DEEP STATEとRYBARは「再び動き出したロシア軍がウクライナ東部で複数方向に前進した」と報告、特にロシア軍はクラホヴェ方面とヴェリカノボシルカ方面で大きく前進した。一方でウクライナ軍は公式に「ポクロウシク方面のピシュチャネを解放した」と発表した。
参考:Мапу оновлено
参考:Купянско-Сватовское направление: успехи российских войск в районе села Тополи
参考:Андреевское направление: бои за Улаклы обстановка по состоянию на 17:00 16 февраля 2025 года
参考:Времьевское направление: атака бронегруппы ВС РФ на Новоселку и бои у Нового Комара обстановка по состоянию на 19:00 16 февраля 2025 года
参考:Хроника специальной военной операции за 15-16 февраля 2025 года
参考:Рывок под Времьевкой, зачистка котла под Курахово, наступ под Мирноградом — сводка за 15-16 февраля
参考:ВСУ освободили село Песчаное возле Покровска – ОСГВ “Хортица”
参考:Звільнено Піщане – огляд обстановки під Покровськом
参考:По слідах наших публікацій. Сергій Наєв третій день командує тактичною групою “Вугледар” (не на “Велику Новосілку” призначили, а на сусідній Курахівський напрямок).
もはや戦争は停戦交渉の段階に移行しているため「相互運用を実現した成功例」は登場が遅すぎだ
DEEP STATEはクピャンスク方面オスキル川沿いについて「ロシア軍がノヴォムリンスク周辺で支配地域を広げた」と、RYBARは「ロシア軍がオスキル川を渡河してトポリ南西に新たな足場を築いた」と報告、視覚的にもウクライナ軍がトポリ南西のオスキル川西岸=Ⓐでロシア軍を攻撃する様子が登場。
DEEP STATEはトポリ方向について今月上旬「ロシア軍がオスキル川を渡河してトポリ郊外に足場を築いた」と報告済みで、これでDEEP STATE、RYBAR、視覚的証拠の3つが揃ったことになり、ロシア軍はオスキル川西岸に3つ目の橋頭堡を築いた格好だ。
さらに興味深いのはRYBARがオスキル川西岸への渡河について「ロシア軍が国境を越えてヴェリキイ・ブルルク(このマップ上では見切れているもののカテリニフカの西、ボルチャンスクとドヴォリチナのほぼ中間に位置するT-2114沿いの比較的大きな集落)方向に前進すれば、ベルゴロド州に対する越境砲撃を抑制することができ、ボルチャンスクを守るウクライナ軍の背後を脅かす可能性がある」と言及している点だが、もはや年内停戦(早ければイースター頃)が確実視されているため、ここまで大掛かりな新規作戦を実行するとはちょっと考えにくい。
RYBARはポクロウシク・ディミトロフ方面東方向について「ロシア軍がエリザべティフカの北東でT-0504方向に支配地域を広げた」と報告、ロシア国防省は14日「ゼレン・ポールを解放した」と発表したものの、RYBARは「ゼレン・ポール周辺の状況を加味すればロシア軍の成功は十分可能な範囲だが、今のところ国防省の発表を裏付ける情報や客観的な映像は見つかっていない」と指摘している。
DEEP STATEはクラホヴェ方面について「ロシア軍がスリブネ北郊外を占領した」「アンドリイフカ北郊外でグレーゾーンが伸びた」「ロシア軍がウラクリー集落内で足場を広げた」「ウラクリー集落全体がほぼグレーゾーンに移行した」「ロシア軍がダクネ北郊外一帯を占領した」と、RYBARは「ロシア軍がウラクリーとダクネの南郊外で支配地域を広げた」と報告。
RYBARはウラクリー方向の前線位置について評価を下していないものの「ウクライナ側の情報源が大規模なロシア軍の攻撃を報告している」「ウラクリー南郊外の敵陣地攻撃が成功したことを映像で確認した」「我々の空挺部隊が付近の森林に定着している」「もうN-15沿いに塹壕を構築できる地形は1ヶ所だけなのでウラクリーとダクネの間の荒野に送り込める兵力は小規模なものだけだ」「ロシア軍がウラクリーを制圧すればダクネ方向のポケットを消し去ることが出来るだろう」と述べている。
DEEP STATEはヴェリカノボシルカ方面について「ロシア軍がノボシルカ方向に支配地域を広げた」「ノボシルカ集落内にグレーゾーンが伸びた」と、RYBARは「ロシア軍がノボシルカ集落に到達した」「ロシア軍がリヴノピル集落の北で支配地域を広げた」と報告、視覚的にもウクライナ軍がノヴォチェレトゥヴァテ郊外=Ⓐでロシア軍を攻撃する様子が登場。
この視覚的証拠はDEEP STATEが昨日「ロシア軍がヴェリカノボシルカからノボォチェレトゥヴァテ集落内まで前進した」と報告していた内容が事実であると裏付けている。
因みにウクライナ軍のホルティツァ作戦・戦略グループは公式に「ポクロウシク方面のピシュチャネを解放した」と発表、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏もピシュチャネ解放作戦について以下のように述べている。
“これまでピシュチャネは3回も解放されたが、ロシア軍の反撃や組織的な問題で徹底を余儀なくされ、ロシア軍がピシュチャネに相当数の戦力を配置していたため4回目の解放作戦は困難なものになった。それでも作戦が成功したのは作戦・戦術グループや作戦グループレベルでの計画、管理、UAVの相互運用に関する重要な変更が行われたためだ。この作戦を実施した第425独立突撃連隊の指揮官には前例のない自由裁量権が与えられ、ドネツク作戦・戦術グループのタルナフスキー准将も組織的な無人機運用を行うため共同火力支援センターを設置し、有能な無人機の専門家に指揮を任せた”
“つまりホルティツィア作戦・戦略グループの司令官に任命されたドラパティ陸軍司令官が「本当に有能な人材」に作戦を指揮する権限を与えたのだ。シルスキー総司令官も作戦を支援するため精鋭の無人機部隊=第414無人機旅団、第411無人機連隊、第412無人機連隊、保安庁、国防省情報総局、国家親衛隊、国境警備隊、第32機械化旅団、第55砲兵旅団の無人機部隊を作戦に投入した。そのためピシュチャネを守っていたロシア軍は無人機攻撃の質的変化を経験することになった。ピシュチャネでの成功は偶然の産物ではなく事前に調整された計画のおかげだった”

出典:Михайло Драпатий
要するにドラパティ陸軍司令官が期待通りの手腕(各部隊の指揮官と信頼関係を築く方法、ドローンとEWシステムの相互運用性、批判的な意見に耳を傾ける真摯さ、部下に嘘をつかない態度、下した命令に責任を負う姿勢など)を発揮したという意味なのだが、もはや戦争は停戦交渉の段階に移行しているため「相互運用を実現した成功例」は登場が遅すぎだ。
追記:ゼレンスキー大統領は「戒厳令導入の遅れが事態を悪化させた」と批判したナエフ中将に前線勤務を命じ、ヴェリカノボシルカ戦術グループの司令官に任命されたと予想されていたが、ブトゥソフ氏は「ナエフ中将の配属先はヴェリカノボシルカ戦術グループではなく『著しく戦況が不利』なクラホヴェ戦術グループだった」と報告した。
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※アイキャッチ画像の出展:93-тя ОМБр Холодний Яр
ピシュチャネ、維持できるように思えんのだが……
こう、反撃があまり意味を成さないことが続いているとね。
戦線を完全に食い破ったとか、その地域の戦力を撃滅したとかまでいかないと救援によって穴を埋められて戦力差で押し返されちゃいますよね
ずっとウクライナ軍はこれの繰り返しでしたが、今回の作戦行動がその自由裁量権によってどれだけの変化を起こせるのかは気になります
ただ、管理人さんが指摘されている通りにもう局地戦の結果どうこうはどうでもよい、政治・外交のフェーズに入ったので全体からするとほぼ価値が無いのですよね
その言い方だと矛盾してませんかね?政治外交のフェーズに入って戦闘行為が無益であるならなぜ現在も局地戦が起き前進をしているのか、戦闘が起きれば死傷者が出て各種装備が失われるのですから話し合いで片が付くなら双方現在位置で防御重視で行くべきです。
管理人さんが指摘しているのはチマチマ占領地域を増やす局地戦と言うよりは大きな結果が出るであろう大規模な作戦はしないで有ろうって話じゃないでしょうか。
もう奪還されてるらしいのでこの記事は??という気持ちでした。
よく見ると2月11日の地図と書いてありますですね。
もう明日、アメリカ=ロシア外相級の会談が、サウジアラビアで行われるんですよね。
停戦交渉の締結目標も、4月20日イースターの日というのが漏れ聞こえていて、物凄いスピードで外交交渉が急速に進められています。
トランプ政権は、イギリスのリフォームUK・ドイツのAfDを支持する動きも見せていて、欧州の現政権(低支持率)がアメリカへの影響力行使することは容易ではないです。
管理人様が触れられていますが、ピシュチャネは戦場での興味深い事例ですが遅かったかもしれず、米露が外交交渉のステージに上がっているわけですから挽回は難しいのではないでしょうか。
(2025年2月17日 アメリカとロシアの高官協議をサウジアラビアの首都リヤドで18日に開催へ 米露首脳会談についても準備 フジテレビ)
(2025/2/17 トランプ政権が「4月20日までに停戦」伝達か 露と近く協議開始、根強い頭越し懸念 産経新聞)
クラホヴェ方面はもう戦線が平らになりますね。
で、着任したナエフ中将が責任を押し付けられる。と。
どうでも良い報復人事してないでゼレンスキーはアメリカが終戦に動いているこの時期にやるべき事柄が山積していると思うのだが何を無駄なことに構っているのだろうか、全く持って各戦線でロシアの進撃止まらないし、守り切れないであろうピシュチャネも4度解放している場合では無いと思う。
ウクライナ軍も維持が不可能なピシュチャネ奪還ではなく、T−0406を超えているロシア軍を押し戻すほうがポクロウシクへの補給路の改善にも繋がってよかったのではないか。
理想としてはピシュチャネからロシア軍の突出部を根元から切り落とすだが、もはやそんな力はないだろうに。
まだ自分達はやれるという考えを持っているのだろうか。
もっと堅実にやるべきだと思う。
管理人殿のXの投稿を引用する形で今回取り上げられた地域の衛星画像(ただし2/16撮影)を貼りましたので、参考までにどうぞ。
雪が降った影響で砲撃の着弾痕や車両が移動した跡がはっきりわかります。
ピシュチャネ周辺はやはり激戦となったのかかなりの数の着弾痕がかくにんできますね。他にも戦闘が起こったとされる場所は相当数の砲撃が行われた模様です。
興味深いのはヴェリカノボシルカで、幹線道路の近くを通ろうとしたらしい線の周辺にかなりの数の着弾痕が見られ、その線は中途半端なところで止まっています。あの辺りの道路は未だにウクライナ軍の火力管制下なのかもしれません。
反対にクピャンスク方面、オスキル川西岸地区ですが砲撃の痕がほとんど見られません。ウクライナ軍の砲兵があの辺りにはもう存在しない可能性があります。
追記:ドニプロペトロウシク州の州境から10キロほど西に対戦車壕らしきラインが確認できます。
ポクロウシク周辺のウクライナ軍は都市の防衛もそうですがドニプロの防衛ライン構築の時間稼ぎが一番の目的なのかもしれません。作るのが遅すぎたという意味では間違いなくその通りですが···
もしロシアが停戦に前向きなのだとすると
どう戦場をクロージングするのか
それも興味あるな
サウジアラビアでの会談がもう始まるようで動きが早いですね
ただゼレンスキー大統領はウクライナ抜きでの和平交渉になど従わないとツンケンしておりまして仮に米露が合意した和平に従わない道を選ぶとなるとさてどうなるかと
勿論、東西陣営トップが手を組むという夢の米露連合軍による、ウクライナへの軍事侵攻、じゃなかった、軍事制裁ですよ。
公式には招かれていないゼレンスキー大統領がサウジに向かって移動したという話もあり、すんなり話が進むのか怪しい気がしてきました
ウクライナが破れかぶれになって無茶苦茶な事をしだすのではとも思ってしまいます
仮にアメリカ側がウクライナ支援から早々に撤退したいだけなら、例えウクライナ側が和平に従おうが従わなかろうが、それを口実に支援から撤退すれば良いだけの話ですからね。後の支援は全部欧州に押し付けてね。
そもそもウクライナ側に対してレアアースと武器弾薬支援の交換交渉の件にしても、アメリカ側はウクライナのレアアース鉱物の50%所有を目指す方針だったようでしたが、とてもじゃないがウクライナ側にそんな条件が飲めるワケがないですし、アメリカ側に本気でウクライナを支援する気があったのか疑問です。
クピャンスク北方方面のヴェリキイ・ブルルク奪取は、
ロシアが緩衝地帯をどれだけ削り取るか?でしょうね
まずはドンバス完全制圧、なのでこの方面はどれだけ
削り取れるか、ウクライナの抵抗力を見ながらですね
大規模な越境攻撃は優勢順位低そうです
アメリカというかトランプ政権は今行われているバイデンが任期前ギリギリで通したウクライナへのアメリカの支援が切れる前に停戦に持っていきたいというか、これ以上支援を続けるならレアアースや鉱山資源を渡す書面にサインしろみたいな感じだから、一時的なものでも戦いが終わるのは遠くないと思ってる。
ただイギリスやスウィーデンがやろうとしている平和維持軍のウクライナ国内の駐留についてはルシアが簡単には認めないとは思うから、別の案についての擦り合わせになるんだろうけど、一つだけ間違いないのは膨大な支援をしてもらっても期待しているほどの結果を残せず今もなお自国の領土を失地し続けてるウクライナというかゼレンスキー達が最近望んでいるような発言権は現時点の戦いの結果の体たらくさを見てしまえば貰えないだろうけど!
どうなんだろう
ロシアの建前的にはNATOに加盟さえしなければ面目はなんとか立ち、欧州軍のウクライナ展開には否とは言わなそうではある
アメリカがこれだけ前のめりということは、ウクライナ軍はもはや風前の灯なのだろう。
あらゆる弾薬の供給、F16やハイマース等武器システムの維持整備、人工衛星等からのISTAR提供、国内向け武器購入プログラム、全て米国の関与抜きでは崩壊する。長期的な展望はもはや崩壊が確定しているため、トランプが徐々に撤退意向を強める中、いかに中短期的に戦線を維持するかが今後の戦略目標となる。
停戦ラインを巡る戦いは今後激しさを増すが、停戦交渉がいつ身を結ぶのか、そもそもどれほどの領土を明け渡す羽目になるのかは神のみぞ知る。
ロシアの要求がフルで与えられることになれば、4州+ハリコフ+DMZ地域+オデッサの租借権。最大限ウクライナが努力しても4州の現状ライン+DMZ地域は削り取られるだろう。クルスクはハリコフの僅かな土地と交換されるかもしれない。どのシナリオでも中立化と,ある程度の軍縮は飲む羽目になるだろう。
コトリーネ奪還作戦も立てられない様では、この方面のウ軍も怪しい。
露軍もウ軍も簡単に突出部を作るが、その後の展開が遅い。
なので、無計画にしか見えない。
この様な突出部の維持に損害も増えているのではないか。
露軍は包囲網の真ん中に軍を進めるのは二回目?だが、これも意味が分からない。
クルスク方面が交換条件として効くのかどうかは気になります
宇軍のビシュチャネ攻勢も十分戦後を見据えた有意義な作戦だと思っています。ビシュチャネを奪い返して露軍を撃滅することが目的ではない。露軍の炭鉱地区への定着、ポクロウシクの西側面やドニプロ方面への迂回攻撃を防ぐための牽制でしょう。ブトゥゾフ氏の記事は改めて派閥色の強い提灯染みた物ですが、でも決して無意味な勝利ではないと思います。
欧州軍が中立的存在であり、ドネツクやウクライナ国内のロシア系住民の保護に寄与するのであれば良いのですが…。万が一そうなら、ロシアも容認し易いでしょうし…。只、ヴォルイーニの虐殺の謝罪タイミングとか、現ウクライナ政権は下心だけで行動している様にしか見えず、記事中の人事問題や汚職等、戦中・戦後のウクライナ国民の未来を見据え奉仕する意図があるのか?という疑問も感じます。ゼレンスキー大統領がよく槍玉に挙げられますが、ポグロムの主犯を前身とし、ナチと組んだウクライナ蜂起軍の名誉回復をした連中が政権・軍部内に巣喰っている事を鑑みると、現ウクライナ上層部で彼が1番マシな人…という恐ろしい想像さえ浮かびます。