DEEP STATEとRYBARは17日夜「ロシア軍がザポリージャ州カミアンスケ・オリヒウ方面で前進した」と報告、ロシア国防省も「ピャティハトキ解放」を発表し、比較的静かだった南部戦線でも前線の変化が観測されたが、詳しい状況は良く分かっていない。
参考:Ворог з початку березня намагається прорвати лінію П’ятихатки-Малі Щербаки
参考:Запорожское направление: освобождение Степового и бои на рубеже Щербаки-Малые Щербаки
参考:Минобороны России
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問題を抱える防衛ラインを狙ったロシア軍の突破は久々
DEEP STATEはザポリージャ州カミアンスケ・オリヒウ方面について「ロシア軍がピャティハトキを攻撃して占領しようとしている」「ウクライナ軍がステポヴェ方向に前進してきたロシア軍を撃退した」「マリ・シェルバキ方向でもロシア軍の攻撃が続いている」「ロシア軍がT-0812方向に支配地域を広げた」と、RYBARは「ロシア軍がピャティハトキを占領した」「ロシア軍がステポヴェをほぼ占領した」「ロシア軍がマリ・シェルバキ方向とシェルバキ方向への前進に成功した」と報告、ロシア国防省は「ピャティハトキ解放」を発表、視覚的にもウクライナ軍がマリ・シェルバキ集落内=Ⓐでロシア軍を攻撃する様子が登場した。
DEEP STATEはカミアンスケ・オリヒウ方面の状況について「第108空中強襲連隊が3月上旬にマリ・シェルバキ方向のウクライナ軍陣地を攻撃した」「この方向のウクライナ軍部隊には相互運用に問題があった」「敵がどこまで前進した把握するのが困難だった」「さらに第108連隊はピャティハトキ方向でも攻撃を開始した」「現在も攻撃が続き集落全体を占領しようとしている」「ステポヴェ方向でも敵が道路に到達して足場を築こうしている」「ウクライナ軍は大砲などの火力で敵を何とか食い止めている」「敵はマリ・シェルバキ集落の南部分に侵入して足場を固めようとしている」と言及。
さらに「我が軍は残念ながら伝統的な問題(異なる部隊間での調整や協調)を抱えており、軍上層部も状況を認識して安定化措置を講じている」「この地域で最も経験豊富な第128山岳強襲旅団に大きな期待が寄せられている」と述べ、問題を抱える防衛ラインを狙ったロシア軍の突破は久々だ。

出典:Минобороны России
RYBARはカミアンスケ・オリヒウ方面の状況について「ロシア軍は数日間の砲撃後、霧を利用してステポヴェを無傷で占領した」「敵は最後までステポヴェを支配していると信じていたが、これを否定する映像が3月11日に登場した」「ロシア軍は状況を知らないウクライナ軍部隊を何度か待ち伏せ攻撃することが出来た」「この方向でさらなる成功がもたらされればオリヒウ西の高台を手に入れることができる」と述べ、現時点で両者の評価は噛み合っていない。
まだ情報が限定的なので何とも言いようがないものの、ロシア軍がさらに北へ前進するとをザポリージャ方面の地図を拡張しなければならないので止めほしい。
追記:ウクライナ軍は17日「ステポヴェは占領されていない」「これは情報戦の手法で敵は集落に侵入する前から『そこにいる』と主張する」と述べた。
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※アイキャッチ画像の出典:24 ОМБр імені короля Данила
ザポリージャ方面、膠着と思っていましたので、とても興味深い動きですね。
ザポリージャ都市圏郊外~ステポヴェ付近35km程度ですから、縦深確保を考えれば、北側の守りを薄くするわけにはいかないでしょうし。
オリヒウ西部、側面方向の防衛線が構築されているのかも気になります。
スジャ州に、越境攻撃の可能性も示唆されており、あまりにも戦線が長いので見極めが非常に難しいですね…
追記です。
衛星写真を見ていると、一面が畑という感じですね…
3月上旬のロシア軍はクルスクとドネツクだけでなく、ザポリージャも同時に攻めてたんですね。ただただ驚きです。
動きとしてはT-0812と一帯の高台を奪取して足場を固めつつオリヒウに迫る形。もしオリヒウ東のノヴォポクロフカ周辺で攻勢が始まれば、ロシア軍はオリヒウ包囲を狙っていると考えられます。
東部でのウクライナ軍が優勢になったのはどうやらロシア軍が戦力配置を変えたといった方がよさそう。
全体的に見るとウクライナ劣勢は変わらないのか…
もし南部でさらなる突破許せば、クルスクに固執し続けた代償が余りにもデカかったという証明になる(-_-;)
完全に膠着していたザポリージャの戦線でロシアが突破成功とは驚きですね、ウクライナ側は何となくですが他の戦線に兵員物資が移動してしまい陣地は堅牢だけども手薄になってしまった所をロシアが見逃すはずも無くという感じなのかなとも思うけど、ウクライナはリソースの割り振り方がさらに難しくなりましたね。
ウクライナ軍が反撃頑張ってるポクロウシクやトレツクは衝力尽きるまで引く
ポクロウシクとトレツク反撃及びトレツク撤退支援に戦力取られて薄いだろう、ザポリージャで押す
ただでさえ国力でウクライナに勝るのに、消耗抑制に余念も無ければ相手に得意一点突破という弱者の戦略も取らせない
うーん、やはりロシア軍は厄介ですね…
本来は体力とスタミナの強い方であると同時に、スタミナを温存し、しっかりと防御し、相手のスタミナをできるだけ削る、一度失敗すると大きな損失を招く大冒険を避ける……
ある意味ソ連時代よりも厄介になった。国土や国民を大量に失い、衰退に陥ったから、傲慢さを減らして「弱者の戦い方」を悟ったのか
相手より大兵力を用意して
相手より大火力で確実に前進する
基本に忠実な戦法しかやってませんね
世の中にはそれを無謀な人海戦術しかしない雑魚国家と言い張る方がまだまだたくさんいます
少し違います。最初の1、2年間、ロシア軍の兵力は実際にはウクライナ軍にはるかに及ばなかった。22年末に双方の兵力差が最も大きかった時には、4倍以上の差があったかもしれませんね
この時、ロシア軍はウクライナ軍のように盲目的に迅速な大規模動員を行うのではなく、戦線を収縮させて防御しながら、より長い時間をかけて着実に新兵を訓練してきた
その結果、最も勇敢で最初に入隊したウクライナの若者たちは、十分な訓練を受けずに最も激しい戦場に投入され、熱狂的な反転攻勢の中で無駄に命を落とした。最も勇敢で精鋭な新兵が浪費された後、必死に徴兵しても、比較的臆病で劣悪な新兵しか獲得できなくなった。一方、ロシア軍は徐々に新兵を老兵に鍛え、戦争の3年目から明らかな兵力と練度の二重優位を体現し始めた
「敵の結節点を破壊して大兵力の展開を阻止する」というソ連軍に対して生み出されたエアランドバトルの原則が、この戦争においてロシアに利したのは皮肉ですね
単純に兵力をぶつけ合う軍事革命以前の戦争の形態のままであれば、ロシア軍は2022年のうちに殲滅されていたかもしれません
これほど広い戦線を抱えてなお双方が前線に展開できる兵力が限られていたからこそ、この戦争は膨大な予備兵力を削り合う陣地戦に変貌したわけで、それを早期に分析し長期戦への体勢を整えるべきとの結論を出したロシアの軍事アカデミズムは流石としか言いようがありません
ザポロジエ戦線におけるロシア軍の攻勢の兆候は1ヶ月くらい前から言われていたけど、さすがにもう何年も見合ってて互いの陣地が強固なこの方面で前進が可能だとは思っていなかった
意外とちゃんと進めたというか、この方面のウクライナ軍は陣地があるからと相当他に引き抜かれてたんだな
オリヒウ攻略が目的って言われてますけど
これが本当ならザポリージャは以前と比較すると相当スカスカっぽいですね……
もちろん南部のロシア軍がしっかりと力を蓄え直したのもあるんでしょうが
ちなみに小競り合いの続いていたカムヤンスケ方面には最精鋭の128山岳旅団とクラーケン連隊が展開しており、ステポヴェの帰結も含めて今後突破正面西側は苦戦が予想される
他方でウクライナが沿ドニエストル侵攻に打って出る兆候が見られており、こちらも注意が必要だ
ウクライナ軍、一方では総司令官の改革で見違えるように強くなってる方面もあればあれだけ問題だ問題だと言われてるのの一向に改善されない方面もある。
結局のところ、組織の改革というより総司令部が予備戦力を何処に重点的につぎ込むかだけの結果でしかない気がしてきた。
以前の重点地区はクルスクで今はポクロウシクとトレツクで重点から外れた地区は基本的に劣勢で土地を奪われるだけと。
これはせめて重点地区は押し返しだけじゃなくてロシア野戦軍の撃破ぐらいまでやらないとモグラ叩き状態で先に音を上げるのはウクライナとなってしまう。
現在重点地区となっているポクロウシクかトレツクでの劇的な勝利が必要だと思う。
>現在重点地区となっているポクロウシクかトレツクでの劇的な勝利が必要だと思う。
同意ですね。停戦交渉を狙うにしても、「軍事的に必要ではないが、有利な場所で勝つためだけに攻撃を仕掛ける」というのも外交に繋げる上で必要になる時があります。今のウクライナ側が狙いたい戦略としては妥当かと。しかし、だからこそロシア軍の対応が厄介というべきか、敵が多く強い戦線では無理せずに戦いつつ退く、敵が弱い戦線は徹底的に叩く、です。押せば相手が退くだけで、局地的勝利にしかならないので劇的な勝利が非常に演出しにくい。
ヴフレダールが陥落でザポリージャ方面に鉄道輸送が可能になったことは陥落時から言われていたのでロシアは戦線を押し上げる準備が整ったのかな
あるいは停戦案にロシアの条件を呑まないなら継戦して奪うのみのアピールか
トランプ大統領=プーチン大統領の電話会談が予定されていて、発電所(おそらくザポリージャ原発)の扱いについて示唆していたので、アピールも仰る通りありえると思います。
アメリカ時間の18日午前(サマータイム?)ならば、深夜に何らかの発表あるかもしれませんね。
(2025年3月17日 米ロ首脳の18日電話会談、ザポロジェ原発巡り協議の可能性 ロイター)
(2025年3月18日 プーチン氏との電話協議 米トランプ氏「18日午前に実施」【モーサテ】 Youtube)
やはり宇軍上層部が直接見てない戦線はすぐ崩されるな。
特にザポリージャなんて、少し前にドローンディフェンスゾーンを
構築しただの宣言しただけに、そのドローンディフェンスの失敗の証明になったのがな…
やはり絶え間ない相克をロシア相手にやるしか手立てはないか…
計画された陽動なのか、北部、東部戦線に対して戦果の乏しい南部の部隊が、停戦までの戦果を漁っているのか…なんにせよ南部の兵士には迷惑な話だ。どちらの陣営でも歩兵にはそんな都合は関係ないからね。
オチェレティネやクルスクと結局は同じではないでしょうか?
ウクライナ軍の準備不足を偵察で発見したから、兵力を集めて攻撃する。陽動とかではないと思います。
ハルキウ方面、ボルチャンスクから東の国境でウクライナ軍による越境攻撃。詳細はまだ不明。
この記事のXに引用してザポリージャ方面のウクライナ軍防衛ラインを管理人殿作成の地図を利用して貼りました。参考までにどうぞ。
こちらも詳細不明だけどスジャ南のグラフォフカ周辺でもウクライナ軍の越境攻撃の報告が
何考えてるんだか
スムィ上空を飛行するF16の動画も確認されましたし、ポジティブに考えるならクルスクのロシア軍部隊がそのまま国境を越えてこないように牽制したいのかもしれません。ハルキウ方面は意味不明ですが、ボルチャンスクの裏取りを警戒させるためとか?
ピンポンダッシュならそれで良いです(白目)
もはやウクライナにクルスク攻勢のようなことを行う余力が残っていないことは明白な以上、裏取りを警戒させるのは難しいかなと思います
となればピンポンダッシュの方ですかね…なんだか現実の戦争というよりRTSのスパム戦術みたいで実現性があるのかは不明ですが、ロシア軍を国境防衛に貼り付けたいという意図はわからなくもありません
まさか交渉材料としてそのまま占領を維持したりはいくら天才軍師であらせられるゼレンスキー閣下といえど…いやでも…
米露首脳会談の邪魔をするためだけの作戦だとか、死守命令を無視して撤退してきた部隊に対する懲罰の侵攻とかじゃないことを祈ります。
二重人格であるかのように装うための2つの仮面。それをを使い分けるアメリカの本性は一つだということを忘れるな。
Kyivindependentがドネツク州の前線からのウクライナ軍撤退を報道
>>ウクライナ軍は兵力の保全と防衛作戦の強化のため、ドネツク州の最前線地区から撤退したと、同地域の戦術集団の司令官セルヒーイ・ナイエフ中将が3月18日に報告
>>「これにより、兵士を救えただけでなく、防衛力も向上した。(ロシアは)損害を被っており、我々はより効果的に行動できる」とナイエフ司令官はフェイスブックに書いた。同司令官が前線のどの部分を指しているのかは不明
詳細が不明ですが今後の経過を見よう思います
おそらく他方面の情勢悪化を受けてウダチネ突出部に対する城塞作戦の中止が下命されたのでしょうね
左翼ではある程度前進に成功しシェフチェンコの制圧まで行けましたがこれからまだ本番の要塞攻略が残っている状態ですし、右翼はとっくに粉砕されて全く前進出来ていませんから、これでは当初の目的だった包囲殲滅には到底到達出来そうにないと
ありそうな場所といえばシヴェルスク方面のビロホリウカ周辺も可能性としてありうるかも?