ゼレンスキー大統領は30日夜「オレシュチュク空軍司令官の解任」を発表、多くのメディアは「F-16墜落に司令官解任が関連している」と見ているが、CNNの取材に応じたウメロフ国防相は「通常の交代でF-16墜落とは無関係」と主張した。
参考:Ukrainian defense minister tells CNN ‘I hope we were heard’ after presenting list of targets inside Russia to US officials
参考:Zelensky Dismisses the Head of the Air Force Days After F-16 Crash
流石に「墜落とは無関係の通常のローテーションだった」という説明では苦しい気がする
ウクライナ軍は巡航ミサイルや自爆型無人機の迎撃にF-16を投入し、ゼレンスキー大統領も「F-16は素晴らしい成果をもたらした」「我々はF-16の助けを借りてミサイルや無人機を数機撃墜した」と述べていたが、ウクライナ軍参謀本部は29日「F-16が迎撃任務中に墜落してパイロットが死亡した」と発表、手に入れたばかりのF-16を比較的安全な任務(前線上空での撃墜リスクがないという意味)で失ってしまったため、墜落原因に大きな注目が集まっている。
Voice of Americaの取材に応じたウクライナ空軍関係者は「味方によるフレンドリーファイア、技術的故障、パイロットのミスなど様々な原因を調査している」「正確な墜落原因は調査完了後に明らかになる」と述べ、New York Timesも予備調査に関する説明を受けた西側当局者の話を引用して「墜落原因から技術的故障や操縦ミスの可能性は排除されていないものの、パトリオットシステムがF-16を撃墜した可能性が示唆されている」と報じた。
さらにゼレンスキー大統領は30日夜「オレシュチュク空軍司令官の解任」を発表したため、多くのメディアは「F-16墜落に司令官解任が関連している」と見ているが、CNNの取材に応じたウメロフ国防相は「これは通常のローテーション=交代だ」「この2つは別問題だ」「現段階で両者を結びつけることは出来ない」と述べて「F-16墜落がオレシュチュク空軍司令官の解任理由ではない」と間接的に否定して見せたが、例え通常の交代であっても「墜落直後に発表すれば周囲にどう映るか」は誰にでも分かりそうな話で、緊急性や問題がないなら誤解を避ける=交代を延期するのが賢い選択のように見える。
因みに最高議会のマリアナ・ベズガラヤ議員は29日「部隊間の調整不足でF-16は味方のパトリオットシステムに撃ち落とされた」「彼らは海外メディアがF-16墜落を報じるまで事件に関する情報を隠そうした」「F-16とは関係のない過去の事件もロシアに責任を押し付けた」と空軍を批判、これに解任される前のオレシュチュク空軍司令官は「戦時下では関連情報が素早く公開されることはない」「軍の信用を失墜させる道具として彼女を選んだ連中にとって(情報を無闇に開示できないということは)関係ないのだろう」と反論していた。
どちらにしてもF-16墜落とベズガラヤ議員発言の直後に「オレシュチュク空軍司令官の解任」が発表されているため、流石に「墜落とは無関係の通常のローテーションだった」という説明では苦しい気がする。
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※アイキャッチ画像の出典:Рустем Умєров
解任タイミングは、F16墜落と関係あるでしょうね。
本当に無関係なのであれば、この時期の解任は憶測を招くだけになるからです。
元空軍司令官は生きているため(死亡による交代ではないため)、解任タイミングを遅られば無関係と主張できるのに、わざわざ解任したということですね。
追記です。
F16の練度不足・連携不足は、実戦投入が早いため当たり前なのですが、事故発生は普段から有り得る話しです。
無理な作戦で責任をとらされるようでは、司令官~現場まで士気は下がるでしょう。
事故のたびに、司令官を左遷していれば、異動により現場が混乱・萎縮・情報隠蔽するなど悪い影響がでそうですね…
度々指摘されている通りウクライナの戦争指導は軍事的合理性というより政治的宣伝の色彩を帯びているところがある。
クリンキーの無理な維持や最近では戦略的意義の見えないクルスク侵攻もそうした流れに沿って理解できるし
F16を魔法の杖、起死回生の超兵器かのように誇大に宣伝するのもその1つだろう。
結局欧米の支援が切れるとどうしようもないので一概に否定する気もないが、しかしこれは、
本来ありふれた出来事であるはずのF16撃墜といった出来事に、いちいち今回のような「象徴的意義」が付会されてしまうデメリットと背中合わせでもある。
メディア使いが最大の武器だったウクライナがこういう方向でヘタを打つのは珍しい
ウクライナ政府にとって、今はメディアが邪魔な存在へと徐々に変わりつつあるのでしょうね…
ゼレンスキーが職権濫用して気に入らない人物を粛清している様にしか見えないんですよね…
かつての第三帝国の指導層も、亡国の瀬戸際までも地位争いをしてたそうなのでそれと重なります。
米国のホワイトハウスも(特にオバマ政権時代に)対テロ戦争中は頻繁に司令官人事に介入して戦略が朝令暮改になるような調子になっていましたが、ウクライナはもっと気軽に司令官を更迭しているように見えます。戦争がうまくいかないときに人事刷新で現状打開を試みるのは自然な発想であると同時に文民にできる唯一の改善ですが、このあたりの首の軽さはソ連文化圏由来なのかなと思ったり。
気になって調べたらこのMariana Bezuhlaって女性議員さん他の案件でも大暴れしてるやん。
リストに入れとこ。
オレシュチュク空軍司令官の異動が単なる定期異動なら、もう少し発表の仕方が違うのでないでしょうか。
注目すべきは、F16の墜落と司令官の解任がそれに関係しているというリークが、ウクライナ内部から出てきたことです。
これは、ゼレンスキーへの批判が出てきたことと、内部統制が弱まっているという2つのことを示していると思います。
以下は余談というか単なる想像になりますが、このマリアナ・ベズガラヤ議員ですが、女性に時々いる正義感の強いタイプかもしれません。
会社でも女性社員で出世に関係なくて妙に正義感の強いタイプがいます。男性だと割と社内の人事力学や自分の立ち位置で、「こんなこともあるさ、しょうがない」と割りきることでも、「これは許せない、ダメなものはダメ」というタイプです。
そして「F16とは関係ない過去の事件、ロシアに責任を押しつけた」とは、捕虜の乗った飛行機が撃墜された事件かも?
元から政権や軍の失敗に対して痛烈な批判をし続けてきた方で、ザルジニーやソドル解任の批判発端でもありますね。
発言追ってるわけではありませんがそれで7月に党会派からも離脱して遠慮がなくなってるかもしれません。
ウクライナ空軍の歴代司令官をwikipediaで見ると,大体2~3年周期で6~8月に交代してるのでありえなくはないと言った感じもしますね.まあメディア受けを気にするウクライナからすると最悪なタイミングという感じもしますが
戦時中だからと大統領は任期を過ぎても続けるのに、空軍司令官は戦時中に「通常のローテーションで」交代するもんですかねぇ?
普通に、操縦ミスによる墜落で責任を追及されることはないでしょうし、やはり防空システムでの撃墜の可能性は高いと思えますね。女性議員が、過去に同じような例があったと暴露しているので、この件が各国で注目される事はさけられないでしょうね。
あまりにもスピーディーに解任されているので、本件と無関係とは言えないでしょう。不都合な事が起こった時に、ゼレンスキーが要職者を解任するのは、今までも見てきた事です。
ゼレンスキー本人は、自分が特別に有能だと勘違いしている節もありますね。無能どもと断じて解任している感じがしますが、個人的には、一番解任されるべきは、ゼレンスキー本人な気がしますね。
あり得そうなことなので書いてみますが、クルスク攻撃の件で、場合によってはシルスキーの解任は高確率で起きそうな気もします。イエスマンと言われる彼も、軍事面では馬鹿ではないと思うので、流石にゼレンスキーの指示を苦々しく思っているとも思えます。
すべては管理人の感想に集約されますね。仮に交代としても最初から交代と言って後任と合わせて発表すればよいですし、政治的な判断から交代の時期をずらせばよいだけですし
まあ、苦しいわなー
調べたらしてましたね後任、普通そうか、失礼
真実はどうあれ、このタイミングの解任では国内外にそのような扱いを受けても仕方ないでしょう。
ただベズグラヤ議員は味方以外の全てを批判して名を挙げたり、批判を余所に転嫁しようとするタイプの議員であり、その攻撃内容の信憑性や理屈は安易であったり怪しい場合が多いので、こういう時は反応に困るというのはあります。
それでいて与党や軍を含む汚職や悪弊を糾弾した結果与党を去ることになったレロス議員など数人の議員とは異なり、開戦後暫くは与党及び与党会派から放置されていたというあたりが彼女の立ち位置を示しているでしょう。
それでも問題が多過ぎて、現与党が辞職を願う議員の引き留めに四苦八苦していた時期でも会派どころか党追放を要求する議員が増えた結果、与党会派を去ることになった凄まじい人でもありますが。
しかしオレシュチュク元司令官も(過失があったかはともかく)災難ですね。
モナスティルスキー内務大臣が亡くなった際は、手続きの数や時間的猶予で言えば今回の件よりも遥かに悲惨な失態だったはずですが、引責らしい引責も無かったというのに。
元自衛隊の山下さんがソ連製の対空ミサイルならF16を敵と誤認識して撃ち落とす可能性があるって言ってましたが、最初から味方であるはずのパトリオットがF16を追いかけるなんてことあるんでしょうかね?そんなアホなミサイルじゃないとおもうんですが。まぁ今のところ女性議員さんが言ってるだけみたいなんで信憑性薄いですけどね
イラク戦争時にパトリオットを自軍のF-16に向けて誤射した事例はありますよ。
そのときの原因が気になる
当時の調査だとIFFの欠陥説が有力ですかね
因みに英軍のトルネードと米海軍のホーネットは撃墜されましたが米空軍のF-16は逆に対レーダーミサイルをパトリオットにぶち込んで勝ちました
>F-16は逆に対レーダーミサイルをパトリオットにぶち込んで勝ちました
ちょっとおもしろい。
ウクライナのF-16も練度が上がればS-400に勝てるかも、という気になってくる。
F16でロシアに亡命しようとして撃ち落とされたりしてな
発射したペトリオットのミサイル(PAC-2やPAC-3)のミサイルシーカーにはIFFは付いてないので、指定された目標に向けて愚直に飛んで行くだけです。ペトリオットシステムがレーダーで対象を捉えて、レーダーの光点がIFFによって、味方であると認識されて、攻撃対象から除外されなければ、相手が何だろうと放たれたミサイルは対象を追いかけ回すことになります。
あと、大量のミサイルが夜間、殺到してくるような状況下では、迎撃ステップの殆どは自動で処理するでしょうから、IFFの通信障害一つでもあれば、誤射くらい普通に起きるでしょう。
日本でも入間に発着する味方を敵に見立てて高射隊が訓練しますし、iffに反応しなければ敵も味方もヘチマも無いと思います。
うーん、こんな事を言うくらいなら寧ろ黙ってた方が良かったんじゃないかと思ってしまいますね…
冷静に立ち返ってみれば今回の件は「戦闘機を1機失っただけ」に過ぎないのですが、投入直後で注目度が高かった上に墜落原因について疑惑が発生、空軍司令官が解任される騒ぎになって西側メディアで大きく報道されており政治的に大ダメージになってしまいましたね。
いや、その裏には「全くコスパが悪く役に立たないF-16」という今後の支援に非常に都合の悪い事実が見え隠れしているので、ウクライナとしてはなんとか誤魔化さないといけない局面です。
まあ、事実を宣伝で歪めて良いことなんか何もないんですが。
ともすれば支援を得ることが自己目的化していて、なんのためにやってるのか分からなくなってる感がありますね。
政治的に大ダメージというほど大ダメージかな。
それどころか、東部への注目がそれて、トータルでは逆にダメージが減ってたりして。
情報を隠蔽しようとしていた疑いがあるという話が重要なんじゃないかと思います。何か前科もあるのかもしれません。
NATO入りを目指す政権として息を吐くように嘘をつく腐敗したままの軍では困るし、原因究明を妨害されては同じ失敗を繰り返す可能性もある。