ウクライナ戦況

新たな戦場での変化、ロシア軍が前線地域でShahed型無人機の使用を強化

ウクライナとロシアは戦場での優位性を獲得するため様々な取り組みを試しているが、kyiv Independentは8日「F-16の到着によってウクライナ軍が滑空爆弾への対抗能力を高める中、ロシア軍は後方地域ではなく前線地域の攻撃にShahed型無人機を使用し始めている」と報じた。

参考:Russia is ramping up Shahed-type drone strikes on the front line in Ukraine

まだ前線地域におけるShahed型無人機の使用増加が何を意味しているのか定義できないものの、中々興味深い動きと言える

ウクライナとロシアの戦争はドローン戦争に発展し、両軍とも戦場での優位性を獲得するため自爆型無人機による長距離攻撃、無人水上挺による対艦/対地/対空攻撃、FPVドローンによる対地/対人攻撃、電子妨害の影響を受けない光ファイバー制御のFPVドローン、FPVドローンの攻撃を防ぐため主要道路をネットで覆った回廊建設、空中目標を破壊する迎撃ドローン、接触線を歩兵ではなく無人機で監視・制御するドローンライン、バイクやバギーの活用など「従来の常識に囚われない新たな試み」を積極的に導入し続けている。

出典:Іван Федоров

最近では移動目標への攻撃に対応したGeran-2が登場して注目を集めたが、kyiv Independentは8日「F-16の到着によってウクライナ軍が滑空爆弾への対抗能力を高める中、ロシア軍は後方地域ではなく前線地域の攻撃にShahed型無人機=自爆型無人機を使用し始めている」と報じた。

“ロシア軍は安価な徘徊型弾薬(恐らくLancetやScalpelのこと)を前線に配備しているが、占領下のルハンシク空港などに自爆型無人機の発射施設を建設し、前線地域の攻撃に自爆型無人機を活用する取り組みを強化している。前線で戦うウクライナ軍兵士の一部も後方地域ではなく前線地域でGeranの使用が増加していると証言し、第109領土防衛旅団の兵士も「ロシア軍がGeranを使用してコスティアンティニウカ近郊の前線を激しく攻撃していた」「Geranはウクライナ軍が接触線付近で陣地に活用していた住宅を標的にしていた」「現在はGeranによる攻撃が減少している」と述べた”

出典:Минобороны России

“スームィで戦う第80独立空中強襲旅団の兵士も「Geranの使用が後方地域ではなく前線地域で増加している」「これまで接触線から10km~15km離れた兵站拠点や防衛拠点への攻撃には弾道ミサイル、非常に簡素な自爆型無人機=Molniya、より小型のFPVドローンを使用していたが、この攻撃にGeranを投入し始めた」と述べ、前線地域でのShahed型無人機使用に関する兵士の説明は様々だが、DEEP STATEの共同創設者で前線で戦う兵士と頻繁に連絡をとっているロマン・ポゴリリー氏は「前線地域でのShahed型無人機使用は随分前から行われていた」と言う”

“定期的に戦闘で荒廃したウクライナ東部を視察しているゴルベンコ議員は「前線地域におけるShahed型無人機の使用増加は深刻な問題に発展するかもしれないは、根本的にはLancetの役割に近いため大きな変化はない」と、ウクライナ人アナリストも「滑空爆弾と比べてShahed型無人機の破壊力は小さいが、それでも塹壕、防衛陣地、拠点として利用している家屋を破壊することができる」「滑空爆弾は依然としてウクライナ軍の陣地保持を困難にさせる任務で効果を発揮しており、前線地域にShahed型無人機を投入した意図は滑空爆弾の代替手段というよりも『ウクライナ軍の陣地保持を困難にさせる任務』の強化だろう」と指摘した”

出典:Fighterbomber

但し、ウクライナ人アナリストは「ウクライナ軍が前線地域でShahed型無人機に対処できると信じているものの、対抗策に関する判断や実行に遅れが生じれば問題化するかもしれない。そのため我々はロシア軍のやり方を参考にすべきで、効果的なアプローチを発見すれば可能な限り早く生産し、それを多くの部隊に普及させ、その他の問題はとにかく後回しにする。これがロシア流だ」と述べ、要するに時間のかかる完璧な解決を求めるのではなく、問題があっても一定の効果が認められる解決策を早く導入し、後から問題を改善すればいいという意味だ。

まだ前線地域におけるShahed型無人機の使用増加が何を意味しているのか定義できないものの、中々興味深い動きと言える。

因みにウクライナ軍は前線に近い主要道路に対ドローン網=道路をナイロンネットで囲む取り組みを行っており、大統領独立旅団の司令官は9月「2ヶ月前で対ドローン網はごく一部の前線地域にしか導入されていなかったが、今では前線から10km圏内の拠点を結ぶ主要道路の全て、さらに街や集落の中の一部道路にまで対ドローン網が張り巡らされている」「対ドローン網はFPVドローンに対する完璧な解決策ではないが、FPVドローンをネットの隙間から侵入させるには高度な技術が必要になる」「さらに光ファイバー制御のFPVドローンがネットの隙間から侵入するのは無線制御よりも難しい」と述べた。

ロシア軍もドネツクからポクロウシクまでの道路上にナイロンネット製のトンネルを建設しており、主要道路をネットで覆う回廊建設は2025年の変化として認識しておくべきだろう。

関連記事:ロシア軍の自爆型無人機に新機能、移動目標への攻撃が可能なGeran-2が登場
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※アイキャッチ画像の出典:ТЕЛЕКАНАЛ ЗВЕЗДА

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コメント

  • コメント (9)

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    • たむごん
    • 2025年 10月 09日

    光ファーバーFPVドローンの特性を考えれば、対ドローン網はアナログですが、映像で見ても非常に興味深いですね。

    光ファイバー通信は、基本的に揺れに弱いうえに、ネットにドローン本体だけでなく光ファーバーケーブルが引っかかるだけでも有効な対策になりそうだなと。

    ゲランが、接触線の10km~15kmに投入しているのは興味深く、武器の特性として『滞空時間の長さ』を考えれば前線歩兵・補給部隊に負担を強要する厄介な存在かなと感じる面があります。

    24
    • AKI
    • 2025年 10月 09日

    いくら安くても大半は、たいした誘導装置も付けられないだろうし、やけくそ攻撃だな。

    4
    • もへもへ
    • 2025年 10月 09日

    ウクライナ、ロシア両軍ともに完璧ではないし問題もあるけど少しでも効果がありそうなものは即導入して試行錯誤を高速で回してるみたいですね。

    イメージとして上意下達で硬直的なロシア軍と柔軟性のあるとされるNATO流の薫陶をうけたウクライナ軍ではウクライナ軍のほうがこういった試行錯誤を高速にできてそうですが、あまり差があるようには見えないですね。

    一般的に言われる変化に対応できる組織はこうだ、それ以外の組織は変化に対応できずに取り残されるっていう言説はあまり信用出来ないという事なんでしょう。上意下達系の組織は変化に対応できずに滅びるって定説がありましたが。

    8
      • 舎人
      • 2025年 10月 09日

      この戦争においてはロシアは上意下達で硬直的、NATOは柔軟というイメージはなく、どちらも変化に対応していると思いますけどね。
      流石にどちらも必死なのでしょう。

      ロシアがシャヘドを前線で使用する意図ははっきりとしませんが、それだけ前線突破を重視しているということでしょうか。
      逆にウクライナは後方の破壊を重視しており対照的ですね。

      この形になるとウクライナの前線が持ちこたえれば、ウクライナにも可能性ありとなりそうですが、どうでしょうね。まだまだ色々とありそうな気がします。
      早く停戦できるといいのですが。

      22
    • 半分の軍事費の国から
    • 2025年 10月 09日

    様々な対策が自爆攻撃ドローンの有効性を低下させていくので、自爆しないタイプのUASがこれから存在感を増してくるでしょう。
    ロッキードマーティン傘下のシコルスキー社の[Introducing the Nomad™ Family of Rotor Blown Wing Drones]とかも便利そうです。そして、近接防空も全ての装甲車両に標準化させる為に近接信管付き炸裂弾かプログラムド信管対応にする必要があると改めて思いますね。

    3
    • nton
    • 2025年 10月 09日

    記事中の引用でLancetの役割に近いと述べられていますが、シャヘド型のドローンをLancetのようにカメラ映像で誘導して列車を攻撃している映像を見ました。
    lancetと比べ10倍以上の弾頭を搭載できるので、大型の移動目標への攻撃や陣地への滑空爆弾より即応性の高い攻撃に効果を発揮しそうです。無論単純なシャヘド型より製造コストが高いので多用はできないでしょうが。

    3
    • Mr.R
    • 2025年 10月 09日

    GrandpaRoy2氏の投稿より引用。
    (10/7の投稿)ロシアの「ゲラン-2」(シャヘド)攻撃用UAV向けの新しい破片弾頭には、空中爆発機能があるようです。
    約50kgの弾頭には、特定の高度で爆発させるためのレーザー距離計が搭載されています。
    球形の破片要素は前端に集中しています。
    (10/9の投稿)ロシアの「ゲラン-2」(シャヘド)攻撃用UAV向けの新たな弾頭には、ナパームの一種と思われる液体発火混合物が含まれています。
    回収された赤褐色の液体を含む薄壁のシリンダーには、撃墜されたゲラン上で90kgの質量があると記載されています。

    7
    • NHG
    • 2025年 10月 09日

    >「滑空爆弾と比べてShahed型無人機の破壊力は小さいが、それでも塹壕、防衛陣地、拠点として利用している家屋を破壊することができる」

    更地にするつもりで数十発の砲弾を撃ち込んでた代わりに、陣地に浸かってそうな建物一軒つき1機のシャヘドを撃ちこむようにしたみたいな?

    3
    • 中村
    • 2025年 10月 10日

     無誘導砲弾のCEPの相場は射程の0.5%程度なので、接触線から15km砲自体から20km離れた半径5mの重掩蓋(155mm弾対応)陣地に対する直撃確立は1/800に成ります。

     何が言いたいかと言いますと、固定目標に使うなら5万ドルのゲランは十分に安いって事です。

    4

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