デンマークは2023年1月「保有する19輌のCAESAR 8×8をウクライナに提供する」と発表したが、KNDS Franceは27日「このCAESAR 8×8が4万発以上の砲弾を発射した」と明かしため、約2年間の運用で1システムあたり2,100発以上の砲弾を発射したことになる。
参考:IDET 2025: Serial production of CAESAR® 8×8 will be start in June 2025 in the Czech Republic
FPVドローンが攻撃の主要手段になると「砲弾不足」より「ドローン不足」を訴える声の方が多くなった
チェコ陸軍はタトラ817ベースのCAESAR 8×8を2020年に52輌発注、2022年にNexter(KNDS France)との契約を修正して発注数を62輌に変更し、KNDS Franceは27日「チェコ陸軍が発注したCAESAR 8×8の納入開始は2026年に予定されており、最初のプロトタイプ2輌は今夏のテストに参加する準備が整い、これを操作する人員もフランスで訓練を受けている。CAESAR 8×8の最終組立て作業も今年6月にExcalibur Armyで開始される」と発表。

出典:Збройні сили України
デンマーク陸軍もCAESAR 8×8を19輌取得したものの、2023年1月「ロシア軍と戦うウクライナ軍を支援するため、保有する全てのCAESARをウクライナに提供する」と発表し、4月28日までに19輌全てがウクライナ軍に引き渡されたが、このCAESARについてKNDS Franceは「2023年半ばまでにウクライナ軍へ配備された19輌のCAESAR 8×8は4万発以上の砲弾を発射した」と明かしため、約2年間の運用で1システムあたり2,100発以上の砲弾を発射したことになる。
ルコルニュ国防相もCAESARの信頼性について「西側諸国がウクライナに提供したシステムと比べてCAESARの故障率は1/3だ」と述べたことがあり、自動装填装置を採用したPzH2000などは想定を超える連続射撃で故障し、汚れや湿気に敏感なため戦場でのメンテナンスも難しいらしい。
Grâce à l’économie de guerre, @NexterKNDS peut produire 78 Caesar en 2024.
L’Ukraine en a acheté 6. J’ai décidé de débloquer 50 millions d’euros pour en financer 12 et amorcer une dynamique afin d’entrainer nos partenaires à financer les 60 restants. pic.twitter.com/2eTgrvJOOy
— Sébastien Lecornu (@SebLecornu) January 18, 2024
ウクライナとフランスは2024年1月に砲兵連合を組織、ルコルニュ国防相は当時「ウクライナ向けのCAESARを78輌生産するためフランスとウクライナは18輌分の資金を提供する」「残り60輌分の資金を集めるための砲兵連合を発足させた」と述べていたが、これまでにウクライナが6輌分、フランスが24輌分の資金を拠出したものの、この連合に参加した22ヶ国が残り58輌分の調達に資金を拠出したのかは不明だ。
因みに155mm砲弾や自走砲の必要性が頻繁に叫ばれたのは2023年~2024年半ばまでで、FPVドローンが攻撃の主要手段になると「砲弾不足」より「ドローン不足」を訴える声の方が多くなり、2025年に入ると「155mm砲弾の不足」を訴える声はほぼ見かけなくなり、155mm砲弾の供給がニーズに追いついたのか、FPVドローンの台頭で155mm砲弾のニーズが減ったのか、それとも砲弾不足に慣れすぎて話題にならなくなっただけなのか、その理由は良く分かっていない。
関連記事:フランスがウクライナ支援のため砲兵連合を設立、さらにAASM提供も発表
関連記事:仏国防相、ウクライナ向けに155mm自走砲を78門生産すると表明
※アイキャッチ画像の出典:Збройні сили України
年間2000発くらい、具体的な発射数がでてくるのは、非常に興味深いですね。
兵器は環境を想定するものですが、ウクライナの戦場を想定してなかったからなのか、他も同様なのか気になっています。
日本視点で特に気になったのは、『湿気に敏感』ここの部分で、日本の自走砲も影響がないのか劣化していくのかが気になりますね。
>…自動装填装置を採用したPzH2000などは想定を超える連続射撃で故障し、汚れや湿気に敏感なため戦場でのメンテナンスも難しいらしい。
>2025年に入ると「155mm砲弾の不足」を訴える声はほぼ見かけなくなり、155mm砲弾の供給がニーズに追いついたのか、FPVドローンの台頭で155mm砲弾のニーズが減ったのか、それとも砲弾不足に慣れすぎて話題にならなくなっただけなのか、その理由は良く分かっていない。
FPVドローンが砲兵陣地上空も徘徊してるから両軍ともに以前のように撃てなくなってる
自走砲も壕の中に入れて固定砲台みたいな運用になってるし。
CAESAR 8×8のシュート&スクート能力が高くて、生存性が高いというより、砲塔部分の頑丈さが優れていると評価すべきなんですかねえ。
管理人さん、記事とは関係ない内容失礼します。
ロシアのムルマンスク州オレニャ空軍基地で少なくとも2機のtu-95が炎上しています。fpvドローン映像があるためロシア国内から発射されたfpvドローンだと考えられています。
テレグラムのAMK mapping氏が取り上げた複数の映像からフェイクではないと思われます。
”GURはロシア空軍基地への攻撃の責任を主張し、オレニャ、イヴァノヴォ・セヴェルヌイ、ディアギレフ、ベラヤの各空軍基地が攻撃を受けたと述べた。
この攻撃は「Operation Web」と呼ばれている。”
今後すべての航空基地はfpvドローン対策が必要ですね
もはや敵が基地のすぐ外でも有効な攻撃を出来るということ…
情報ありがとうございます。
日本でもドローンが、横須賀の海上自衛隊・第7艦隊の上空を撮影して話題になりましたが、やはりもう一般的なのでしょうね…
凄いですよね…
空襲とは違うので『特別軍事作戦』とでも呼びましょうか
追記 確認された被弾機
Tu-95MS戦略爆撃機5機(オレニャ4機、ベラヤ1機)
Tu-22M3戦略爆撃機2機(ベラヤ2機)
An-12輸送機1機(オレニャ)
なかなか興味深い事件だったのでロシアの報道をいくつか検索してみました。
批判的な報道が結構あります。
・5/9にモスクワで、すぐ攻撃に使えるFPVドローンを積んだトラックが押収されていた。
軍事パレードへのテロが計画されていたものと思われるが、これを他山の石として基地周辺の警備を強化すべきだった。
(ドローンは基地から数キロしか離れていない地点でトラックから発射された)
・NATOは5月中、絶え間なくフィンランド・バルト三国でAWACSを飛ばして情報を収集していた。
ウクライナによる空軍基地への攻撃はこの情報に基づいて行われた可能性が高い。
・損害には戦略爆撃機とAWACSが含まれており、つまりロシアの核抑止力への攻撃を意味している。
短期的、中長期的にこの事件が各国へ与える影響は大きい。
おっしゃる点から自分も今回の攻撃を非常に重く受け止めています
ロシアから見ればNATOがウクライナという隠れ蓑を使って、明らかに戦時国際法に違反する手段で行った、相互確証破壊体制への破壊工作に映るわけです
さすがにいきなり都市部に核をぶちこむことはしないでしょうが、それでもデモンストレーション的な核使用というエスカレーションは避けられないのではないかと見ています
具体的には戦術核の高高度核爆発によるEMP攻撃あたりがありえるのではないかと
この戦争を通じて一番の衝撃はロシアは想像以上に緩いってことです。
将官への爆弾テロによる暗殺も、不審な車が普通に住宅地へ入って行けて、ずっと路駐してられた結果起きたり。
少なくとも過去に持ってた監視国家のディストピアイメージはなくなりましたね……。
長年ロシアに住んでたという、いわゆる親露派の人の意見
「ロシアは多民族国家なので価値観・意見が違うのは当たり前で、気にしない。普段は鷹揚だけど今の戦争みたいに自分の命(=安全保障)を脅かされたら、本気で怒る」
これがやっぱり解像度の高い意見だったのかな〜と今更ながら思ってます。
公式発表の40機以上撃破は大本営発表としても、かなりの損害が出たようですね
しかしこれ、完全に便衣兵による攻撃でジュネーブ条約違反なんですがいいんですかね?
工作員は既に離脱させてるから知ったことじゃないということであれば、なおさらロシアの反応も激烈になるかと
それこそ戦術核の限定的使用くらいまで行くおそれが
ロシアの対策不足はあれどこのやり方は流石にねえ・・・
マジで何でもアリの戦争になっちゃうわ。
砲身を何本替えたんだろうかな。1台当たり2100発じゃへこたれない強度なんだろうか。
まあ、それをわざわざオープン情報で知らせる事も無いか。
Pzh2000の話しがふわっと出ていましたが、砲弾発射数よりも、装薬の量で変わるのかもしれませんね(25000モジュール装薬の耐用で、1発平均4~6モジュール使用との指摘)。
対ドローン対策で、長距離砲撃が増えていると仮定すれば装薬が増えますから、砲身がダメになる速度は速いのかなと…
追記です。
上記の内容について、ご興味のある方がいらしゃれば。
(2024年6月19日 Інтервʼю з Андрієм Кобзарем – досвідченим артилеристом і командиром розрахунку Panzerhaubitze 2000.)
これの補填でデンマークが購入を決めたATMOSですが、どうするのか気になります。
イスラエルの暴走に対して欧州からも非難の声が上がるなか、イスラエル製兵器の購入は…