ウクライナ戦況

侵攻832日目、ロシア軍がドネツク西郊外方面とアウディーイウカ方面で前進

ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARはドネツク西郊外方面について「ロシア軍がコスティアンティニフカに向けて前進した」と、ウクライナ人が運営するDEEP STATEはアウディーイウカ方面について「ロシア軍がノヴォレクサンドリヴカ集落内に足場を築いた」と報告した。

参考:Мапу оновлено!
参考:Хроника специальной военной операции за 4 июня 2024 года

ロシア軍はドネツク西郊外方面ノヴォミハイリウカ方向で前進し、アウディーイウカ方面のノヴォレクサンドリヴカ集落内に足場を築く

DEEP STATEとRYBARは3日までにドネツク西郊外方面ノヴォミハイリウカ方向の動きを複数報告していたが、DEEP STATEは5日「ロシア軍がポブジェダの南で約1km前進した」と、RYBARも「ロシア軍がパラスコヴィイフカ周辺で支配地域を拡大した」「ロシア軍がコスティアンティニフカの南東で支配地域を拡大させた」と報告。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

視覚的にもウクライナ軍がポブジェダの南=でロシア軍陣地を攻撃する様子、ロシア軍がパラスコヴィイフカ集落の西端=に到達した可能性、ウクライナ軍がコスティアンティニフカの南東=でロシア軍を攻撃する様子、ウクライナ軍がヴォーダイン方向に前進するロシア軍=を攻撃する様子、ロシア軍が採掘場付近=で前進した可能性が登場し、DEEP STATEとRYBARの報告を裏付けている格好だ。

ウクライナ軍はパラスコヴィイフカ集落内から撤退している可能性が高く、ロシア軍はコスティアンティニフカに南東から接近し、明確にヴォーダイン方向にも前進しようとしており、小競り合いやポジションの改善を超える戦闘が複数方向で発生している。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

DEEP STATEはアウディーイウカ方面について「ロシア軍がノヴォレクサンドリヴカ集落内に足場を築いた」「カリノヴェ方向にグレーゾーンが拡大した」「ノヴォセリフカ・ペルシャ方向にグレーゾーンが拡大した」と報告、ノヴォレクサンドリヴカ郊外では何度も両軍の交戦が確認されていたものの、遂にロシア軍が集落内に足場を築いたらしい。

さらにカリノヴェ方向やノヴォセリフカ・ペルシャ方向に拡大したグレーゾーンも1km以上で、ここがロシア軍の安定した足場に変わるのか、ウクライナ軍が前進を阻止するのかが注目される。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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コメント

    • 2024年 6月 05日

    もうこの方面は掃討戦みたいなもんでしょ。 
    決戦みたいなのはもうこの方面では発生しないだろうな。

    27
    • 阿呆
    • 2024年 6月 05日

    ハリコフに50個大隊の釘付けが成功している以上他地域での進軍の阻止は難しいようだ。G-MLRSに続きF-16もJDAM-ERをベルゴロドに打ち込むのでは?

    8
      • jimama
      • 2024年 6月 05日

      >>F-16もJDAM-ERをベルゴロドに打ち込む
      無理でしょ。誘導が機能するぐらいの高度取ったら近づく前に落とされますよ。低高度侵空なんてようやく飛べるようになったヒヨコには荷が重いし、仮にできたとしても低空から地面まではドローンに監視されてます(露軍機がよくカメラに撮影されてる)そうなれば後は頭の上から撃たれるか9K330みたいな短射程ミサイルに始末されておしまいでしょ。カミカゼよりも効果ないのでは

      24
      • 理想はこの翼では届かない
      • 2024年 6月 05日

      ハリコフ方面はウクライナ軍がちょっと押し返し始めたという話が出ているので、もしかしたら状況が変わるかも
      といっても1日2日でどうこうなる状況ではないので貼り付けてる兵力が解散できるのは何時になるやら

      4
        • 舎人
        • 2024年 6月 05日

        後ろに準備しているであろう防御陣地に誘導されている気もしないでもないですけどね。
        尤も、この領域を取り返すなら防御陣地があるとわかっていっても踏み込んで打ち破るしかないですけどね。

        24
          • paxai
          • 2024年 6月 05日

          ヴォルチャンスクでドイツ製の架橋戦車ビーバーが架橋作業中?にランセットに潰されてる映像が出てるんで軍用車両を川の向こうに移動させるのに苦心してる感じがする。
          ロシアの試みが上手くいけばクリンキの再現になるがさてはて・・・

          28
      • 名無しくん
      • 2024年 6月 05日

      ベルゴロドの前に付近のロシア対空ミサイル削滅戦ですね。
      先日のS400撃破等、対空ミサイルを地道に削らないと、逆にF16が殲滅されそうです。(10000発?のミサイル備蓄が有るそうです。)

      ヴォルチャンスク市街地攻防戦、リプシ近郊高地奪取戦で地上は膠着状態。
      地上からの航空支援は難しそうなので、地道にいくしかなさそうですね。
      地上増援部隊の張り付けされてる方が厳しいですが…。

      3
    • たむごん
    • 2024年 6月 05日

    2014年から防衛している要塞、都市が陥落した後に、どこを拠り所にするのかは難しい問題ですね。

    WW2の頃から言われていますが、ウクライナの平坦な地形は、本当に防衛が難しいなと感じます。

    12
    • 無名
    • 2024年 6月 05日

    ハリコフ方面に本当に50個大隊分も兵を送ったなら、ロシアの進撃阻止に喜んでる場合じゃなくて、押し戻さないといつまでも他の地域の援軍に送るどころか、引き抜いた先に戻すこともできない。
    ロシア領内への攻撃を限定的でも欧米が認めたのは成果だけど。

    11
      • 名無し
      • 2024年 6月 05日

      開戦から2年以上経ってやっとって感じだな
      この意思決定の鈍重さこそ西側が凋落する理由に他ならない

      8
      • 冬戦争
      • 2024年 6月 05日

      米国バイデン政権や一部欧州諸国(英国、仏国、独逸等)がロシア領内へのウクライナ軍の攻撃の容認に転じたのはレッドラインを超える行為だ。何のレッドラインかというと第三次世界大戦を避けるためのレッドラインだ。朝鮮戦争で中国が参戦した。中国は満州を通って北朝鮮に兵や武器弾薬を送っていた。マッカーサーは中国軍の補給路である満州に原爆投下する許可をトゥルーマン大統領に申し出た。トゥルーマン大統領は「ダメだ!米国が原爆を使えばソ連も使う!米ソで原爆戦争になるぞ!」と却下した。それでも満州への原爆投下にこだわるマッカーサーをトゥルーマンは更迭した。米国は満州への原爆投下はもちろん通常兵器での攻撃もしなかった。もし米国が満州へ原爆では無くても通常兵器での攻撃をしていたらソ連も中国も報復措置として日本を攻撃していたろう。なぜなら日本は米軍の後方兵站基地として機能していたからだ。朝鮮戦争勃発で米軍は日本の企業に軍事物資の発注や壊れた戦車やトラックや軍艦の修理の発注をしていた。それで日本経済は一息ついた。吉田茂曰く「まさに乾土に慈雨だった」米国が満州を攻撃しなかったことでソ連も中国も日本を攻撃しなかったわけだ。つまり米国、ソ連、中国の間で「戦場を朝鮮半島に限定する」「原爆は使わない」と言う暗黙の了解が成立した訳だ。この二つが第三次世界大戦を避けるためのレッドラインとなった。ベトナム戦争で中国が北ベトナムの兵站を担当していた。北ベトナム軍は疲労した部隊を中国へ避難させて休ませて疲れが癒えたらベトナムへと部隊のローテーションをしていた。もちろん米国は知っていたが、中国へ避難している北ベトナム軍への攻撃はしなかった。中国も米軍の後方兵站基地の日本や韓国への攻撃はしなかった。1979年ソ連のアフガニスタン侵攻の時、米国はアフガニスタンのオサマ・ビン・ラディンらに武器支援をした。しかしソ連を攻撃出来る長距離ミサイル等は支援しなかった。米国のアフガニスタン支援は隣国のパキスタンを通ってのものだったが、ソ連がパキスタンの米国の武器支援ルートを攻撃することも無かった。今回米国バイデン政権や一部欧州諸国がウクライナ軍へロシア領内への攻撃を容認したのはソ連のアフガニスタン侵攻の時にオサマ・ビン・ラディンらにソ連を攻撃出来る長距離ミサイルを供与するようなものだ。もし米国がオサマ・ビン・ラディンらにソ連を攻撃出来る長距離ミサイルを供与していたらソ連はどうしたか?少なくともパキスタンの米国の武器支援ルートへの攻撃はしていたろう。つまり戦場の拡大になっていた。最悪第三次世界大戦になっていた。今回米国や一部欧州諸国がウクライナ軍にロシア領内への攻撃を容認したのは第三次世界大戦を避けるためのレッドラインを超える行為だ。少なくともロシアは報復措置としてポーランドのNATOの武器集積場や米軍基地への攻撃をするだろう。「NATO加盟国だから攻撃されない訳ではない」「米軍基地を攻撃しない訳ではない」と言うメッセージとして。人類は米国バイデン政権や一部欧州諸国が扉を開けた第三次世界大戦の入り口に立っている。

      6
    • ふくちゃん
    • 2024年 6月 05日

    Vovchanskは街が低地にあり、街の東西と北は丘になってたはず。ここを露が確保してる限り、丘上から撃たれて消耗するだけでは?露の設営したキルゾーンかも。
    街を守る露兵もカディロフツイだし、囮の捨て石っぽい

    16
    • 傍観者
    • 2024年 6月 05日

    ドネツクに深々と刺さっていたアウディエフカが抜け、前線は難攻不落のウクレダールを飲み込む勢いだ。露軍の攻勢は勢いを増している。ウクライナ軍の年内崩壊も取りざたされるようになっている。ブーチンは焦ったNATO諸国が軽挙妄動しないように釘をさしている。露本国を攻撃する長距離兵器はNATOの偵察衛星・偵察機・偵察ドローンによる情報収集、NATOによる目標の座標の設定、NATOの要員による操作なしには機能しない。ここへきてフランスなど公然と要員を送るなどと宣言して送り始めたた。露にとってはNATO軍によるウクライナを拠点とした露への攻撃に他ならない。特に戦略核関連施設への攻撃はウクライナを隠れ蓑にしたNATOの攻撃とみなしている。米欧の今時の政治家「専門家」にはいちいち説明してやらなくてはならない。NATOとの対決は核戦争だとプーチンは最初に宣言している。また殴られることがわかっている時は殴られるのを待っていないとも宣言している。核戦争にならずに済むか、欧州での限定核戦争か、全面核戦争にまで発展するか。核戦争に発展することなく戦火が止むことを祈るのみ。
    ウクライナ兵には申し訳ないがウクライナの早期降伏を願う。日本はその後の復興の支援を行うべきで今やるべきではない。

    31
      •  
      • 2024年 6月 05日

      >ウクライナ軍の年内崩壊も取りざたされるようになっている

      もう去年から何回も何回も聞いてるセリフ
      ここの住民が言うならウクライナは来年も安泰だな。よかったよかった

      5
        • あいあい
        • 2024年 6月 05日

        来年まで続くと思ってんだったら本当におめでたいな。
        いつロシアが精鋭を投入して、夏季攻勢を始めるかわかんねぇって言うのに・・・

        24
        • baka
        • 2024年 6月 05日

        噂は噂ですよ、それが真実に近くなって来たら不味いだけですから

      • 通りがかりさん
      • 2024年 6月 05日

      核施設への攻撃とか火遊びで済まないと思うんですが、正気かな。
      領空侵犯と同じぐらいの気軽さでやってるんでしょうけど、本気でやめてほしい。

      12
    • 2024年 6月 05日

    ついに戦況マップからアウディーイウカが見切れるように…

    10
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