ウクライナ人が運営する情報分析グループ=DEEP STATEは「ロシア軍が東部戦線の複数方向で大きく前進した」と報告、米国防長官はNATO加盟国に「国防支出をGDP比5.0%まで増やせ」と要求したが、米国は今後5年間で3,000億ドル規模の国防予算削減を検討しているらしい。
参考:Мапу оновлено
参考:Ворог мав суттєві просування в районі Андріївки
参考:Хроника специальной военной операции за 19 февраля 2025 года
参考:Trump administration orders Pentagon to plan for sweeping budget cuts
米国はNATOに国防予算の増額を要求、米国は国防予算を削減、そのしわ寄せは西側諸国に波及するかもしれない
ウクライナ軍は2023年の反攻作戦に合わせてコンスタンチノフカ方面でも反撃を実施し、同年9月までにクレシチェエフカの大部分を奪還、当時にマリャル国防次官も9月14日に「アンドリーフカは我々ものだ」と発表してバフムートに南から迫るための足場を確保したが、反攻作戦の失敗とアウディーイウカ攻勢が始まったためコンスタンチノフカ方面でも積極的な反撃が止まり、ここからロシア軍にジワジワ押し戻されてしまう。
DEEP STATEはコンスタンチノフカ方面について「ロシア軍が運河に東側で支配地域を広げた」「ロシア軍がアンドリーウカを占領した」と報告、これでRYBARの評価とギャップが生じていたクレシチェエフカやアンドリーウカ方向の前線位置が概ね一致し、もう2023年の反撃で奪還した運河の東側部分は殆ど残っていない。
DEEP STATEはポクロウシク・ディミトロフ方面東方向について「ウクライナ軍がT-0504のジャンクション一帯を奪還してロシア軍をC-050905沿いに押し戻した」「ロシア軍がヴォズドヴィジェンカの北で支配地域を広げた」と報告、RYBARはロシア国防省が解放を発表したゼレン・ポールについて「ロシア軍がゼレン・ポールから敵を追い出した」と報告したが「集落を占領した」とまでは言及していない。
ウクライナ軍がジャンクションの支配を取り戻したことでポクロウシクとコンスタンチノフカを結ぶT-0504は「物理的遮断」から解放されたが、少なくともカゼニ・トレツ川沿いまでロシア軍を押し戻さないと安定した通行は望めないだろう。
DEEP STATEはポクロウシク・ディミトロフ方面西方向について「ロシア軍がピシュネャネ郊外に前進した」と報告。
DEEP STATEはクラホヴェ方面について「ロシア軍がダクネを占領した」「ロシア軍がゼレ二フカを占領した」「ロシア軍支配地域がコスティアンティノピル郊外まで広がった」「ロシア軍がアンドリイフカ北郊外で支配地域を広げた」と報告、さらにアンドリイフカ西集落まで伸びたロシア軍支配地域を削除したが「ウクライナ軍がロシア軍を押し戻した」とも言及していないため「評価の修正」だろう。
この方向の状況についてDEEP STATEは「以前にも指摘したようにロシア軍はゼレニフカとスキ・ヤリ周辺に戦力を終結させていた。この戦力を活用してゼレ二フカを完全に占領し、ウラクリー集落の南部分に足場を築いた。さらに敵はコスティアンティノピルの南郊外まで到達して陣地を固めている。16日に始まった両拠点に対する攻撃は現在も止まっていない。さらに敵はクラホヴェの隣のダクネも完全に占領した。ここはウクライナ軍が長い間駐留していたもののロシア軍が両拠点に前進したため背後が遮断される恐れがあった」と述べ、ロシア軍の目標は前線を平らにすることらしい。
RYBARはウラクリーとダクネの間の荒野をロシア軍支配地域=この一帯にウクライナ軍は存在しないと評価しているが、DEEP STATEはウラクリーとダクネの間をグレーゾーンと評価しており、ロシア軍がN-15沿いにウラクリーへ攻撃を仕掛ける様子も視覚的証拠もないため、DEEP STATEの方が現状に近い評価と言える。
DEEP STATEはヴェリカノボシルカ方面について「ロシア軍がノボシルカ集落内に侵入して足場を築いた」「ロシア軍がブルラツケ方向に支配地域を広げた」「ロシア軍がノヴォチェレトゥヴァテ郊外で支配地域を広げた」と報告。
因みに米国防長官はNATO加盟国には「国防支出をGDP比5.0%まで増やせ」と要求したが、米国は国防支出を5.0%まで増やすとは約束せず「バイデン政権時代よりも国防支出を増やすべき」「国防支出が3%を下回らないようにすべき(現在は3.3%)」と述べていたものの、Washington Postは19日「ヘグセス国防長官が国防総省と米軍に国防予算を今後5年間、毎年8%削減するための計画を24日までに策定するよう命じた」「メキシコ国境での作戦、核兵器、ミサイル防衛、CCA、原潜、自爆型無人機など17分野は削減対象外になる」「これが実行に移されれば今後5年間の国防予算から毎年数百億ドルが削減される」と報じた。
2024年度の国防予算で計算すれば年670億ドル=10兆円、5年間で3,350億ドル=50兆円の削減が必要になり、これだけの予算削減が行われると米防衛産業の収益悪化は確実なので、トランプ政権は西側諸国に米国製装備品の購入を強要してくる可能性が高く、国防支出を増やせと要求されているNATO加盟国の反発は必至だ。勿論、日本も無関係ではいられないだろう。
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※アイキャッチ画像の出展:Сухопутні війська ЗС України
前線の動きで特筆すべきはアンドリイフカがほぼ陥落したことで、北部のドニエプロペトロフスクへ西進する攻勢軸と歩調を合わせて小規模包囲を試みつつ州境へ向かう動きへと発展するだろう。
高すぎる上失敗続きの米軍産複合体にDOGEのメスが入るのは比較的正当なため、国防支出を減らす米国の試みは欧州や日本でどんな反応があろうと成功する可能性が高い。防衛負担の応分の要求は政権に関わらず続いてきた米国の要求であるため、日本は冷静に対処しつつ軍拡する必要がある。
一方で欧州やゼレンスキーは米大統領選から時間があったにもかかわらずトランプが親ウに転向することを期待してほぼ何もしてこなかった。トランプ派は腐敗したバイデン政権とゼレンスキーが癒着して金を盗んでいたという世界観で固まっているため、そのナラティブの威力を過小評価してきた結果が現在に繋がっている。形式的にでも選挙を行う必要は早い段階で必要だったのだろう。
年間10兆円削減は練習機の売り込みに苦戦してる、某企業の赤字が深刻な事になりそう
軍事部門以外はトヨタが買収して、ドローン配送システムの空中母機とか手掛けていきそうな雰囲気に‥なるのかも?
USスチールの件を鑑みればそんなん不可能ですよ
2024.4.11の記事です。日米首脳会談、共通ジェット練習機の共同開発・生産に向けた部会設置で合意
恐らくはこのあたりをベースに、米国兵器売り込みに対応していくのかと思います。
ただ、共同声明の原文を見ようとホワイトハウスのページに飛んだら404でした。
春の泥濘期・春の雪解けまでに、ロシアの攻勢に耐えられるのかが焦点になりそうですね。
アメリカは、対中重視・太平洋シフトのため、ウクライナ関連・ヨーロッパ駐留経費を削減すると言われています。
日本の安全保障にも、どうなるのかは極めて影響が大きいため、特に米海軍など太平洋方面がどうなるのか見守りたいと思います。
ロシアとしては新しい国境線になる可能性が高い訳ですから管理しやすいように平らにしていきますよね。
ウクライナは相変わらず後退し続けてますが、この先米露の停戦を受け入れるのか欧州に支援してもらって継戦するのか、どちらの道を選択するか気になりますね。
どちらの道もウクライナ国民にとっては修羅の道ですが…
まあアメリカの忠実な部下である日本はトランプ大統領がアメリカ製兵器を購入するよう要請してきたら受け入れるでしょう。
とはいえ日本が今から、代わりにフランス製や韓国製の兵器を買って有事に間に合わせられるのかとなると、ですので…
弾薬なら幾らあつても足りない位なので何兆円分でも欲しい。
核も欲しいね。
トランプ大統領なら沈黙の艦隊方式で原潜も売ってくれるかもしれませんね。
オハイオ級(SLBMは英国方式)ならいくら高くても欲しいですけど、バージニア級は要らんなあ…。
核弾頭は国際法で輸出NGなので、核弾頭は自国で開発しないといけません、核弾頭輸送手段は輸出可能なので、イギリスのSLBMは弾頭はイギリスで、ミサイルシステムはアメリカのトライデントになっています。原子炉は兵器ではない宣言がなされて、オーストラリアに輸出されますので、弾頭だけ国産開発でお願いします。
米軍基地はアメリカ住所なので。核弾頭だけで、アメリカ所有で、母港は佐世保や横須賀。だから輸出されていないという屁理屈は・・・ダメか。
買え買え言うから大金を振り込んでるのに物が届かないのはどうにかしてほしいですね米国サン
発注してからいっこうに届きません。星一つです。
危うく吹きました。座布団五つです。
konozama
そこがまさに無計画に膨張しすぎた米国の軍需産業・制度・機関構造にして、沈黙のハドソン研究所が悲鳴をあげトランプが予算削減(トランプ政権が不要と判断した分野の予算削減と何より無駄な消耗費用の整頓削減)を命じた根幹でしょうね。
アメリカの兵器は高過ぎる事と政治家へのキックバックがあるとして今問題になってるみたいなんですよね。
連邦政府高官の天下り問題や政権交代の間の受け皿にもなってるようです
クラホヴェ方面のポケットはもう時間の問題かな
ポクロウスク周辺のロシア軍は疲弊していて攻勢が停滞しているといった話がありますが
ウクライナ側の反撃が小規模なのを見ると、ここも体勢に変化は無さそう
主導権は完全にロシアだ
>「ロシア軍がブルラツケ方向に支配地域を広げた」「ロシア軍がノヴォチェレトゥヴァテ郊外で支配地域を広げた」と報告。
シェフチェンコのリチウム鉱山に手が伸びてきたな
今のウクライナの重点戦闘地域って、クルスク、ポクロウシク、クピャンスクの周辺の少しだけ、チャシブヤール、トレツク、シヴァルスクなんだろうけど、ルシア軍はそこらにもちょっかいを出しながら、手薄となっている他の地域で前進している感じだから、前線の手薄な地域を取っていくなってウクライナが2023年にやらないといけなかったことをルシア軍にやられてしまってる皮肉。
多分今なら南部のオレホポとかも攻めれば高確率で取れると思うけど、ルシア軍が南部に作った防衛ラインを崩してまで攻めようとしていないのとかも、中身空っぽなインスタ映えのためにドニエプル川東岸に上陸して全滅したり他の地域で押されているのにクルスクに侵攻してしまったウクライナ軍と比べてしまうと堅実過ぎて“こりゃ勝てないだろ”と改めて思ってしまう、
遠く離れた島国の自分ですら、そう思ってしまうぐらい酷い戦い方んだから戦争の当事者であるウクライナ国民は、戦争を続けるべきだと洗脳されてしまってる人以外は、それ以上に思っている人が多いのは間違いない。
私も同意見です。
ウクライナのポクロウシクやクルスクでの反撃は、重要な地点だしウクライナ兵は勇敢に戦っているけど、たぶん短期的なものだと思う。
2月15日の攻勢再開頃からまた、毎日ロシア軍がkm単位で前進するようになってきたな。
世界の目は停戦へ向けた外交交渉の方へ向いているが、前線の現実が後の国境線になることを考えると、前線の活発さ=ロシアがどこまでを自国領土に求めているか、の物差しになるだろうか。
1年前の自分に教えても絶対に信じないと思うが
今はロシアは最終的にオデッサまでとる気がしている
確かなのは、急場の命令によるものなどではなく、しっかりと準備されていた攻勢だということでしょう。
重厚な準備に裏打ちされているからこそ、政治がどのように動こうとも対応してみせることができるという。
ローテーションを密にして積み上げてきた経験値の差が、いよいよ決定的になったと。
ヴェリカノボルシカが陥落して1週間くらい停滞してたけどやっぱまた活発化してきたな。ローテーションが上手く行ってるんだろう。ウクライナ側の兵士からしたら羨ましい限りだろう
おそらくロシア軍はゼレンポールからタラシフカ一帯を取った後道路沿いに西に進みT-504を目指すと思います
複数方向から攻めるのが今のロシア軍のやり方ですのでジャンクションを正面から奪還するよりそちらを選ぶ可能性が高い
クルスクに展開してるロシアの第810海軍歩兵旅団がスームィ方面に侵攻したそうで
ロシア軍の攻勢がどこまでウクライナ軍を押し込むかは興味深いですね。
とはいえロシア軍の目的はドニプロ到達などのいくつかの政治的目標を除けばあとは4月ごろの停戦に合わせて戦線を平らにしながら重要地域(ドネツク)で出来るだけ前進する事だと考えられますので今からオデッサやハリコフへの再攻勢などはまず無いと思いますが、
クルスクはロシアも米国もハナから領土交換議論に組み込む気がなく「ゼレンスキーと欧州のリベラル政権(==支持が極端に落ち込んでいるヨーロッパ各国の左翼政権)に好きに喚かせとけ」といった感じなのでロシア軍が相変わらず大した戦力を入れておらず、対してウクライナ軍は大統領がメンツだけの方針を変えないために相変わらず精鋭を張り付かせているのが興味深いですね。ウクライナ軍と国民の立場で考えたら胸糞どころじゃないとんだ災難です。
仰る通りで、ロシア軍は将棋なら王手で積になるまで占領地をどこにするかを考えている最中でしょう。
ゼレンスキーは思考が面白くて、戦争に勝てないのにプーチンを負けさせるつもりらしいです。これは、ヨーロッパも同じですが、負けていても現実が認識できないんですね。
最終的には米露で核を10も打ち込めば、ウクライナは物理的に黙るでしょう。この勝敗決まったゲーム。とっとと終わらせた方がいいですね。