていては現状のずっと続くロシアの攻撃とローテーションは有り得ないってのもあります。
    あれを決めただろう頃のプーチンは正直へろへろで、(やばいんじゃないか?)みたいな様子でしたがそれでもそういう判断も決断も出来た。あの段階でウクライナや西側の思い通りにはいかないだろうと思っていたのですが実際そうなりました。
    という事で今回のオスキル側のウクライナ側の奪還はロシア側の退却の判断が早かったというのが大きいと思います。
    しかし、ウクライナ軍がまだやる気を喪失していない部隊がいると言うことと、撤退を決めさせるだけの積極性を持った攻撃をしたのも事実でしょう。少なくともこの戦線のウクライナ軍はまだ戦闘意欲を失っていないと言うことです。彼等は現在の状況を考えると賞賛に値します。
    こういう事に対してゼレンスキー氏やウクライナ軍司令部は報いなければなりません。
    それは報奨をどうするかとかではなく、結局この戦争をどうしたいのかというのを早々に決めて動く事です。

    38
    • ののの
    • 2024年 12月 04日

    クルスクに送っていた兵力が南ドネツクに健在だったら、ヴフレダルやチャシプヤールでも同じようなことができたはずなのにと考えると残念でならない…
    なんであんなクソ作戦許可したんだ

    17
      • 伊怜
      • 2024年 12月 04日

      クルスクどころかシリアに武器送ったり特殊部隊まで派遣してるなんて話も…

      24
        • らっく
        • 2024年 12月 04日

        ウクライナとしては戦争に他国を巻き込んで世界大戦にしたいですからね。ロシアが北朝鮮から兵を受け入れたのもそうはさせないための牽制でしょうからね。

        26
    • たむごん
    • 2024年 12月 04日

    ドボリャンスキー国立記念公園一帯ですが、GoogleMapなどを見れば、足場を築いたり・物資を送るのに適したような地域ではないですからね。

    ウクライナに予備部隊がいれば、突出部・弱い橋頭保を叩けるわけで、強力な予備部隊の重要性を感じます(クルスク侵攻の部隊がいれば色々違ったでしょうね…)。

    8
    • 匿名
    • 2024年 12月 04日

    あれ?先日ロシアから武力で領土奪還は不可能だとゼレンスキーが言ってたのにやれば出来るじゃん(棒)

    上述されているけど、こうやってどうでもいい土地から小出しにヒット&アウェイ繰り返してウクライナ側を疲弊・消耗させるロシア側の手口にしか最早見えない。

    17
      • ろみ
      • 2024年 12月 04日

      クピャンスク方面のロシア軍はドネツクの各方面に比べれば攻勢リソースが乏しくこのように何度も突き回す位が限界とも言えます
      道路寸断まではいけますがクピャンスクのような比較的大きな市街地や車両部隊を伴う大規模渡河作戦は実行出来ないのでロシア軍のリソースが回されてくるまでは膠着するのではないでしょうか
      問題はまだ戦車大隊という大規模予備戦力まで有してる事からクピャンスク方面のウクライナ軍は他よりも余力がある筈なのに突き回し程度の繰り返しで前進され続けて道路寸断まで持ってかれている事でしょうかね

      16
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 12月 04日

    オスキル川の渡河はウクライナ軍としても無視する事はできないので、それなりの戦力を投入して撃退したのでしょう。戦車も投入しているようですし
    ヘルソンのドニエプル川しかり、クリンキーしかり、橋が無い・壊れた状態での渡河はやはり難易度が高すぎますね

    17
    • 58式素人
    • 2024年 12月 04日

    他所の記事によると。
    「ヨーロッパは静かに第三次世界大戦に備える」と言う記事が出ているそうです。
    探してみると、元記事?はニューズウィーク誌の12月03日の
    「Europe Quietly Prepares forWorld War III」のようです。
    欧州の方がウクライナに近い分、より切迫しているのかな。
    戦役がこのまま続くと、ウクライナだけでは収まらなくなるのかな?。

    5
    • cosine
    • 2024年 12月 04日

    敵の1軍に対して1軍、敵の2軍に対して2軍、では全体戦力に劣る側は力負けするだけです。

    敵が絶対に妥協することの無い、敵が1軍を投じている戦域(主に南方)での目標達成の阻止は諦めて、1軍は敵の2軍(主に北方)にぶつけるという戦略に基づいてであるならば、間違いではないと言えるでしょう。
    敵の1軍の必達目標以外のついでで2軍に持っていかれる分を少しでも減らそうという戦いということになりますね。

    ただ、今般のロシアの1軍を阻止しないできないというのは、クリミアとそこまでの南方を完全に諦めるということですので、ちゃんと覚悟した上なのかどうかによりますが。

    6
    • 格の違い
    • 2024年 12月 04日

    隙を衝くまでは良いが矢鱈めったら進みすぎたクピャンスク市街進攻にしても、今回の渡河にしても行き当たりばったりだな。
    北の露軍には慎重さがないのか、この地域のウクライナ軍はまだ元気なのかは分からないが、南部と比べて格の違いを感じずにはいられない。
    ウクライナにとってはシヴェルスクにせよクピャンスクにせよ馬鹿な敵ほど嬉しいものもないでしょうね。

    2
    • ..
    • 2024年 12月 05日

    まだ健在の戦車部隊がウクライナに残っていたんですね。
    クルスクに送る予定の部隊を急遽派遣したか、クピャンスクかハルキウ守備隊から派遣したのかはわかりませんが。

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