ウクライナ人が運営する情報分析グループ=DEEP STATEは「ウクライナ軍がポクロウシク方面でコトリーネ集落の大部分を奪還した」と、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは「ロシア軍がクピャンスク方面とリマン方面で支配地域を大きく広げた」と報告した。
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戦闘効率を改善すればロシア軍の前進を阻止できると証明した格好だが、この柔軟な部隊運用を全軍で採用できるかどうかは未知数
RYBARはクピャンスク方面オスキル川沿いについて「ロシア軍がフィホリフカ郊外で支配地域を広げた」「ロシア軍がドヴォリチナ周辺で支配地域を広げた」「ロシア軍がザパドネ西郊外で支配地域を広げた」「ロシア軍がP-79周辺で支配地域を広げた」「ロシア軍がクピャンスク方向に支配地域を拡大した」「ロシア軍がザパドネの北で支配地域を広げた」「ロシア軍がオスキル川沿いで支配地域を拡大した」と報告。
RYBARは「ロシア軍が既にホルビフカへ突入しているという報告もあるが確認されていない」「この方向の成功を直ぐクピャンスク襲撃に結びつけるのは時期尚早だが、橋頭堡の拡大は確実に将来の成功へ結びつくだろう」「クピャンスク方向について情報は殆ど公開されていないものの、この地域でも戦闘は続いている」とも述べており、もうオスキル川西岸のロシア軍はクピャンスク西地区の目と鼻の先までやって来ている。
RYBARはリマン方面ゼレベツ川沿いについて「ロシア軍がゼレベツ川西岸の足場からノーヴェ方向に支配地域を広げた」「ロシア軍がノボリュビフカ郊外に支配地域を広げた」「ウクライナ軍がマキエフカ方向にロシア軍を押し戻した」と報告。
ロシア軍がノーヴェ方向に確保した支配地域にはウクライナ軍の要塞地帯が含まれ、次の防衛ラインはO-0526の東側にあるコロディアジ~ノーヴェの渓谷で、ここを突破されるとリマンやザリチネへの道が開かれることになり、この戦場の形が大きく様変わりするだろう。
ウクライナ軍のホルティツァ作戦・戦略グループが「ピシュチャネ解放」を発表した際、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は「ドラパティ陸軍司令官が『本当に有能な人材』に作戦を指揮する権限を、この作戦を実施した第425独立突撃連隊の指揮官には前例のない自由裁量権が与え、シルスキー総司令官も精鋭の無人機部隊を作戦に投入し、ドネツク作戦・戦術グループのタルナフスキー准将も組織的な無人機運用を行うため共同火力支援センターを設置し、有能な無人機の専門家に指揮を任せた」「ピシュチャネでの成功は偶然の産物ではなく事前に調整された計画のおかげだった」と述べたことがある。
DEEP STATEもポクロウシク方面の状況について「敵の攻勢が大幅に低下した状態は1週間以上も続いている。この機会を利用してウクライナ軍は失った陣地を幾つか奪還出来た。この状況は一瞬で変化するかも知れないが、現時点で主導権を握っているのは我々だ。この変化はドラパティ陸軍司令官がホルティツィア作戦・戦略グループの司令官に着任してから起こった」と指摘していたが、26日「第25独立空挺旅団がコトリーネ集落の大部分を奪還することに成功した。まだ集落の南側は敵の支配下にあり、敵は失ったものを取り戻すため毎日集落を襲撃し続けている」と報告。
さらに「この状況は綿密に練られた戦術的改良の賜物でウクライナ軍は戦場のポジションを改善し続けている」と付け加え、ドラパティ陸軍司令官がホルティツィア作戦・戦略グループの司令官に着任して「司令部、各旅団、各部隊、各無人機部隊、各砲兵部隊で調整も協調もなく運用されていた状況に変化が起きている」と強く示唆しており、戦闘効率を改善すればロシア軍の前進を阻止できると証明した格好だが、この柔軟な部隊運用を全軍で採用できるかどうかは未知数だ。
DEEP STATEはクラホヴェ・ヴェリカノボシルカ方面について「ロシア軍がアンドリイフカ集落内で支配地域を広げた」「ロシア軍がブルラツケ方向に支配地域を広げた」「ロシア軍がブリヴィル方向に支配地域を広げた」と、RYBARは「ロシア軍がブルラツケ方向に支配地域を広げた」と報告した。
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
ボクロウシク炭鉱からは手を引くと、トランプと密約でも交わしてんじゃないかなぁ。
その可能性も否定は出来ないでしょうね。
既にポクロフシク炭鉱は操業停止に追い込まれたので、停戦までにポクロフシクを必ず落そうとは思ってないなら、コトリーネなどはロシア軍にとって一旦引いても何ら問題ない集落になります。もし、停戦の日取りや方針に変化が生じれば、ポクロフシク包囲のための再度制圧されるでしょうが。
T-0406の遮断を解除したいのか、E-50へのプレッシャーを下げたいのか、どっちでしょうね
前者と後者ではハードルの高さが随分と変わりそうですが
情報によるとポクロウシクの膠着の原因は前線から10キロくらいまでの補給路をウクライナ軍のドローンが徹底的に攻撃するため。
バイクやバギーでの補給も難しくなってるので人力での補給になってる。
ただしウクライナ側も空爆の脅威から数10キロくらいデポを下げそこからの鼠輸送になってるので兵站効率は悪い。
兵站に負荷がかかる大規模な機械化戦力を使っての突出部を刈り取るような反撃作戦は無理だろう。
クルスクを撤退して装備の整った部隊を戻したとて歩兵の補充以上の働きはできない。
情報ありがとうございます。
以前より前線まで最後の数キロは人力という報道(チャシブヤールの記憶があります)はあったのですが、ウクライナ領内に深くなるにつれて仰る通り、一層激しくなってそうですね。
戦線があまりにも広いうえに陣地戦ですから、結局のところ仰るように、歩兵の補充が重要になってい気がします。
そもそも最初からクルスクに突っ込まず東部に戦力回していれば断然有利な条件で講和できたものを…
あちらに回したSAMがこっちに残っていれば、滑空爆弾搭載機の何割を阻止できた?あれを当初計画のピンポンダッシュで終わらせず、ずるずる居座ってしまったことが残念でならない。
具体的な事が不明なので、このポクロウシク方面での反撃が持続可能なのか、他の部隊に戦訓を共有できるものなのか
リソースを投入した結果だとこの一部で話に終わってしまいますが、戦訓の共有で全体が改善するなら何らかのブレイクスルーになりうる話です
どうにも前者っぽいのが気になりますが
自己レスですが、この戦訓が共有・再現可能なものならクルスクで真っ先に共有・再現を試みてると思うんですよ
しかし現実としてはクルスクは徐々に押されてしまっているので、十分な戦力・有能な指揮官がいないと再現できない代物なのではと思っています
数週間以内(4月20日)の停戦の現実味が日に日に増していますからね
ウクライナ側としても出し惜しみせず攻勢をかけている感があります
問題は東部戦線に配置されているロシア軍はどこで何をしているのか
明らかにここ1ヶ月の攻勢は先月までに比して低調です
クルスクの優先順位は上がっていそうですが、東部や南部戦線からどんどん兵力を引き抜いて送っているとは思えません。通常、停戦が見えてきた場合、特に余裕がある側はラストスパートの攻勢をかけることが多いので、やはり何か準備しているのでしょうか?
もちろんクラホヴェ、ヴェリカ・ノボシルカ攻勢で使い切った可能性も否定できませんが
ウクライナが攻勢をかけているというより
東部でもポクロウシクの手当は厚く、ロシアが足踏みしてるという印象ですね
戦術的には攻勢ですが戦略的には依然として守勢にあり逆転も非現実的と思う
ロシアがあと一月でキリ良く仕上げるとしたらトレツク、チャシブヤールの二つの都市
ヴェリカノボルシカの北方面、クラホヴェの西方面の塗り絵……くらいでしょうか
クピャンスクの方も大変なことになってますが一月でガラリと変わるかは微妙なような
ただ、今のところ停戦の根拠ってトランプとマクロンが言うには、という話で
ビジョンが見えないのですよね
肝心のトランプが資源は貰うけど軍事力による安全保障はしないというスタンスで
しかもウクライナは資源を差し出すことに同意したという報道
外交は本当にわからないです
4月20日と言っているのはあくまで停戦であって終戦ではありませんからね。
日本では両者を混同して、停戦の段階で領土帰属など戦後処理の議論までみられますが、停戦はもっと軽いものです。何なら停戦しても終戦(講和条約締結)できず、その場合は戦闘再開もありですから。
で、今の段階で停戦すると不利なのはウクライナの方です。
停戦して戒厳令が外れると兵士の帰郷が始まってしまいますし、戦闘再開を恐れた男性の合法的国外脱出が加速してしまいます。もし仮に今年末に戦闘再開ともなれば、その時にはもはや2022年のように急速に兵を集めることは不可能であり、現状の兵力以下の状態で戦闘する羽目になります。事実上の詰みであり、選挙結果がどうであれ強気で講和会議に臨むことができます。
だからこそ、ウクライナや欧州は”停戦”に慎重であり、停戦維持のための平和維持軍の話が出ているのです。そう考えるとそのマクロンすら数週間以内の停戦の可能性が高いと話をするというのは大変興味深いです。
なおロシア側の停戦に関する動きとして、ウクライナへ復興費への具体的な言及(凍結資産から20兆ドル拠出する)がありました。あくまで終戦後の話になるので停戦を促すための罠かもしれませんが。また、5月10日の対独戦勝記念日に習近平だけではなく、インドのモディ首相が参加すると昨日報道がありました。ロシアの西側への”勝利”を演出する意図があるのでは?と感じております
対独戦勝記念日は5月10日ではなくて9日でした。
失敬。
ガザも何度も停戦協定しながら戦闘しているのでさもありなんです。
イースター停戦に疑問符でしたが、ご指摘のようにロシアも戦勝記念日で大々的に祝うのなら…いや流石に時間的猶予ないですね。
停戦会議開始くらいじゃないですかね4月時点では…
諸々のニュースを伝え聞く限りだと、4月末あたりに停戦、その後に選挙、年内に終戦、というプロセスを“2月末の段階”では描かれているようです。とはいえ、各国の情勢変化でこれらの日付は流動的と見るべきでしょうね。あるいは、ちゃぶ台返しもあり得ます。
コトリーネ周辺、ポクロウシク炭鉱に関わりますから興味深いですね。
ウクライナの資源地内で興味深い情報として、ドネツク地方の炭田など採掘期間が長く、投資が少なかったため、採掘量が減っているという指摘を見かけました。
ロシア軍が、クピャンスク方面クピャンスク北方への進み方、支配地域拡大は少し気になっています。
ウクライナ軍全体の北方ロジスティクスを考えたときに、キエフ~スームィ(~スジャ)~ハリコフ(~ボルチャンスク)~クピャンスクですから、クピャンスク方面に増援や補給が後回しになる可能性があるからです。
ポクロウシクでウクライナ軍頑張っていますが、他戦線のクルスクとクピャンスク北が崩されてしまっているので余り戦況に影響は無さそうですね。
本当にクルスクなんてやらずに精鋭を予備戦力にしていればと悔やまれますし、今から効率的な組織運用で戦うには遅すぎた感がありますが相当追い込まれないと大きい組織というのは変化しないものなので仕方無いのかもしれませんね。
>相当追い込まれないと大きい組織というのは変化しない
江戸幕府も、幕末は凄く必死に頑張る有能な官吏が多かった。しかし、家斉時代から天保期までは幕閣老中が幅を利かせ、腐敗する一方だった。大日本帝国なら、1945年になってから効率的な組織運用を頑張ろうにも、遅すぎるといったところでしょうか。
クルスクどころかロボティネ攻勢の時に戦力を集中させられなかったのはその後の戦局に悪い影響を与えていますね
今日までの情報だと、ロシア軍が注力しているのはクルスク、オスキル川西岸が特に強く。クラホヴェ・ヴェリカノボシルカ方面は前進が続いており、ポクロフシク方面は攻勢を弱めている(ウクライナ軍が一部で反撃に成功)。後は、トレツクやチャシフヤールの状況ですが、トレツクはウクライナ側が必死に押し返そうとしている印象を受けます。
停戦交渉の準備にどれだけ影響があるかは分かりませんが、双方の力を入れる戦線にメリハリが生じ、戦線変化が斑模様になり始めているのやも。3月に入れば泥濘も迫りますから、動きがどうなっていくか。
ポクロウシク方面でのウクライナ軍はロシア軍をドローンで徹底的に攻撃しているようで、この方面に他のクルスク以外の戦線から引き抜いた無人機部隊を集中投入してるんじゃないかと思ってます。
それであればこの方面の戦果と他戦線の崩れ具合が説明できる気がしますね。
流石に司令官が変わったのでその時から戦闘効率が劇的に改善しましたはないと思う。
どんな組織でもそうですが、トップが有能な人に変わっても組織内の連携強化などの改革は直ぐに結果が出るものではないですから。
なのでシルスキー総司令官のいう精鋭の無人機部隊が増援でやってきたというのが今のところは大きい気がします。
このあとこの記事のXの引用で衛星画像を貼るのですが、ヴェリカノボシルカ方面では雪解けが始まっている感じですね。一時的なものかは分かりませんが、戦況に影響が出る可能性があります。
また、未確認情報なので眉唾程度に聞いてもらえればなのですが、ウクライナ側の対応が形になってきたため、ロシア軍の誘導爆弾の命中率が低下しているとか何とか。私が見ていないだけかもですが確かにロシア側から出てくる誘導爆弾着弾の動画が減ったような気もします。
また、場所は失念してしましましたがウクライナ領内の鉄道橋がミサイル攻撃を受けたとか。事実ならこれも停戦に向けてウクライナ軍の移動を阻害したいのでしょうか?
単純に押さば引け、引かば押せってやつで
押されたらスイスイ下がるいつもの露軍かなと
その分他のラインがあからさまに代償になってるし・・・
総司令官肝いりの作戦で手元にある精鋭無人機部隊を集中投入してようやく集落2つの奪還が限界なのがウクライナ軍の現状でしょうね
停戦ラインは決める必要があるのでしょうが、そのために戦闘をしても、思っている以上に延々とその時が来ないのではないか?という悲惨な状況。気の毒としか言いようがない。
ウクライナとしては絶対にポクロウシクは抜かれてはいけない拠点ですし、逆にロシアからすれば、ウクライナ軍の戦意も高い中でのこの規模での正面からの都市戦は不利ですから、バフムト、アウディウカのように時間を掛けて郊外を潰していくつもりでしょう。ウクライナも対応するでしょうが。
停戦がなるかは分かりませんが、ウクライナ軍がクラマトルスク~コンスタンティノフカ~ポクロウシクのドネツク正面で耐えてるのは良いことです。あとはオスキル川方面とアンドリフカ方面で耐えたら停戦も見えてくるかと。
個人的にやっと2022年の泥臭くても粘り強いウクライナ軍が帰ってきた事は嬉しい限り。
露軍としてはポクロウシクはバフムト、アウディウカ以来の都市決戦になる訳で、損害を避けるために上記両都市のように郊外に展開してくることは見えてました。実際西の炭鉱地区や東のコンスタンティノフカからの兵站線を脅かす動きを見せていましたし。宇軍はこの東西の動きに機敏に対応出来てましたし、攻防戦序盤としては上々でしょう。
でも、もう西側のT-0406が遮断されて街への補給は
厳しくなってないかな