ウクライナ戦況

侵攻855日目、ウクライナ軍がロシア軍を押し戻しリマン方面の支配地域を回復

RYBARはクピャンスク方面について26日夜「ロシア軍がペトロパブリフカ方向、ステルマキフカ方向、ミャソジャリフカ方向に前進した」と、DEEP STATEはリマン方面について「ウクライナ軍がテルニー方向でロシア軍を押し戻した」と報告した。

参考:Мапу оновлено!
参考:Купянско-Сватовское направление: бои за Стельмаховку и продвижение к юго-востоку от Синьковки обстановка по состоянию на 21:00 26 июня 2024 года
参考:Разрыв в выстрелах между Украиной и РФ сократился более чем в два раза, – источник
参考:L. Kasčiūnas: sprendimai dėl kasetinius šaudmenis draudžiančios konvencijos bus iki kadencijos pabaigos

仮にDEEP STATEの事実ならウクライナ軍は久々にロシア軍を押し戻した格好で、4月下旬以来の出来事

RYBARはクピャンスク方面について26日夜「ロシア軍がペトロパブリフカ方向に前進した」「ロシア軍がステルマキフカ方向に前進した」「ロシア軍がミャソジャリフカ方向に前進した」と報告し、この方面でロシア軍の攻勢は激しさを増していると主張している。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

DEEP STATEは今のところクピャンスク方面について何も言及していないが、リマン方面について「ウクライナ軍がテルニー方向でロシア軍を押し戻した」「ウクライナ軍が自然保護区でロシア軍を押し戻した(以前に言及した部分)」と報告し、逆にRYBARはクピャンスク方面について何も言及していない。

クピャンスク方面もリマン方面も主張の食い違いが大きく、これは登場する視覚的証拠の評価が異なるためで、例えば「ロシア軍の装甲車輌がウクライナ軍のドローンで攻撃される映像」が登場すると「攻撃を受けた地点までロシア軍が前進した」と見るか「ロシア軍の装甲車輌が攻撃を受けたため足場を築けていない」と見るかで評価が異なる。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

クピャンスク方面もリマン方面もDEEP STATEとRYBARの主張が一致するまで大きなことは言えないが、仮にDEEP STATEの事実ならウクライナ軍は久々にロシア軍を押し戻した格好で、4月下旬にイワニフスキーの南でウクライナ軍がロシア軍を1kmほど押し戻して以来の出来事だ。

因みにDEEP STATEは「ロシア国境沿いのハルキウ州ソトニツキー・コザチョクでは部隊のローテーション後に状況が悪化し、ロシア軍との交戦が続いている」「この敵は侵攻目的の部隊ではなく破壊工作の集団だ」と報告している。

追記:ウクライナ軍参謀本部の関係者はRBC-Ukraineの取材に「ロシア軍優位だった砲弾発射量の格差が1対3まで縮んだ」と明かし、リトアニアはクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)からの脱退を検討しているらしい。

関連記事:侵攻852日目、ロシア軍がシヴェルシク方面とドネツク西郊外方面で前進
関連記事:侵攻851日目、ロシア軍がノヴォオレクサンドリヴカを占領し幹線道路に接近
関連記事:侵攻850日目、ロシア軍がホルリウカ方面とドネツク西郊外方面で前進
関連記事:ロシア軍がホルリウカ方面の支配地域を拡大、シュミー集落を占領
関連記事:侵攻848日目、ロシア軍がホルリウカ方面とアウディーイウカ方面で前進
関連記事:侵攻847日目、ハルキウ方面リプシとボルチャンスクでロシア軍が後退
関連記事:DEEP STATE、ロシア軍がスバトボ方面で大規模な攻撃を準備している
関連記事:侵攻844日目、ウクライナ軍がボルチャンスク市内のロシア軍を包囲する可能性
関連記事:ウクライナ軍、ボルチャンスク市内の部品工場でロシア軍部隊を包囲中
関連記事:ウクライナ軍、イワニフスキー方向でロシア軍を押し戻し支配地域を回復

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

大多数のウクライナ人はゼレンスキー大統領、ウクライナ軍、戦争継続を支持前のページ

米陸軍がER-GMLRS量産を承認、HIMARSの攻撃範囲は150km以上に拡張次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ザポリージャと南ドネツクの戦い、ロシア側が予備部隊を投入して反撃か

    ウクライナ軍の反撃について14日は目立った動きが観測されておらず、ロシ…

  2. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍、まもなく長距離飛行を飛べる200機以上のUAVを手に入れる

    ウクライナのフェドロフ副首相は「長距離を飛行できる大型UAVを200機…

  3. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍とロシア軍の戦い、攻勢を止めても敵が戦力を回復するだけ

    ウクライナ軍やロシア軍も生産拠点を直接攻撃できないため「攻勢を止めた分…

  4. ウクライナ戦況

    アウディーイウカ西郊外、ロシア軍が国旗を掲げるも3集落の運命は不明

    アウディーイウカ西郊外についてロシア人ミルブロガーが運営するRYBAR…

  5. ウクライナ戦況

    ウクライナ、クリミアを含むロシア軍占領下の住民に解放準備を呼びかける

    ウクライナ大統領府はクリミアを含むロシア軍占領下の住民に「解放に備えた…

コメント

    • 無名
    • 2024年 6月 27日

    ハルキウ以外でロシア軍を押し戻した情報は久々で朗報ですね。
    司令官が解任されて兵士の士気が上がったとかあるかも。

    28
      •    
      • 2024年 6月 28日

      この辺りは砲撃を防げるような建物もなく、下手に前進すればやられる可能性が高い気がする。ロシア軍の吐出部がウクライナ軍に見事にやられた感じでしょうか? ウクライナ軍の作戦勝ちかな。
      個人的には、ロシア軍がいつの間にか前進していてビックリした。

      7
    • たむごん
    • 2024年 6月 27日

    砲弾格差の縮小は、興味深いですね。

    日本も、仮想敵国が条約に加入していないもの、クラスター爆弾禁止条約の脱退は検討すべきと思うんですよね。

    >ウクライナ軍参謀本部の関係者はRBC-Ukraineの取材に「ロシア軍優位だった砲弾発射量の格差が1対3まで縮んだ」と明かし、リトアニアはクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)からの脱退を検討しているらしい。

    32
      • T.T
      • 2024年 6月 27日

      信じられるのは無誘導兵器による面制圧だけ。即脱退すべし。
      出来ればオタワ条約も一緒に脱退して欲しいところ。

      25
        • たむごん
        • 2024年 6月 27日

        一方的に、不利な条約は意味ないですよね。

        条約脱退は、国内判断だけで決められるわけですから、早くやって欲しいなと思っています。

        22
      • arisona
      • 2024年 6月 27日

      オスロ条約はまだしもオタワ条約なんて縛りプレイもいいところだよなぁ

      21
        • たむごん
        • 2024年 6月 27日

        仰る通りです。
        ウクライナ戦争を見れば、砲爆撃・地雷の有効性がありました。

        自衛隊の国防力を引き下げる、手枷足枷の条約脱退は、国防力を素早く上げられると感じています。

        21
    • kame
    • 2024年 6月 27日

     使える砲弾の数がそのまま戦線に影響したという事ですね。ロシア軍にとってのボーナスタイムが終わったと考える事も出来ますが、その間にウクライナ軍が失ったものも多いため、前線の動きを膠着化されられれば充分でしょう。
     前回の投稿にもあった通り、ウクライナ国民の大半はまだまだ継戦する事に対して意欲的のようですし、終わりが見えませんが消耗戦はまだまだ続くことでしょうね。

    20
    • カリアゲ
    • 2024年 6月 27日

    ロシア軍の夏季攻勢で優勢とばかり思っていましたが、支援再開も有り、一部で盛り返している様ですね。
    記事内の通り、ブロガー報告はハッキリするのに期間が必要な場合もありますから続報待ちでしょうか。
    追記の砲弾格差縮小1:3へは、ロシア軍が減ったのか。変わらずにウクライナ軍が増えたのか。はたまた両方?等について、変化要因で戦況に影響が現れそうですね。
    また、ハリコフ州のロシア軍への「侵攻目的の部隊ではなく破壊工作の集団」との言及についても、ちょっとよくわからないので、ブロガー報告、砲弾格差変化と含め、3件共に続報を待ちたいと思います。

    19
    • 暇な人
    • 2024年 6月 27日

    むしろ核不拡散条約から脱退したい。
    ロシア中国北朝鮮アメリカとまわり全部核もっているのに持たないほうがおかしい

    14
    • ななしびと
    • 2024年 6月 27日

    チェコが言っていた砲弾が6月から年末にかけて供給されるということで、砲弾格差がしばらくは解消されそうですね。
    ただ、ウクライナは欧米各国の支援で盛り返しましていますが、今後それらの政権が交代し方針が変更となればまたすぐ不足する可能性があるのですよね。
    しかもその可能性は十分にあり得る。独力である程度やるにしても、エネルギー不足が足を引っ張ってくるでしょうし。
    対してロシアは単独で300万~400万発が生産できますので、長期化するほどにロシアが有利な状況は依然として変わりません。

    18
    • paxai
    • 2024年 6月 27日

    まだ押し返す力があったんだってのと。軍上層部からの指示は防衛一辺倒ではないんやってのと。

    7
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  3. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
PAGE TOP