ウクライナ軍が5日夜に自爆型無人機で攻撃したクリミア半島最大の石油備蓄施設(25万トン)は現在も燃え続けており、クリミアメディアも7日「現地当局も非常事態省も状況について沈黙したままだ」と報じ、もし全タンクが燃え尽きるとザポリージャ方面への燃料補給に影響を及ぼすかもしれない。
参考:Пожар в районе нефтебазы Феодосии уменьшился
参考:Ukraine hits largest oil terminal in Russian-occupied Crimea, sparks massive blaze, General Staff confirms
2年前にタンクの一部を燃やして大騒ぎしていた頃と比べると雲泥の差がある
ウクライナ軍による石油精製所や石油備蓄施設への攻撃はロシア経済に無視できない混乱を引き起こしつつあり、特に石油精製所がないクリミア半島は燃料供給を外部に依存しているためガソリン不足や価格の高騰が顕著で、セバストポリ知事もガソリンスタンドに殺到する住民に「我々の製油所がどのような状況かご存知のはずだ」「さらにクリミアへの燃料輸送は船舶で行われているため天候や敵の攻撃の影響を受けやすい」と状況を説明し、地元当局も「数日以内にAI-95グレードのガソリン問題を解消する」「2週間以内にAI-92グレードの問題も解消する」と約束。
ロシア人ミルブロガーのДва майора(Two Majors)も「ウクライナ軍の製油所に対する攻撃が続いている」「1度攻撃を受けた製油所への再攻撃も始まっている」「クリミア当局は当初『製油所への攻撃は何の影響をもたらさない』という情報政策を採用していたが、現在は『ガソリンを求めて殺到する市民がガソリン不足の原因だ』と言い始めた」「ガソリン不足を市民のせいにするのは馬鹿げている」と指摘。
RYBARも「製油所への攻撃で最も影響を受けているのはクリミア半島だ。半島には独自の製油所がないため燃料は外部からの供給に依存している。ウクライナ軍はクリミアに向かう鉄道車輌をザポリージャ州トクマク付近で攻撃したため、鉄道による半島への燃料輸送は安全ではない。船舶による半島への燃料輸送も天候や作戦状況に左右され、クリミアに対する敵の攻撃が始まると全ての移動が禁止される。特にシンフェロポリ、セバストポリ、ケルチでの燃料不足が深刻だ」と報告。
露政府系メディアのКоммерсантъも「セバストポリではガソリンが不足して価格が高騰している」「クリミアではロシア初となるガソリン価格の固定化と販売制限を導入した」「国内のガソリン不足は標準供給200万トンの内40万トン(20%)に達している」「軽油生産量も9月に100万トンも減少した」と報じていたが、どうやらクリミア半島の燃料備蓄は重大な危機に直面しているらしい。
ウクライナ軍が5日夜から6日未明の間に発射した自爆型無人機はフェオドシヤの石油備蓄施設に着弾して爆発と火災を引き起こし、クリミアメディアも7日「6日夜に爆発音が聞こえたことを思い出して欲しい。フェオドシヤの住民は石油備蓄施設付近で翌朝も何かが燃えているのを目撃し、この火災で発生した煙は湾全体を覆い尽くした。現在は風向きが変わったので湾に立ち籠めていた煙は消え去ったが、未だにクリミア当局やフェオドシヤ当局から状況に関する公式発表はなく非常事態省も沈黙したままだ」と言及。
Telegram上にはフェオドシヤの石油備蓄施設から立ち上る黒い煙を写した写真や映像が複数登場し、kyiv Independentは7日「フェオドシヤのターミナルはクリミア最大の石油備蓄施設で、ロシア軍に供給する燃料を最大25万トン貯蔵できる」「この石油備蓄施設は7日時点でも燃え続けており、北西側と東側のタンクで発生した火災は北側のタンクにまで広がっている」と報じ、RYBARはクリミアに対する鉄道車輌での燃料輸送について「ウクライナ軍はクリミアに向かう鉄道車輌をザポリージャ州トクマク付近で攻撃したため、鉄道によるクリミア半島への燃料輸送は安全ではない」と指摘したことがある。
つまりドネツク州から鉄道でザポリージャ州やクリミア半島への燃料輸送はリスクが高く、今回の火災でフェオドシヤのタンクが全て燃え尽きるとザポリージャ方面への燃料補給に影響を及ぼす可能性があり、2年前にタンクの一部を燃やして大騒ぎしていた頃と比べると雲泥の差がある。
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※アイキャッチ画像の出典:Крымский ветер





















今の占領地で手を打てばいいのに欲張るからつまんないことになる
正直いいところで止めれば4州とは言わず2州とクリミアを合意のもとに抑えることもできた可能性すらある。
クリミアの石油備蓄が打撃を受ければ、非常に大きな痛手でしょうね。
パイプライン輸送・タンカー輸送など、大量輸送して備蓄ができなければ、ロジスティクスに甚大な負担になります。
日本も他人事ではなく、日本は石油備蓄はあるのでしばらく大丈夫と言われますが、『海岸沿いに大半がある』わけで脆弱です。
日本の石油精製施設も、『合併=リストラを繰り返した』ことにより地域の重複を減らしているので、攻撃を受けてどこか使えなくなれば確実に生活に支障でるでしょうね。
ロシア本土でも精油所攻撃されまくってるんだから、そりゃクリミアも狙われるよな
国民への影響は本土側のが多いだろうけど、戦地に近いクリミアも放置は出来ないだろうし、ロシアが限られた防空能力をどう配置するのか見物だね
ちなみにフェオドシア北部にある大小合わせて30基以上のタンクの内、現時点で13基のタンクに被害が確認できています。
フェオドシヤはまた燃やされたのか(昨年10月にも燃料タンクが燃やされた)
フェオドシヤに限らず、複数回攻撃されている場所に防空リソースを回していない辺り、もうロシアは燃料タンクやら製油所やらに振り分けるだけの防空リソースが無いんだろうな(ロシアは軍事基地やモスクワ周辺を目標としたドローンは割と撃墜しているので、軍事基地とモスクワの中心部は何としても守りたいんだろうけど)
去年からロシアの製油施設やら破壊しまくってるが、ドローンじゃミサイル程の破壊力無いので順次復旧されてるし
そもそもベラルーシや中国で精製されたり備蓄されてるんだから致命的なダメージにはならんでしょ(相変わらずガソリン価格安定してるし、給油制限も一時的で次々と解除されてるし)
そんなことより自国守る事にリソース使えよ(このままじゃクルスクの二の舞じゃん)
人員の損失出さない点も含めて一番効率の良いことだと思うが…即効性はないけど。どのみち本気で防空してる前線では無駄ウチにしかならんでしょう
人員損失多いからウクライナは去年時点で50代まで徴兵し前線送ったり(bbc記事)、今年は更に年齢拡大したり10代や60代の志願名目で採用する程なんでしょ?(ウクライナ政府発表)
典型的な負け惜しみ文で草
結局前回の攻撃から何も対策しなかったということが一番な問題であり、ロシアの限界なのかもしれない