ロシア側が主張するアウディーイウカでの前進は1週間が経過しても視覚的証拠が登場せず、逆にウクライナ軍の反撃で大きな被害を被っている様子が確認されたため「アウディーイウカ包囲の試みは上手く行っていない」と評価するのが妥当だ。
ウクライナ軍の組織的な防衛が機能しているアウディーイウカ
バフムートと同じようにアウディーイウカを包囲するロシア軍の試みも上手く行っておらず、ロシア側情報源が主張する前進を裏付ける視覚的証拠は一向に登場せず、逆にウクライナ軍の反撃で大きな被害を被っているのが視覚的に確認されている。
ロシア側情報源は「クラスノホリフカから西に進んでステップーヴェを確保した。最後の防衛ラインを突破してアウディーイウカ市街地(オプトネから北西に位置するアウディーイウカの市街地=第9地区)にロシア軍が到達した」と主張しているが、これを裏付ける視覚的証拠は1週間を経過しても見つかっていない。
22日~29日の間に登場した視覚的証拠はウクライナ側視点のものが大半で、スパルタクからアウディーイウカに向けて前進しようとしたロシア軍部隊(C1~C7)は第110機械化旅団の砲撃、ジャベリン、無人機などの攻撃で撃破され、ウクライナ軍に塹壕の中まで掃討されているため「一方的にやられている」と表現するのが妥当だろう。
Continue👹
More “good russians”
Location: East of Ukraine pic.twitter.com/Sg9D1UQtyL
— Cloooud |🇺🇦 (@GloOouD) March 25, 2023
さらにヴォーダインからシェヴェルヌに向かおうとしたロシア軍部隊(D1~D3)も第53機械化旅団の砲撃で一方的に撃破されているのが視覚的に確認さている。
第35海軍歩兵旅団もヴォーダイン周辺の敵陣地、塹壕、装備などを夜間に砲撃や無人機で破壊(E1~E2)した様子を公開、そのため「シェヴェルヌへの前進」は大失敗に終わった可能性が高く、クラスノホリフカから西に前進した視覚的証拠も出て来ないため「アウディーイウカ包囲の試みは上手く行っていない=ウクライナ軍の組織的な防衛が機能している」と評価すべきだ。
Еще одни кадры с другого ракурса недавнего “мясного штурма” оккупантами позиций 53-й отдельной механизированной бригады севернее Водяного#Украина #Водяное #Ukrainе #Vodyane #RussiaIsATerroristState #UkraineRussiaWarhttps://t.co/gBgbXXK2oV pic.twitter.com/rLqKi2kTGC
— sergio (@SerDer_Daniels) March 22, 2023
An interesting video of Russian soldiers being massacred during the night, including a trench full of soldiers.
35th Naval Infantry Brigade of ZSU.#Ukraine 🇺🇦 pic.twitter.com/VpR9m3Ygwn— 𝔗𝔥𝔢 𝔇𝔢𝔞𝔡 𝔇𝔦𝔰𝔱𝔯𝔦𝔠𝔱 🇬🇪🇺🇦🇺🇲🇬🇷 (@TheDeadDistrict) March 22, 2023
戦況は流動的なものなので明日には「別の顔」を見せるかもしれないが、この地域を担当するロシア軍部隊の戦力だけで「アウディーイウカ包囲」は難しいのだろう。
戦況マップに書き込まれた視覚的な証拠は以下の通りで、Ⓐ~Ⓔをクリックすればソース(Telegramアカウントがないと確認できないもの有り)に飛べます。
- Ⓐ=ウ軍がロ軍陣地を夜間に砲撃する視覚的な証拠
- Ⓑ1=ロ軍の砲撃を受けるウ陣地の位置
- Ⓑ2=ロ軍の砲撃を受けるウ陣地の位置
- Ⓒ1=地雷に接触したロ軍戦車の位置
- Ⓒ2=ウ軍の砲撃を受けるロ軍陣地の位置
- Ⓒ3=ウ軍無人機の攻撃を受けるロ軍塹壕の位置
- Ⓒ4=ウ軍のジャベリンで破壊されたロ軍戦車の位置
- Ⓒ5=ウ軍の砲撃を受けるロ軍塹壕の位置
- Ⓒ6=ロ軍兵士が降伏した位置
- Ⓒ7=ウ軍の砲撃を受けるロ軍陣地の位置
- Ⓓ1=ウ軍の砲撃を受けるロ軍部隊
- Ⓓ2=ウ軍の砲撃を受けるロ軍部隊
- Ⓓ3=ウ軍の砲撃を受けるロ軍部隊
- Ⓔ1=ウ軍の砲撃を受けるロ軍陣地
- Ⓔ2=ウ軍の砲撃を受けるロ軍陣地
- Ⓕ1=ウ軍の砲撃を受けるロ軍部隊
- Ⓕ2=ウ軍の砲撃を受けるロ軍部隊
- Ⓖ=ウ軍の無人機攻撃を受けるロ軍陣地
関連記事:バフムートに類似してきたアウディーイウカの状況、狙われる兵站ルート
関連記事:ウクライナ侵攻399日目、ロシア軍によるバフムート包囲の試みは完全に頓挫
※アイキャッチ画像の出典:110 окрема механізована бригада імені генерал-хорунжого Марка Безручка
バフムトから配置転換した部隊は、アウディーイウカの北部の街で確認されたらしいですね。
それを投入してもなお、アウディーイウカの攻略に失敗しているとなると、
バフムトからアウディーイウカに達するラインで、ロシア軍をウクライナ軍側が適切に刈り取り続けている、ということになる。
この方面は2014年から陣地構築が進められ後方連絡線含めて強固な要塞化がなされている(コンクリート製の掩蔽壕等を含む)と言う話ですよね
全く非合理的な攻勢に見えます
アウディーイウカはバフムトより強固な要塞になっているという情報がありますね。
バフムトを陥落できないロシア軍がアウディーイウカを陥落できるかというと…。
ブルームバーグは昨年ロシアが動員した人数は50万人以上の可能性があると報じていますので、まだまだ鉄砲玉の数は多いと思います。
地理的には、バフムト地域にに援軍送らせないための、ロシア軍の防御的な攻勢なんでしょうね。
バフムト陥落させて、バフムトまで半年後に補給線伸ばしてからのロシア軍の攻勢でやっと陥落させるめどをロシアは考えていそう。
ロシアの数年間戦う前提はこの要塞郡の陥落まで考えていそう。
ロシアは人口ウクライナより多いからできそうな所がある。
やっぱ弾が無いのでは
包囲して火力で圧倒して押し込むという今までのテンプレのやり方を成功させるのに必要な弾薬が無いから全部中途半端に終わってる
プーチンは年末までに弾薬生産を7~8倍に増やすとか言ってるらしいけど、
これも弾が無いことの裏返しでは
攻勢も微妙だったし
地図上だと包囲が進んでるから先月くらいまではバフムトの二の舞いになる(ウクライナ軍が包囲されて損耗)になるかと思ったけど、正しくバフムトの二の舞い(ロシア軍が攻めきれず損耗)になってるな
まとめお疲れ様です
普通の砲撃で塹壕内部にダメージを与えるのってめちゃくちゃ大変なのに、ドローンを使えは凄い簡単なんですよね。
今後、ウクライナが反抗作戦を行う地域のロシアの防御陣地も、所詮は従来型の、縦深のある塹壕なわけで、地雷原の啓開や、温存されてる航空機の問題さえ解決すれば、案外簡単に突破出来るかもしれないですね。
バクムトと異なりアウディーイウカは高地に位置し、遮蔽になる森や村が周辺にないため、ワグナーがバクムトで行うような歩兵による強襲はほぼ不可能な地形である。この地形上のアドバンテージと8年以上かけて要塞化されたこの町は難攻不落の要塞となり分離主義者の首都ドネツク市ににらみを利かせる存在であり続けている。
半年以上かけて南側のドネツク空港方面のラインからじわじわと占領地を拡大してきたことと、ロシア軍の滑空爆弾投入で北側の防衛ラインを破られたことで包囲に近づいたが反撃戦力の投入で危機は脱した印象だ。
ロシア側としてはウグレダールののようにまた遠距離から砲撃と空爆で防衛ラインの弱体化を狙うだろうが、ウクライナが一挙に反撃することでクラスノホリフクカ奪還を果たすのか注目したい
名文ですね。要塞都市アウディーイウカを称える詩のよう。
動画の映像は、多分、マルチコプターからのものと思いますが、
下にいる人たちは頭上に敵がいることを認識していないみたいですね。
電動マルチコプターはそんなに静かなものなのでしょうか。
対空監視をする人もいないみたいだし。
迫砲による攻撃と間違えているのかな。
落としているものが迫砲弾なら、風切り音は同じかもしれないし。
それほど熱心に動画を見回っていませんが
歩兵からの攻撃をとらえたドローン映像を見た記憶がはっきりしません
理由はいろいろ推察されますが証拠・証言も無いし…
(以前ウ軍兵は露ドローンを見たら攻撃が近いと逃げていましたね
まあ動画を送信、投稿できるのは、攻撃が成功した場合だけであり、途中で撃墜されたり、攻撃を中止した場合は動画を投稿することはできず、また失敗した動画をわざわざ投稿することもないわけです。
また弾薬や電気がなくなれば、そもそも攻撃自体ができなくなります。飛ばす兵士自体が探知されて砲撃されてやられる場合もあるでしょう。そのへんのとこは成功した動画だけ見てもよくわかりません。
とはいえ、油断して対空の警戒、監視を緩めていると、上から突然ドカンとやられるのは確かでしょう。
>動画を送信、投稿できるのは、攻撃が成功した場合だけ
まさにその通りですね。
そして、成功した攻撃が無い側は、動画の発信も出来ないわけです。
>また弾薬や電気がなくなれば
結局ロシアのインフラ攻撃は、致命的な戦果を挙げる事は出来ず尻すぼみとなり春を迎えました。ウクライナが通信を手旗信号に頼るような局面が現出しなかった事を、寿ごうではありませんか。
この付近で戦闘をしているのは開戦後に新編された第3軍団第10戦車連隊のようです
対空監視の不足は純粋に練度が低い可能性がありますね
ちなみに連隊はほぼ壊滅との事で・・・
それにしても第三軍団、建制を無視して細切れで戦線に投入されては各個撃破されてますね。前にまとまった所属部隊が現れたのは、バラクレヤ~イジューム攻勢の時のクピャンスク前面でしたっけ。そしてほぼ瞬時に消滅。
その攻勢直前に、イジュームのロシア軍からヘルソン方面に連隊級の部隊を抽出しているなんて話もありました。ある程度は意図的な欺瞞情報なのでしょうが、ロシア軍全体として、使える小単位の部隊を場当たり的に長大な戦線全体に転進させて当座を凌いでいる、苦しい現状が垣間見えますね。
夜間爆撃のようですし、練度の低い部隊だと夜間まで警戒するのは難しいのかな
成功例だけのせてるので対空監視できてる部隊はこの爆撃を受けることないから映らないだけで、結構逃げてるのかもしれませんが
ロ軍が各地で同時に攻勢限界を迎えているのは偶然ではないように思えます。
単なる息切れなのか、ウ軍の大規模反攻に備えて防御重視へ転換したからなのか、あるいは両方かもしれませんね。
もしウ軍の反攻を待ち構えるためだとすれば、その時期はかなり近くてロシアはそれを察知しているのかもしれません。
それにしても、バフムートもですが満身創痍でしょうにウクライナ軍は三方から砲弾が飛んでくる状況で本当に粘り強く戦いますね……。
戦況図に、ここまでの数の動画・画像の位置情報をプロットする試みは初めて見ました。作成の労力が偲ばれます。お疲れ様でした。非常に説得力のある戦況資料になっていると思われます。
まあ、現実の戦線で所在のロシア軍が攻撃力を喪失して脅威が減衰しているにしても、戦況図で状況を云々する外野からですと、両翼の肩部は排除しておきたい所ですね。
一貫してウクライナ過大評価、ロシア過小評価してきたが
全然足らないみたいだ、特にロシアの過小評価はどんだけしてもし全く問題ない
むしろ斜め下に沈んでいくと見た方がよさそうだ
常に予想を下回ってくるロシア軍。
開戦以来大失態を見せ続けているロシア軍でもやっぱり地力は侮れない…と見せかけてほんとに毎回斜め下を行くな。
過小評価するのも怖いが、ほんとに毎回ここまで予想を下回るとやはり数だけの機能不全案山子軍隊だと感じる。
4月~5月にウクライナが反撃を開始するらしいが、良く持ちこたえているものだ。
安価な商用ドローンや無人機が本格的に導入されてるのをみると、未来の戦争というのがじわっと浸透して来ている感じがしますね。
でも初期の頃はスマホで相手に情報筒抜けやら、ザル検問でトラック爆弾をクリミア大橋に通しちゃうのも現代社会のガバガバコンプラを見ている様で……これもまた未来なんだろうか。
思えばあのザル検問の時に爆弾大型トレーラー20台ぐらい投入して徹底的にやっておくべきだったな…